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令和2年度社会教育機関等の概況【北部】

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年1月28日更新

重点事業

重点 昨年度までは,事業名称及び事業概要(ねらい,内容等)を自由記述形式で回答いただいてきましたが,今年度は「学習内容別区分コード表」と「教育対象分類」を示し,これに基づいて把握しました。「学習内容別区分コード表」は,文部科学省が約3年ごとに実施している「社会教育調査」の『平成30年度社会教育調査の手引[社会教育行政調査用]』から引用しました。
 各機関から挙げられた重点事業総数は88事業で,全32項目に分類することができます。このうち,3個以上の事業が属するものは,右表に示す13項目になります。
 最も多かったのは【趣味・稽古事】分野の学習内容「手工芸・陶芸」でした。昨年度の最も多かった分類項目が「創作体験・各種体験事業,スキルアップ事業」であり,今年度は「【家庭教育・家庭生活】料理・食品・食生活」に属する事業が4つあることからも,『創作的活動を取り入れる』ことは,重点事業を策定する際に優位性の高い設定規準になっているということが傾向として見られます。
 創作的活動を取り入れた公民館事業は,地域住民にとって「学習(行動)目標=完成させること」と明解なものであり,目指すべき完成度についても想像に難くなく,事業に参加する以前から学習の見通しを持ちやすいといえます。また,公民館は住民が集い交流する施設として創設されたものであるので,そこで行われる創作的活動は優劣の差が生じにくい特徴が自ずと備わっています。これらのことから,比較的多くの地域住民が興味・関心を高めやすいのと同時に,安心感をもって参加しようとすることが期待できます。
 つまり,知識や技能を身に付ける機会を供することを通して,「個人の要望」に応えるという機能を果たすとともに,多くの地域住民を公民館という施設に導き,社会的活動に参加する態度の向上を図るという,いわば「社会的要請」にも応じた内容になっていることが特徴と言えます。
 大崎市西古川地区公民館は,重点事業「ものづくりの部屋 水曜工房」のねらいを「日頃の学習により身に付けたスキルを地域に還元することにより,豊かな人間関係の構築に寄与する」と掲げ,もう一方の重点事業「男の台所」のねらいについては,「男性が料理のスキルを身に付けることにより,高齢化社会を生きてゆく上での日常生活の不安や不便の解消に寄与する」としています。こういった「社会教育活動を通じて個人の成長を期するとともに,地域における多様な学習素材・学習課題(地域課題)に触れさせ,相互のつながりを強めた地域を目指す」という事業スタイルが,当管内では着実に浸透していると認められます。
 令和2年9月に示された「第10期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」では,「多様で豊かな学びを通じ,様々な背景を有する多様な世代の人々がつながり,共に学び合うことで,新たなアイデアが生まれたり課題解決につながったりすることが期待される」と述べています。豊かな学びの活動が行われ,学びを通じた地域づくりを進めていく視点としては,「様々な人や組織と連携・協働しながら学びの活動をコーディネートする中核となる人材の存在が重要である」と指摘しています。
 各機関がこれまでの実践を通じて培った“発想の豊かさ”や“きめの細かな実践力”を発揮し,この学びの活動を力強くコーディネートしていくことができるよう,教育事務所としても研修機会の提供や事業視察を通じて,支援を一層充実しなければならないと考えています。

学校と連携・協働した取組

連携・協働 学校と連携・協働した取組については,次頁表に示すように11項目に分類され,9機関から「特になし」という回答がありました。
 これまで同様に,学社連携活動や協働教育活動が,それぞれの地域の特徴を生かしながら行われているということを見とどけることができます。この背景として,“学校と連携・協働する”ことの効果が認められ,本質的な意義の理解が進んでいるということを推知できます。それぞれの機関が“学校と連携・協働する”ということに向き合い,これまでの実践を検証し,本質に照らして思案した結果,いくつかの機関では実践内容の多様化・高次化を図ることができました。他方では,これまでの実践はそぐわないものと自己批正して「特になし」と判断し,その上で,今後の“連携・協働”の在り方を模索するよう,課題化した取組に結び付けた機関もあります。
 各機関が実践を考察したり検証したりし,“連携・協働”を継続したり創出したりしていくことは,持続可能な地域づくりの一端を担うことにもつながると評価できます。
 大崎市古川高倉地区公民館は,子供たちが地域に関心を高め,地域の文化や伝統を受け継いでいくことができるよう,「歴史探索」事業を実施しています。小学6年次から本格的な歴史学習が始まることに合わせ,その導入活動として展開しています。
 大崎市古川敷玉地区公民館は,公民館事業や公民館利用を身近に感じ取ってもらうようにする意図も込め,PTA行事の企画を支援したり会場を貸与したり,時には館職員が講師を務めるなどして,家庭教育支援を行っています。
 “学校と連携・協働する”事業は,児童生徒にとって,社会との接点を強固にし,地域の特徴・よさや実際の社会活動を意識して学びを深めることができます。また,地域にとっては,活動を通じてさまざまなつながりを創出でき,コミュニティの関係強化が期待できます。つまり,“学校と連携・協働する”事業の推進は,公民館事業の成果の向上,ひいては地域社会の活性化につながるものと見込めます。
 大崎市古川宮沢地区公民館,古川長岡地区公民館,古川富永地区公民館,古川清滝地区公民館は,令和3年度に“古川北小学校”統合開校することに向け,それぞれの地区公民館や地域住民が小学校と連携・協働してきたこれまでの取組を統合開校後も継続や拡充することを目指し,「川北地区地域学校協働活動計画(仮)」を策定して小学校へ提案しようと取り組んできました。学校統合を社会教育機関として“チャンス”と捉え,「公民館事業の“学習成果”の発揮・活用」,「新たな公民館講座の創出」,「4館合同少年教育事業の改善・充実」,「学校を核にして地区間交流する場面の創出」を目指すことを通じ,次代の地域の姿を具体化しようとしました。
 連携・協働が目指す姿は,“地域住民等が学校教育を支援・補完する”という取組にあるだけではないということを,学校,地域の両者が一層理解を深められるように, 教育事務所としても啓発していかなければいけないと感じています。

実践上の諸課題

課題 直近2か年で回答が最も多かった「施設管理・施設老朽化」等が減少し,「利用者・参加者の獲得・拡大,事業周知方法」や「新規事業の創出,地域・生活課題の解決につながる講座の提供」に属する回答が増え,社会教育事業の在り方を追究する視点が強まっている様子が認められます。
 大崎市西大崎地区公民館では,「公民館事業の目標設定や,受講者が得た成果を活用するということについて見つめ直したい。」「受講者の趣味・教養の拡充・向上にとどまりがちな講座ではなく,学んだ成果を地域に反映して貢献できるように展開したい。」というお話を伺いました。また,加美町鹿原地区公民館では「人口減少や高齢化によってたくさんの課題が表出しており,『地域の特性を生かした仕組みづくり』に町当局と一体となって取り組む必要がある。」というお話を伺いました。
 この2機関が解決を目指す“実践上の諸課題”は異なりますが,“ねらいを焦点化している”ことが共通しています。
 過去2年間では,事業傾向として“ねらいの複合化”が見られ,さまざまな要素の連続や集積などにより,たくさんの事業成果を期待できるという観点で整理してきましたが,今年度は上記2機関をはじめとして,“ねらいの複合化”は有効であるにしても,場合によっては,目標・目的を焦点化して取り組まなければならないということ,それが各々の課題を解決する入り口になっているということを言及する機関が増えました。
 公民館事業は多様性を備え持つゆえ,地域住民は,例えば「学習内容に関心がある」,「余暇を活用する」,「親睦を深める」,「日常生活に役立てる」,「地域社会をよりよくする」等の「目的」や「理由」を,与えられることなく主体的に考えた上で参加することが一般的です。よって,事業の実施主体である公民館等機関としては,学習課題を精選して誘導し,前述の通り,地域住民の学習活動を力強くコーディネートすることが求められます。多様な切り口によって解決方法を考案していくことができるように,教育事務所としてもできる限りの支援に取り組んでまいります。