トップページ > 県政・地域情報 > 県政情報・財政 > 知事室 > 知事説明要旨 > 第397回宮城県議会知事説明要旨

掲載日:2025年9月3日

ここから本文です。

第397回宮城県議会知事説明要旨

令和7年9月3日

第397回宮城県議会知事説明要旨


 本日ここに第397回宮城県議会が開会され、令和7年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。


 説明に先立ちまして、7月15日から16日にかけ、第61回献血運動推進全国大会に御臨席のため、秋篠宮皇嗣妃殿下が我が県にお成りになられ、式典ではお言葉を賜りました。また、昨年創建1300年を迎えた多賀城跡を御視察なされたほか、秋保かがやき支援学校では生徒たちの介護実習の様子を御覧いただき、声がけをいただくなど、和やかに交流をなされました。謹んで御礼を申し上げるものであります。
 本大会は、特に若年層の献血気運を高め、血液事業の一層の推進に向けて開催されたものであり、その趣旨を踏まえ、県内高校生の参画機会を多く確保いたしました。若い世代が献血に関心を持ち、積極的に関わる姿は、未来の医療を支える希望であり、また、命を支える活動への理解が深まったことを大会の大きな成果として、我が県といたしましても、血液事業の一層の推進に努めてまいります。
 次に、7月30日にカムチャツカ半島付近で発生した地震による津波で被災された事業者の皆様に、心からお見舞いを申し上げますとともに、今夏の記録的な少雨と猛暑により、農業用水の確保が困難となる中、日々の営農活動に多大な御苦労をされている農家の皆様のご心痛のほどをお察しいたします。漁業、農業ともに地域の食と暮らしを支える我が県の基幹産業であり、県といたしましても、皆様の事業継続を全力で支えるべく、必要な支援を迅速に講じてまいります。
 また、先月6日から12日にかけての低気圧と前線がもたらした大雨により、九州地方を中心に各地で河川の氾濫や土砂災害が発生し、尊い人命が失われ、地域生活や産業基盤に甚大な被害が生じました。亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。近年、全国各地で地震や台風、大雨などによる災害が頻発化・激甚化しておりますことから、我が県におきましても、その備えの一層の強化に努めてまいります。
 また、先月30日、インドのモディ首相を我が県にお迎えできたことは、大変光栄な出来事であり、首相との対話を通じて、双方の発展に資する具体的な取組を模索する機会となりました。インドの急速な経済成長と若い世代の活力は、我が県にとっても大きな刺激であり、文化・経済・人的交流など様々な面で、相互に恩恵を感じることができる関係の構築を目指してまいります。
 さて、令和5年9月3日に就任いたしました全国知事会会長職について、昨日をもって任期が満了いたしました。会長に就任以来、持続可能で力強い地方の発展に向けて、「結果を残す知事会」をスローガンに海外へのアプローチや行政のスリム化など4つの取組に全力を注ぎ、この2年間でそれぞれの取組を着実に進め、一定の成果を上げることができたものと考えております。この間、地方の意見を結集するため議員各位からも様々な御理解と御協力を賜りましたことに、感謝を申し上げますとともに、これまで以上に、知事としての職務に邁進し、我が県の更なる発展に尽力してまいります。
 私はこの20年間、県民の皆様と共に、東日本大震災からの創造的復興、新型コロナウイルス感染症への対応、そして宮城の更なる発展のために全力を尽くしてまいりました。
 その中で、宮城には、なお計り知れない可能性があると確信しております。まさに現在、私たちは人口減少・少子高齢化への対応、そして新たな産業構造への転換という大きな課題に直面しています。これまでの経験と知見を最大限に活かし、これらの課題を乗り越え、「富県躍進」をさらに推進していくためには、まだまだやるべきことが山積しております。
 次なる宮城県政は、誰もが希望を持ち、安心して暮らせる、活力にあふれる新しい宮城を創造するステージであり、私はその先頭に立ち、県民の皆様と共に汗を流し、その期待に応えていきたいと考えております。未来へと続く持続可能な宮城県を築き上げるため、私は再び、来る知事選挙に出馬し次の4年間においても、県民の皆様が「この宮城に住んでよかった」と心から思えるよう、全身全霊を捧げて取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。


 それでは、御説明いたします。
 初めに、東日本大震災からの復興についてであります。
 6月20日に閣議決定された「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針の変更において、被災地の復興に向けた国の強い意思に加え、総額で1.9兆円規模の予算が確保されたこと、また、心のケアなど中長期的課題への丁寧な対応が盛り込まれたことは、被災地の実情を踏まえたものとして評価するものであります。
 震災発災からこれまでの間、私は、創造的復興を掲げ、医学部の新設や仙台空港の民営化など、単なる復旧にとどまらない次代を見据えた施策を講じてまいりました。また、災害公営住宅の建設や高台移転への支援、そして産業再生に向けた基盤整備など、多くのハード事業に集中的に取り組み、生活・産業の基盤は概ね整備が完了いたしました。その一方で、防潮堤整備事業が依然として未完了であるほか、被災地には心のケア、コミュニティの再構築、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応、震災の記憶や教訓の伝承といった今後も取り組まなければならない課題が残されており、被災された方々の心に寄り添った支援をこれからも丁寧に積み重ね、復興への歩みを着実に進めてまいります。
 一方で、震災以降、安全性の確保に全力で取り組んできたにもかかわらず、中国政府による水産物等の輸入再開の対象から、引き続き我が県が除外されたことは、極めて残念であり、科学的根拠に基づかない輸入規制が速やかに撤廃されるよう、国に対して粘り強く働きかけてまいります。


 次に、産業の振興と人口減少に伴う労働力不足への対応についてであります。
 生成AIの普及など最先端のデジタル技術が急速に浸透する中、半導体はあらゆる産業、社会経済活動の基盤となるものであります。我が県の産業経済の持続的成長に向けても、東北大学などの学術研究機関との連携や社会インフラ、進出企業の支援体制などの強みを活かし、半導体関連産業の一層の集積を進めていくことが重要と考えております。
 企業誘致については、これまで、私自ら先頭に立ち、「富県戦略」を掲げて全力で取り組み、自動車関連や高度電子機械関連などの産業集積を実現したことにより、県内産業の振興に大いに寄与してきたものと認識しております。その結果、大規模企業向けに提案できる用地が残り僅かとなったことから、この度、新たな工業団地を整備することとし、県内産業経済の軸となるような中核的企業の誘致に継続的に取り組んでまいります。
 観光振興においては、日本政府観光局によりますと、7月の訪日外国人旅行者は約344万人、前年同月比で約4パーセントの増加であり、この好機に乗じて、地域の魅力を再発見し、その価値を高めていくことで、人口減少下における地域経済の活性化に結び付けていくことが重要と考えております。
 そうした観点から、宿泊税の使途について、県内7圏域で宿泊事業者部会を開催し、宿泊事業者の皆様から貴重な御意見をいただいたところであります。観光の力を最大限に引き出し、地域の活力を次世代につなげていくため、引き続き御意見を伺いながら、今後の観光振興施策の更なる具体化を進め、より多くの方々に宮城を訪れていただき、魅力を感じていただけるような、効果的な施策を力強く打ち出してまいります。
 食産業の振興については、宮城県物産振興協会が、東京の有楽町に本設店舗として開設した「宮城ふるさとプラザ」と連携し、首都圏における県産品の魅力発信等に取り組むとともに、人口減少や販売手法の多様化が進む中、マーケットを意識した商品開発や販路開拓に向け専門家派遣などの支援を実施し、県内食品製造事業者の持続的かつ発展的な事業展開につなげてまいります。
 一方、民間調査によれば、昨年の人手不足による全国の倒産件数は約340件に上り、2年連続で過去最多を更新しました。今年上半期で前年同期を上回る約200件の倒産が発生しており、年間でも過去最多を更新するものと推測しております。こうした人手不足は、経済の停滞や公共サービスの機能不全を招きかねない喫緊の課題であります。その克服には、外国人材の活用やAIをはじめとしたデジタル技術導入による効率化など多角的な対策が不可欠であり、あらゆる知恵と力を結集し、限られた人的資源を最大限に活用できる社会を構築することが必要であります。
 外国人材の活用については、先月20日にインドネシアから主に「特定技能」を所管する移住労働者保護省の大臣をお招きし、インドネシア人材の送り出し及び受入れを促進する覚書を、我が国地方自治体では初めて締結したほか、インドネシア人材を対象とした大規模なジョブフェアを県内で開催し、業種を問わず幅広く求職者と企業のマッチングを促進いたしました。目標を上回る144社、587人の求人があり、改めて、外国人材の受入れに対する県内企業の関心の高さを実感したところであります。外国人材に選ばれる企業をより一層増やすため、このジョブフェアのフォローアップをしっかり行うほか、企業の採用戦略や社内規定の整備など外国人材の受入れに伴う課題解決に向け、専門家による支援を今月から新たに開始いたします。加えて、職業能力開発校への外国人材の受入れについて、国の産業拠点形成連携“絆”特区の枠組を活用し、先般、覚書を締結した宮城県専修学校各種学校連合会とも連携しながら推進するなど、ものづくり産業分野の人材確保・育成支援に取り組んでまいります。また、県内企業のデジタル技術導入に向けては、経営者層を対象とした実践型プログラムにより生成AIの活用やDX推進プランの策定を支援し、生産性の向上を推し進めてまいります。
 高齢化の進展に伴い重要性が増す介護分野においては、外国人介護人材受入セミナーなどを通じて、外国人材の採用・定着を促進するとともに、介護ロボット・ICT導入支援事業補助金により、介護従事者の業務負担の軽減と定着率の向上につなげてまいります。


 次に、仙台医療圏の地域医療の充実についてであります。
 総合病院の誘致に向けて、富谷市が実施した公募については、先月20日に学校法人東北医科薬科大学が事業候補者として公表されたところであります。富谷市が求める医療機能を備えるだけでなく、仙台医療圏の政策医療の課題解決につながることを大いに期待しているところであり、新病院の医療理念や設置診療科など、同大学と富谷市の協議を経て、今後明らかになる新病院の機能を踏まえながら、必要な支援について引き続き検討を進めてまいります。


 次に、経済情勢と県財政を取り巻く状況についてであります。
 8月末の国の月例経済報告によりますと、国内景気は緩やかに回復しているものの、先行きについては、アメリカの通商政策や物価上昇の継続による下振れリスクが指摘されております。
 アメリカの日本に対する相互関税率は、先月7日から15パーセントと決定されたところでありますが、自動車・自動車部品への発動時期が未定であるなど、先行きの不確実性は依然として残っており、輸出関連企業の受注の減少など、今後、県内経済への影響が懸念されることから、事業者が直面する状況について、きめ細かな情報収集と分析を行ってまいります。また、物価高騰に関しては、消費者物価指数においても上昇傾向が続いており、家計の圧迫と事業者のコスト増加をもたらしております。賃上げなどによる経済の好循環の効果が発現するまでのタイムラグをしのぎ、また、産業の持続的な成長を促進するためには、的確かつ機動的な対策が不可欠であり、先の議会でお認めいただいた物価高騰対策予算の迅速な執行に努めるとともに、秋口に予想される国の補正予算を最大限に活用し、万全の対策を講じてまいります。
 6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025」については、地方創生2.0の推進や賃上げによる成長型経済への転換が明確に打ち出されました。特に「ふるさと住民登録制度」の創設や地域への投資促進策は、人口減少への対応や地域経済の活性化にとって重要であり、我が県の施策の方向性と合致するものであります。また、社会保障費の増加やデジタル化の推進など、地方に求められる行政需要が年々増大する中、安定的な財源の確保は、地域の実情に応じた柔軟かつ持続可能な行政運営の前提条件であり、一般財源総額の確保が明記された点は極めて重要であります。
 一方で、ガソリン税の暫定税率の廃止や先の参議院議員通常選挙で争点となった消費税率の引下げについては、地方自治体の財源に密接に関連することから、県民の暮らしに大きな影響を与えるものであります。これらの税制改正は、地方財政の根幹を揺るがしかねないものであり、地方が一丸となり、実情に配慮した実効性のある財政措置を強く国に求めてまいります。
 なお、足元の我が県の財政状況については、今年度の普通交付税が当初予算計上額を上回る見込みであります。また、県税収入は現時点では大きな減収はないものと見ておりますが、物価高騰や関税対応などから、消費動向や経営環境について予断を許さない状況にあります。このため、引き続き、将来を見据えた慎重かつ堅実な財政運営が不可欠と認識しており、今回御審議をお願いいたします補正予算案は、渇水対策や災害対応など、早急な対応が必要なものに厳選し提案しております。


 その主な内容としましては、記録的な渇水への対応として、揚水機の調達など農業用水の応急確保対策を支援するとともに、先日の津波で被害を受けた養殖施設等の処分費等を助成するほか、今年発生した災害に伴う県立高校などの復旧費や、公共土木施設の災害調査費を追加します。また、大規模災害時に避難等の機能を有する災害に強い道路の整備に要する経費を増額するほか、災害時に活用するデジタル身分証アプリの更なる普及拡大を図るため、自然災害避難支援アプリ「みやぎ防災」の新規登録者への地域ポイント付与の原資を追加するとともに、防災気象情報の体系整理などに対応するための総合防災情報システムの改修費を追加します。また、医療分野においては、災害時の歯科保健医療活動に必要な資機材の整備や新興感染症発生に備えた施設・設備整備を支援します。
 気候変動への対応としては、環境と調和のとれた持続可能な農業を実現するため、営農型太陽光発電設備の導入への助成を増額するとともに、気候変動などに対応した品種の種子生産への支援や、将来の森林資源の確保に向けた市町村が行う伐採跡地への再造林に対する支援を新たに行います。
 このほか、高等学校授業料無償化のための臨時支援金を計上するほか、東京職員宿舎用地の購入費や美術館のリニューアル工事費を増額するとともに、職員用パソコンの更新及びネットワークの改修に係る債務負担行為を設定します。また、患者数の減少等に対応し病床数の適正化を進める医療機関への助成を増額するほか、地域における医療提供体制を確保するため、重点医師偏在対策支援区域における診療所の承継・開業への助成を行います。
 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに82億9,590余万円となります。財源としては、繰入金39億3,520余万円、国庫支出金25億9,120余万円などを追加しております。
 この結果、今年度の予算規模は、一般会計で1兆360億340余万円、総計で1兆5,306億8,330余万円となります。

 次に、予算外議案については、条例議案5件、条例外議案11件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
 まず、条例議案でありますが、議第107号議案は、法人県民税の法人税割に係る超過課税の適用期限を延長しようとするもの、議第111号議案は、みやぎ産業交流センターの屋内施設に係る利用料金の基準額を新設しようとするものであります。
 次に、条例外議案でありますが、議第112号議案は、和解及び損害賠償の額の決定について、議第113号議案は、公立大学法人宮城大学の定款変更について、議第114号議案は、財産の取得について、議第115号議案ないし議第117号議案は、工事請負契約の締結について、議第118号議案ないし議第122号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。


 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

ページの先頭へ戻る

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

重要なお知らせ

こちらのページも読まれています

 

information retrieval

このページに知りたい情報がない場合は