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石巻圏域の松くい虫被害の状況と対策について

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年11月5日更新

石巻圏域の松くい虫被害対策について

1.石巻圏域の松林について

 石巻圏域には,4千ha余りの松林があり,奥松島から牡鹿半島,南三陸に至るまで広く分布しています。
 海岸や島しょの松林は,防風や飛砂防止,魚つきなどの効果があり,急傾斜地では土砂の崩壊を防止しています。また,風光明媚な風景を演出する重要な観光資源にもなっており,私たちの生活と深く関わっています。

宮戸島女川町出島

        特別名勝松島の宮戸島                     三陸復興国立公園の出島(女川町)

   

2.松くい虫被害の推移について

 松くい虫被害は正式名称「マツ材線虫病」といい,夏から秋にかけてマツの葉が急速に褐変し枯死する被害です。

 宮城県の松くい虫被害は,昭和50年に石巻市大門崎ではじめて確認されました。その後の4年間で被害は石巻圏域全体に広がり,平成8年のピーク時には14,000m3まで被害量が増加しましたが,その後は年々減少傾向にありました。

 東日本大震災の影響により薬剤散布等の防除対策が十分に行われなかったことから,平成24年度に一時的に被害量が増加しましたが,その後薬剤散布を再開した効果が現れ,平成27年度には平成になってから初めて被害量が5,000m3を下回っています。令和元年度の被害量は3,789m3と対前年比63%となりました。

 重要な松林を保全するために,総合的な防除対策が引き続き必要とされています。

  

グラフ

 

被害木伐採空中散布実施状況

          被害木の伐採状況                           空中散布の実施状況

 

3.松くい虫被害の仕組みについて

 松くい虫被害は,「マツノマダラカミキリ」に寄生する「マツノザイセンチュウ」がマツの樹体内に入ることで通道障害(水を吸い上げる能力が阻害)を起こし,枯れる仕組みになっています。

 マツノマダラカミキリはマツの若い枝の樹皮を食べるので,その際,かみ傷からマツノザイセンチュウがマツの体内に侵入します。また,マツノザイセンチュウにより弱ったマツにマツノマダラカミキリは産卵し,成長すると翌年の6月頃に体内に多数のセンチュウを寄生させた状態で羽化脱出し,被害が拡大します。マツノマダラカミキリはメス一匹あたり約100個の卵を産卵するとも言われてます。

メカニズム

 

4.松くい虫被害の対策について

 松くい虫の防除対策は,薬剤散布や樹幹注入により被害発生を抑止する一方,被害発生の際には速やかな駆除を実施することにより被害の拡大防止を図る必要があります。

 具体的な防除対策として,「予防」・「駆除」・「再生」があります。

 「予防」は守るべきマツが枯れないようにするため,薬剤の散布や幹への薬剤注入を行うことで,マツノマダラカミキリの殺虫やマツノザイセンチュウの侵入・増殖を防止する効果があります。

 「駆除」は被害を受けて枯れたマツを伐倒,薬剤処理等をすることにより,被害木内のマツノマダラカミキリを殺虫し,羽化脱出を防ぐことから翌年の被害拡散を防止することができます。

 「再生」はマツノザイセンチュウ被害に強い抵抗性のあるマツを植栽し,景観回復を図ることです。特別名勝「松島」地域など,マツが重要な景観形成に寄与している地域では,松枯れ跡地におけるマツ林の再生は重要な取組です。また,抵抗性マツの植栽は産卵リスクを減らすことにもつながります。