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掲載日:2019年4月23日

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ワークショップ活動の記録「はじめての木工『うつわ』編」

「ワークショップ「はじめての木工『うつわ』編」

  • 日時:A日程 2019年1月25日(金曜日)・3月22日(金曜日) 午前10時~午後3時
    B日程 2019年1月27日(日曜日)・3月24日(日曜日) 午前10時~午後3時
    ※上記の期間内において、各自の都合で創作室を利用して制作を進めた。
  • 場所:創作室1、創作室ギャラリー
  • 担当:羽賀正晃(当館教育普及部職員)
    ※展示は大嶋貴明(当館教育普及部学芸員)
  • 参加者数:1月25日(金曜日)7名、3月22日(金曜日)7名
    1月27日(日曜日)6名、3月24日(日曜日)6名

※「はじめての木工」ですので、木材や加工に関する基礎事項を多少詳しく記載しています。

1月25日(金曜日)、27日(日曜日)

午前10時~ イントロダクション

  • 参加者が木材に抱くイメージとして、「お盆やお椀、箸など身近なもの」「温かみや柔らかさがある」「傷つきやすい」など、さまざまな意見が出ていた。それらのイメージをもとに、木材がもつ効果や性質を簡単に紹介する。
  • 5月に行った「はじめての木工『箸・匙』編」と同様、午前は木材の基礎知識と道具の扱い方、午後は電動工具の使い方の実践とうつわの構想を行う。

午前10時10分~ 木材の持つ性質などについて

  • 参加者に,木材の実物や写真を見せながら下記のことを話した。

ワークショップの様子1 ワークショップの様子2

  • 丸太の中心の部分は心材といい、その周りの辺材という部分より色が濃い。心材は幹や枝をささえ、辺材は根から葉へ水を送る部分である。
  • 木の中にある水には自由水と結合水がある。自由水は細胞内腔やすきまにある水で、結合水は木材そのものである。自由水がなくなり、結合水が細胞壁から離脱すると収縮してひび割れが起こる。
  • 年輪の白い部分は暖かい時期、色が濃い部分は寒い時期に育ったところで、季節の違いがある地域で年輪はできる。だから、例えばラワンは熱帯で育つ木なので年輪ができない。
  • 板材には、板目板、柾目板がある。板目板は変形が大きく、柾目板は変形が少ないが高価。製材のときに無駄なくとれるのは板目板。
  • 木材には無垢材や合板などがある。合板は薄く剥いたラワン材などを、繊維方向を90°ずらして互い違いに重ねて接着しているため変形しづらい。
  • 木の種類により色や加工のしやすさが違う。値段も違うので、どの材を使うかは目的と予算による。
  • 木の重さや固さは加工にも影響する。柔らかく軽いものは、加工がしやすいが強度は高くない。固く重いものは、木の細胞壁が詰まっているため、加工しにくいが強度は高くなる。

午前10時30分~ 木を見に行く(北庭)

  • みんなで北庭に木を見に行く。欅、メタセコイアなどの木の形(樹形)や枝の生え方、幹の太さなどを観察する。
  • 木の幹に触り、桜の幹はゴツゴツして横線が入り、メタセコイアはやわらかく、松の木はザラザラしているといった感想が出てくる。
  • さまざまな木をみながら家や寺の柱に適している木はどれか、ダイニング用のテーブルに向くのはどういった木かを、樹形から観察した。

午前11時~午後0時10分 基本的な道具の使い方について

  • 北庭から創作室に戻り、基本的な道具(のこぎり、鉋、金槌、差し金)の使い方を説明し、実演したあと、皆で実際に使う練習をした。

ワークショップの様子3 ワークショップの様子4

午後1時~ 電動工具の使い方について

  • 今回の制作で使用する電動工具(電動糸のこ・帯のこ、ベルトサンダー、ボール盤)の説明し、実演したあと、皆で実際に使う練習をした。
  • 最後に木材のブロックをのみを使って内側を彫る練習をした。

ワークショップの様子5 ワークショップの様子6

午後2時10分~ うつわの制作過程について

  • うつわの作例を見せる。参加者はそれを興味深そうに触ってみながら、「自分に作れるかな」と言っていた。写真を見せながら簡単にうつわの制作過程を説明する。
  • 用意した材から、使うものを選んでもらう。作りたいうつわのイメージを適宜スケッチしながら、材にも鉛筆で書き込んでいく。

午後2時50分~午後3時 今後の制作について

  • 次回は作品鑑賞と作品展示をするので、それまでの2ヶ月のうちに各自の都合により創作室を利用して完成させるよう話す。
  • 彫り始めると修正が難しくなるため気をつけて作業を進めること。作品を仕上げるために欠かせない紙やすりの目の粗さを表す「番手」を説明し、木目に沿ってやすりをかけることを話す。
  • 今回は、うつわとしての使用に耐えられるよう木地固め処理を行うことを説明する。

ワークショップの様子7 ワークショップの様子8

3月22日(金曜日)、24日(日曜日)

午前10時~ 作品の仕上げ

  • 木地固めされた各々の作品を紙やすり(1000番)で表面をなめらかにした後、オイル仕上げをする。

ワークショップの様子9 ワークショップの様子10

午前10時20分~ 塗装について

塗料の種類について説明した。

  • コーティング系塗料は塗膜を作り、紫外線や汚れから木を守る。保護の面では浸透性系塗料より強いが、塗膜を作るために木の柔らかな触り心地が損なわれる。
  • 浸透性系塗料は、染みこませて木自体を丈夫にするので、木本来のしっとりした触り心地になる。保護の面では比較的弱く、こまめなメンテナンスが必要である。
  • その他の塗料として、ワックスとステイン(着色)について説明。
  • 最後に特殊な処理である木地固めについて説明。

午前10時40分~ 作品鑑賞のためのまずは自己紹介

  • 各自完成した作品を持って1台の机に座る。まずは1人ずつ、自己紹介とワークショップに参加した理由を話してもらう。

午前10時50分~午前12時 作品鑑賞

  • 進行役を決めて鑑賞を始める。最初は1人の作品を1分ずつ、時計回りにまわしながら鑑賞した。
  • 次に一人の作品を皆で見ていく。テーブルクロスの上に作品を置き、作者が作品にこめた思いを話す。自分なりに考えた「美」と、工芸品としての機能・役割について語ってもらう。他の人からコメントをもらい、話を広げていった。
  • 最後に今回のワークショップに参加しての感想を1人ずつ話してもらった。木工に取り組んだことで、生活感が変わったかなど。

ワークショップの様子11 ワークショップの様子12

午後1時~ 展示(創作室と創作室ギャラリー)

  • 各自考えたタイトルをキャプションに書く。
  • 今回は作品展示であり、商品展示ではないこと。同じうつわでも形がさまざまであり、それを生かすために展示では、同じ風に並べなくてもいいし、同じように並べれば違いが際立つかもしれないと話す。
  • 2つの展示台を配置し、鑑賞者はどこから見るのかを考えてみる。
  • 次にうつわを展示台に置き、うつわのそれぞれの形(特徴)を考えながら、鑑賞者の動線も考えながら配置を決めていく。
  • うつわの方向、形の特徴の見せ方、影の表情などを検討し、台座や布などの展示補助台を試しながら探っていく。
  • 展示の位置を決めたあと、展示台やアクリルカバーについた汚れや埃をとるため、皆でニトリル手袋をはめて不織布にアルコールをつけ丁寧に拭く。
  • スポットライトを付けて展示が完了した。参加者からは、展示したことで作品がより良く見えるという声が出た。

ワークショップの様子13 ワークショップの様子14

午後2時50時~午後3時 まとめ

展示の会期を確認した後、今回のワークショップの意義と、創作室の利用について改めて話した

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