掲載日:2012年9月10日

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みやぎ景観懇話会/第1回議事録

第1回みやぎ景観懇話会の開催概要

第1回みやぎ景観懇話会の様子です。

日時:平成18年4月26日(水曜日) 午前10時00分から

場所:宮城県行政庁舎 9階 第1会議室

会議資料(PDF:469KB)

次第

1.開会

2.あいさつ

宮城県土木部建設交通局長 梛野良明

3.座長及び副座長の選任

座長に大村構成員,副座長に森山構成員が互選により就任。

4.説明

  1. 景観法の概要
  2. 県における景観形成への取組について
  3. 宮城県の代表的な景観

5.意見交換

座長
数年前に同様の会議があり私が参加した経緯がある。委員が熱心に意見を出したが,その結果があまり出ずに,また同様の会議を開くのかという思いもある。
今度は,理念というだけではなく,実際に宮城県の各市町村に行き渡って,良い県土を作ることに努力するような,システムまで含めていろいろ議論していったらいいのではないかと考えている。

柴崎委員
事務局の説明では,前回策定した景観指針が十分に浸透していないということであったが,しっかりと反省を踏まえておかないといけないのではないか。

座長
最終的には,景観行政を取り組んでいく場合,市町村になるわけだが,市町村にどれだけ意識があるか。県では,計画を進めようとある程度まとめているが,それが市町村のいろいろな業務の中で「かなりこれが価値があるんだ」という説得力を持ちきれなかったという気がする。他の日常的な事に追われ,「景観」が市町村行政の中の意識にはあまり強く入らなかった。その辺のところをどうしていくかという問題があると私も感じていた。
いい景色の集落があっても,それが景観的に優れていると自覚していない地域も結構あるではないかと思う。

柴崎委員
宮城県は非常に早く景観に取り組んだと思っている。これまでの景観に関する宮城県の取り組みをワンペーパーにまとめて欲しい。

事務局
資料として渡したのは,都市計画課が携わったものだけなので,環境行政を含めた景観に関する宮城県の取組に関する資料を提供したい。

森山委員
東北6県を視野に入れながら宮城県の景観を考えていくという視点が大事ではないか。
既存の資料を活かしながら,ないところを協議していくような形で進めて欲しい。

平野委員
景観法についての特徴は大きく以下の3つ。この特徴をどう生かしていくかが,景観法を活用していくポイントになると思う。

  • (1)行政組織上の下位の団体が上位の団体に指示ができる…協議して了承を得てからということにはなるが,話し合いの中でイニシアチブをとって良いということになっている。
  • (2)緩和措置が付いた…景観法ができる前でも,意欲のある自治体であれば,地区計画を立て,それに基づいて条例を策定すれば,今の景観地区とほぼ同じことができた。今回の法整備を契機として広がったわけではない。例えば,既存不適格といわれる伝統的建築物を改修する時に,斜線制限や建ぺい率制限などの建築基準法上の制限について緩和措置を適用させることにより,外観を保ちながら改修ができるようになった。
  • (3)認定ができる…従来は禁止事項を条例に全て書き込むことが必要だったが,景観法が出来たことで事前審査ができるようになった。

横山委員
宮城県の景観形成の流れを説明してもらったが,素晴らしいことをやっていると思う。にもかかわらず,宮城県の景観を誉める人があまりいないのは,実際に活用する市町村や住民まで行き届かなかったからか。何よりも経済的なことが一番大きかったからではないかと思う。
自治体の財政的な部分はある程度やむをえないので,せめて,都市計画課だけではなく,他部局も含めて取り組む体制を整えて欲しい。
屋外広告物や景観重要建造物などが一例だが,他人の財産に対して「言う」ことはできても,そこから「守る」ところに入っていけないなど,理念は分かるが,実際はそうはいかない例が多くある。景観の保全をすることで,一時的には経済的な負担になるが,観光や企業誘致や学生の永住などの付加価値ができて,後々経済的には増加になるはずである。そこをいかに住民に理解させるか方策を考えたい。
ここで作ったものをあわせることにより,より良い景観指針になるといい。

平野委員
景観部分に関して行政ができることは,(1)制度をつくること(2)自分たちが管理している「もの」の景観をどうするかの2つしかない。
今までの宮城県の景観の取り組みが空回りしていたのは,制度がつくられたわけでも,自分達が「もの」をつくるときの指針になったわけでもないからである。最終的には制度や「もの」をつくるときの指針等をつくることにつながっていくと良い。
景観法では規制しかできないという限界がある。これでは美しいものは生まれない。
行政は自ら「もの」を作ることもしているので,いかに美しいものをつくるかも非常に重要な課題である。ここは土木部関係者との協調が必要である。

柴崎委員
日本で最初に,環境に景観上の評価法を取り入れたのは宮城県ではないか。景観が社会的な意味を持っていたことも評価しておかなければならない。

座長
規制だけではなく,誘導つまりは地域住民の地道な活動の支援というのも行政ができることではないか。
20世紀は変わることが当たり前のような雰囲気があったが,その認識をどう変えていくか。守っていこうという気持ちを住民に起こさせる仕組みが大切。イギリスのナショナルトラストのような動きなどが市民レベルの中から出てくることが期待される。
仙台市には「都市景観賞」がある。市民にいい所を意識させるという良さがある。景観サポーター制度も面白い。だが,景観サポーター制度のようなものは,地方では難しい所があるのではないか。
地元の人たちに地域の良さを話して理解させる方法が大きなテーマか。
横山委員の話にもあったが,個人の所有物であるため,景観について思いのある人でも,金銭的な負担が難しいという点で,泣き寝入りみたいにならざるを得ないという状況もある。これをどう変えるかも,重要なテーマである。そういう時に少し動かせるお金があるといいのだが,残念ながら仕組みをつくれていない。

山崎委員
景観は,「もの」だけではなく「人」,そこに熟成されてきた「歴史」も含めて構成されているものと考えている。現在の経済的な状況も考慮すると,あるものを活用することをベースとして考えている。あるものを活用するとは,住んでいる人を基本にするということ。資料の「景観構成要素」の「景観形成指針」の「公共事業」の中に,「新しい職業の創出」というのを入れて欲しい。地域の中に,確実に,その景観を育成し広めていく「職業人」を生み出すということも盛り込むような方向を議論していきたい。

西大立目委員
景観は,日常の中で一番後回しにされていくものではないか。市町村は,美しい街並みよりは,漁業・農業をどう維持していくかが優先され,気づくと周りの景観が随分汚いものになっていた,というのが現状だと思う。都会から戻ってきた人達は,ふるさとの風景が壊れていくことに対して危機感を持っているが,ずっと暮らしている住民は,住んでいる町の街並みに価値を見出すことが難しい面がある。
最終的には,景観は住民がやるしかない。だから,そこに暮らす人々に,この景観がいかに価値あるものかについてどのように意識づくり・醸成をするかが重要。手っ取り早いのは,グリーンツーリズムのように,外から来た人達に地元にある景観の価値を教わることだ。
蔵王のお釜とか,誰が見ても宮城の代表的な景観のような,既に評価が定まった景観ではなく,何気なく見過ごしている,生産や暮らしと一体になった風景であるとか,美しい景観として意識されていないものをどうやって拾い上げていくかが大事である。
宮城県の場合は,自然景観が大きな要素としてあると思うが,この自然景観は第一次産業と一体になっている。農業や漁業と一体化して考える仕組みをつくれないか。

柴崎委員
環境省の「景観資源調査」で,大景観と中景観と小景観という分け方で一度検討をしたことがある。このような過去の資料を活用しながら,地元の人々に街の良さを再認識してもらった時に,初めていろいろな意味で地域の景観を大事にする核ができあがると思う。

磯田委員
景観というものは,お役所に任せておけばいいと思っていたが,最近おかしな看板が立つなど,私たち住民もこのままではいけないと思い始めた。各自治体は住民に対して情報を提供しているのだろうが,十分に伝わらない。目詰まりをおこしているのかもしれない。「このようにしていきたい」というものをもっと公開して欲しい。
住民自身も意識してアピールしていくような小集団をつくっていきたいと考えている。

伊藤委員
景観形成指針という素晴らしいものがあるので,また新しくということではなく,どう実行していくかということを議論したい。一般の目に見えるような形で,インパクトのあるものを1つでも取り入れれば,後から住民が自然と続いていくと思う。
指針を行動に移していくための人づくりが重要である。景観は,自然物やものだけでできあがるものではなく,「人」が関わってこそ人を感動させるものがつくられていくと思うので,そういう活動をする人や生活していく人が納得して良い景観をつくっていける方策を考えたい。

中村委員
「杜の都の景観をつくる条例」を仙台市は定めているが,制定する際,行政サイドだけでつくったのでは,どこかおかしなものができるのではないかということで平成7年に「景観サポーター制度」を設けた。今まで延べ670数名の参加があり,いろいろな議論や調査を手伝ってもらっている。条例で逐一定めようとしていることに,景観サポーターの助言をもらって進めてきたという経緯がある。こういった懇話会の議論だけで全部決めてしまうのではなく,市民・県民のいろいろな意見や参加のもとに,ある共通の指針・目安ができてくると思う。

島本委員
登米市は昨年17年4月1日に9町が合併した。合併前は,9町が個々に歴史や経済,文化に根ざした独自の街づくりをしてきたので,それぞれに根付いた文化を大事にしながら景観も考慮し,この18年度に条例の整備をしようと進めている。
登米市は,北上川から東側には北上山系が,西には田園風景,湖沼があり,市民は人工的ではない自然景観を365日見ている。だから,改めて景観の整備という話になると,どうして必要なのかということもある。産業構造あるいは生活環境の整備が先に立ってしまって,今までは景観が後回しになってしまったということがある。

横山委員
県内での「景観行政団体」は県と仙台市だけであるが,市町村の役割が非常に大きいので,「景観行政団体」をいかに多くしていくかというのも,非常に県民に分かりやすい指標になると思う。
市町村が条例やいろいろなものをつくっていくのは大変なことだと思うので,県は,専門家の紹介や,ガイドラインのようなものをつくってはどうか。

柴崎委員
「追波の萱原」が入選している「日本の音風景100選」等の資料を大いに参考にしてもらいたい。
景観に対して意識を持っている住民がいる地域は県内にもたくさんあるので,そういう住民の思いを支援する方策も検討すべき。

座長
景観,産業,地元の人たちの意欲等が,うまく結びついていくことが重要。
私の一つの視点だが,例えば一迫の金田地区とか小さな集落でも,まだまだ面白いところがいっぱい宮城県にあると思う。そういうものを皆で掘り起こしていくということが大切。「評価されているもの」と「評価した方がいいのではないか」というものをもう一回検討してみることも重要。
良い景観があるところで既に地元住民がしっかりと認識しているところはある。しかし,その景観を維持していくということ自体が大変になってくるのだが,観光面での支援等をどうしていくかといった方法の議論が必要になってくる。

柴崎委員
宮城県に「ふるさとみやぎ文化百選」というものがあって,その中に「まちなみ」というのがある。既にある資料を活用すれば,何かのヒントがたくさん生まれるのではないか。自分の地域が良い所だと気付かせるためにそういう資料を活用するということも大事。

平野委員
日本人の景観に対する意識は,実は,建物に対して信頼を置いていない。古い良い建物が残っているのは,一時期栄えて立派な建物を建てたが,その後一向に栄えず次の新しい建物を建てられなかったというだけであり,栄え続けていればどんどん建物は建て変わっていくものである。木造建築物が多く,大火で消失しやすく耐用年数が短い関係もあり,自分のふるさとの記憶の拠りどころにならなかった。
実は周辺の自然の風景に信頼を置いていた。例えば,この道からはこの山がいつも見えた,この坂道を見下ろすとあの川がいつも見えたという,空間の組み立て,眺望が,日本人の記憶の拠りどころになっている。景観の資源ではなく,景観資源を人がどこから見て,どのように認識しているかという「風景そのもの」を守らなければいけない。例えば,「街路」は風景を見る「装置」だったわけであるから,その「装置」をどう守っていくのかということも,とても重要な視点である。

座長
街の賑わい等が最近重要視されているが,それをどうやってもう一度取り戻すかを考える時に,景観が重要な要素の1つとも言える。

森山委員
大変良い景観法ができたと思っている。これをどう使うかという時,平成10年につくった宮城県の景観形成指針をベースにしていいのではないか。ここに不足しているデータ等を今後どうつくっていくかを議論していきたい。
指針の中でも「パートナーシップ」をうたっているが,やはり,住民が主体になる景観形成でないと持続性がない。
景観法の基本理念をベースに考えるならば,日本の歴史的な生活を見直す際に,新しい考え方と同時に古い考えをもう一度検証してみることも,景観を形成する上で1つの方向性を示すことができると思う。
景観に対する評価は,経済的側面,美的感覚,地域住民,観光客,それぞれにいろいろな見方がある。その分析方法として,仮想市場法という調査法なども参考にできるか。
NPOの動きや住民の景観に対する意見をできるだけ多く取り入れて,検討ができれば非常に良い。

平野委員
宮城県景観指針は非常に良くできている。問題はこれが何の施策にも繋がっていないこと。
景観法というのは,実は,やる気のない基礎自治体を切り捨てる法律である。景観に関して全てのことはできるようにした。どんな小さい町でも,県と協議すれば景観行政団体になれる。都市計画法そのものも基礎自治体である市町村にどんどん権限が移っている。そういう状況で,県は何をすべきなのか。県の都市計画行政や景観行政というのはこれからどうすべきか。

座長
市町村には,景観について前向きな意見を持っている人や資質がある人はたくさんいるが,実際に実行するとなった場合,できる人はそうはいないような気がする。県は人材の育成や,どう指導し,一緒にやるかが大切。知事が,市町村とパートナーシップをやると言っているような意味合いではないかと私は理解した。
都市計画を策定する際などは,県民から活発な意見が出てこなければならないのに,都市計画図などはわかりにくく,結果,あまり出てこないということがある。都市計画を考えた際,景観というのは,皆にわかりやすい指標ではないか。
地元の人は見慣れていて,何とも思っていない景観が「本当はすばらしい」という声をみんなから上がるようにしてやらないといけない。それは基礎自治体である市町村よりは,少し離れている県や大学の方がやり易いと思う。
住民自らが「自分達が関わらないと何ともならない」と自覚しないと,結局は変わらない。地元の人のやる気を出させる,パートナーシップを組んでいく,良い景色というものをいかに住民に理解してもらうか,それをどう残すかという方法を考えさせる,そういう方策を考えたい。
財政的に難しいのはわかるが,何かをやる時は,やはり幾ばくかの財政的支援が必要だと思う。
ナショナルトラストファンドのようなものつくるのは,東北あるいは県レベルの話ではないか。

柴崎委員
一定規模以上の生態系を維持していかないと自然景観は生きてこない。こうした管理は県レベルでないとできないものであり,県の大きな仕事だと思う。
船形山から松島にかけての県中央部は,自然景観上最も重要なものがあり,それらが虫食い状態になったのでは,都市景観だけがよくても,非常にさびしいものになる。

6.今後の懇話会の進め方について

  • 現地視察(6月9日(金曜日))
    大崎市,登米市(旧登米町)方面を予定
  • 第2回懇話会(7月)他県
    の景観形成に向けた取組状況
    景観行政の基本的な考え方(論点整理)
  • 第3回懇話会(11月)
    景観行政の基本的な考え方(方針素案提示)
    「景観行政の基本的な考え方(素案)」に対するパブリックコメント募集…(約1か月間)
  • 第4回懇話会(2月)
    景観行政の方向性について(最終案)

7.閉会

事務局
本日は貴重なご意見をいろいろいただき,ありがとうございました。
平成10年3月に大村先生はじめその時の委員の皆さまからご意見をいただいて,立派なものをおつくりいただいたが,発展的な展開ができなかったという反省もある。景観法も制定されたので,一歩前に踏み出せればと思っている。
住民とのコラボレーション,評価されていない景観に対する掘り起こし,隗より始めよということで,公共施設等の景観からはじめなさい。さらに,つくるだけではなく,職業人を育成するという意味での仕掛けも必要ではないかというソフト面での支援など,いろいろな貴重な意見をいただいたので,今後の施策立案の参考にしていきたい。

お問い合わせ先

都市計画課行政班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-3132

ファックス番号:022-211-3295

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