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掲載日:2025年11月27日

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第398回宮城県議会知事説明要旨

令和7年11月27日

第398回宮城県議会知事説明要旨


 本日ここに第398回宮城県議会が開会され、令和7年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、今後4年間の県政の重点方針と議案の概要を御説明申し上げます。

 説明に先立ちまして、先月4日から5日にかけ、秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、第48回全国育樹祭が開催されました。本大会では、両殿下による樹木のお手入れが行われたほか、介添えを務めたみどりの少年団や高校生へお声がけを賜りました。謹んで御礼を申し上げるものであります。
 本大会では「次世代へ みどりのかけ橋 森づくり」をテーマに、県内外の林業関係者や若い世代から多くの参画をいただき、継続して森を守り育てることの大切さを全国へ力強く発信しました。また、東日本大震災から復旧した海岸防災林を取り上げ、多くの方々からいただいた御支援に対する感謝の気持ちを広くお伝えすることができました。
 本大会を契機に、健全で活力ある森林を未来へ引き継ぐため、「木を使い、植え、育てる」という森林の循環を推進し、環境と調和した持続可能な社会の実現に向けて、一層取り組んでまいります。


 また、先ほど御披露と伝達がありました守屋守武議員、佐々木賢司議員、佐々木功悦議員、横山隆光議員、渡邊勝幸議員、遠藤隼人議員、高橋啓議員におかれましては、長年にわたり地方自治の発展に尽力された御功績により全国都道府県議会議長会から表彰をお受けになりました。県民の皆様と共に心からお祝い申し上げ多年の御功労に対しまして深く敬意を表するものであります。なお一層御自愛の上、県勢発展のため今後とも御活躍いただきますよう御期待申し上げます。


 次に、高市早苗氏が内閣総理大臣に就任されたことを心よりお祝い申し上げます。今回の就任は、女性が我が国の舵取りを担うという歴史的な一歩であり、また、所信表明において示された「日本再起」への強い決意、そして物価高対策を最優先とし、国民の生活に寄り添おうとする姿勢に深く共感するところであります。
 特に、医療機関や社会福祉施設への支援を含む物価高対策や重点支援地方交付金の拡充は、県民の暮らしや雇用、中小企業の経営を守る上で極めて重要な施策であり、我が県といたしましても、これら国の支援策を最大限に活用し、物価高から県民の生活を守るべく、今議会において補正予算を追加提案できるよう準備を進めているところであります。
 また、いわゆるガソリン税などの暫定税率廃止に伴い必要となる地方の安定財源の確保や税の偏在是正を明言されたことは、地方の自立した財政基盤の構築に向けた重要な一歩であり、今後の制度設計において建設的かつ責任ある議論がなされることを強く期待するものであります。
 私は、活力ある日本の再生に向けては、人口減少をはじめとする地方における様々な課題の解決が不可欠なものと認識しており、国と緊密に連携しながら、地域の実情に即した政策を着実に推進することで、地方からの再生を力強く牽引してまいります。


 次に、生活圏での被害が急増しているツキノワグマへの対応については、国において、9月に緊急銃猟制度が新たに導入されたほか、関係省庁による連絡会議を関係閣僚会議に格上げするなど、対策の強化が進められております。

 我が県においても人的、物的被害が増加していることから、情報発信の強化や捕獲体制の整備などに加え、今月5日には、宮城県ツキノワグマ総合緊急対策を公表するとともに、市町村担当課長会議を開催し、情報の共有や意見の聴取を進めたところであります。特に緊急を要する事項については、予備費を活用し速やかに対応を進めているところでありますが、今議会においては、緊急対策の裏付けとなる予算を追加計上し、県民の安全、安心の早期確保に万全を期してまいります。


 さて、先月の知事選挙におきまして、県民の皆様から再び県政を託されましたことに、深く感謝申し上げます。
 6期目の県政運営に当たり、引き続き、「富県宮城」へ向けた取組を進め、確固たる経済基盤を築き、県民の皆様に「生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかった」と実感していただける宮城の実現に向けて、知事の職に全精力を傾けて邁進する所存であります。
 今回の選挙期間中、県内各地をくまなく回り、県民の皆様の声を直接聞かせていただく中で、人口減少や人手不足、物価高や災害対策など、我が県が直面する課題の重みを、より一層強く感じたところであります。私は、県民の命と暮らしを守り、未来を切り拓くため、これらの課題に対して、これからも現場の声に真摯に耳を傾けながら、スピード感と実行力をもって挑んでまいりますので、引き続き議員各位の御支援と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、今回の選挙期間中、一部事実に反する情報が拡散され、県政への誤解を招く事態が生じました。選挙制度は、正確な情報を前提に、建設的な議論と冷静な判断によって支えられるものであり、その根幹を揺るがしかねない状況となったことは、極めて遺憾であります。
 我が県では、県政に対する誤解を防ぎ、県民の皆様に正確な情報をお伝えするため、これまでも丁寧な説明に努めてまいりましたが、多くの方々に情報に接していただく手法の検討や分かりやすさの向上にさらに取り組んでまいります。


 それでは、新たな任期において重点的に取り組む事項について御説明いたします。
 我が県の総人口は、平成15年の約237万人をピークに減少傾向が続き、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では令和32年に約183万人まで落ち込むことが見込まれております。
 私は、この現実を宮城の未来そのものに関わるものと重く受け止めており、社会のあらゆる分野に影響を及ぼすこの課題に真正面から向き合う決意であります。
 人口減少社会と対峙するに当たり最も重要なことは、自然増と社会増の両面からあらゆる対策を総動員し、いかに人口減少を食い止めていくかであり、その実現に向けて、結婚や妊娠を望む県民の希望が叶い、安心して子どもを産み育てることができる、子育てを社会全体で支える環境の整備と首都圏へ流出する若者や女性をつなぎとめるため、県内就職の促進や働きやすい職場環境整備など、若者、女性に選ばれる魅力ある地域、職場づくりを最優先に、全力で取り組んでまいります。
 それと同時に、人口の流入・定住を促進するためには、安定的で良質な雇用の場の確保が重要であります。県内企業に対する事業継続・拡大に向けた支援はもちろんのこと、我が県経済の持続的な成長をけん引する次なる柱として、半導体関連企業の誘致に全力で取り組んでまいります。我が県では、世界有数の半導体製造装置メーカーの立地により、すでに大きな経済効果が創出されているだけでなく、良好な公共インフラや交通アクセス、東北大学をはじめとする研究機関や関連企業が集積するなど、さらなる半導体サプライチェーンの形成に必要な条件も備わっております。こうした優位性とこれまでの誘致活動で培った知見を最大限に活かしながら、人材の育成や新たな工業団地の整備も着実に進めることで、世界的な半導体関連企業の誘致を実現し、我が国における半導体産業の一大拠点としての地位を目指してまいります。
 また、観光分野についても、地域における人口減少や産業構造の変化が進む中、新たな雇用と消費を生み出し、持続可能な地域づくりの柱となるものと考えております。
 我が県には、四季折々の自然や多彩な食文化、歴史的資源など豊かな地域資源が数多く存在し、加えて、県では「宮城オルレ」などの新たな観光コンテンツの整備に努めてきたところであり、我が県の観光資源の魅力はより一層高まっております。また、今月には「アジア・トレイルズ・カンファレンス」を県内で初開催するなど、国内外に向けた魅力発信も着実に進んでおります。
 一方、訪日観光客に対する受入体制や我が県の認知度については、なお取り組むべき課題があるものと認識しております。その解決に向けて、事業者の皆様の声を丁寧に伺いながら、来年1月から導入される宿泊税も有効に活用し、長期滞在、高付加価値マーケットである欧州からの誘客拡大に向けたプロモーションの強化をはじめ、魅力あるコンテンツの造成、二次交通を含む受入環境の整備などを着実に進め、国内外から多くの人々が行き交う、賑わいのある宮城の地を築いてまいります。
 農林水産業については、地域の雇用と暮らしを支える我が県の基幹産業であり、近年は、食料の安定供給のみならず、環境保全や災害防止など多面的な機能が改めて認識されるなど、その重要性は一段と高まっております。一方で、急激な気候変動は収穫量や漁獲量に影響を与えており、持続可能な生産体制の構築が急務であると認識しております。
 私は、宮城の農林水産業がこれからも地域を支える存在であり続けるためには、競争力の強化と収益性の高い生産構造への転換が不可欠であると考えており、その実現に向けて、スマート化の推進、気候変動に対応した農作物の改良や新品種の導入、圃場の大区画化、海洋環境の変動に対応した水産業・水産加工業の強化、陸上養殖の普及支援など、あらゆる手立てを講じることで、地域に根ざした持続可能な農林水産業を確立してまいります。
 なお、労働人口の減少により人手不足が深刻化する中、私は、その解決に向けて外国人材の受入れにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。このため、外国人材を対象に日本の生活文化を取り入れた日本語講座を実施するなど、地域住民との相互理解を深める施策にもしっかりと取り組み、県民と外国人材が共生できる社会を目指してまいります。
 また、限られた人材で社会を維持、向上させるためには、生成AIをはじめとするデジタル技術を活用した社会全体の効率化も不可欠であります。行政手続はもとより、デジタル身分証アプリの活用による県民生活のデジタル化をはじめ、県内市町村業務や一次産業を含む民間部門におけるDXを徹底的に推進し、人手不足の解消に向けた生産性向上を後押ししてまいります。
 このように、強固な産業基盤の構築により得られる富の循環により、県民の生活福祉、医療保健、教育などの充実に結びつける、「富県宮城」の更なる深化に向け、力強く歩みを進めてまいります。


 次に、東日本大震災からの復興については、これまで、インフラ整備や産業復興、心のケアなど多岐にわたる施策を県民の皆様と共に進めてまいりましたが、この選挙期間中、沿岸部の皆様の声に耳を傾け、「第2期復興・創生期間」が終わろうとする今もなお、震災の影響から完全に脱していない方々が数多くおられる現実を、改めて深く認識いたしました。
 私は、復興の総仕上げに当たっては、被災者一人ひとりに寄り添った支援が何よりも重要であると考えており、心のケアなど被災者支援の継続や地域のつながり、支え合いを大切にしながら、誰一人取り残さない復興を最後まで責任を持って進めてまいります。
 また、気仙沼市の防潮堤については、予算確保に向けて引き続き国との調整を行い、この任期中に整備を完遂させる覚悟であり、地域の安全と安心の確保のため、早期の完成に全力を尽くしてまいります。


 次に、来年度の財政運営の基本的な考え方についてであります。
 財政の見通しについては、国が公表した来年度の地方財政収支の仮試算において、地方税や地方交付税の増加により交付団体ベースでの一般財源は増加しておりますが、歳出側に目を向けますと、給与関係経費や社会保障関係費を中心とした補助事業の増加が大宗を占めており、地方がその裁量により活用できる一般財源の伸びは限定的と考えております。また、足元の物価高やアメリカの通商政策の影響など不透明な要素が多く、県内経済の先行きは依然として予断を許さない状況にあります。
 こうした認識の下、来年度予算については、国の地方財政対策や県税収入の動向などに留意するとともに、先月下旬、県議会の御意見も踏まえ策定した「令和8年度政策財政運営の基本方針」に基づき、「新・宮城の将来ビジョン」に掲げる施策に重点的かつ適切に予算配分を行うことで、宮城の将来像の実現に向けた取組を着実に推進してまいります。


 今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、ツキノワグマ総合緊急対策に要する経費を計上するとともに、地方財政法に基づき令和6年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てます。また、先月1日の豪雨により被災した向洋海浜緑地などの復旧経費や、年度当初の大雨により被災した栗原市などの林道施設の復旧事業への補助金を追加いたします。
 さらに、出水期に備えた河川管理や除雪に伴う道路補修など年度の端境期に行う必要がある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費について債務負担行為を設定しております。
 なお、一般職の職員の給与の引上げなど、人事委員会勧告への対応については慎重に検討した結果、勧告どおり実施することとし、その内容と合わせて、知事等の特別職についても期末手当を引き上げる方向といたしました。これら給与の改定に係る条例改正案につきましては、後日提案させていただきたいと考えておりますが、これに伴う人件費の増額分は既決予算の範囲内で対応できる見込みであり、最終補正予算で計数を整理したいと考えております。


 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに19億3,280余万円となります。財源としては、繰越金15億2,870余万円、繰入金3億5,750余万円などを追加しております。
 この結果、今年度の予算規模は、一般会計で1兆379億3,620余万円、総計で1兆5,326億1,610余万円となります。


 次に、予算外議案については、条例議案8件、条例外議案28件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。


 まず、条例議案でありますが、議第133号議案は、政党助成法の改正などに伴い支部報告書等の写しの交付に係る手数料の新設などを行おうとするもの、議第134号議案は、みやぎ環境税の適用期限の延長などを行おうとするもの、議第135号議案及び議第140号議案は、知事又は教育委員会の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにするなど所要の改正を行おうとするもの、議第138号議案は、水質基準に関する省令などの改正に伴い小規模水道布設時の水質試験項目を追加するものであります。

 次に、条例外議案でありますが、議第141号議案は、令和8年度における自治宝くじの発売限度額について、議第142号議案ないし議第153号議案は、指定管理者の指定について、議第154号議案は、和解及び損害賠償の額の決定について、議第155号議案は、地方独立行政法人宮城県立こども病院が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて、議第156号議案及び議第157号議案は、財産の取得について、議第158号議案及び議第159号議案は、工事請負契約の締結について、議第160号議案ないし議第168号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。


 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

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