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掲載日:2015年9月3日

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第三百五十三回宮城県議会提出議案知事説明要旨

平成27年9月3日

本日ここに第三百五十三回宮城県議会が開会され、平成二十七年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。

初めに、東日本大震災からの復興に向けた取組状況についてであります。

まず、医学部の設置についてでありますが、先日、東北薬科大学が文部科学大臣の認可を受け、来年四月からの開学が正式に決定いたしました。我が国で三十七年ぶりとなる医学部の新設がこの宮城の地において実現することは、深刻化する東北・宮城の医師不足解消に大きく寄与するばかりでなく、被災地域が一体となって取り組む地域医療体制の再建を医師確保の面でしっかり支えていくものであり、安心できる生活の実現に繋がるものと確信しているところであります。第一期生となる来年度入学生の募集定員や入試日程なども決まり、開設に向けた準備は着々と進められておりますが、石巻、登米の各サテライトセンターや東北各県のネットワーク病院で臨床実習を行うなど、地域に根ざした総合診療医養成という特色あるカリキュラムにも期待が高まっております。県といたしましては、施設整備に要する費用を助成してまいりますとともに、卒業後県内で勤務する学生向けの新たな修学資金制度の創設などについて、大学側と詰めの協議を行ってまいりたいと考えております。

国管理空港では全国初となる仙台空港の民営化については、現在、国において運営権者選定のための第二次審査が行われており、今月中にも優先交渉権者が決まるなど、手続は重要な局面を迎えております。今後、国との実施契約の締結などを経て、来年二月には運営権者による仙台空港ビルと仙台エアカーゴターミナルの運営事業が開始され、六月末には滑走路等を含む空港施設の一体的な運営がスタートする予定であります。県としましては、既存路線の充実に加え、格安航空会社による拠点化を含めた新規路線の拡充に向けて取り組むとともに、民間の柔軟な発想と機動的な運営による空港の利便性向上や魅力ある周辺開発を後押しすることにより、乗降客数六百万人、貨物取扱量五万トンという、かねてからの目標を早期に実現し、我が県はもちろん東北全体の活性化に繋げてまいりたいと考えております。

宮城県広域防災拠点の整備については、先月基本設計の素案を取りまとめ、市町村や県民に御意見を求めているところであります。拠点内には、全国から集まる支援部隊やDMATなどの一時集結場所をはじめ、臨時のヘリポート、物資の荷さばき場、防災センター、資機材倉庫などを整備して市町村の防災活動を強力に支援する体制を構築するとともに、平常時には防災訓練や防災教育の場として活用するほか、県民が運動公園や憩いの空間としても利用できるようにいたします。工事の着手はJR貨物による駅の移転の後となることから、平成三十二年度の一部供用開始を予定しているところであり、今年度は都市計画決定や用地取得などの手続を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

水素エネルギーの普及促進については、六月に「みやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョン」を策定し、先の議会ではスマート水素ステーション整備費などの予算を認めていただき、「東北における水素社会先駆けの地」の実現に向けた第一歩を踏み出したところであります。十一月には水素研究の第一人者や私も参加してシンポジウムを開催する予定としており、水素エネルギーの有用性や安全性に対する理解を深め、活用への気運を高めてまいります。また、今後の水素社会を展望いたしますと、私は、県内にも多数の燃料電池自動車が導入される必要があり、これに伴って商用水素ステーションの整備が不可欠になるものと考えております。自動車メーカーや水素供給事業者はもとより、補助制度を所管する国とも調整を進め、早期にその実現が図られるよう全力を挙げてまいります。

これまで種をまき大事に育ててきた創造的復興の取組は、次々と花開き実りの時を迎えようとしています。今後も、県民の英知を結集し幅広い協力を得ながら、県民誰もが誇りに思える復興を一日も早く成し遂げ、地方創生にも繋げていけるよう、私が先頭に立って更なる前進を続けてまいりたいと考えております。

南三陸町防災対策庁舎については、震災後二十年を迎えるまでは県で管理することとし、その後改めて町において保存の是非を判断してはどうかと私から提案いたしましたところ、これを受け入れるとの回答を町長からいただきました。町民の皆様にとってまさに苦渋の決断だったものと受け止めており、その重みを深くかみしめているところであります。今後県として、建物の周囲に危険防止のための柵を設け、この先十五年以上の保存に耐える必要な手当てをした上で、一昨日締結した町との協定に基づき責任を持って管理してまいりたいと考えております。

災害公営住宅については、整備計画に掲げた二十一市町の約一万六千戸のうち、七月末現在で着手済みが約一万四千戸、完成が六千七百戸余りとなっており、六千百戸余りで入居が完了しています。このうち県は石巻市など九市町から約二千六百戸の整備を受託いたしましたが、すべて着手済みとなっており、一千二百戸余りが完成しています。

防災集団移転促進事業については、七月末現在で十四市町の百九十五計画地区すべてで着工済みとなっており、このうち百十四地区では住宅建築が可能な段階にまで進んでおります。中でも、岩沼市の沿岸六地区の集団移転先となった玉浦西地区では、災害公営住宅も合わせると約千人の方々が居住する予定となっていますが、既に九割ほどが移り住んで団地内に大型小売店も開業し、七月には「まち開き」が行われました。住民参加によるコミュニティ活動も活発であり、落ち着いた暮らしを取り戻していただいたものと受け止めております。

応急仮設住宅では、七月末現在、約二万五千戸で五万六千人ほどの方々が今なお不自由な暮らしを余儀なくされておりますが、プレハブ住宅の劣化が懸念されているため、先月から一斉に点検及び補修を行っております。また、災害公営住宅や復興まちづくりの進捗により今後入居期限を迎える方が増えてまいりますので、七月に転居支援センターを開設し、一人ひとりの希望や実情をよく伺いながら転居先の確保に努めているところです。今後もすべての方々が一日も早く安心した生活に戻れるよう、住まい対策こそ最優先の課題と捉え、対応に万全を期してまいる所存であります。

産業関係では、石巻魚市場が一昨日全面供用開始を果たし、建物延長約八百八十メートルもの長大な規模と高度衛生管理など最新の機能を誇る、世界でも有数の施設に生まれ変わりました。水揚げは、量、金額ともに震災前に迫る勢いで回復を続けており、輸出対応も可能なことから、地域経済の復興と更なる発展に繋がるものと期待しているところであります。

観光関係については、昨年の観光客数は県全体では震災前の九割以上まで回復したものの、石巻と気仙沼の両圏域では六、七割に留まるなど、沿岸部の回復の遅れが目立つ結果となりました。今年は仙石線、石巻線の全線開通や、第一期、第二期ともにインターネットの旅行予約サイトで売れ行きが好調な最大五割の旅行割引が追い風として期待できるほか、今月末までの夏の観光キャンペーンに続き、明後日からは航空会社と連携して我が県初のスカイキャンペーンを開催するなど、これまで以上に力を入れて観光客の上積みを目指しているところであります。また、このところ訪日外国人観光客が過去最多を更新し続ける中、東北はまだその流れに十分乗り切れておりませんが、三月の国連防災世界会議に続いて来年五月の先進七か国財務大臣・中央銀行総裁会議の開催地も仙台に決まり、世界の注目は集まってきております。これまでの支援への感謝の気持ちと復興の姿を広く内外に示していくためにも、これを機会に無料公衆無線LANや観光案内の多言語化などハード・ソフト両面にわたる受入環境整備に努め、東北・宮城へのインバウンドの流れを呼び起こしてまいりたいと考えております。

次に、震災復興以外の県政の状況と主な動きについてであります。

先月内閣府が発表した四月から六月期における国内総生産の速報値は、実質が年率換算で一・六パーセント減と三四半期ぶりのマイナス成長になったものの、政府はこれを一時的なものと捉えているようであります。東北財務局が七月に発表した四半期ごとの経済情勢報告によれば、我が県の経済は二期連続で緩やかに回復していると判断され、同時期の日銀仙台支店のまとめでも、東北の景気は十か月連続で緩やかに回復しているとされております。

昨年度は、国税収入が五十四兆円に迫る二十一年ぶりの高い水準となったほか、県税収入も二千七百億円を超えて過去三番目を記録しました。大きく伸びた法人二税だけではなく、個人県民税からも所得の伸びが裏付けられ、景気は徐々に上向きつつある様子がうかがえるところであります。

その一方で、国全体もさることながら我が県でも人口減少がますます鮮明になってきており、将来的に様々な分野でマイナスの影響が懸念されるなど、極めて憂慮すべき問題となっています。

今議会で御審議をお願いいたします「宮城県地方創生総合戦略」では、二〇六〇年における県人口について、今よりも七十万人以上少ない百五十七万人に落ち込むとの推計に対し、出生率の向上や転入者の増加を図ることで人口減少を抑制し、推計よりも二十七万人多い百八十四万人を目指すとしております。

具体的には、二〇六〇年の遠方目標を見据えた今後五年間の戦略として、雇用の確保、県外からの移住促進、結婚から出産・子育てまでの総合支援、持続可能な地域づくりという四つの基本目標を柱に、それぞれ数値目標と重要業績評価指標を掲げ、それらを達成するための取組を進めてまいります。

先行的な取組として、七月末には東京と仙台に「みやぎ移住サポートセンター」を開設し、今年度中に県外から五十人以上の移住実現を目指して、仕事や暮らしの情報を提供しているほか、県内七つの地方振興事務所や地域事務所内に「地方創生サポートチーム」を設け、市町村との連携強化や戦略づくりの支援にも力を入れているところであります。今年度中には各市町村の総合戦略も出揃う予定となっておりますので、市町村の取組とも連携し、また国の支援制度も活用しながら、人口減少対策などに取り組んでまいります。

今年度末で終期を迎える「みやぎ環境税」については、地球温暖化対策や自然環境保全など様々な環境施策に有効に活用され、二酸化炭素の削減に寄与するなど一定の成果が得られたものと考えております。我が県の良好な環境を維持し、新たな課題にも適切に対応していくためには、今後も継続して環境施策の展開を図っていくことが不可欠であり、その財源を安定的に確保するため、課税期間を五年間延長すべきものと判断いたしました。今議会にそのための条例改正案を提案しているところであり、議員各位及び県民の皆様の御理解と御賛同をお願い申し上げる次第であります。

国の平成二十八年度予算概算要求の基本方針によると、東日本大震災からの復興対策経費については、六月に決定された平成二十八年度以降五年間における復旧・復興事業の規模と財源の考え方に従い、所要額を要求できることとされております。一部に自治体負担が導入されるなど、新たな枠組みでの対応となりますが、被災地の復興のために必要な事業は実施するとされており、来年度も腰を据えて復興事業にまい進できるものと考えております。また、国の成長戦略に沿った事業に重点配分するとしている四兆円規模の特別枠や社会保障の充実等に要する経費については、消費税率引上げによる増収分など税収の動向等を踏まえて予算編成過程で検討するとされており、今後の推移を注意深く見守ってまいりたいと考えております。

なお、六月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二○一五」、いわゆる骨太の方針によれば、地方創生推進のため地方への支援を強化する一方で、効率化などの観点から地方交付税制度を改革し、リーマン・ショック後の特別措置について見直しを進めるとしております。地方財政に与える影響も少なくないことから、市町村や全国知事会とも連携して国への必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。

次に、今回の補正予算案の考え方についてであります。

今年度の財政状況については、普通交付税の交付額や臨時財政対策債の発行可能額が当初予算を若干下回ったものの、企業業績が堅調に推移していることから県税の増収で補える見込みであり、通常分、震災対応分のいずれについても年間の所要財源は概ね確保できるものと考えております。

このため、今回御審議をお願いいたします補正予算案は、現時点における歳入の見込みを整理するとともに、国の内示や復興の進捗を受けて事業の追加や見直しを行うなど、当面の必要な対応を措置することとして編成したものであります。

(東日本大震災関連事業)

補正予算案の主な内容ですが、震災関連としましては、南三陸町防災対策庁舎を一時県有化して保存するための調査設計を行うほか、水産加工業の人材確保に向け従業員宿舎整備に対する支援の枠を拡大いたします。また、漁業集落や砂防、海岸施設などの復興事業費を増額して完成を急ぐとともに、工事車両等の通行量増加に伴って損傷した道路についても補修箇所を増やしてまいります。さらに、ドクターヘリの整備について、格納庫等の建設コスト高騰への対応や整備内容の精査などにより補助金を増額し、来年度中の運航開始を確実なものにするほか、被災地における健康支援のための基金積立てなども行います。

(その他の主な事業)

震災関連以外の事業としては、障害者支援施設「不忘園」の施設整備に要する経費を補助するとともに、老朽化している県立障害者支援施設「船形コロニー」の建替に向けた検討を促進するための調査費を計上しております。また、都市計画道路、漁港施設などの整備費や道路、河川の改良事業費を増額するとともに、農地中間管理事業による農地の出し手への協力金や肝炎治療に対する医療費助成なども拡充してまいります。このほか、県内企業の求めに応じ、経営戦略に精通した企業の右腕となる人材を首都圏などから誘致し、県内企業の成長を支援してまいります。

以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計で二十二億四千七百余万円、総計で十一億六千六百余万円となります。財源としては、繰入金十八億六千八百余万円、県税十四億円などを追加する一方、国庫支出金十三億二千六百余万円、地方交付税四億七千五百余万円、県債四億一千八百余万円などを減額しております。

この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆四千五百三十六億六千九百余万円、総計で一兆八千百十一億九千九百余万円となります。

次に、予算外議案については、条例議案七件、条例外議案二十一件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

まず、条例議案でありますが、議第二百三十号議案は、「みやぎ環境税」などについて県民税の超過課税の適用期間を延長しようとするもの、議第二百三十二号議案ないし議第二百三十四号議案は、東日本大震災により被害を受けた者について、職業能力開発校、農業大学校及び県立学校に係る入学金等の免除の期間を延長するとともに、宮城県立支援学校女川高等学園を設置しようとするものであります。

次に、条例外議案でありますが、議第二百三十五号議案は、宮城県地方創生総合戦略の策定について、議第二百三十七号議案は、財産の取得について、議第二百三十八号議案ないし議第二百四十五号議案は、工事請負契約の締結について、議第二百四十六号議案ないし議第二百五十五号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

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