掲載日:2023年12月28日

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第975回教育委員会会議録(令和5年11月分)

 

 

1 招集日時  令和5年11月22日(水)午後1時30分

2 招集場所  教育委員会会議室

3 出 席 者  佐藤教育長、千木良委員、小室委員、小川委員、佐浦委員、鳩原委員

4 説明のため出席した者

佐藤副教育長、佐々木副教育長、鎌田総務課長、熊谷教育企画室長、片岡福利課長、

鏡味教職員課長、千葉参事兼義務教育課長、遠藤参事兼高校教育課長、

菊田高校財務・就学支援室長、山内特別支援教育課長、安倍施設整備課長、

大宮司保健体育安全課長、佐藤参事兼生涯学習課長、高橋文化財課長 外

5 開会  午後1時30分

6 第974回教育委員会会議録の承認について

佐藤教育長

(委員全員に諮って)承認する。

7 第975回宮城県教育委員会定例会会議録署名委員の指名、議事日程について

佐藤教育長

小室委員及び鳩原委員を指名する。

本日の議事日程は、配布資料のとおり。

8 秘密会の決定

 6 議事

第1号議案 職員の人事について

佐藤教育長

「6 議事」の第1号議案については、不開示情報等が含まれているため、その審議等については秘密会としてよろしいか。

(委員全員に諮って)この審議等については、秘密会とする。

秘密会とする第1号議案は、本日速やかに処理する必要があるため、先に第1号議案の審議を行うこととしてよろしいか。

(委員全員異議なし)

※ 会議録は別紙のとおり(秘密会のため非公開)

9 専決処分報告

第390回宮城県議会議案に対する意見について

(説明者:佐藤副教育長)

「第390回宮城県議会議案に対する意見について」御説明申し上げる。資料は、1ページから8ページである。

はじめに、資料2ページを御覧願いたい。地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により、10月30日付けで知事から意見を求められたので、議案の内容について御説明申し上げる。

資料3ページを御覧願いたい。「1 補正予算の概要」であるが、一般会計歳出予算のうち、教育庁関係分として、1,704万1千円を増額計上しようとするものである。これについては、「2 予算議案」「(1)歳出予算」に記載しているとおり、東日本大震災みやぎこども育英基金に令和4年度決算剰余金を積み立てるための経費である。

次に、4ページを御覧願いたい。「(2)債務負担行為」であるが、東北歴史博物館の特別展の開催に係る開催費負担金や委託業務などについて、資料6ページまでの計5件を、それぞれ必要な限度額及び期間を設定するものである。

資料7ページを御覧願いたい。「3 予算外議案」「(1)条例外議案」であるが、議第170号議案及び議第171号議案は、佐沼高等学校校舎等改築工事について、工事請負契約の締結のため、次のページに移り、議第174号議案は、宮城第一高等学校校舎等改築工事に係る工事請負変更契約の締結のため、議第175号議案は、秋保かがやき支援学校に係る校舎等新築工事の工事請負変更契約締結のため、地方自治法の定めるところにより、議会の議決を受けようとするものである。

以上、知事から意見を求められた議案の内容について御説明申し上げたが、この照会に対しては、教育長に対する事務の委任等に関する規則第3条第1項の規定により、11月6日付けで専決処分し、異議のない旨回答したので、同条第2項の規定により報告する。

本件については、以上である。

(質疑)

(質疑なし)

10 議事

第2号議案 第2期宮城県教育振興基本計画(改訂版)(案)について

(説明者:佐藤副教育長)

第2号議案について、御説明申し上げる。資料は、9ページから11ページ並びに別紙及び別冊である。

第2期宮城県教育振興基本計画の中間見直しについては、今年2月に県及び県教育委員会から宮城県教育振興審議会に諮問を行っており、その後、審議会において議論が重ねられ、今月16日に審議会から答申を受けたところである。本日は、この答申を踏まえて作成した「第2期宮城県教育振興基本計画(改訂版)(案)」について、議案として提案するものである。

はじめに、資料9ページ右側を御覧願いたい。まず、「1 中間見直しの趣旨」については、平成29年3月に本計画を策定後、新学習指導要領への対応などの教育を巡る状況変化が生じたことに加え、学力、体力の向上など、本県の課題に対応する取組の充実・強化を図る必要があることから、中間見直しを行うものである。「2 計画の位置付け」については、教育基本法第17条第2項の規定に基づき地方公共団体が策定する計画として位置付けられると同時に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第1条の3に規定する、「教育等の振興に関する施策の大綱」として位置付けられるものである。「3 計画の期間」については、国の次期教育振興基本計画の策定が令和10年度になることを踏まえ、2年間延長して令和10年度までとする予定としている。なお、計画を推進するために実施する具体的な施策及び事業を示すため、別途アクションプランを作成する。

次に、資料10ページを御覧願いたい。「4 主な見直しの内容」については、新・宮城の将来ビジョンや国の新たな教育振興基本計画を踏まえ「目指す姿」と5つの「計画の目標」を見直し、「復興の先を見据えた持続的な発展」や「思いやり」、「幸福」などの文言を追加している。

次に、資料11ページを御覧願いたい。「目指す姿」と5つの「計画の目標」の下には、今回、新たに「施策の展開に当たっての横断的な視点」を設けている。「教育DXの推進」と「持続可能な学校教育の推進」の2つの視点を掲げ、各施策でのデジタル技術の活用や、教員の働き方改革、学校外の多様な担い手の活用などを更に推進していく方向性を示している。また、不登校児童生徒への支援について、多様な主体と連携して教育機会を確保し、社会的に自立させていくことを打ち出すため、「学びの保障と教育機会の確保」を新たな基本方向として追加している。最後に、「5 主な経過と今後の予定」については、これまで、審議会を計3回開催し、その間、圏域別意見交換会などの様々な意見を踏まえながら審議会で議論が行われ、答申がまとめられたところである。本日、計画案について御審議いただいた後、知事を本部長とする計画推進本部において計画案を決定するとともに、総合教育会議における協議・調整を経て2月議会へ提案する予定である。なお、第2期計画と合わせて、アクションプランを策定するが、アクションプランについては、3月の教育委員会において、お示ししたいと考えている。

なお、詳細については、教育企画室長より御説明申し上げる。

(説明者:教育企画室長)

それでは、引き続き、第2期計画(改訂版)について、別紙「計画(案)の概要」により御説明申し上げる。はじめに、「第1章 計画の中間見直しに当たって」については、見直しの趣旨、計画の位置付け及び計画の期間について記載している。内容については、先ほど御説明したとおりであるので省略させていただく。次に、「第2章 本県教育の現状」については、人口減少社会の到来など教育を取り巻く社会の状況のほか、いじめ問題への対応、増加する不登校児童生徒への支援、体力・運動能力の低下、基礎的・基本的な学習内容の定着など、教育の課題について記載している。次に、「第3章 第2期計画期間中の動向」では、資料の右下に記載のとおり、「計画期間中の本県教育を巡る主な状況」について、また「計画の進捗状況」について記載している。

次に、2ページを御覧願いたい。「第4章 本県教育の目指す姿」と「第5章 施策の展開」について合わせて御説明申し上げる。まず、「第4章 本県教育の目指す姿」の冒頭で、計画期間を経過した段階で実現していることを目指す姿を掲げており、この目指す姿を支えているのが、学校で学ぶ知識・技能と実社会や職業との関連を意識させ、子どもたちの主体的に学ぶ意欲や将来の生き方を考える態度を育む「志教育」である。目指す姿の下には、実現に向けて取り組む5つの目標を掲げ、その下に、「教育DXの推進」と「持続可能な学校教育の推進」の2つの視点を、本県教育の発展につなげる横断的な視点として新たに加えている。その下には、目標を達成するために具体的に講じていく基本方向を掲げている。今回の見直しにあたり、これまで不登校の関係を基本方向1「豊かな人間性と社会性の育成」で、いじめ対策と一体的に方向性を示していたが、教育機会確保法に基づき、不登校は問題行動ではなく、多様な機関と連携しながら児童生徒の社会的自立を目指すことが重要であるとされたことから、いじめ対策とは別に、不登校児童生徒への支援を軸とした基本方向8「学びの保障と教育機会の確保」を新たに設け、これまでの10から1つ増やして11の基本方向としている。

次に、3ページを御覧願いたい。施策の全体イメージとして、各基本方向と、基本方向に含まれる取組、主な目標指標を示している。各基本方向の中で、四角で囲んでいるのは関連するキーワードになる。また、取組のうち、括弧書きで重点としている取組は、重点的取組として特に力を入れて取り組んでいくものであり、各基本方向に必ず1つ、基本方向の一番はじめの取組とする構成にしている。DXの記載がある項目は、DXに関連した取組となっている。次に、基本方向における見直し内容のうち、主なものについて御説明申し上げる。「基本方向1 豊かな人間性と社会性の育成」では、取組3について、これまで「いじめ・不登校等への対応、心のケアの充実」としていたものを、「いじめへの対応、人権教育の推進」とし、人権教育やいじめに向かわない心の育成、チーム学校としてのいじめ対策といった内容を中心とした取組とした。「基本方向3 確かな学力の育成」では、取組1「基礎的・基本的な知識・技能の定着と活用する力の伸長」の中に、児童生徒の資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に取り組むことなどを加えたほか、取組2「ICTによる学びの充実と情報活用能力の育成」では、1人1台端末の活用などを加えるとともに、今回、新たに重点的取組とした。「基本方向5 多様なニーズに対応し誰一人取り残さない教育の推進」では、取組1「一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育の推進」の中で、医療的ケア等への支援を盛り込むとともに、取組2「多様性を尊重し共に学び合う教育の推進」に外国人児童生徒への対応などを盛り込んでおり、基本方向の名称も、これまでの「ニーズに対応したきめ細かな教育の推進」から「誰一人取り残さない教育の推進」に改めている。「基本方向7 命を守る力と共に支え合う心の育成」では、いかなる災害にあっても児童生徒等の命を確実に守る体制づくりを強く打ち出し、取組1「地域と連携した防災・安全体制の確立」を重点的取組とし、より強固な学校防災体制の構築について、地域と連携しながら図っていくことなどを盛り込んでいる。「基本方向8 学びの保障と教育機会の確保」は、不登校児童生徒や、貧困・虐待・ヤングケアラーなどの困難を抱える子どもたちへの支援を一層強化するために新設したものであり、取組1「社会全体で子供を支援する体制の充実」において、虐待やヤングケアラーなどの対応に向けた保健福祉部門との連携の強化、多様な主体と連携し児童生徒を中心に据えた不登校支援、ICTを活用した学びの保障などを、重点的取組として盛り込んでいる。「基本方向9 安心して楽しく学べる教育環境づくり」では、取組2「教員の資質能力の総合的な向上と働き方改革の推進」の中に、教員確保に向けた魅力発信や教員の在校等時間の縮減に向けた取組などを盛り込むとともに、働き方改革を重点的取組として位置付けている。「基本方向10 学校・家庭・地域が連携・協働して子どもを育てる環境づくり」では、取組2「地域と学校の連携・協働体制の推進」の中に、これまで新型コロナウイルスの感染拡大で制限されてきたリアルな体験機会の創出のほか、部活動の地域移行に関する内容についても加えている。計画(案)の概要は以上であるが、今回の見直しに当たっては、圏域別意見交換会の開催など、様々な関係者の意見を伺うとともに、子どもたちの意見を伺うことを重視して進めてきた。計画の推進に当たっても、こうした様々な意見を取り入れることを大切にしながら取り組んでいきたいと考えている。

以上、よろしく御審議のほどをお願い申し上げる。

(質疑)

鳩原委員

 

 

 

 

 

 

 



 

教育企画室長

 

 


千木良委員

 

 

教育企画室長

 

 



千木良委員

 

 

 

 


教育企画室長

 

 


鳩原委員

 

 

 

 

 

 


教育企画室長

 

 

佐藤教育長

 

本県教育の発展につなげる横断的な視点というのが、資料から読み取れ、重要なポイントではないかと思う。その上で、「基本方向5 多様なニーズに対応し誰一人取り残さない教育の推進」の中の特別支援教育について、指導目標の中に障害のある子や支援を必要としている子への個別の対応を丁寧に行っていく視点を含めるのは大変重要で、良いかと思う。しかし、特別支援教育というのは、障害のある子や支援の必要な子のためだけにやるものではない。特別支援教育は障害のある・なしに関わらず、様々な支援が必要であるお子さんが共に学んでいくものである。障害のある、支援を受ける側への配慮だけで足りるものではない。多くの学校で特別支援教育が進められてきて、支援の必要なお子さんや障害のあるお子さんは適切に支援を受けているが、それ以外にも、そのお子さんの周囲の子どもたちも多くのことを学んでいる。そこの部分が先ほど話した本県教育の発展につなげる横断的な視点に入るのではないか。現状としても小学校、中学校、あるいは高校の中でも特別支援教育は確実に進められてきている。基本方向5だが、いじめや不登校への対応など全体に大きく関わる部分ではあると思うので、横断的な視点の中に含めていただくと良いのではないかと感じる。

特別支援教育は支援の必要なお子さんのためだけではないというのは、そのとおりであると思う。特別支援学校のためだけに特別支援教育があるわけではなく、多様性についても今回の計画に記述したが、こうした視点を含めて進めていくべきものだと考えている。横断的視点として多様性というところは重要だと認識しているので、どのような形で加えるのがよいか検討の上、対応したいと思う。

資料11ページに「不登校児童生徒への支援について、多様な主体と連携して教育機会を確保し、社会的に自立させていくことを打ち出す」と記載されているが、不登校児童生徒の社会的な自立とは、どういう姿を想定しているのか教えていただきたい。

「社会的に自立」については、学校に通っていない不登校の子どもに対して、例えば高校に進学をするであるとか、社会とのつながりを持つといったようなところを社会的自立とまずは捉えている。しかし、それだけにとどまらず、最終的には子どもたちが社会の中できちんと生活をしていけるようにすることを目指している。現在の施策を進めながら、どのようにそうした社会を作っていくかを模索していきたい。

日頃から支援が必要な子どもと接する機会が多く、どのような支援をしたらその子どもがよりよく今後生きていけるのかなと私自身考えさせられることが非常に多いため、どうしても「社会的に自立」の記載が引っかかってしまう。非常に障害の重い子どももいれば、一見、勉強もできて学校でも元気にやっている子どもが、実は抱えているものがあり、気づけずにいて申し訳なかったというようなこともある。こうした一人一人の子どもに対して、どういう言葉でこの計画の方針を現場の先生方に伝えたら、しっかり受け取ってくれるのか、計画を示す側もきちんと考え、吟味して、現場に行き渡らせてほしい。

委員からいただいた指摘は非常に重要だと考えており、一言で「社会的な自立」と言っても、地域社会としてどうやってそういった子どもを受け入れていくのかというのは、教育庁だけではなかなか難しい部分もあるので、知事部局や地域の方々と考えていけるような土壌づくりや受け入れていけるような場所なども合わせて考えていきたい。

学校に行けない子どもへの支援をクローズアップするだけではなく、学校という枠組みが大きく広がっており、学校という建物に登校しなくても十分に学んでいくことのできる取組を県として行っていると思うので、その辺をもう少し一般の方へ向けて示せると良いように思う。一般の方は、まだ「学校に行きにくい子どもは困ったものだ」というように捉えているかもしれないが、県としての考えは、学校に行かない子どもを何とか登校させようというものではなく、学校という枠組みが広がった中で、しっかりと学びの保障をしていこうとするものなので、その辺りを一般の方にもわかるよう示していけると良いのではないか。これまで先進的に進めてきて、各市町村へケアハウスを作り、各市町村の教育の中核を担っているので、その辺が不登校児童生徒への対応というところと、うまくリンクができるといいのではないか。

ケアハウスについての取組は進んでいるし、今回の計画の中でも、学校に戻ることだけが必要なのではないというメッセージは強く打ち出したと認識している。これから周知をしていく場面になるので、きちんとその意図が伝わるように配慮していきたい。

(委員全員に諮って)事務局案のとおり可決する。

11 課長報告

(1)学力向上に係る取組について

(説明者:佐々木副教育長)

課長報告ではあるが、先に私から委員の皆様に学力向上緊急プロジェクトチームの活動に係る進捗状況とその概要について御報告してから、義務教育課長が詳細を報告する。県教育委員会としては、児童生徒の学ぶ力を育てるために授業改善を進めているところではあるが、今年度の全国学力学習状況調査の結果を受け、教育長の監督下に学力向上緊急プロジェクトチーム、通称「授業改善隊」を設置し、算数、数学、中学校英語において授業者チーフ等の計4人のチームで協働による授業づくりを行い、登米市、大河原町、岩沼市の御協力を得ながら実際に授業を行っている。報道にもあったとおり、今月16日、そして20日に小学校算数の授業が公開された。詳細はこの後、義務教育課長が説明するが、御協力いただいている市町の教育長、そして学校長からは「教員については教員の学びの場となっており、教員の研修意欲が向上している」といったお声をいただいている。また、児童生徒については、自分のペースや自分に合ったやり方で学べることの喜びの声のほかに、それまで別室で過ごしていた児童が、指導主事が授業するようになってから、その単元の授業には全て出席しているといった児童の変容に関するエピソードも伺っている。指導主事たちにとっても自身の勉強になっており、学校訪問においてこれまでとは異なる視点で授業を参観し、助言の内容についても意識が変わってきたという感想を耳にしている。当該市町のみならず、県内の小中学校の先生方のいい刺激になればというふうに考えている。なお、英語教育については、こちらも全国学力学習状況調査での学校質問紙の結果において本県の課題が明らかになったことから、県独自の追跡調査を進めているところである。

それでは、義務教育課長が学力向上に向けた全体の取組について説明する。

(説明者:義務教育課長)

「学力向上に係る取組について」御説明申し上げる。資料は、1ページから2ページまでと、別冊1冊である。

資料1ページ左側を御覧願いたい。「1 基本方針」についてであるが、宮城県教育委員会では、「令和5年度全国学力・学習状況調査の結果」を受けて、本県小・中学校において、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業改善を一層推進し、児童生徒一人一人が学校段階を終えても、学び続ける力を身に付けることができるよう、市町村教育委員会と緊密な連携の下、「2 県教育委員会の取組」に記載の、3つのことに取り組んでいる。

まず、「(1)検証改善委員会報告書の作成について」である。これは、全国学力・学習状況調査の結果を受けて、例年作成しているものであり、完成した報告書を県内全小・中学校に配布し、活用を促しているものである。今年度の報告書の概要をお伝えする。別冊「令和5年度宮城県検証改善委員会報告書」を御覧願いたい。1枚目が表紙になる。構成については、1ページから8ページまでが学校改善・授業改善について、9ページから30ページまでが、各教科の結果と授業づくりについて、31ページから36ページまでが、単元構成と指導案の作成について、の大きく3つのまとまりとなっている。本日は、表紙の裏面の1ページから8ページまでを配付させていただいた。1ページは、新しい「5つの提言」、2ページは、関連するURLと2次元コード、3・4ページは、学習状況調査の児童質問紙と学校質問紙で、全国とのかい離が大きかった項目を取り上げ、子どもとの信頼関係構築や伝え合い学び合う教員文化の大切さを示している。5・6ページは、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実についての概要と具体を、そして、7・8ページは、平成31年度から令和5年度までの算数・数学の経年変化となっており、ここでは、学習意欲の向上や小中別の課題の視点からまとめている。

この1ページから8ページまでは、これまでと大きく変更し、学校でも大いに参考になるものと考えており、本冊子は、本日、HPで公開した。

2つ目、資料1ページ右側、「(2)英語教育の推進について」である。英語教育の推進については、本庁、各教育事務所、総合教育センターの英語科担当主事、国際政策課担当者で構成する「みやぎの英語教育推進委員会」において、学校質問紙で全国とのかい離が大きかった項目に関して、県内全中学校を対象にアンケートを実施、集計・分析し、原因究明と改善の手立てを探ることとしている。また、中学校の英語教育のさらなる推進や授業改善に向けて、中学校外国語指導力向上研修会等の全体研修会や各教育事務所での研修、指導主事学校訪問等において、情報共有、対応策等を考え、実践に向かうこととしている。

3つ目、「(3)学力向上緊急プロジェクトチームの設置と授業提案について」を御覧願いたい。本県小・中学校において、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業改善を一層推進するため、県教育長の監督下に「緊急プロジェクトチーム」を設置し、市町村教育委員会と緊密な連携を図りながら、学校における取組を支援することとしている。資料2ページ左側、「3 学力向上緊急プロジェクトチームによる授業公開について」を御覧願いたい。「(1)授業について」であるが、3チームの授業者である指導主事は、資料2ページ右側に示した、佐沼小学校、大河原中学校、岩沼西中学校の学年に入り、授業公開する全単元の授業を担当し、実践していく。授業提案に当たっては、主体的・対話的で深い学びの実現を目指し、1人1台端末を活用した個別最適な学びと協働的な学びの場面を位置付けていく。また、単元計画にも、個別・協働・自由進度等の形態を表示するとともに、学習過程は、教科の特質を生かした内容としている。参観者は、授業公開校が属する市町村立学校の職員に限定し、直接参観できない教員には、後日、動画をオンデマンド配信することとし、授業はマスコミにも公開する。

公開日程等については、右側の表にあるとおり、11月16日と20日に、登米市立佐沼小学校で公開をした。中学校2校については、12月7日に岩沼市立岩沼西中学校で、12月12日に大河原町立大河原中学校で授業公開を予定している。教育委員の皆様にも、もし御都合がつきましたら、授業参観していただければと思う。「(2)動画について」は、公開の授業を中心として、撮影・編集し、公開をしていく。編集に当たっては、授業のほか、授業者による単元や授業構想、授業の振り返りのインタビュー等も含め、15分程度の動画研修パッケージを作成する予定であり、作成した動画は、教育事務所等の研修会で活用していく。最後に、1分半ほどの短く編集した動画であるが、佐沼小学校での授業風景を御覧願いたい。

(動画を視聴)

御覧いただいたのは6年生の反比例の授業となる。御覧いただいたように、一斉から入って、個別、そして協働的な学びをして、一度一斉に戻って全体でまとめて、最後の15分でそれぞれの学びの力に応じて4種類の課題を選択して、自由進度学習に取り組んでいる。このような形で、残り2つの中学校で取り組んでいく予定にしている。

本件については、以上である。

(質疑)

小川委員

 

 

 

 


義務教育課長

 

 

 

 






小川委員


義務教育課長


鳩原委員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


佐々木副教育長

 

 

 

 

義務教育課長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千木良委員

 

 

 

 

 

 

 

 

義務教育課長

 

 

 






 

小川委員






義務教育課長

 

 

 

 



小川委員

 

 


義務教育課長

 

 

佐々木副教育長

 

 

 

 


佐浦委員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小室委員

 

 

 

 

義務教育課長

 

学力を向上させるためにこうした取組は素晴らしいと思う。先月、古川第一小学校の授業を拝見し、個別最適の意味がよくわかった。これまでは、勉強ができる子は先に進んで待っているような状態だったが、こうした授業であれば、個々のペースに合わせて、どんどん進んでいく子は進むだろうし、少し戻って確認したい子は戻れるので、学力定着につながると思う。確認だが、これはICTを活用した学力向上の取組になるのか。それとも、今回はICTを活用したが、活用しなくても基本的なコンセプトを基に授業を行えば学力を向上することはできるものなのか。

今回の単元は、比例と反比例のうちの反比例の部分の事例であるが、これは以前からある学習指導要領の中身になる。そのため、ICTを使わなくてもノートで自分の考えを書いて、その自分の考えを発表して、みんなで共有し、まとめに入る。そして、発展の学習をやっていくというのは、ICTがなくてもできた。しかし、1人1台端末が配備され、子どもたち同士でどういう学習をしているのか確認できて、「友達がこういうことをやっているのであれば、僕だったらこれができる」、「僕はもっと難しい問題に挑戦しよう」と自己調整ができるなど、発表しなくても友達の考えを見ることができるのがICTの良いところである。もちろん、直接自分の考えを交流し合うのは非常に大事なことであり、今までも行ってきたが、ICTが入ることでより効果的になった。今の世の中ではICTの活用というよりも、ノートのようにあって当たり前だというような授業スタイルにこれからなっていければ良いと思っている。

そうするとICTの活用を前提として学力向上に取り組んでいくというのが今回の狙いと捉えてよろしいか。

今回、ICTを取り入れて、個別最適な学びと協働的な学びを必ず入れていこうという提案になっている。

指導主事が単元を全部授業して、それを多くの先生が学ぶ機会となる取組、大変素晴らしいことであると思う。学校の中での子どもたちの数が減っているので、他校の授業の様子を参観する機会というのは激減している。自分の学校の授業を空けることの困難さが伴っているので、他の生の授業を見るという機会が減っている中で、この取組は大変意義のあることだと思う。ぜひ、現場の先生方からの生の意見を伺いながら進めていけると良いと思う。今後、マスコミ等に公開していく時に、個別最適な学びと協働的な学び、これは一体的な充実を目指していて、個別最適というのは、教師側から言えば個に応じた指導で、長年取り組んできたところである。特に特別支援教育の中でも個に応じた指導というのは取り組んできたところで理解もされやすいと思うが、協働的な学びというのは、現場でも大事にしてきていて、別冊資料5ページの下には、多様な他者との学びというのが朱書きになっており、協働的な学びの重要性が見えるところだが、報道される時にどうしても個別最適がメインになってしまう。個別最適になった上で、協働的な学びが加わると、子どもたちの力が伸びていく。現場では丁寧にその辺をやっているが、報道される時にどうしても理解しやすい個別最適に引っ張られて、協働的とはみんなで一緒にやるという、ただ場を共有しているだけのように認識されがちである。協働的な学びの肝の部分をうまく表に出せると、現場での取組がよく伝わると思う。ぜひ、PRについても考えていくと良いのではないか。最後に、個人的な感覚ではあるが、名称に「緊急」とついていることが引っかかってしまう。教育委員会側にとっては緊急で、ぜひ率先して間を置かずに取り組みたいという気持ちが込められているのだと思うが、緊急とつくと、これまでやっていなかったようなイメージを一般の方々に持たれかねないのではないかと思うので、その辺の出し方も考えていただくと良いのかと思う。

緊急という名称をつけた経緯は、これが恒常的にずっと指導主事がプロジェクトチームを作ってやれるという想定ではなく、本当に緊急的に行ったものであることによる。指導主事が授業を公開するというのは、今回が初めてのことで、これがどういう形で今後発展するものなのか、継続されるものなのか、これからの議論にはなるが、まず今年度緊急的に立ち上げて、県教委の本気度を示せればというところで名称に加えたところである。受け止め方は多様であるので、今後そういったところも配慮しながら考えていきたい。

この指導主事の授業は今までやっていなかったが、私たちの課題として指導主事訪問の形態が変わり、今までは全員が年に1回指導案を書いて授業を公開してきたが、形態が変わったので、全員が指導案を書く機会がなくなった。そして先生方の授業を見合う機会もなくなった。その見合う機会がなくなったのは、特に小学校である。学年に2から4クラスあったが、今では1クラスとなったという学校がかなり多い。つまり学年で授業を見合ったり、教材研究を一緒にしたりということはなかなかできない。また、若い先生が増えてきて、子どもたちが主体の授業をどうやって作ればいいかイメージがわかないということで、経験のある指導主事により、実際の生の授業を見てもらおうということが始まりである。協働的な学びについては、鳩原委員が御存知のように、前々から一人一人の個人追及、そして集団解決といったものをやってきた。それが、端末が入ったことで効果的にできるようになった。ただ、個別最適だけだと、子どもたち自身の考えはそのままになってしまう。友達と考えを共有することで、別の考えもあるのだと広げたり、自分の考えを一度見直して友達の考えを取り入れて深めたり、そしてまた個別に持っていくことで、様々な知識、理解、思考力が向上していくものなので、いつの時代も協働的な学びは必要である。ただ、端末を使ってどのように協働していくかについては、端末を介してやるのか、端末を介さないで友達同士で語り合うのかなど、今後いろいろと検討していかなければならない部分ではあるかと思う。

1、2クラスになり、他の先生の授業を見ることができないというのは、経験値を積み重ねられないことであると思うので、他の先生のやり方や方法を学ぶ機会はずっと続いた方が良いのではないかと感じる。学校を卒業した後にどうやって知識を積み上げていくか、その素地ができるのは多くは若い時だと思うので、学ぶ土台づくりをなるべく早い時期に作って、30代、40代と進んでいければ、子どもたちにとっても良い授業が展開できると感じた。また、個別最適は授業の進路だけではなく、人と一緒にやるかどうかも、個別最適の中に含まれていると私は感じている。協働的に学ぶのはとても大事であるが、一方で協働的に学ぶことは、子どもによってはストレスがかかることである。協働的な学びの中で、他の子との関わりにおいて引いてしまうことの方が多い子どもにとっては、協働的な学びはつらいだろうと思う。子どもたちが学業を終える頃には、社会の中でどういうふうに自分を差し引きしていけばいいかを、授業の中で学んでくれればと思う。

先生同士の学びについては、別冊資料4ページを御覧願いたい。先生同士が授業や学級の問題を相談し合えていないという結果が現れており、全国との乖離が大きかった。学校の年齢構成として、50代と20代が多く、年齢のギャップがあり、なかなか相談しきれていないというのもあるかと思う。授業を見合い、子どもの良さや課題、自分の失敗や成功経験の共有を、なかなか最近はできていないことが結果からわかったので、学校でも風通しの良い職場づくりや、教員間のまとまりなど意識してもらえれば良いのではないかと思っている。また、協働的な学びの難しさというのは、別冊資料3ページにあるように、先生と子どもの信頼関係や、子どもたち同士がなんでも言い合える学級づくりを行わないと、協働的な学びで一人ぽつんとなってしまう子や、お互いの本音を話せないという部分もあるので、検証改善委員会の報告書に合わせて、様々な場面で授業改善と学級づくりの側面も一緒に話していきたい。

協働的な学びについて、子どもたちにとって協働的であるだけでなく、先生方にとっても協働的である必要があることがわかった。今回は、指導主事がお手本を示して、それを学ぶということだが、今後は学校の先生方が自分たちでどうやっていくかをお互いにノウハウを共有する小さな組織ができると、授業のレベルが上がっていくのではないかと思ったが、次の段階として何か検討していることはあるのか。

今回、人数的な制限により市町村の先生方に限定し、あとは動画を配信することで、3つの授業を公開している。視察いただいた古川第一小学校は3年間取り組んであれだけ進んだが、あれをすぐ他の学校で取り入れようとなると非常に難しい。今回の佐沼小学校の授業提案は、今までの授業にタブレットを取り入れて、個別最適、協働的な部分を考えながら行っている授業になる。委員の御指摘のとおり、参観した先生方それぞれがこの授業から、自分たちでも取り入れられるものを学んでいただき、自身の学校に持ち帰り、その学校の子どもたちの実態を踏まえて、先生方がチームを組んでやっていってもらえればと願っている。いろんな場面でこうした考えを伝えていければと思う。

先生方の授業に反映させていくためには、先生同士が協働で授業を高め合ったり、互いにサポートし合ったりしていくプロセスを、教育委員会としてどうサポートしていくかが、次に必要になってくると思う。「良いお手本は示したので、あとは個別に取り入れていってね」では続かないと思うので、教育委員会としてどう対応するか考える必要があるのではないか。

指導主事訪問は形態が変わったものの継続して行っており、市町村の希望があって、ほぼ全ての市町村に訪問している。この指導主事訪問で、授業動画を見せて、指導主事と学校で「この学校ではどう取り組んでいくか」を話し合って、広げていければと考えている。

先ほど義務教育課長から指導主事訪問の形態が変わったと説明があったが、県教委として進めているのは、まさに協働による授業づくりであり、先生たちがチームになって、授業者1人に対してみんなで授業を考える形を進めてきた。今年で6年目になるが、少し形骸化してきたという反省点もある。教育事務所によっては、希望する学校に指導主事が授業づくりの時点から参加して、どういうふうに進めていくかを試験的に始めようとしているところもあるので、各事務所の裁量でやれるところを共有しながらどんな支援ができるかを今後考えていくことになるかと思う。

古川第一小学校を拝見して、ICTが活用されると、丸つけなどの生徒とのやりとりも、これまで紙でやっていたときとスピード感が異なり、先生のやりがいにもつながると話を聞いた。また、これにより先生方の負担軽減にもつながると感じた。先ほどの教育振興基本計画に盛り込まれていた部活動のアウトソーシングなどと併せて、先生方の業務改善や、やりがいのある仕事に仕上げることが県教委の役割であるとすれば、ICTはとても効果的なのではないかと感じた。また、今、話をいただいた内容をそのまま現場に戻すと、先生方はますます忙しくなるのではないかと感じた。それが50代の先生と20代の若い先生との間のやる気のギャップをさらに広めてしまうのではないか心配である。若い人の地元採用を考えたときに、彼らのことを知っていかなくてはいけないし、彼らがやれるようなコンディションを作ってあげないといけないと常々思っている。今以上に、先生になりたくない人を作ってしまってはいけないので、ICTを使って指導主事が授業を行うときには、できるだけ若い先生たちの立場に立って、負担が少なくやれるように、あるいはその情報がマスコミにフィードバックされて放送された時に、これからは学校の先生になっても楽しくやれると思ってもらえるような流れを作ることは意識してやっていかないといけないと思う。

保護者として、テストが終わった子どもたちに結果を聞くと「あの先生の授業は面白いから勉強を頑張った」という話をよく聞くので、授業の質を高めていただくことは子どもたちにとってもとても大切なことであると思う。しかし、先生方を見ていると、担任や部活の顧問を持って、不登校の生徒や保護者への対応もするなど、授業で先輩の先生方に何か相談したいと思っても、そんな時間があるのかと思ってしまう。働き方改革も含めて、先生方が余裕を持って生徒にも授業にも臨めるような環境ができれば良いと感じている。

働き方改革も、教育庁全体でずっと取り組んでいるところである。タブレットについては、子ども中心で考えると、子どもが主体的にクラウド上から資料を取得したり、友達の考えを見たりということで、子どもたちにとってはとても使いやすく、そしてより主体的になれる部分ではある。しかし、先生方にとっては、生徒一人一人にふさわしい資料をクラウド上に用意することを考えるとなると大変かもしれない。そのあたりも先生方と今後考えていければと思っている。

(2)令和4年度における宮城県長期欠席状況調査(公立小中学校)の結果について

(説明者:義務教育課長)

「令和4年度における宮城県長期欠席状況調査 (公立小中学校)の結果について」御説明申し上げる。資料は、3ページから11ページである。この調査は、本県の喫緊の課題である不登校児童生徒支援のために、令和4年度における長期欠席の状況及び不登校児童生徒の家庭環境や学校の取組・対応等の状況について調査を行い、実効性のある施策の立案及び効果的な運営のための基礎資料とすることを目的として毎年実施しているものである。

資料3ページ左側を御覧願いたい。「1 調査の趣旨」から「4 回答方法」までは記載のとおりである。資料3ページ右側、「5 調査結果の概要」について御説明申し上げる。「長期欠席の概要について」の表を御覧願いたい。令和4年度、長期欠席した児童生徒数は、小学校で1,960人、中学校で2,846人であった。令和3年度と比較して、小学校で556人、中学校で466人増加している。

不登校の児童生徒は、小学校で1,215人、中学校で2,314人であった。小学校で290人、中学校では315人の増加となった。そのうち90日以上欠席した不登校児童生徒は、小学校で132人、中学校で187人増加している。

4ページ左側を御覧願いたい。「6 不登校児童生徒の状況について」の「(1)①不登校児童生徒の学年と不登校のきっかけと継続要因について」であるが、グラフのとおり、不登校児童生徒は、学年が上がるにつれて増加し、中学1年で急増した後、中学3年ではやや減少している。4ページ右側を御覧願いたい。不登校のきっかけは、小学校では「気力がわかない」や「不安などの情緒的混乱」、「親子の関わり方」、「勉強が分からない」が多く、中学校では「気力がわかない」や「友人関係をめぐる問題(いじめを除く)」、「不安などの情緒的混乱」、「勉強が分からない」が多くなっている。小中学校ともに「気力がわかない」が多くなっているが、この質問は「3つまで回答可」となっており、「友人関係をめぐる問題」や「勉強が分からない」ことなどと複合して「気力がわかない」状態となり、不登校のきっかけとして計上されたものと思われる。5ページ左側のグラフを御覧願いたい。不登校の継続要因は、小学校では「気力がわかず何となく登校しない」、「家庭の状況」、「登校に不安がある」が多く、主に本人や家庭に係る要因が多くなっている。中学校では「気力がわかず何となく登校しない」、「登校に不安がある」、「集団生活や学校が苦手」、「勉強が分からない」が多く、主に本人に係る要因が多くなっている。

次に、6ページ左側を御覧願いたい。「(2)家庭での過ごし方」については、平日の昼間、学校がある時間帯に家庭でどのような過ごし方をしているのかを調べたものである。小・中学校ともに、インターネット、スマートフォンでの動画の視聴が最も多く、インターネット・スマートフォンでのゲームとテレビゲームの使用割合も大きい状況である。また、昼の時間帯に寝ている小学生は12.8%、中学生は17.1%となっており、昼夜逆転の傾向もうかがえる。この結果から、不登校児童生徒の支援においては、家庭の理解と協力を得ながら、生活習慣の改善を図ることが重要であると捉えている。なお、学習をしている小学生は39.3%、中学生は35.8%であった。

7ページからは、教育機会確保法の趣旨を踏まえ、令和元年度調査から新たに項目を加えたものである。「(3)不登校児童生徒に対するアセスメントについて」を御覧願いたい。支援計画を立てた児童生徒数は小学校が873人、中学校は1,566人であった。そのうち、専門職によるアセスメントを基に支援計画を作成した数は、小学校が581人、中学校は1,036人である。令和3年度に比べ、小中学校とも支援計画を作成した数は増えているものの、不登校児童生徒全体に占めるアセスメントの実施の割合はやや減少している。不登校児童生徒支援にとって、専門家によるアセスメントに基づく個別の支援計画を立てた指導は非常に重要であるため、引き続き各市町村教育委員会を通じ、各学校に働き掛けていく。次に、資料7ページ右側を御覧願いたい。アセスメントに関わった専門職の内訳は、「スクールカウンセラー」が最も多く、小学校では324人、中学校では658人の児童生徒の支援計画の作成に関わっている。「スクールソーシャルワーカー」は、小学校では241人、中学校では396人の児童生徒の支援計画の作成に関わった。その他の専門職として、「みやぎ子どもの心のケアハウス職員」や「市町村担当課職員」などが挙げられた。

続いて8ページ左側を御覧願いたい。「(4)学校における他機関等との連携について」である。小学校の不登校児童1,215人中、学校が他機関等と連携したのは874人(71.9%)、連携しなかったのは341人(28.1%)であった。中学校の不登校生徒2,314人中、学校が他機関等と連携したのは1,575人(68.1%)、連携しなかったのは739人(31.9%)であった。令和3年度に比べ、小中学校ともに他機関・病院等と連携して支援に当たる人数は増えているものの、不登校児童生徒全体に占める割合はやや減少している。8ページ右側を御覧願いたい。不登校児童生徒の他機関等との連携先は、小中学校ともに「スクールカウンセラー」や「スクールソーシャルワーカー」が多く、次いで小学校では「病院、診療所」、「市町村教育委員会」、「ケアハウス等」となり、中学校では「市町村教育委員会」、「ケアハウス等」、「病院、診療所」となった。不登校が多様化・複雑化しており、児童生徒の実態に応じて関係機関の機能に合った連携を図っていくことが重要と考える。引き続き他機関との連携について、各学校に働き掛けていく。

9ページを御覧願いたい。「(5)教育機会確保法に基づく、多様な教育機会の確保」については、学校が把握している範囲となるが、小学校では93.7%の児童の教育機会が確保されており、前年度よりも増加している。具体例としては、「登校時の在籍学級での支援」が最も多く、次いで「別室での支援」、「家庭訪問を通じての学習」が挙げられました。中学校では89.5%の生徒の教育機会が確保されており、前年度よりも増加している。具体例としては、「別室での支援」が最も多く、次いで「登校時の在籍学級での支援」、「家庭訪問を通じての学習」が挙げられた。教育機会の確保がされていない児童生徒については、学校や支援機関が電話連絡及び家庭訪問等で働き掛けているところである。

10ページ左側を御覧願いたい。「(6)校内での取組」である。小中学校ともに、「電話をかけるなどの働き掛け」が最も多く、「不登校について、研修会や事例研究を通じて全教師の共通理解を図った」が次に多い結果であった。10ページ右側を御覧願いたい。小学校では、電話、研修会、「SC、SSW、相談員による支援」や「教師と触れ合うなどの関係改善」に取り組んだ学校が多く、11ページの中学校では、「家庭訪問での相談・指導・援助」や「別室登校による指導」に取り組んだ学校が多い状況であった。本調査の結果から、不登校児童生徒に対しては、専門家を交えたアセスメントを充実させるとともに、外部機関との連携を図り、一人一人の居場所や学びの機会の確保に努めていく必要があると考えている。今後も、すべての児童生徒の成長を支えるための日常的な指導や支援を大切にし、児童生徒の不安や悩みを受け止め、一人一人に寄り添うことが何よりも大切であるという認識のもと、全ての児童生徒にとって「魅力ある・行きたくなる学校づくり」を推進するとともに、教育機会確保法に基づき、不登校は問題行動ではないという認識のもと、「どこにいても、誰かとつながっている」をコンセプトに、 フリースクール等民間団体との連携強化を図ったり、1人1台端末の活用を促進したりしながら、学校に登校していない児童生徒の支援の充実を図っていく。

本件については、以上である。

(質疑)

鳩原委員

 

 

 

 

 

 

 

 

義務教育課長

 

 

千木良委員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義務教育課長

 

 

 

 

 

 


鳩原委員

 

 

 

 

 

 

 

 

義務教育課長

 

説明の中で、学校での対応として電話による対応もあって大変大事であると思って聞いていた。児童生徒の心のサポート班にいた際には、例えば学校外のケアハウスで学んでいる子どもたちにとっては、学校には行ってはいないけれども、学ぼうとしている自分の状況というのを学校として担任の先生が十分にわかっていて、十分に認めてくれていることがすごく嬉しいことであり、今は学校に行けてはいないが、次の段階の中学や高校では頑張っていこうということで、実際に欠席をせずに頑張っている子どももいる。また、そういう先輩の姿を見て、現在学校に行けていない後輩たちも「環境が変われば、先輩のように通えるかもしれないから頑張って勉強しよう」という子どもたちも出てきており、子どもたちの頑張りをしっかりわかっているということを、担任の先生が子どもたちに伝えることの大事さを改めて感じたところである。先生方の業務が増えてしまうかもしれないが、1本の電話や訪問による一言で、子どもたちは安心して学べるので、ぜひ今後も続けていただきたい。

指導主事訪問などで教育事務所、市町村教育委員会と協力しながら、ケアハウスと連携し、直接先生方が子どもたちの様子を見に行き、情報交換もできればと思う。義務教育課でも指導主事や担当がケアハウスを訪問しているので、学校との連携についても共有していければ良いと思う。

きっかけとなった不登校の要因について、「気力がわかない」、「不安などの情緒的混乱」が上位に来ているが、なぜそうなってしまうのかの細かい分析は必要な気がする。詳しく聞き取ったら、実は「先生が怖いから不安」など、なかなか表に出てこない要因も出てくるのではないか。特に小学生の「気力がわかない」や「不安」というのは、丁寧に聞いてあげる必要があると思う。次に、診療所との連携に関して、学校から連絡を受けて連携をするというのは珍しいように思う。特に歯科の診療所の場合は、学校からの問合せはほとんどない。ただ、歯科は関係ないだろうということでそういう連絡がないと学校歯科医もどのように対応したらいいのかわからない面が出てくるのではないかと思う。逆に学校には行かないけれど、歯科医院だけには行きますという子どもがもしいるとしたら、社会とのつながりという意味では来てくれていたほうが、皆、安心するので、そういう役割を果たすことも診療所としてはできると思うので、関係ないと思わずに連携がとれそうなところにはきちんと相談したり、診療所の方から心配な面があると問合せが学校にあった時には、その後の経過を共有するなど、連携をとる継続性がないと、最終的には子どもの負担が増えてしまうだけかと思うので、診療所の立場からすると、学校にはこうしたことも考えていただきたい。

「気力がわかない」というのは、不登校のきっかけとして小中学校で第1位になっているし、継続要因としても「気力がわかず何となく」というのは小中学校で第1位になっている。まずは3点について何を選択しているのかはわかるので、そういったところをきちんと分析したい。また、分析の中で気になる部分があれば、市町村教育委員会と連携しながら、分析できる部分は詳しく分析していきたい。連携についても、子どもたち一人一人に応じたアセスメントは大事だと思うし、どういった専門職と関わるかということで、県教育委員会としては、スクールカウンセラーの心理職、スクールソーシャルワーカーの福祉職というのは、学校、市町村においてかなり連携が図られているが、医師も含め、その他の部分で、その子に応じて、どのような対応が必要なのかというのは、事例を基にしながら、方向性を考えていきたい。

不登校のきっかけに関連してだが、学校に行きにくさがある、気力がわかない、不安になるという児童生徒の中で自閉症スペクトラム、あるいはその周辺、一部重なるような子どもたちの中での難しさとして最近注目されているのは実行機能という、例えば「次の日の授業の準備をきちんとやって、夜は遅くまで起きていないで次の日起きられるように一定の時間に寝る。そして起きて準備をしたかばんを持って学校に行く」ということが非常にできにくい子どもがいるということが分かってきている。実際に学校に行きにくい、不登校の子どもたちの中で、実行機能が難しい子どもというのは随分いる。それは本人の問題なので言ってできることではないが、家庭や関係機関の中で、練習することがすごく大切である。声掛けだけではなく、寄り添って同じように手助けをしながら取り組ませることによって改善が見られるケースもある。改善が見られ、本人の自信にもつながると思うので、ぜひ、そういう部分も調査結果を受けた対応の中で検討いただきたい。

基本的生活習慣の形成、確立は全ての子どもにとって重要だと思う。日々ケアハウスに通っている子どもはそれができているが、ケアハウスに十分に行けていない、またはどこにもつながっていない子どもはたくさんいる。今回の調査で、そういった部分もある程度見えてきているので今後、対応していきたい。

(3)令和5年度公立高等学校「みやぎ学力状況調査」の結果について

(説明者:高校教育課長)

「令和5年度公立高等学校「みやぎ学力状況調査」の結果について」御説明申し上げる。資料は、12ページ及び別冊である。

はじめに、資料を御覧願いたい。まず、「1 目的」から「4 実施期間」については資料記載のとおりである。次に、「5 学力状況調査結果の概要」についてであるが、国語、数学、英語の3教科とも基礎的・基本的知識については概ね定着がみられたものの、問題の全体的な概要や要点を把握したり、複数の知識や情報を活用して課題を解決したりする力が不足しているという結果となった。次に、調査結果の詳細について、別冊を用いて御説明申し上げる。別冊1ページを御覧願いたい。昨年度から「Pick Up!」のコーナーを設けている。各学校において、学力状況調査の結果を授業づくりに活用する際の切り口となることを目的としている。別冊5ページを御覧願いたい。国語の概況と、共通問題正答率についてお示ししている。「図1」のグラフを御覧願いたい。正答率は、令和4年度より2.4ポイント低下している。得点分布は昨年度と変化ないが、第1問の問2の慣用表現に関する問題で正答率が昨年度比較49.9ポイント低下しており、全体の正答率低下の一因になったと思われる。別冊7ページは、昨年度新設した「分析結果から見える授業づくりのポイント」というコーナーである。学校現場での授業づくりに繋げることを目的として3教科とも掲載している。続いて、別冊13ページを御覧願いたい。数学の概況と、共通問題正答率についてお示ししている。「図1」のグラフを御覧願いたい。全体としては正答率が3.5ポイント低下しているが、傾向は昨年度と同様である。正答率は広い範囲にほぼ均一に分布しており、高校での学びにも十分に対応できている生徒がいる一方で、特に義務教育段階における基礎的な知識や技能の理解や定着が不十分なまま、高校の学習に臨んでいる生徒も同程度にいることが引き続き課題となっている。続いて、別冊26ページを御覧願いたい。英語の概況と共通問題正答率についてお示ししている。「図1」のグラフを御覧願いたい。正答率は昨年度よりも4.5ポイント低下し、ピークも一段階下降し、正答率31%から40%の範囲となっている。「聞くこと」において、短い発話から概要や要点、話し手の意図を把握する問題の正答率が昨年度比40ポイント低下しており、全体の正答率低下の一因であると考えている。各学校では、それぞれの生徒の実態に応じて、義務教育段階の学習内容について学び直しの時間を設けたり、生徒が主体的・対話的に取り組むことができる授業づくりを進めたりするなどの工夫を行っているところであるが、今後もそれぞれの実態に即した丁寧な指導が必要であると考えている。

次に、学習状況等に関する調査結果について御説明申し上げる。別冊40ページを御覧願いたい。「(2)①授業の内容がどの程度理解できますか」については、「理解できている」生徒の割合は、年々増加傾向にある。しかし、1年生から2年生に進級すると、肯定的な回答が減少する傾向が引き続き見られる。理解した内容を活用し、深化させる機会をより多く設けることや、基礎から発展への橋渡しを工夫することが求められている。別冊41ページを御覧願いたい。「(3)②授業での学習目標の提示や振り返りと授業理解度」では、生徒への目標の共有や学習内容の振り返りが行われているほど、授業理解度が高い傾向がある。別冊42、43ページを御覧願いたい。「(4)②自分の考えを発表したり、ペアやグループで話し合ったりする学習活動と授業理解度」及び「(5)②課題を見つけたり、解決したりする学習活動と授業理解度」では、このような学習活動が行われている授業ほど、生徒の授業理解度が高く、平均正答率も高い傾向があるということが示されている。平成30年告示の学習指導要領で強調されている「主体的・対話的で深い学び」の重要性を示す結果となっている。別冊45ページを御覧願いたい。「(7)平日の家庭学習時間」の①からは、1、2年生両方において、2時間以上家庭学習時間を確保している生徒の割合が減少していることがわかる。別冊50ページを御覧願いたい。「(12)①平日にスマートフォン等を勉強以外に使用する時間」に関する調査では、1、2年生ともに「2時間以上」という生徒が7割超、「3時間以上」という生徒は4割を超えており、2年生においては約5割に上る。続いて、別冊51ページを御覧願いたい。「(12)④休日にスマートフォン等を勉強以外に使用する時間」に関する調査では、令和2年度以降、「6時間以上」の割合が著しく増加している。令和2年度の休校期間には、自宅で過ごす時間が増加したことが影響したものと考えられるが、その傾向は新型コロナ感染症の5類相当への移行後も続いており、極めて長時間のスマートフォン利用が習慣化してしまっていると考えられる。本調査結果を踏まえ、県教育委員会としては、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、探究的な学びの充実をさらに推進することで生徒の学習意欲を高め、自律的学習者の育成を目指し、学力の向上が図られるよう努めていく。特に、スマートフォンの長時間の使用については、生徒の学習活動や家庭生活に大きな影響を与えていると考えられるため、家庭とも連携しながらスマートフォン等のより望ましい使用方法について考えさせるとともに、討論会などを通して、課題について様々な意見に触れて多面的・多角的に考える機会を設けることで、日常を振り返り、自己の生活習慣を主体的に改善しようとする態度を養っていきたいと考えている。今後も本調査を継続し、引き続き生徒の実態把握に努めて情報発信をするとともに、具体的な授業改善につながる取組等を推進するよう促していく。

本件については、以上である。

(質疑)

鳩原委員



高校教育課長

 

 

 

 

 

 

 

 

鳩原委員

 

 

 

 

高校教育課長

 

 

 

 

 

 

 

 


小川委員

 

 






高校教育課長

 

 

 

 

 

 

 

 

小川委員

 

 



高校教育課長

 

 

 

 



鳩原委員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


高校教育課長

 

今後の取組として、各種討論会の実施ということだが、具体的にはどのようなことを討論していくのか。例えばスマートフォンの長時間利用への改善というところを考えているのか、具体例を教えていただきたい。

勉強以外でスマートフォンを使う時間が非常に長時間化しており、そしてそれが習慣化してしまっているというところについて、改善が必要であると考えている。「使用は何時間まで」というような規制を作ったとしても、高校生の場合は、なかなかその効果は望めないところである。そのため、今考えているのが、スマホを長時間使用しているのであれば、一体何にそんなに使用しているのかの細かい実態を把握したいと考えている。想定されるのは恐らく動画やSNSかと思われるが、細かい実態については、この調査からは見えないところであるので、改めて実態調査をしたいと思っている。それを踏まえて、そのデータを元にしながら、自分の望むべき進路や生活というものを考える、あるいは実現するために、どういうところの生活を見直さなくてはいけないかについて、考えさせることは必要だろうと思っている。それが最終的に進路実現や自己実現につながっていくことになるだろうと思うので、そういったところを保護者とも連携しながら、しっかりと考えさせられるような取組を推進していければと思っている。

特別支援教育の長くからの積み重ねの中で、こだわりを持っている、あるいはそういう傾向がある子どもへの指導として、規制するということは難しいし、逆効果であることがわかっている。そうではなくて、本人がもっと楽しめるものを準備して、そちらへの関わりの時間を増やすというのが特別支援教育の中での定番のやり方である。高校生のスマートフォンの長時間使用が習慣化していることについても、規制というよりは長時間の使用に対抗できる、具体的に取り組める何かを準備するということが必要と思うが、何か考えがあればお伺いしたい。

高校生がスマホよりも楽しめるものにどういうものがあるかを想定するのは、なかなか難しいところであるが、スマホの長時間利用が習慣化することによって一番圧迫されているのは、1つは学習時間であり、もう1つは家庭の中での会話だろうと思っている。先ほども触れたが、将来的に自己実現、進路実現を考えた時には一定程度の学習時間をしっかりと確保させるということも必要だろうと思っている。そうした時に勉強の面白さをしっかりと感じさせることが必要である。学びに向かう力をどう喚起させるかというところも大事になっていくのではないかと感じている。先ほど、義務教育課から話があったが、協働的な学びやICTを活用した授業をより多く行えば行うほど、授業の理解度が高まり、正答率も高まっていくというデータが調査からは見えてきているので、授業の理解度を高めることによって、授業の面白さ、学ぶ楽しさ、学びに向かう力というものを向上させることが、1つの手なのではないかと考えれば、授業の改善を学校の実情に応じてしっかりと取り組んでいくということも大事なのではないかと考えている。

スマホの利用についてはかなり深刻だと思っている。どちらかというと依存症に近いと思っていて、若い人が見ているものは、多くがゲームや漫画である。これまではSNSや動画も多かったが今はゲームが多く、それだけに依存症も高まっており、かなり深刻な状態だと認識している。そのため、何かをすれば根本的にスマホから離れられるというレベルではないのではないかと思っている。また、小学校を中心に1人1台端末でICT教育を推進しているが、それが中学校、高校と進んでいったときに、どうつながっていくのか。ICT教育により学力が上がっていったら、スマホ利用はどうなるのか、高校の学力はどうなるのかなどを教えていただきたい。

深刻な状態だというのは、私どもとしても同じ捉えである。実際に動画、ゲーム、漫画などをどれくらいの時間、どれくらいの割合で使われているのかというところを細かく分析するために、実態の把握というものを今後、行っていきたいと思っている。ICTが進み、学び方が変わっていくことによって、学ぶ意欲が高まっていくし、思考力や表現力も高まっていくことが考えられる。ただ、ICTはあくまでもツールでしかないので、要は使い方なんだろうと思っている。そういったICTを活用した教育を推進する中で、自分のこれから向かっていこうとする人生において、より有効な使い方になるということをしっかりと自分なりに認識させていくことが大事なのではないかと思っている。それを自分で気づかせるためには、自分で実態を調べ、考え、お互いに披露しながら深めていくというところが1つの糸口になるのかなと思っている。広い括りで言えばデジタル・シティズンシップ教育になるかと思うが、そういったところをこれから模索していきたい。

スマホに依存する子が、どこまで自分の生き方を追求し考えてくれるかは分からないが、自分の将来の姿を生徒自身がきちんとイメージできれば学力はついてくるので、学力とキャリアのバランスをしっかり考える必要があると思う。一流の専門家の仕事ぶりを見た時に、自分もこうなりたいと思い、変わる瞬間があるかもしれない。将来を具体的に考え始める中学生や高校生にこうした機会が足りていないのではないかと感じている。

難しいところではあるが、ただ、学びに向かう力、ベースになる部分だが、それを向上させていく1つのきっかけが、委員のおっしゃったような自分の将来像をしっかりと見定めさせるということであるだろうし、それは学校の中の学びだけではないのだろうと思う。地域の方々と協働しながら、例えば高校生の場合であれば、住んでいる地域の課題の解決のために自分たちは何ができるかということをお互いに話し合いながら考えていくような取組、まさしく志教育だと思うが、こうした取組の積み重ねが学びに向かう力の原動力、推進力になり、学力が全体的に上がっていく1つの理想ではないかと思っている。それを実行するということは、これからしっかり取り組んでいかなければならない課題だと感じている。

高校を卒業して大学に進学してくる大学1年生の対応を考えると、実際に様々なことを経験しないと対応できにくい実態があるように感じる。例えば、レポートを書く上でWordを使うが、Wordの使い方を丁寧に指導し、そのために図書館を利用させ、実際に図書館で本を借りて返すというのを行っている。さらに、学生へのサポートとして、ボランティア活動等をするに当たり、実際に学生を引き連れて場所を確認し、促すということをやっている。なぜかというと、新しい環境というだけではなく、実際にやってみないと進んでいかないという実態があるからである。そのことを考えると、先ほど話した各種討論会の中でも、学校としてできることだけではなく、家庭の中で十分にやれることはあるのではないかと思う。いずれは社会へ出て行く子どもたちなので、家庭の中で、家族としての役割を持たせて、その役割を果たしたことが十分に認められていくような経験をさせて、そしてそれが延長していき、アルバイトやボランティア活動につながっていくような、デジタルではなくアナログ的な関わりから学んでいくものがたくさんあると思う。そうした経験の中から、「これは面白い」、「もっとやっていきたい」と自分の将来につながっていくのではないか。その上で、スマホでアルバイトやボランティアを調べて活用するようなことができれば良いのではないだろうか。家庭や地域社会から協力を得ながら、連携の中で実際に人と関わり、学んでいくことが今後も大事になってくる。既に取り組んでいるとは思うので、その中で、一部の子にとっては有効だったというもので構わないので、ぜひ、そうした情報を積極的に共有していっていただきたい。

学校の中だけでは、スマホに限らず、社会そのものが複雑になっている中で学びが深まらない、視野が広がらないというところはあるのかと思う。お話いただいたように、家庭との連携、地域とのつながりを重視しながら、学校として何ができるのかを学校と共有しながら考えていきたい。

(4)令和6年度宮城県立中学校入学者選抜に係るインフルエンザ等の感染症への対応について

(説明者:高校教育課長)

「令和6年度宮城県立中学校入学者選抜に係るインフルエンザ等の感染症への対応について」御説明申し上げる。

資料13ページを御覧願いたい。「1 令和6年度入学者選抜における対応について」である。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行されたことから、今年度については、新型コロナウイルス感染症を含むインフルエンザ等の感染症に関する対応については、特例措置を実施する以前の、令和2年度入試と同様の対応とする。具体的には、適性検査日当日までにインフルエンザ等の感染症に罹患していることが診断されている受検生、又は発熱等のインフルエンザ様症状があり、罹患している疑いがある受検生について、どちらも別室での受検とする。「2 別室受検の申請について」であるが、(1)には、適性検査前々日までに罹患等が判明した場合の、(2)には、適性検査前日及び当日に罹患が判明した場合の、それぞれの申請手続きについて記載している。「3 円滑な県立中学校入学者選抜の実施に向けた対応について」は、資料のとおりである。これらの対応については、小学校及び県立中学校への通知による情報提供のほか、当課ウェブサイトや報道等を通じて周知を図り、受検者が不安を抱くことのないよう、十分配慮していく。

本件については、以上である。

(質疑)

鳩原委員

 

 

 

 


高校教育課長

 

一般的に、急ぎの情報を中学校や小学校に伝えるときに、ベースとしては電話、音声による伝達かと思うが、中学や高校受験の中で、聴覚に障害のある生徒に関しては配慮していくことができるが、感染症等で保護者が学校等へ連絡する時は電話での対応となるのか。合理的配慮ということを考えると、音声では伝えられないという場合、今は、音声で伝えることができる方の協力をいただいて電話連絡をするということになるが、これからの対応として、例えば、事前申請の上、メールでも対応できるように明記し、生徒はもちろん、保護者の方へも十分に対応できているということを表に出していくことも大事ではないか。

御指摘のとおり、現段階においては電話という形で周知しているが、お話いただいたような状況にある方々については、個別に御相談をいただければ、メール等での対応は可能かと思う。次年度以降、要綱等に盛り込めるように検討していきたい。

(5)令和5年度「みやぎ高校生サイクルサミット2023」について

(説明者:保健体育安全課長)

「令和5年度「みやぎ高校生サイクルサミット2023」について」御説明申し上げる。

資料14ページを御覧願いたい。本研修会は、自転車の交通事故防止と交通ルール・マナー向上の定着を図るため、高校生が主体的に取り組んでいる課題解決の活動について情報を共有し、その効果的な実践と今後の課題について考える機会とするため、県警察本部と共催で実施している。今年で15回目の開催となり、小川委員にも御協力いただき、東北工業大学八木山キャンパスを会場として実施した。グループワークでは、7つの班ごとテーマに沿った話し合いが行われ、各グループとも、高校生らしい前向きなメッセージを作成していた。参加した生徒や教員からは、本研修会に対する前向きな意見や感想が多く聞かれた。サイクルサミットでの高校生の主体的な取組については、参考資料として配布している「活動報告」や「啓発チラシ」などを活用して、県内の高校に広く周知していき、同じ気持ちで取り組んでいってほしいと考えている。チラシについては、15日に県警が実施した「県下一斉高校生自転車安全利用校門前キャンペーン」において、生徒が各校の校門等で配布するなど啓発チラシとして活用している。ここで、お手元の参考資料を基に作成したPR動画を御紹介する。こちらの動画は多くの学校の生徒達にも見せて、どんどん広めていきたいと考えている。なお、県教育委員会ユーチューブにも掲載する。

(動画を視聴)

一般的に交通安全指導はそれぞれの学校の中で、生徒指導の先生を中心に活動をするが、この動画を昼休みなどに見せるような形で活用できればと考えている。同世代の高校生がこれだけ考えているということを、各学校の生徒たちに考えさせていきたいと思っている。今後も、企画部や県警など関係機関との連携を図るとともに、学校や保護者の意見も踏まえながら、自転車の交通事故防止とヘルメット着用促進に向けた様々な方策について、検討を進めていく。

本件については、以上である。

(質疑)

小川委員

 

 


鳩原委員

 

 

 

 

保健体育安全課長

 

参加した高校生からたくさんのクリエイティブなアイデアが出てきて、非常に有意義であった。チラシ配りも拝見したが、生徒からは「自分たちのことは自分たちで解決したいし、小さい子どもたちにお手本を示していきたい」ということを話していて、今の高校生は地域のことをすごく考えるのだと感じた。今後、どう展開していくか不安半分、期待半分だが、見守っていきたい。

高校生が自ら考え、それを発信していく取組、大変素晴らしいと思う。特別支援学校の中では、通学の際のヘルメット着用というのは、高校生に限らず中学生から徹底しており、そのきっかけの一つになったのが15年程前に利府支援学校の生徒が通学中に電柱にぶつかり、亡くなった事故である。それを踏まえて、かなり前から自分の命を守るということで指導を徹底してきた。一つの命がなくなってしまった、忘れてはいけない事例だと思っている。この事例を表立たせる必要はないが、そういう状況も把握をした上でこの取組を推進していただきたい。

県立学校も特別支援学校も分け隔てなく交通安全についてさらに取組を進めていきたいと思う。

12 資料(配布のみ)

(1)教育庁関連情報一覧

(2)令和6年3月高等学校卒業予定者就職内定状況(10月末現在)

(3)令和6年度宮城県立特別支援学校幼稚部入学者選考 宮城県立特別支援学校高等部・専攻科入学者選考 宮城県立支援学校高等学園入学者選考

13 次回教育委員会の開催日程について

佐藤教育長

 次回の定例会は、令和5年12月26日(火)午後1時30分から開会する。

14 閉会  午後4時40分

                            令和5年12月26日

 

お問い合わせ先

総務課総務班

宮城県仙台市青葉区本町三丁目8-1
宮城県庁 16階

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