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ハンセン病のかつての病名は「らい」でした。長いあいだ、人びとは「らい」に対して偏見と差別をもちつづけてきたためにいまわしい過去をきりすてて、正しい認識をもってほしいというねがいから、らい菌の発見者ノルウェーの医学者ハンセン博士の名をとってハンセン病と改められました。
ハンセン病は、らい菌による慢性の感染症で、末梢神経や皮膚がおかされる病気ですが、完治する病気であり、遺伝はしません。
らい菌は、結核菌に似た細菌ですが、結核菌よりもはるかに感染力が弱いので、らい菌に対する抵抗力の弱い状態で、くりかえしたくさんの菌に接触しなければほとんど感染することはなく、感染しても発病するのはごく一部の人に過ぎません。
明治以来、ハンセン病の療養所で働いていた職員でハンセン病になった人は一人もなく、どんなに感染しにくい病気かが実証されています。
ハンセン病で末梢神経が侵されると、知覚のまひが起こるため、痛みや熱さが感じられず、傷ややけどが重症になって潰瘍ができることがあります。それがもとどおりにならず手や足に変形が残ったり、知らない間に傷ができたりするため、いつまでも直らない病気だという誤解を受けてきました。
しかし、現在は治療法が確立されて、ハンセン病は、早期発見と早期治療により、障害を残すことなく、外来治療によって完治する病気となりました。
ハンセン病は,遺伝病ではありません。伝染力の極めて弱い病原菌による慢性の感染症です。菌は治療により数日で伝染性を失ない、軽快した患者と接触しても感染することはありません。
「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成21年4月1日施行)」第5条において、「地方公共団体は基本理念にのっとり、国と協力しつつ、その地域の実情を踏まえ、ハンセン病患者であった者等の福祉の増進等を図るための施策を策定し、実施する責務を有する。」こととされています。
この法に基づき、県では、ハンセン病に対する正しい知識や人権を守るための普及啓発事業の実施や療養入所者への福利増進や社会交流事業への支援を行っています。
令和元年11月15日に、「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」が成立し、同年11月22日に公布・施行されました。
本法の前文では、ハンセン病の隔離政策の下、ハンセン病元患者家族等が、偏見と差別の中でハンセン病元患者との間で望んでいた家族関係を形成することが困難になる等、長年にわたり多大な苦痛と苦難を強いられてきたにもかかわらず、その問題の重要性が認識されず、これに対する取組みがなされてこなかった、その悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くお詫びする旨が述べられています。
法に基づき、対象となるハンセン病元患者のご家族の方々に補償金が支給されます。
なお、令和6年6月12日に、「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、補償金の請求期限が5年間延長されました。
平成8年3月31日までの間(「らい予防法」が廃止されるまでの間)にハンセン病の発病歴・国内等居住歴のある方と次のア~キの関係にあったことがある方であって、現在生存されている方が対象となります。
対象者 | 補償金の額 | |
ア | 配偶者(事実婚の配偶者を含む) | 180万円 |
イ | 親、子 | |
ウ | 1親等の姻族等であって、ハンセン病歴のある方と同居していた方 | |
エ | 兄弟姉妹 | 130万円 |
オ | 祖父母・孫であって、ハンセン病歴のある方と同居していた方 | |
カ | 2親等の姻族等であって、ハンセン病歴のある方と同居していた方 | |
キ | 曾祖父母・ひ孫・おじ・おば・甥・姪であって、ハンセン病歴のある方と同居していた方 |
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