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南原穴堰の地形・地質等については,南原穴堰水利組合によると,全行程のほとんどが水成粘板岩からなっています。この岩石は本県では広く「あま岩」とよばれており,比較的柔らかい岩質で掘削効率は高かったと思われます。
その水源となるのは,鳴子峡の渓谷を流れる大谷川の支流である東遠鈴沢とワカタチ沢になります。
東遠鈴沢とワカタチ沢からの取水後,取入口から穴口(隧道開始地点)までは開水路で流下します。
その後,穴口から穴尻(隧道出口)まで穴堰(水路トンネル)となり流下し続けます。
南原穴堰の取水口位置図(南原穴堰水利組合『南原穴堰』より抜粋。)
朱線部が南原穴堰水路
水源取入口は標高287.4m地点にあり,水路の分水地点(わかれ)は標高283m程度です。高低差は4~5mとなり,総延長1880mではおおよそ500分の1という勾配となっています。
当時の測量方法は集落での言い伝えによると,夜,大谷川の流れに松明を持った人を配置し,順次,南の崖によじ登らせ,それを対岸の軽井沢から見て「何番あがれ,何番下がれ」の指示を与え,その地点に杭打ちをし,この点を線で結び,測量図を作成したもので,延々と幾晩も動員を受けて行われたようです。
穴堰の掘削については,前述の通り,ほとんどが水成粘板岩(あま岩)で,タガネ掘りで行っているので,内部壁面は削った凹凸面で仕上がっています。高さが2.0m,幅が1.5~2.0mで水分が多く削りやすかったでしょう。掘削の明り取りは自生する根曲竹を束にして,松脂をよく浸して乾燥させたものを壁面のところどころで燃やしていたようです。勾配を確認するために同じ目盛りを着けた二つの桶をパイプでつなぎ水を入れて(水盛り)勾配を算出していました。
穴堰の掘削は狭間(さま)と呼ばれる崖に面した横穴から掘削しており,穴堰の入口から出口までに全部で9カ所確認されています。
南原穴堰のルート(南原穴堰水利組合『南原穴堰』より抜粋。)
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