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令和2年8月28日,大崎市千刈江地区において,田んぼダム実証試験に関する現地見学会が行われました。
見学会は大崎市が主催したもので,東北農政局,宮城県,土地改良区,地元農家や報道関係者など,約30人が田んぼダム実証試験が行われている水田や装置を見学しました。
田んぼが元々持っている水を貯める機能を利用し,大雨の際に一時的に田んぼに水を貯め,ゆっくりと排水することで,農地や市街地の洪水被害を軽減しようという取り組みです。
大崎市では近年,平成27年関東・東北豪雨,令和元年東日本台風等により,度々大規模な浸水及び湛水被害が生じていることから,防災・減災への対応として,大崎市内1万haに広がる田んぼの貯留機能に着目し,今後,世界農業遺産「大崎耕土」における現代版「巧みな水管理」の取組として,田んぼダム実証の取組を推進していく方針としています。
田んぼダムの実証試験は,大崎市からの依頼により宮城県古川農業試験場が実施しており,実証試験の内容について担当者が説明を行いました。
以下右の写真が田んぼダム用調整装置を取り付けた排水桝です。
その後,田んぼダム実証水田(排水桝に調整装置を取り付けた水田)と,通常の水田の実際の排水状況を見比べました。
以下左の写真が田んぼダム実施水田,右の写真が通常の水田です。
その結果,明らかに田んぼダム実施水田の流出量が少ないことが分かり,調整装置の効果を確認することができました。
これまで,古川農業試験場の調査結果により,栗原管内の沼田・八木地区において,排水量を1/3~1/7に少なくできることが分かっています。
田んぼダムを実施する場合,これまでの単純に排水の穴を小さくする方法では,ゴミが詰まりやすいことが課題でした。
このため,古川農業試験場と東北興商(株)の共同研究により,ゴミ詰まりのしにくいロート型の新型調整装置(特許出願中)が開発されました。
排水実験では,従来の方法と新型の調整装置とで実際にゴミ(稲わら)を流し,効果を検証しました。
その結果,従来の方法ではゴミが詰まりましたが,新型はスムーズにゴミが排出されることが分かり,新型調整装置の効果が確認されました。
古川農業試験場では,ほ場や水路に設置した水位計やカメラ等によりデータ観測を続け,田んぼダムの数値的な効果の実証に向け,更に詳細な調査を行うこととしています。
今後は理解が得られた地域で実証試験を拡大し,普及を目指していく方針です。
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