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脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症)は、交通事故等を契機に発症し、頭痛やめまい、倦怠感など多様な症状が生じる疾患である。平成28年からは診断基準に基づく硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)が社会保険適用となり、専門的な診療体制の整備が進んでいるが、社会的認知は十分とは言えない。
脳脊髄液漏出症の患者及び家族を支援する団体からは、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)では障害等級12級の認定が多く行われているが、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)では後遺障害等級が適切に認定されておらず、多くの患者が救済されていないとの指摘がなされている。
こうしたことから、脳脊髄液漏出症に苦しむ患者が自賠責保険の後遺障害等級の適切な認定を受け、必要な治療が受けられるよう支援体制の充実が求められる。
よって、国においては、公平性と透明性の高い自賠責保険の後遺障害等級の認定体制を整備し、被害者救済の理念が十分に発揮されるために、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 自賠責保険の脳脊髄液漏出症に関する後遺障害等級の認定手続について、高次脳機能障害と同様に、専門医による認定の仕組みを構築すること。
2 自賠責保険において後遺障害等級を審査した際の根拠資料について、被害者やその代理人及び関係機関等が開示を求めた場合、労災保険と同様に、開示される制度とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月17日
宮城県議会議長 佐々木 幸士
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣 宛て
近年、SNS等のインターネット上において、特定個人や団体に対する誹謗中傷や真偽不明の情報が瞬時に拡散され、人権侵害につながる可能性のある事案が増加している。
特に、昨年の兵庫県知事選挙や、本年10月に執行された宮城県知事選挙において、候補者や関係者に対する虚偽情報、人格攻撃、さらには匿名アカウント等による誹謗中傷・虚偽情報の拡散等が確認され、選挙の公正性や県民の政治参加に深刻な影響を及ぼした。
しかし、現行の公職選挙法は、SNS等を中心とした匿名性の高いインターネット空間を前提としておらず、誹謗中傷・虚偽情報や選挙妨害を迅速に抑止するための実効的な仕組みが不十分である。
匿名アカウント等による誹謗中傷・虚偽情報の拡散等に対し、被害者が利用可能な法的手段は、主として情報流通プラットフォーム対処法による発信者情報開示請求であるが、手続には長期間を要し、選挙期間中の被害拡大防止には通常間に合わない。公職選挙法には、迅速な情報開示を可能にする制度的枠組みが存在しておらず、制度に大きな空白が生じている。
また、公職選挙法第142条の「文書図画の頒布」は、紙媒体を前提とした概念であり、SNS投稿や動画・画像の拡散が「文書図画」に該当するか否かの解釈が統一されていない。このため、インターネット上で行われる誹謗中傷・虚偽情報の拡散等が公職選挙法違反と認定されず、対応できない事例が発生している。
さらに、選挙妨害の多くを占める匿名アカウント等による投稿について、公職選挙法では直接規制することが困難である。候補者、政党、後援会など特定主体を前提とする現行制度では、「第三者による悪質な選挙妨害行為」が規制対象外となり、名誉毀損等の民事・刑事手続に頼らざるを得ない状況が続いている。これらの手続は選挙期間中の迅速な救済につながらず、重大な制度的欠陥となっている。
民主主義の根幹である公正な選挙を守り、県民の尊厳と安全を確保するためには、国において、表現の自由に十分に配慮しつつ、インターネット時代に対応した法制度の整備を早急に進めることが必要不可欠である。
よって、国においては、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 選挙期間中のみならず、日常的に誹謗中傷・虚偽情報の拡散等を抑止するため、SNS等の投稿に対する迅速な削除措置、第三者による悪質な選挙妨害行為への処罰規定及び選挙の公正を確保するための実効的な仕組みを整備すること。
2 発信者情報開示手続を簡素化し、匿名アカウント等による誹謗中傷・虚偽情報や選挙妨害の被害者の負担軽減につながる制度改正を図ること。
3 SNS等のプラットフォーム事業者が、虚偽情報やなりすましアカウント等による投稿の拡散防止、アカウントの実在性確認等の対策を強化するよう、取組を拡充すること。
4 地方公共団体が誹謗中傷対策として行う相談支援体制の整備、インターネットリテラシー教育、啓発活動、被害者支援などの取組を強化するため、国による必要な財政支援及び情報連携体制の整備を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月17日
宮城県議会議長 佐々木 幸士
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
内閣官房長官
デジタル大臣
国家公安委員会委員長 宛て
幼児教育は、子供の認知能力、言語、社会性、情緒等の発達に大きく寄与することが明らかとなっていることから、人格形成の基礎を培うために極めて重要なものであり、将来の社会を担う人材育成の観点からも、良質な教育環境の整備は国の責務である。
現状、宮城県の令和6年合計特殊出生率は 1.00 と全国平均を下回り、園児数減少は深刻さを増している。
また、光熱費、食材費等の高騰の影響により、施設が提供する教育・保育サービスの実費相当額も増加しており、私立幼稚園・認定こども園の経営環境は厳しさを増していることから、地域の子育て基盤が揺らぎつつある。
さらに、教員不足や養成校の定員割れなど、人材確保も厳しさを増しており、現場の負担は限界に近い。
県内の施設の多くは保護者や地域と連携し、子供の安全確保と教育の質向上に努めているが、全ての子供が平等に良質な幼児教育を受けられる環境を維持及び発展させるためには、国における制度的・財政的支援の一層の強化が不可欠である。
よって、国においては、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 幼児教育・保育無償化について、物価指数や社会経済状況等を的確に反映した上限額の引上げを早急に行うとともに、将来的に定期的な見直しを可能とする明確な算定基準を国において整備すること。
2 原油価格高騰への対策、電気・ガス料金の負担軽減措置、給食食材費補助など、幼児教育施設に対する物価高騰対策を継続的かつ安定的に講じるとともに、激変緩和措置を含めた実効性の高い支援制度を確立すること。
3 私立幼稚園・認定こども園に対する運営に係る補助金等を安定的に継続するとともに、幼児教育の重要性を踏まえ、補助水準の引上げや対象経費の拡大など、実態に即した支援措置を拡充すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月17日
宮城県議会議長 佐々木 幸士
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣 宛て
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