ここから本文です。
仲裁は、公益委員のうち労働委員会の会長によって指名された3名又は5名の仲裁委員から構成される仲裁委員会が、当事者双方の意見を聴取した上で、仲裁裁定を書面に作成し、当事者双方に交付することによって労働争議の解決を図る手続です。
この仲裁裁定は、労働協約と同一の効力をもって両当事者を拘束するため、仲裁を申請すれば当該争議の解決は完全に仲裁委員会に委ねられることになります。
① 申請による仲裁開始
イ 当事者双方からの申請
ロ 当事者の一方からの申請(以下の場合に限られます。)
a 労働協約に、仲裁の申請をしなければならない旨の定めがある場合。
b 地方公営企業等に関する事件について、労働委員会があっせん又は調停を開始した後2か月が経過しても争議が解決しない場合。
なお、申請は、当事者双方の合意により、いつでも仲裁事項の全部又は一部について、申請を取り下げることができます。
ただし、地方公営企業等に関する事件で、あっせん又は調停の開始後2か月が経過しても争議が解決しない場合の当事者の一方からの申請であるときは、申請者が自ら申請を取り下げることができます。
② 労働委員会の職権による仲裁開始
地方公営企業等に関する労働争議についてあっせん又は調停を行っている労働委員会が、仲裁を行う必要があると決議をした場合に職権による仲裁が行われます。
③ 知事の請求による仲裁開始
地方公営企業等に関する事件について、知事の請求により仲裁が行われることがあります。
あっせんの場合に準じて行われます。
仲裁の申請があったとき、会長が労働委員会の職権に基づき仲裁を行う必要があると認めたとき、又は知事から仲裁の請求があったときは、会長は総会を招集し、仲裁を開始するかどうかについて付議します。
なお、仲裁申請があっても、当事者間において事件の自主解決についての努力が極めて不十分であり、なお、交渉の余地があると総会で認められたときは、労働委員会は、申請を取り下げて交渉を続行するよう勧告することができます。
総会で仲裁の開始が決議されると、労働委員会の会長は、労働委員会の公益委員の中から仲裁委員を指名し、仲裁委員会を設置します。当労働委員会では、5名の公益委員の中から3名又は5名の仲裁委員が指名されます。
仲裁委員の指名は、両当事者が合意により選定した公益委員を指名しますが、両当事者の合意による選定がなかったとき又は総会で両当事者の選定と異なる人数が決議されたときは、当事者の意見を聴いて指名します。
また、各当事者が指名した労使を代表する委員は、仲裁委員会に出席して意見を述べることができます。
なお、労働委員会の会長は、事務局職員の中から担当職員を指名します。
① 事情聴取
仲裁委員会は、両当事者に仲裁の趣旨を徹底した上で、個別に又は両当事者同席で交渉の経過、主張などについて事情聴取を行います。事情聴取は、当事者のほか、参考人に対して行うこともあります。
② 審議
仲裁委員会は、事情聴取を通して明確になった対立点に基づき、必要に応じて、事実を調査したり、労使代表委員から参考意見を聴いたり、当事者に対して折衝、説得を行うなどして、仲裁裁定書の作成のため、調整を図ります。
③ 仲裁裁定
仲裁委員会は、両当事者及び労使代表委員からの聴取並びに審議の結果に基づき、さらに、当該争議に関する諸般の情勢をも勘案した上で、当事者双方にとって最も公正・妥当と考えられる解決策を仲裁裁定として書面に作成し、当事者双方に交付します。
仲裁裁定は、仲裁裁定書に記された効力発生の日から労働協約と同一の効力を有し、当事者を拘束します。したがって、当事者は、その内容に不服や異議を申し出ることはできず、争議は仲裁裁定書の交付によって解決することになります。
① 裁定
仲裁活動の結果、仲裁裁定書の作成、交付に至ったとき。
② 取下げ
イ 労働委員会の勧告に応じて、申請者が申請を取り下げたとき。
ロ 当事者双方からの申請である場合、並びに労働協約に基づく当事者の一方からの申請である場合は、当事者双方の合意によって申請を取り下げたとき。
ハ 地方公営企業等に関するあっせん又は調停の開始後2か月を経過しても争議が解決しないために、当事者の一方から申請があった場合は、申請者が自ら申請を取り下げたとき。
ニ 知事が請求を取り下げたとき。
③ 打切り
仲裁裁定書を交付する前に、やむを得ない事由のために仲裁を継続することができなくなったとき。
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
重要なお知らせ
こちらのページも読まれています
同じカテゴリから探す