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掲載日:2022年6月17日

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ワークショップ活動の記録「はじめてのコラージュ」

「はじめてのコラージュ」

  • 日時:2021年6月20日(日曜日) 午前10時~午後4時
  • 場所:創作室2
  • 担当:齋藤由布(教育普及部職員)
  • 参加者数:8名

 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から定員を設け、活動前の検温、時中のこまめな手指消毒、一人1台の机を使用した参加者間の距離の確保、参加者同士の会話の場面を極力少なくし、共有する用具はその都度スタッフが消毒するなどの対策をして行った。

 今回のワークショップは、コラージュに対して「はじめて」や「やってみたいけど」という感覚と興味を持っている希望者を対象として行った。異なる素材を貼り合わせ、新たなイメージや空間から創出される発想や構想を練りながら、みかた・みえかた・感じかたを再構築してみるなどして、コラージュの表現の一端に触れてみた。

 参加者の気付きを拾いながら、その意図に触れていくとし、早速活動に入る。
 まず、太さの異なる黒のマジックペンで、指定された本数と様々な種類の線をA4用紙に思い思いにひき、その線で囲まれた空間の中を指定された色数で、同じ色が隣り合わないようにマジックペンで塗ってみる。真っ白のA4用紙の上に動きや空間ができる。同じ条件下でも線の種類やひき方、色味の違いなどによってできる多様な差異を、互いに見合いながら探ってみた。
 次に、そこにはさみを入れてみる。参加者は“きれいに仕上がった”と思っていた作品を分断することに躊躇するが、切断されたパーツに新たな印象が生まれることを感じとるうちにその戸惑いは薄れ、偶然的にも意図的にも新たな数枚のパーツを生み出していく。それを机上で次々に配置(上下、前後など)を変え、並べてみることで、その時々にどんな空間や意味が生まれるかを体感を通して考えた。

 活動の様子 活動の様子

 続いて、2種類の「空」をつくってみる。一人一人にさらに30色ほどの色紙を配布し、先に生み出されたパーツなどと組み合わせ、貼り合わせる。その「空」を宮城県美術館の外観写真の空の部分をくりぬいた用紙にはめ込む。「美術館を取り巻く空気感や時間などが現れた」と、参加者。そこで、美術館の中で起きていることや展示内容、聞こえてくる音など、イメージできることを付箋紙に書き込み、互いに貼りあい、読みあった。展示室の中で起きていることが物語風に書かれているものや、「その美術館」に向かう思いや、館の中の様子、会話、音、音楽など、寄せられた多様で具体的なイメージに、驚いたり感動したりながら読み入っていた。

 活動の様子3 活動の様子4

 これらを踏まえながら、二次元と三次元の空間のとらえや時間軸について、また、ものや構図、色彩が語り出す作品の中の物語等を、ピカソの作品をはじめとするコラージュ作品を鑑賞しながら確認した。聞きながら、手元にある自身のパーツを改めて配置したり、それまで取り組んだものを見つめる参加者の姿もあった。
 その後、各自が持参したものから軸となりそうなものを選びだし、単に用途や目的だけではなく、「自分にとってこれは何か」「そこにあるもの(思いなど)は何か」「他のものよりも前(過去)か後(未来)か」「価値以外の意味を考えたとき、それは何でありどんな位置か」などの、その軸に対する意味や他との関係性について考え始めたところで午前を終えた。

 昼食を挟んで休憩中も参加者は「(持参した)ものの意味」「他との関係性」を互いに話していた。自分のイメージを放出したときの他者の反応を見て、共有されたイメージに安心したり、新たなみかたや気づきを試している姿が多かった。そんな中、さらに様々な色味・質感・文様の紙類、創作室内外からスタッフがかき集めておいた素材や材料などを室の中央に準備しておいた。

 午後からは、「あのときの自分」をテーマに、持参したものやつくり出したパーツに加え、中央にある材料なども使いながら、A2大のイラストボード上に平面を基準としたコラージュ制作に取り組んだ。そこからはみ出しても可とした。
 テーマ内の「あのとき」は各自で設定する。その時間や空間はいつか、なにか、どこか、自分は、とイメージを再三再四練る。配置しては崩して再構成したり、そこに加える、そこから除くことも行いながら、そうして新たに生まれる「こと」や「もの」をみつめてみてはさらに、と繰り返す。はじめは戸惑いつつも次第に「自分にとってこれは何かなど、こんなに一つ一つに意味を探して、関係性を考えたことはなかった。悩むけれど、この過程が楽しい。」という声が聞こえてきた。その声に共鳴するように、参加者の動きがより活発になっていった。 

 活動の様子5 活動の様子6

 「この時間内では完成しない。時間をおいて改めて見てみると、新たな気づきがあったり、なにかをしてみたくなるだろう。」と事前に話していた。あえて、「途中である」という感覚を持ったまま、その段階までの、また、これからの構想を伝え合いながら、最後に互いの作品を鑑賞した。「組み合わせによって新たな意味を見つけたり、感覚が生まれた。」「自分自身の意外な一面を見つけることができた。」「これからどんな風に成長させることができるか、その時、自分が何を発見しているか。再び作品と向き合うのが楽しみだ。」などの感想をもってワークショップを終えた。

 

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