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当場では,全国的に作付けが増えている飼料米の豚への飼料利用にあたり,飼料米の配合割合,給与期間及び系統豚交雑種への発育性や肉質への影響等を調査しています。
試験はLD種(ミヤギノL2×しもふりレッド)とDD種(しもふりレッド純粋)を用い,豚肥育後期用飼料に飼料米(玄米を2mmに粉砕)を15%及び30%を配合し,体重約70kgから115kgまでの間給与しました。
肉質の評価では,品種で配合区間の傾向が異なりました。筋肉内脂肪含量は,LD種では飼料米の配合に比例して高く,DD種では15%区が高い傾向を示しました。逆にロース断面積では,飼料米の配合割合が高くなるほど小さくなる傾向を示しました。保水性は両品種とも15%区で高い傾向がありました。柔らかさについては,LD種で15%区がやや柔らかくなる傾向に対して,DD種では15%区が硬くなる傾向を示しました(図1)。
また,肉の美味しさの1指標とされる脂肪酸中のオレイン酸割合を調べたところ,LD種では30%区が,DD種では15%区が最も高く,飼料米を給与することでオレイン酸割合が高まる傾向が明らかになり,上記の筋肉内脂肪含量の増加傾向に類似しています(図2)。
さらに,LD種のロース肉で食味評価を実施しところ,柔らかさ,多汁性,うま味,美味しさで15%区が他の区よりも評価が高く,全体として飼料米15%区の評価が高い結果となりました(図3)。
当場では給与期間の影響を調査するために,現在肥育全期間で飼料米を15%配合した給与試験を実施しています。また,LWD種やLDD種など交雑種の違いによる影響についても検討していきたいと思います。
(種豚家きん部)
(平成22年12月3日掲載)
【図1 肉質の評価】
図2 脂肪酸組成分析結果】
【図3 食味評価結果(嗜好型官能検査)】
【ロース部位断面(DD種)】
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