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宮城県美術館のコレクションから―絵(肌)を見る―
異なる時代に描かれた3つの絵を見比べ、古い順に作品を並べるクイズを行います。班内で順番とその根拠を話し合い、発表します。その後、描かれた肌と実際の肌の違いに着目して色の仕組みを考えることで、私たちが色を見るということについて深めます。
描かれているイメージを記号的に捉えて時代を推測するということと、描かれている色の印象を深く掘り下げるということの2つの活動を行うことで、「モノをよく見る」ということについて視野を広げます。
時代を推測する
当館が所蔵する高橋由一《宮城県庁門前図》、萬鉄五郎《風景・春》、安井曾太郎《少女像》の作品のレプリカを見て、それぞれが描かれた年代を推測し、古い順番に並べるという活動を行いました。年代を推測するには、レプリカをじっくり見て、それぞれの作品の特徴を探る必要があります。生徒は班ごとに分かれ、目の前のレプリカを観察したり、3作品を手のひらサイズに印刷したカードを見比べたりしながら、気付いたことやそこから考えたことについて話し合いました。各班に並べた順番とその理由を尋ねると、建築や構造物、服装など、描かれているモノから古い順番を推測した班があった一方で、ストロークの荒さや図像の不明瞭さなど、絵の描き方から順番を推測した班もあり、多様な見方や考え方を共有しました。どの班も自分たちの言葉で順番と推測した理由を説明し、絵をよく観察して、また話合いも十分に行ったことを示していました。
色を見比べる(肌)
後半は、レプリカに描かれた肌、油絵で再現した肌、自分の肌のそれぞれの色を見比べ、その違いについて考えてみました。初めに、当館の所蔵作品である岸田劉生《真田久吉氏像》、海老原喜之助《ポアソニエール》、安井曾太郎《少女像》の3作品から、頬の部分だけを拡大印刷したカードを各班に1種類だけ配り、何が描かれているか予想しました。これをきっかけに、3作品のレプリカに描かれている肌の色を見比べたり、油絵の具で再現された肌の色と自分の肌の色を見比べたりしながら、その印象の違いについて考えました。言葉にすることこそ難しかったものの、生徒たちはそれぞれに違いを感じ取っており、「固まり方が違う」「立体感が違う」「凹凸が違う」「筆の感じが肌っぽい」など、様々な意見を書いていました。
まとめ、ふりかえり
最後に、2つの活動を踏まえ、「鑑賞」ではただ漫然と見るだけでなく、意識的にポイントに注目して、感じたことから様々なことを考えて見ることも大切であると伝えました。生徒の感想には、「描かれている物の内容や使われたであろう物から描かれた年代を考える事が楽しかった」「年代のうつり変わりの中で絵の内容が変わっていっていることを考えながら観ることができた」「明度、彩度など決められた視点から見て、深く考えることも楽しいけど、自分の感じ通った作品の違いを話して『そんな見方があるか』と驚くことも一つの楽しみ方だと気付けた」「班のみんなと、絵画の描かれた順番を話し合って考え、自分とは違う、様々な角度から観た感想などを知ることができ、考えられて良かった」などの記述がありました。
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