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宮城県畜産試験場では,高知大学との共同研究によりフリーズドライ精子による世界で初めての子牛を誕生させることに成功しました(図1,令和2年4月14日に誕生)。
現在子牛の生産は,ほとんどがストローを利用した凍結精液による人工授精で行われていますが,安定保存には液体窒素が必要です。そのため1.移動,輸送,分散保存が困難(災害時などに損失の恐れがある),2.保存スペース及びコスト,3.人体への安全性,4.液体窒素生産に関わる環境負荷等の問題点があります。そこで食品や医薬品の安定保存技術として実用化されている「フリーズドライ」技術に着目し,新たなウシ精子の保存法として応用する研究を始めました。
フリーズドライ食品や医薬品と同様に水を入れると元に戻り,精子機能が復活しますが運動性は消失してしまいます。しかし,核ゲノム機能は維持されていることから「顕微授精」技術により卵子内に一つの精子を物理的に注入し受精させることで胚の作出が可能です。一方,フリーズドライ精子を保存する容器は図2のようなサンプル瓶で室温保存可能となりますが,今回はマイナス30℃で保存した精子を使用しており今後の研究課題です。
今回のフリーズドライ技術が貴重な県有種雄牛の遺伝資源の安定保存につながるよう今後もさらに研究を進めていきます。
(酪農肉牛部バイオテクノロジー研究チーム)
図1 誕生した世界初の子牛
図2 フリーズドライ前と後の様子(左:フリーズドライ前,右:フリーズドライ後)
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