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平成30年度社会教育機関等の概況【北部】

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年3月4日更新

重点事業

重点 重点事業については,右表に示すように19項目に分類しました。
 管内の各機関・施設で,多種多様な事業を活発に開催していることが明らかですが,同時に,多くの事業に共通していることとして,「ねらいの複合化」を図っているということを認識できます。
 例えば,古川宮沢及び古川富永,古川高倉の3つの地区公民館は,域内の小学生を対象とした3地区館合同事業『わんぱくツアー』を開催しています。この事業を運営するボランティアとして,古川北中学校及び古川西中学校の生徒を対象に参加を募り,『運営ボランティア事前研修』を開催することも合わせ,事業を展開しています。
 この事業では,小・中学生に多様な体験活動の機会を提供することだけでなく,参加したすべての児童生徒に,異年齢間交流や他地域交流の場面を提供しています。地域活動に参画する中学生を育成するということは,「ボランティア育成事業」にも該当します。さらに,当該公民館職員の思いには,“地域の未来を担う人材の育成”という「地域づくり」の観点を踏まえているということも,訪問時の聞き取りから明らかになりました。
 「青少年教育事業」に当てはめた事業の中には,『こどものまち』,『合宿通学』,『放課後子ども教室』があります。これらの事業のねらいは,主たる対象である青少年を育成することに他なりませんが,一方で,事業を実施する主体は子供を取り巻く地域住民であるということに着目すると,この事業を通じた「地域づくり」もまた,ねらいの大きな柱として据えられていると認識できます。
 また,多種多様な事業が活発に開催されていることは,地域社会の要請や地域住民ニーズが多様化していることの裏付けと言えます。各機関・施設は社会教育行政の立場で,こういった要請やニーズを適切に把握し,分析し,合理的に事業化しています。
 「地区文化祭」,「コミュニティ祭り」,「地区民運動会」等は,それ自体に多くの地域住民が参加し交流することを期待できる事業であり,一定の成果が見込まれます。ここで評価すべきは,より多くの地域住民が事業企画・運営に参画し,地域住民主体の事業として地域に定着を図ろうとしている取組です。例えば「地区民運動会」において,少子・高齢化の進む中にあって“どのような競技種目を取り入れることが適当なのか”ということについて,少年から高齢者まで多くの参加者を得るための視点,住民交流の視点,参加者の満足度を高める視点などから,地域住民主体で協議できるように導く取組が見られます。
 今後,「公民館においては,『地域課題解決学習』の推進による地域コミュニティの維持・活性化への貢献,社会的包摂への寄与,社会の変化に対応した学習機会の提供において中心的な役割を果たすことが求められる」とされています。「公民館は,これまで以上に,地域住民が話合いを進め,地域の課題を明らかにし,解決に取り組んでいくための『学びの場』として,地域主導による課題解決型の施設を目指していく」ことが求められます。
 そのために,事業の多様化や価値の誘発ということは,重要な視点となります。宮崎公民館がコーディネートする『加美マルシェ』は,その先進的モデルと言えるものであり,地場産品活用や交流人口拡大によって地域活性化に寄与する成果を挙げています。
 各機関・施設がそれぞれの地域の課題を捉え,課題解決のために地域住民主導の事業を仕掛けたり,社会教育行政の立場から地域住民に学びの場を提供したりできるように,教育事務所として支援の在り方を再構築することが必要と感じています。

学校と連携・協働した取組

協働 学校と連携・協働した取組については,次頁表に示すように10項目に分類しました。
 このことからは,多くの地域で「学校支援ボランティア活動」や「学社連携・協働教育」活動が活発に行われ,各機関・施設は学校の要請に応じ,講師の紹介や事業立案の支援に丁寧に対応していることを改めて確認することができました。積極的に組織をコーディネートして整備し,「学校支援地域本部事業」として定着させている地域も多くあります。
 色麻町公民館の取組は,県内有数の先進モデルとして評価を得ていますが,松山公民館もまた,平成20年度に国が委託事業として創設した当初から「学校支援地域本部事業」に取り組み,事業の進め方,活動の工夫,成果と課題を活かす手立て等を検証し,ここまで継続しています。まちづくり協議会やボランティア活動連絡協議会,放課後児童クラブ,域内幼稚園長及び小・中・高校各校長等によって組織を構成し,持久走の見守り,キャップハンディ体験の実施支援のほか,“サマースクール”教材の採点等,学校や地域の実態に即した事業を展開できるように創意を凝らしています。
 このほかにも,大崎市中央公民館では,市教育委員会生涯学習課が中心となって起ち上げた『古川第三小学校協働教育推進運営委員会』を行政組織内で連携して引き継いで支援しており,古川長岡地区公民館では,学校の要請に応じて支援ボランティアを紹介することを活発に行っているほか,学校と連動した事業を公民館自ら企画して開催しています。
 持続可能な地域づくりを推進するために,“国の宝・地域の宝”である子供の育成に地域一体となって取り組み,共有する課題を解決していくことが,今後ますます重要となります。そのため,各機関・施設が学校と地域住民を繋ぐ役割を主体的に担っていくこともまた,機会を増して求められていくと予想され,社会教育行政にはこれに確実に応えていくことが望まれます。
 “学校支援活動”の観点に留まらず,学校と連携・協働して,持続可能な地域づくりを推進する「地域学校協働活動」の浸透については,まだまだ十分ではない状況ですが,着実に実践され成果を挙げています。
 大貫地区公民館では,地域の自治組織である大貫かぼやま委員会が指定管理者として,地域の活性化を図るために多種多様な事業を開催しており,その一環として「地域学校協働活動」に取り組んでいます。子供たちの学びを円滑にすることや深化させること,また,地域の教育力を発揮することを通じて地域づくりを推進することを目指して,学校田での学習支援,図画工作科学習の補助,裁縫やソーセージ作り等の家庭科学習の支援,プール清掃の補助等を行っています。年間を通して計画的かつ活発に連携・協働活動を展開することは,子供たちが公民館事業や地域行事に積極的に参加する効果をもたらし,館が重点に掲げる“顔と顔が向き合った住民交流”を実現しています。
  「地域学校協働活動」の効果や先進モデルの成果が広く啓発され,地域,学校それぞれの役割や目指す姿について一層の理解と計画的な実践が図られるように,教育事務所としても説明の内容や情報発信の方法を工夫することが必要と感じています。

実践上の諸課題

課題 各機関・施設が考察する実践上の課題については,右表のように13項目に分類しました。
 前年度4番目に多かった回答「施設の老朽化,施設の保守・管理等」が,平成30年度は最も多く挙げられ,40%超の機関・施設がこの課題に直面していることが分かりました。前年度回答数6から急増した背景には,老朽化が著しく進んだということはないにせよ,その状況は深刻であり,そこで従事する職員が日常的に憂慮している様子を伺い知ります。
 また,公民館等施設建造物のほかに,付帯する運動場や野球場,所轄地域内にあるキャンプ場等の施設を保守管理する業務が大きな負担となっているという話の背景には,行政組織改革や緊縮財政による「各機関・施設職員減員を伴うマンパワー不足」が,課題として連鎖していることが分かります。さらには,日常的な機関・施設運営に専心しなければならないあまり,県が行う研修会への参加も思うに任せることができないという意見も伺いました。
 管内の多くの公民館等施設は,昭和50年代前半に公立社会教育施設整備費補助金を活用して建設され,40数年経過していることから,各市町では公民館施設の整備・維持管理等について検討に取り掛かり,計画的に進捗を図っています。色麻町は年度内に大規模改修工事を終え,リニューアルオープンしました。加美町では中新田公民館整備検討委員会が,拠点施設整備に係る答申案を町長へ提出しました。栗原市では,栗原市公民館整備検討委員会設置し,公民館の在り方について意見聴取を進めています。今後,管内で順次多くの施設について検討され,事業実施されていくことが期待されます。
 その時期が来るまで,事業の充実と安定した施設運営を図るために,地域団体及び関係機関との一層の連携が必要です。先に述べた『地区館連携事業』はこの点でも有効であり,職員が相互に学び合うことや“ツールを共有”することによって,職員の資質・技能の向上が期待できます。
 今後,公民館等社会教育施設は,地域の学習拠点としての役割に加えて,“地域コミュニティの維持と持続的な発展を推進するセンター的役割”,“地域住民のニーズに対応できる情報拠点”としての機能が求められていることを踏まえると,現状の限られた職員配置や予算配当で多様な地域ニーズに応え続けることは困難であり,多様な連携・協力を追求していかなければなりません。
 「利用者の固定化・高齢化,若年層の利用が過少」という課題を改善した先には,住民同士の新しいつながりが創出された姿があります。その実現に向けて,関係部局・関係部署で「地域づくり」のための考えを共有し,確認し,地域住民に表出するように働きかけていくことが大切です。また,そのためにも,人員を削減したことによるパフォーマンス低下が事業停滞につながっているということを,首長や関係部局に説明するシステム作りが必要だろうと考えます。
 「利用者・利用団体数が増加し,区分貸与スペースが間に合わず,古い施設であるがゆえの不備が顕在化していること」や,「施設稼働率の増加によって対応に追われ,新規事業の検討や取組が困難化していること」についての意見も伺いました。これらは,機関・施設が抱える重要な課題であると理解する一方,実態背景には,生涯学習・社会教育が振興され,着実に進展しているということも認識できます。
 課題に正対し,解決した姿を具体的に描き,多様な切り口によって解決方法を考案していくことができるように,教育事務所としてもできる限りの支援に取り組んでまいります。