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様々な素材がはじめから持っているかたちや性状を観察し、それらを組み合わせて生まれる新たなかたちを発見することで、制作を展開するワークショップです。両日とも、それぞれ別の参加者に対して同内容のワークショップを行いました。
はじめに、自分たちが何かをつくるときにどのように制作を進めているかを思い起こし、そこに完成形のイメージの想像とその具現化というプロセスがあることを確認しました。完成イメージにかたちを与えるためには様々な素材を使う必要があり、その素材は既にモノとしてそれ固有のかたちや性状を持っています。そこでこのワークショップでは、モノを組み合わせていくことで、自分の想像していなかった魅力的なかたちを探すことを目標としました。
活動に必要となる電動工具について使い方を確認した後に、練習も兼ねて「与えられたモノを組み合わせる」活動を行いました。この活動では、用意されたモノ(丸くくりぬかれた集成材や、黄色のセロファン紙、塩ビパイプの切れ端など)を組み合わせる中で、自分が良いと感じられる組み合わせ方を探すことを試しました。ただし、思わぬかたちとの偶然の出会いを目指すため、基本は既にモノが持っているかたちを活かすこと、また加工は組み合わせるために必要な最小限にとどめること、というルールを設けました。参加者は試行錯誤を繰り返しながら、貼り合わせたり、重ねたり、穴を開けてはめこんだりなど、様々な方法でモノを組み合わせる練習をしていました。その傍ら、普段どれだけ自分が想像しながらモノを加工しているかを痛感しているようにも見えました。午前中の終わりには、午後の活動に活かせるように、制作物を見ながら、互いに感じたことや工夫したことなどのアイデアを共有しました。
2つ目の活動として「創作室にあるモノを組み合わせる」ことに挑戦しました。最初の活動と同じように、加工は組み合わせるために必要な最小限にとどめる点は同じとして、使うモノを創作室にある様々なモノにまで範囲を広げました。そのため、参加者は使用するモノを探すところからスタートしました。なお、材料として使える様々な素材は創作室で前もって用意しましたが、創作室1にあるそれ以外のモノ(椅子や道具などの備品も含んだ)でも気になるモノがあった場合は、危険でない範囲で使用しても良いこととしました(ただし、これらには穴を開けるなどの不可逆的な加工は禁止としました)。
活動が始まると、参加者によって大きく異なるアプローチが見られました。21日(金曜日)の参加者の多くは、開始とともに創作室1のあちこちからモノを探し始め、なかには掃除用具等を養生テープで組み合わせて大きな構造物をつくる参加者がいたり、対照的に少ない手数で洗練されたオブジェを生み出す参加者がいたりなど、バリエーションに富んだ活動が見られました。また、一度は面白くないと思った組み合わせも、それを最後に別の場所にくっつけたときに急に面白く感じられるようになった、という瞬間を経験する様子も見られました。
一方で23日(日曜日)の参加者は、自分の机の上で手のひらサイズのモノを組み合わせることから始める参加者が多く、他の参加者やスタッフとの議論の中から、徐々に活動の規模を広げていく様子が見られました。制作物が小さくまとまる分、数を多くつくる参加者が何人もいて、その中から自然と各参加者の特徴が見えてくるように思われました。両日とも、「想像から逃げる」ことを意識しながらかたちをさがす難しさから悩む姿も見られましたが、一度感覚を理解すると、そのまま一気に様々な組み合わせを量産する様子が見られ、印象的でした。
最後には互いの制作物について再び鑑賞し合い、発見があったことについて共有したり、お互いのアイデアについて意見を述べたりしました。試したことのないつくり方に取り組んだことで「普段は使わない感覚を使うことができた」、「発見があった」といった感想が多く、また他の参加者の活動からインスピレーションを受けた参加者も多いようでした。
既製品や使用された後の材料の余りなど、既にかたちを持っているモノを造形に利用することは、一見すると難解にも思えます。しかし今回の活動では、それぞれが自分の感覚を試しながら実験する中で、参加者によっては思わぬ発見があったようです。結果的に、その活動の幅を広げたり、様々なモノを使った作品に興味を持ったりするきっかけとなったようです。
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