アタマジラミについて

全国的にアタマジラミに関する相談が増加しています。
「シラミは不潔」と思われがちですが,清潔にしていても寄生する場合があります。
集団生活の中で誰でも感染する可能性があるので,寄生された人の差別等につながらないように,正しい知識を持って各家庭で適切に対処しましょう。

アタマジラミとは？

アタマジラミは,頭部に寄生するシラミです。
アタマジラミによって病気がうつされることはありませんが,寄生されると,頭皮から吸血するので痒みが生じます。
また,後頭部や耳の後ろ等の毛髪の根本をよく見ると,多くの場合アタマジラミの卵が見られます。

• 成虫　体長は2～3mm程度で,全体は灰白色を呈し吸血後は黒っぽく見えます。動きは俊敏ですが,羽がないので飛んだり,ノミのように跳ねたりすることもありません。
• 卵　長さ0.5mm程度で白色を呈し,毛髪の根本附近に産み付けられることが多く,毛髪にしっかりと固着しています。
• 卵と見間違えやすいもの　毛根部の皮膚がリング状に抜けたもの（ヘアーキャスト）や皮脂の塊などは,虫卵の抜け殻と似ているため,注意が必要です。

ヘアーキャストや皮脂の塊は,指先でつまみ引っ張ると簡単に動き,取り除けますが,虫卵は毛髪にしっかりと固着しているので,容易には動きません。

写真提供：国立感染症研究所昆虫医科学部

伝播方法（人に寄生する経路）

• 身の回りのもの（くしやタオル,寝具,帽子等）を共用すること。
• 頭と頭が接触（頭を寄せ合って遊ぶ,昼寝の時などに髪の毛が接触する）すること。

アタマジラミを発見したら（対処方法）

1～4の対処を10日間行いましょう（卵が孵化するのが約7日間のため）。

＜注意＞
駆除の際に使用したくしやタオルにはアタマジラミや卵が付着している場合があります。使用後は60℃以上に保ったお湯に5分間浸し消毒しましょう。また,駆除後にアタマジラミや卵が認められなくなっても,しばらくの間は定期的に頭髪を確認し,再発を防ぎましょう。

1.身の回りのもの（くし,タオル,寝具,帽子,衣類等）の共用を避け,こまめに取り替えましょう。

使用した衣類等は,乾燥機や熱湯などで熱処理をした後で洗濯しましょう。アイロンをかけるとさらに効果的です。（60℃5分以上の加熱で成虫・虫卵ともほぼ死滅すると言われています。）

布団は天日に干しましょう。

2.毎日洗髪しましょう。

洗髪で卵を取り除くことは困難ですが,卵は1週間程度で孵化するので,約10日間毎日洗髪をすれば孵化した幼虫を洗い流すことができます。
子どもの場合は,大人が洗髪してあげましょう（アタマジラミは子どもの手の届かない部分,洗いにくい部分に発生しやすいです。）また,洗髪後はドライヤーでしっかりと乾かしましょう。

3.髪をくしで梳きましょう。

市販されているシラミ専用のすき櫛を利用するのが有効です。すき櫛が入手できない時は,できるだけ目の細かいくしでとかしましょう。

4.掃除機等を使用し,部屋の掃除をまめに行いましょう。

アタマジラミは頭部から離れ,吸血できないと2～3日で死んでしまいます。

通常は1～4の対処方法を行えば十分ですが,その他の対処として,以下の方法が挙げられます。
状況に応じて選択して下さい。

• シラミ駆除医薬品シャンプーやパウダーを使用する方法。（説明書をよく読み,用法や容量を守って使用して下さい。）
• 洗髪・髪梳きをしやすいように髪を短くする。
• 卵が付着している髪が気になる場合に,はさみで1本づつ切る。