東日本大震災の概況
1.被害の概要
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地震名
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平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震
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発生日時
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2011年3月11日(金) 午後2時46分
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発生場所
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三陸沖(北緯38.1度、東経142.5度)
牡鹿半島の東南東130km付近、深さ24km -
最大震度
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震度7 宮城県北部(栗原市)
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規模
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マグニチュード 9.0
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人的被害
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死者 10,569名 (令和4年9月末現在)
行方不明者 1,215名 (令和4年9月末現在)
※全国の被害者総数の約5割に相当
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避難の状況
(宮城県内ピーク時) -
避難所 1,323施設 (平成23年3月15日時点)
避難者数 320,885人(平成23年3月14日時点) -
住家被害
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全壊 83,005棟、 半壊 155,130棟 (令和4年9月末現在)
※全国の被害総数の約6割に相当
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ライフライン関係被害
(宮城県内ピーク時) -
停電 1,545,494戸
給水支障 35市町村
ガス供給支障 13市町
※平成23年12月11日に県内のライフラインが全て復旧(津波で流出した地域を除く)
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浸水面積
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327k㎡
※6県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉)合計の浸水面積561㎢の約6割に相当 -
地盤沈下
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海抜0m以下の面積 56㎢
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被害額(確定)
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9兆968億円(令和3年9月)
<ダイジェスト映像> ※この動画には、津波の映像が含まれます。
2.東日本大震災の概要
(1)国内観測史上最大級 マグニチュード9.0の巨大地震
2011(平成23)年3月11日14時46分、三陸沖(北緯38度06.2分、東経142度51.6分、震源の深さ24km)で、マグニチュード(M)9.0の巨大地震が発生しました。東日本を中心に日本列島のほぼ全域で震度6弱から震度1を観測。宮城県栗原市では最大震度7を記録しました。(図1参照)
気象庁は「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名し、政府は地震によって引き起こされた災害の名称を「東日本大震災」としました。
(2)日本観測史上最大の巨大津波
地震発生からおよそ30分後、最初の津波がやってきました。
岩手県大船渡市の検潮所で8.0m以上を記録したのをはじめに、宮城県石巻市鮎川で8.6m以上など非常に高い津波が観測されました。多くの観測地点ではデータの記録が途絶えてしまいましたが、この後に続く津波はさらに高いものだったことが推定されます。津波が海岸から陸地をかけ上がった高さの最高点である「遡上高」でも、津波の高さがわかります。(表1、図2参照)
津波は、川を逆流して海から遠く離れた内陸部にまで到達し、大きな被害を引き起こしました。平野の多い宮城県は、全国でも群を抜いて浸水面積が大きく、327㎢となり(図3参照)、これは全国の浸水面積の約6割を占めます。
No. | 旧市町村 | 現市町村 | 面積 | 合併市町村面積 | 最大浸水高(T.P.) | 最大遡上高(T.P.) |
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1 | 唐桑町 | 気仙沼市 | 129ha | 1,833ha | 15.2m | 21.1m |
2 | 気仙沼市 | 1,087ha | 16.6m | 17.3m | ||
3 | 本吉町 | 617ha | 19.3m | 22.3m | ||
4 | 歌津町 | 南三陸町 | 310ha | 978ha | 18.1m | 26.1m |
5 | 志津川町 | 668ha | 19.6m | 20.2m | ||
6 | 北上町 | 石巻市 | 974ha | 7,700ha | 14.4m | 17.8m |
7 | 雄勝町 | 152ha | 16.2m | 21.0m | ||
8 | 河北町 | 1,942ha | 5.0m | 8.8m | ||
9 | 河南町 | 446ha | 2.6m | --m | ||
10 | 石巻市 | 3,960ha | 11.5m | 12.0m | ||
11 | 牡鹿町 | 227ha | 17.5m | 26.0m | ||
12 | 女川町 | 女川町 | 293ha | 18.5m | 34.7m | |
13 | 矢本町 | 東松島市 | 2,222ha | 3,771ha | 7.6m | --m |
14 | 嗚瀬町 | 1,549ha | 10.1m | --m | ||
15 | 松島町 | 松島町 | 157ha | 2.8m | --m | |
16 | 利府町 | 利府町 | 14ha | 6.3m | --m | |
17 | 塩竈市 | 塩竈市 | 433ha | 4.8m | --m | |
18 | 七ヶ浜町 | 七ヶ浜町 | 520ha | 11.6m | --m | |
19 | 多賀城市 | 多賀城市 | 623ha | 5.5m | --m | |
20 | 仙台市宮城野区 | 仙台市宮城野区 | 2,092ha | 13.9m | --m | |
21 | 仙台市若林区 | 仙台市若林区 | 2,775ha | 11.9m | --m | |
22 | 仙台市太白区 | 仙台市太白区 | 110ha | 2.1m | --m | |
23 | 名取市 | 名取市 | 2,740ha | 11.8m | --m | |
24 | 岩沼市 | 岩沼市 | 2,828ha | 10.5m | --m | |
25 | 亘理町 | 亘理町 | 3,493ha | 8.1m | --m | |
26 | 山元町 | 山元町 | 2,441ha | 14.6m | 10.4m | |
総計 | 32,801ha |
※面積は、合併前の旧市町と合併後に区分した。
※痕跡高は、最大浸水高と最大遡上高に区分した。平野部については内陸部ほど津波高が低くなり浸水高が最も高くなることから、遡上高については記載していない。
出典:東日本大震災-宮城県の発災後1年間の災害対応の記録とその検証-(宮城県)
出典:気象庁ウェブサイト「津波について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq26.html
(3)人的被害・住家被害
東日本大震災では多くの尊い命が奪われました。全国で亡くなった方は、1万9,759人、行方不明者2,553人。宮城県の死者は1万569人と、1県だけで全国の死者数の50%以上を占めています。また、1,215人の行方不明者の捜索は今も続いています。(表2参照)死因は約90%が溺死で(グラフ1参照)、水にぬれたことによる低体温症で亡くなった方も数多くいます。
宮城県内の住家被害は、全壊が83,005棟、半壊が155,130棟であり、これは全国の被害棟数の約6割を占めます。
※全国の人的被害・住家被害:令和4年3月1日現在「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第162報)」(消防庁)より
宮城県の人的被害・住家被害:令和4年9月末現在(宮城県復興・危機管理部復興・危機管理総務課調べ)
市町村 | 人的被害 | 住家被害 | |||||
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人口 | 死者 | 行方不明者 | 全壊(床上浸水含) | 半壊(床上浸水含) | |||
[国勢調査] | 直接死 | 関連死 | 合計 | ||||
(H22.10) | 人 | 人 | 人 | 人 | 棟 | 棟 | |
仙台市 | 1,045,986 | 658 | 265 | 923 | 27 | 30,034 | 109,609 |
石巻市 | 160,826 | 3,277 | 276 | 3,553 | 417 | 20,044 | 13,049 |
塩竈市 | 56,490 | 24 | 18 | 42 | 0 | 672 | 3,278 |
気仙沼市 | 73,489 | 1,109 | 110 | 1,219 | 214 | 8,483 | 2,571 |
白石市 | 37,422 | 0 | 1 | 1 | 0 | 40 | 566 |
名取市 | 73,134 | 912 | 42 | 954 | 38 | 2,801 | 1,129 |
角田市 | 31,336 | 0 | 0 | 0 | 0 | 13 | 158 |
多賀城市 | 63,060 | 188 | 31 | 219 | 0 | 1,746 | 3,730 |
岩沼市 | 44,187 | 180 | 6 | 186 | 1 | 736 | 1,606 |
登米市 | 83,969 | 0 | 10 | 10 | 3 | 201 | 1,801 |
栗原市 | 74,932 | 0 | 1 | 1 | 0 | 58 | 372 |
東松島市 | 42,903 | 1,067 | 66 | 1,133 | 22 | 5,519 | 5,558 |
大崎市 | 135,147 | 2 | 5 | 7 | 0 | 596 | 2,434 |
富谷市 | 47,042 | 0 | 1 | 1 | 0 | 16 | 537 |
蔵王町 | 12,882 | 0 | 0 | 0 | 0 | 16 | 156 |
七ヶ宿町 | 1,694 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
大河原町 | 23,530 | 0 | 2 | 2 | 0 | 10 | 148 |
村田町 | 11,995 | 0 | 1 | 1 | 0 | 9 | 116 |
柴田町 | 39,341 | 2 | 3 | 5 | 0 | 13 | 189 |
川崎町 | 9,978 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 14 |
丸森町 | 15,501 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 38 |
亘理町 | 34,845 | 265 | 18 | 283 | 4 | 2,389 | 1,150 |
山元町 | 16,704 | 681 | 20 | 701 | 17 | 2,217 | 1,085 |
松島町 | 15,085 | 2 | 5 | 7 | 0 | 221 | 1,785 |
七ヶ浜町 | 20,416 | 76 | 3 | 79 | 2 | 674 | 650 |
利府町 | 33,994 | 1 | 1 | 2 | 0 | 56 | 901 |
大和町 | 24,894 | 0 | 1 | 1 | 1 | 42 | 268 |
大郷町 | 8,927 | 1 | 0 | 1 | 0 | 50 | 274 |
大衡村 | 5,334 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 19 |
色麻町 | 7,431 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 |
加美町 | 25,527 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 35 |
涌谷町 | 17,494 | 1 | 0 | 1 | 1 | 144 | 735 |
美里町 | 25,190 | 0 | 2 | 2 | 0 | 129 | 627 |
女川町 | 10,051 | 593 | 22 | 615 | 257 | 2,924 | 349 |
南三陸町 | 17,429 | 600 | 20 | 620 | 211 | 3,143 | 178 |
計 | 2,348,165 | 9,639 | 930 | 10,569 | 1,215 | 83,005 | 155,130 |
※1 上記には、平成23年4月7日・7月25日・7月31日・8月19日・10月10日・平成24年8月30日・12月7日の余震の被害を含んでいますが、平成28年11月22日福島県沖を震源とする地震以降の余震の被害については、含んでいません。
※2 死者について
・直接死とは:津波や家屋倒壊などが原因で死亡したと被災市町村で確認された方の合計となっています。
・関連死とは:直接死以外で、この震災が原因で死亡したと災害弔慰金支給審査会等で認定された方の合計となっています。
(平成24年3月11日時点、警察庁、平成24年版警察白書)
3.被害の様子
(1)津波の襲来
以下の写真は、津波の襲来を時系列に並べたものです。わずかな時間の間に水嵩が増していく様子が表れています。
①気仙沼市朝日町(時系列)
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15時28分①
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15時28分②
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15時28分③
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15時28分④
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15時29分①
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15時29分②
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15時30分
②石巻市雄勝町伊勢畑地区(時系列)
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15時23分①
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15時23分②
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15時24分
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15時25分①
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15時25分②
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15時26分
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15時28分
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3月12日6時11分
③石巻市南浜地区への津波襲来の様子(市民より提供)
この映像は、海から約500メートル程度の距離にある建物(旧石巻ガス周辺)で撮影したものです。
※この動画には、津波の映像が含まれます。
(2)市町村の被害の様子
沿岸地域を襲った大津波は、住み慣れたまちを一瞬にして破壊し、県民生活の基盤を奪いました。また、内陸部においても、住宅被害や宅地の崩壊、学校や商業施設等の建物被害、道路や公共交通機関網の分断、電力などのエネルギーの供給停止などにより、日常生活に大きな支障が生じました。
①気仙沼・南三陸エリア
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【気仙沼市】火災の様子
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【気仙沼市】気仙沼市西みなと町
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【南三陸町】津波襲来後の南三陸町(3月11日、南三陸合同庁舎屋上から撮影)
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【南三陸町】南三陸町旧防災対策庁舎
②石巻エリア
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【石巻市】石巻市門脇町地内
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【石巻市】雄勝総合支所前から海を見て
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【女川町】女川町に襲来する津波
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【女川町】がれきが積み重なる女川町黄金町(平成23年4月11日撮影)
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【東松島市】津波で押し流されたJR仙石線の車両
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【東松島市】旧野蒜駅
③仙台・松島エリア
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【仙台市】津波により孤立した荒浜小学校
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【仙台市】郊外丘陵部の宅地被害(仙台市青葉区西花苑)
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【松島町】松島町に到達した津波
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【利府町】津波で流された船舶
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【塩竈市】塩竈市貞山運河に進入する津波(第二管区海上保安部宮城塩釜港合同庁舎から撮影)
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【七ヶ浜町】七ヶ浜町汐見台南(平成23年4月7日撮影)
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【多賀城市】津波で流された自動車
④県南エリア
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【名取市】津波に襲われた仙台空港
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【岩沼市】岩沼市下野郷津波来襲(県南浄化センターから撮影)
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【亘理町】亘理町荒浜五丁目区
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【山元町】山元町立中浜小学校
⑤内陸エリア
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【栗原市】道路被災状況(若柳大林)
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【登米市】倒壊した住宅
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【大崎市】大崎市古川江合付近 崩落した道路(平成23年3月11日撮影)
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【加美町】ブロック塀の倒壊
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【川崎町】川崎町大字支倉地内 釜房線町道のり面の崩落
(3)被災者の避難状況
県内沿岸部の広範囲にわたる津波被害に加え、内陸部でも地震により電気、ガス、上下水道などの被害が発生しました。発災翌日には、県内に避難所が559か所開設され、避難者数は102,058人にのぼりました。県内の避難者数は、最大で320,885人(平成23年3月14日時点)、避難所数は最大で1,323か所(平成23年3月15日時点)となりました。
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発災直後のJR仙台駅前のバス停
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避難所の様子(名取市)
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避難所の様子(石巻市)
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避難所となった山下第一小学校の様子(山元町)
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避難者による食事準備(石巻市)
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避難所に貼り出された手書きの名簿や安否確認を求めるメモ
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支援物資配布の様子(蔵王町)
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届いた支援物資(県合同庁舎)
(4)世界中からのご支援
東日本大震災では、多くの尊い生命が失われ、ふるさとは甚大な被害に見舞われましたが、国や自衛隊、海上保安庁、警察、消防、医療機関、全国の自治体、ボランティアなど、官民・国内外を問わず、世界中の多くの方々からご支援を頂きました。
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知事から状況を聴取する政府調査団
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自衛隊による救助活動の様子
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緊急消防援助隊による捜索活動 (亘理地区消防本部)
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米軍による「トモダチ作戦」の様子
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インド支援隊による活動の様子
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石巻赤十字病院・救護班ミーティング
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ボランティア活動の様子
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温かい応援メッセージや千羽鶴