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まず知っておきたいことは,同じ放射性物質に汚染された廃棄物であっても「汚染廃棄物(8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物を含む)」と「原子力施設から発生する放射性廃棄物」は,レベルが全く違うものだということです。
原子力施設から発生する放射性廃棄物は,高いもので10兆Bq/kgを超えます。そして,事故由来の汚染廃棄物(10万Bq/kg以下)は,その最も高いものでも原子力施設から発生する放射性廃棄物の1億分の1以下です。
さらにその中で,宮城県の36,045トンの8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物は,100Bq/kg以下のものが最も量が多く全体の35%を占め,1,000Bq/kg以下が86%となっており,平均濃度は423Bq/kgです。
これらのものを「放射能に汚染されているもの」と,ひとくくりにして危険と考えるより,放射線や処理方法についての正しい知識を得ることが,安心につながります。
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8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物は,廃棄物処理法に基づき,同法の基準に従って,家庭から出るごみと同じ方法で既存の処理施設で,市町村や民間の廃棄物処理業者が安全に処理することが可能です。
宮城県内でも8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物の焼却実績があります。
東京電力福島第一原子力発電所の事故発生から長期間が経過した今も,一時保管を強いられている保管者の負担を解消するためにも,通常の処理方法で安全に処理できる8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物については,一刻も早く処理する必要があります。
放射線の影響は汚染廃棄物に,より長い時間,より近い場所で接するほど大きくなります。そのため,処理の過程では,埋立処分を行う作業者が,他のどの処理よりも放射線の影響を受けやすくなります。
その最も影響を受けやすい埋立作業員の安全を確保するために採用された国際基準が,ICRP(国際放射線防護委員会)が勧告する,一般の人々の健康を守るための基準である,「公衆被ばくの線量限度『年間1ミリシーベルト(mSv)』」※です。
汚染廃棄物の処理では,最も放射線の影響を受けやすい埋立作業員の方でも「年間追加被ばく線量1ミリシーベルト(mSv)」をさらに下回るように,放射性物質汚染対処特別措置法において,安全確保のため,「8,000Bq/kg以下」「8,000Bq/kg超」という,濃度による廃棄物の処理基準や,放射性物質が施設外に漏出しないための処理方法,作業条件が決められています。
処理施設の周辺にお住まいの方々は,埋立作業を行う作業員よりも離れた場所にいるので,放射線の影響はより低くなります。
安全確保のために定められた基準や対処方法を守って処理を行っている限り,汚染廃棄物の処理によって,周辺住民の方々の健康への影響が発生することはありません。
※実効線量。医療被ばくを除く。「年間追加被ばく線量1ミリシーベルト(mSv)」は,健康に関する「安全」と「危険」の境界を示すものではありませんが,線源を導入・運用する者に対して,厳格な管理を求める目的で,追加被ばく線量を可能な範囲で最大限低くするために採用されているものです。
平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて,厚生労働省では,食品の安全性を確保する観点から,食品中の放射性物質に関するリスクを評価し,食品中の放射性物質の基準値を設定しました。そして,地方自治体においてモニタリング検査が実施されています。
基準値を超過した食品については,回収・廃棄されるほか,基準値の超過に地域的な広がりが認められる場合には,出荷制限を行い,基準値を超過する食品が市場に流通しないように取り組んでいます。
食品に含まれる可能性のある危害要因(ハザード)が人の健康に与える影響について,科学的,客観的かつ中立公正にリスクを評価する機関が食品安全委員会です。
食品安全委員会は,現在の科学的知見に基づいた食品健康影響評価の結果として,放射線による健康影響の可能性が見いだされるのは,自然放射線(日本では年間2.1ミリシーベルト)や医療被ばくなどの通常の一般生活において受ける放射線量を除いた分の,生涯における追加の累積の実効線量が,おおよそ100ミリシーベルト以上と判断しました。
さらに,100ミリシーベルト未満の健康影響ついては,放射線以外の要因の様々な影響と明確に区別ができない可能性があること等から,健康影響について言及することは困難であると結論づけています。
また,おおよそ100ミリシーベルトとは,健康への影響が必ず生じるという安全と危険の境界値では無く,食品について適切なリスク管理を行うために目安とする数値です。
そして,国際的な食品の規格・基準を定めているコーデックス委員会(世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の合同機関)が食品の特段の措置をとる必要がないと考えられているレベルとして「年間1ミリシーベルト」を採用したガイドラインを出しています。
それに加え,モニタリング検査の結果で,多くの食品からの検出濃度は,事故後の時間経過とともに低下していることを踏まえて,食品から追加的に受ける放射線の総量が「年間1ミリシーベルト」を超えないようにとの考えのもとに,厚生労働省は基準値を設定しました。
年間1ミリシーベルトは,国際放射線防護委員会(ICRP)が,これ以上放射線防護対策を講じても有意な線量の低減は達成できないとしている値でもあります。
出典:消費者庁「食品中の放射性物質 | 消費者庁 (caa.go.jp)」詳細はこちらを御覧下さい。
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