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令和元年度社会教育機関等の概況【北部】

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月4日更新

重点事業

 重点重点事業については,右表に示すように17項目に分類しました。
 各機関・施設で工夫を凝らし,地域の特性を生かしたり,地域の実態に応じた学習題材を選定したりして,多岐にわたるジャンルの事業を活発に展開していることが認められます。
 この成果の理由として,実施主体である職員の方々が,各々が掲げる“重点”を,一層多面的に捉えて取り組んでいるということが挙げられます。
 一般的に,社会教育行政事業の分類は,「対象者の年代層」と「教育内容(対象者が学ぶ内容)」をクロスさせて簡潔に行うことになっていますが,今年度,各機関・施設から提供いただいた事前調査票の“重点”の欄を見ると,この2要素だけにとどまらない施策・事業の多面性が,これまで以上に現実的かつ具体的な表現で述べられていることが確認できます。つまり,「ねらいの複合化」の傾向が強まっていると言えます。
 例えば,加美町鹿原地区公民館は,少年教育事業「鹿原っ子フィールドキャンプ」を重点事業として示し,「公民館に宿泊する『フィールドキャンプ』アウトドア活動を体験することによって心身ともに充実を図り,地域施設を利用し防災時に役立てるように竹を使ったご飯の炊き方等を学び,友人と寝食を共にすることで交流を益々深め,鹿原の未来を担う子ども達の『地域愛』を育てる企画」と述べています。
 この事業のねらいは,主たる対象である子供たちを育成することにありますが,社会教育施設利用促進や避難生活体験型「防災教育プログラム」の視点も盛り込まれていることは明らかです。また,実施に係る役割を,参加する子供たちの親や地域住民ボランティアに割当てることによって,子育て世代の社会事業参加の促進を図り,ひいては,住民間交流を通じた地域の活性化,「地域づくり」を目指していることもうかがえます。
 「創作体験・各種体験事業,スキルアップ事業」に該当させた多くについても,上述のクロスが示す“誰に,どのような学びを提供するか”という「人づくり」の側面が特徴的ですが,個人の“教養の向上”や“生活文化の振興”という視点にとどまらない多面性があります。
 大崎市西大崎地区公民館が実施する「いきいき女性講座」は,多様な学習内容を配列して“シリーズ化”し,地域住民が広範にわたって教養を高めることを主たるねらいとしています。年度当初にシリーズ全体計画を示して,地域住民が主体的に学習の展望を理解するように促しているほか,シリーズ化した事業そのものが,参加する地域住民が何度も顔を合わせ,親和的関係性を強める効果を引き出しています。第5回『スイーツ講座』では,地元の人材を講師にし,調理材料に“地域にあるもの(=入手しやすいもの)”を選択して,参加者が生活の中で学習成果を活用できるよう目指しました。
 「ねらいの複合化」傾向は,社会教育活動を通じて個人の成長を期するとともに,地域における多様な学習素材・学習課題(地域課題)に触れさせ,相互のつながりを強めた地域を目指したいという,各機関・施設の意欲を示しているものと捉えます。
 今後の社会教育においては,「地域における様々な学習機会について,全体を俯瞰的にとらえ,関係者間をつないだり,必要な学習の場について調整を行ったりする役割が重要」とされ,「『社会教育』を基盤とした,人づくり・つながりづくり・地域づくり」がキーワードとして掲げられています。
 「他者と学び合い認め合うことで相互のつながりを形成し,交流を通じ,新たな気付きや学びや活動への動機付けが発展する」という強みを再認識して,各機関・施設がこれまで以上に役割を果たすことができるように,教育事務所としても,研修機会の提供や事業視察を通じて支援を一層充実しなければならないと考えています。

学校と連携・協働した取組

 協働学校と連携・協働した取組については,次頁表に示すように10項目に分類しました。
 「学校支援活動」や学社連携活動,協働教育活動が多くの地域で活発に行われており,“地域の特色的事業”として定着が図られていることが認められます。
 美里町農村環境改善センターでは,地域住民による「こども体験ボランティア会」を編制し,放課後の学びや遊びの場を提供する「活き生きこども教室」や,子供を中心にしながら多世代間交流を図る「親子あそびのひろば」の実施に連動させています。「親子あそびのひろば」の運営ボランティアには,さらに南郷中学校生徒と連携する手法も取り入れています。“青少年育成,人材活用・世代間交流・地域活性化”が「人づくり・つながりづくり・地域づくり」を具現化する好例であり,成果が認められます。
 「学校支援地域本部」や「地域学校協働本部」などの組織を編制して取り組んだり,学校の主体的な取組を経て,新たに学校支援コーディネーター(地域コーディネーター)を配置して取り組んだりする事例も増えつつあります。
 大崎市古川西中学校では,前年度に校長が「本校生徒が地域貢献のためにできる活動を生み出したい」という意向を示したことが推進のきっかけになり,学区内の地区公民館長が生徒に公民館活動を紹介し,事業支援ボランティアとして参加を募る“会”が作り出されました。令和元年度当初には,独自にコーディネーターを選任して,地域学校協働活動に取り組んでいます。
 各教育委員会においても,主務課が主導し,取組の改善や充実を図るための関係会議(e.g. コーディネーター会議,推進委員会)を実施するなど実績を増しており,「地域学校協働活動」の理解を更に深め,社会教育行政の重点事項の上位に位置付けつつある様子が見られます。
 各機関・施設におかれては,個人の成長と地域社会の発展の双方に重要な意義と役割を担う社会教育の特性上,なお一層,「多様な主体との連携・協働の推進」の観点を意識して,学校と地域住民を繋ぐ活動に取り組んでいくことが求められます。
 教育事務所としても,「学校を核とした地域づくり」は学校だけで行うものではないことや,“学校は支援を受ける”“学校を支援する”という狭義的な観点に留まるものではないことを,なお啓発できるように進めていかなければいけないと感じています。

実践上の諸課題

課題 各機関・施設が考察する実践上の課題については,「施設の老朽化,施設の保守・管理等」が今年度も最も多く,約半数の機関・施設がこの課題に対峙していることが明らかになりました。
 また,施設の一部を放課後児童クラブ等の他機関と共有することに伴って,社会教育施設として利用できるスペースが狭くなる不都合等が生じ,事業によっては他団体との調整が必要になっているという指摘が増えていることも分かりました。
 老朽化が進む公民館等社会教育施設の改築・改修は,各市町で計画に則って進められています。加美町では中新田公民館設計プロポーザルを経て,住民が公民館の間取りなどについて意見交換するワークショップが開催されています。栗原市では,令和元年度4月に公民館整備基本構想を策定し,若柳公民館に続き,新たに志波姫公民館の整備検討委員会を設置して,拠点整備を進めています。
 今後もこのような取組が見込まれますが,“人口減少社会”に突入し自然減と社会減が顕著な当管内において,全ての施設の改築・改修が進められることは期待し難いことです。
 それゆえに,教育委員会及び各機関・施設は,地域住民が安全に活動できるように施設の保守を徹底してこれを保障しつつ,事業内容を工夫・充実することが求められます。
 放課後児童クラブ等の併設については,放課後子供教室の一体的な実施や,休業日に開催する少年教育事業にクラブ所属児童を参加者として取り込むことなど,そのメリットも数多く認められ,各事業に成果をもたらしています。こういった観点から,今後は他部局と連携した取組こそが地域住民にとっては手厚いものとなり,相乗的な効果の増大が見込まれます。
 課題に正対し,解決した姿を具体的に描き,多様な切り口によって解決方法を考案していくことができるように,教育事務所としてもできる限りの支援に取り組んでまいります。