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農業生産の動向

農家数の動き

2020農林業センサスによると管内の総農家数は4,092戸で、2015農林業センサスと比較すると1%の微増とほぼ横ばいとなっています。農業経営体数は2,046であり、うち個人経営が1,969、団体経営(個人経営以外)77で、団体経営のうち、法人経営は55となっています。2015農林業センサスと比較すると、農家経営体は870経営体が減少しています。経営体の区分が変更されているため単純に比較はできませんが、個人経営では897経営体が減少し、団体経営(法人経営含む)が27増加しています。東日本大震災(以下「震災」)により多くの農家が離農し、その後も離農する経営体が増加しているものの、震災の復興に合わせて団体経営が大幅に増加し、その後も増加する傾向となっています。

管内の経営耕地面積規模は、0.5~1.0ヘクタールの経営体が約23%、1.0~1.5ヘクタールの経営体が約18%となっており、全体の4割を占めています。50ヘクタール以上の規模となっている経営体数は22で、全体の1%となっています。震災以降、担い手組織等への農地集積が進んでおり、今後もこの零細層の減少と経営規模の拡大が進むものと予測されます。

農業産出額の動き

令和3年の管内の農業産出額は124億7千万円で、主な耕種等別では野菜64億5千万円(52%)、米46億2千万円(37%)、畜産4億6千万円(4%)、果実2億5千万円(2%)、花き2億4千万円(2%)となっています。県全体の耕種別の割合では畜産が約43%、米が約36%を占めていますが、管内では野菜の産出額が一番大きく、野菜の生産など園芸が盛んな地域となっています。

作目別の生産動向

管内は、東北一の産地であるいちごや、指定産地となっているきゅうりなどの果菜類を始めとした野菜のほか、花き類、果樹など多彩な園芸作物が生産されています。

いちごについては、震災前に主流だった土耕栽培から高設養液栽培に切り替えられ、平成26年からは大規模な団地による生産が再開、販売額は令和元年までに震災前のほぼ9割まで回復しています。

土地利用型作物については、被災エリアを中心に大規模な土地利用型農業法人が多数設立され、水稲では作業の効率化やコスト低減を目指した直播栽培などの取組が増加するとともに、複合部門としての野菜や果樹の栽培に取り組む事例も見られます。

管内西側に位置する傾斜地の多い農地は震災の影響も少なく、従来から栽培されているりんごのほか、新たにいちじくなどの果樹産地が形成されています。

畜産関係は、管内の畜産農家が少なく、耕畜連携などによる土づくりが課題となっています。

さらに、安全安心な農産物の生産・流通関係では、農業生産工程管理(GAP)、トレサビリティーといったリスク管理の取組が進められています。

土地利用型作物

令和4年産の水稲の作付面積は約5,629ヘクタールです。沿岸部では震災により営農をやめた農家が多い一方、震災後新たに設立された集落型農業法人(名取市、岩沼市)や、中核的大規模農家(亘理町、山元町)など、大規模土地利用型経営体が主体となって水稲生産を行っています。

各経営体の水稲作付面積拡大に伴い、育苗に係る施設や労力の不足が生じることなどから、水稲直播栽培の導入が進んできています。播種方法としては乾田直播の割合が湛水直播を上回りつつあり、この傾向は今後も続くとみられます。

麦類は、令和4年産は六条大麦が約63ヘクタール作付されています。

令和4年産の大豆は、約833ヘクタールで栽培されています。震災後は従来の転作組合等に加えて、沿岸部で新たに設立された大規模土地利用型経営体などにより生産が行われています。作付品種はほぼ全量が「ミヤギシロメ」です。

そばは、令和4年産で約51ヘクタール栽培されています。作型は秋そば中心です。

野菜

管内の主要品目として、いちご、きゅうり、トマト、せりなどが生産されています。

このうち、いちごは、亘理町、山元町のいちご団地(40ヘクタール)における高設養液栽培の取組や農業法人あわせて、作付面積(令和5年産)は、約68ヘクタールで、このうちみやぎ亘理農業協同組合いちご生産部会の生産は約52ヘクタール、約32億円となっています。

きゅうりは、名取市、岩沼市を中心にハウスでの年2作型で約30人の生産者と1法人が栽培しています。

せりは、名取市が「仙台せり」として全国有数の産地となっており、令和元年産で4億円以上の販売額となっています。

沿岸部被災地域のほ場整備事業で整備された大規模な畑地において、複数の土地利用型経営体が、ねぎ、たまねぎ、さつまいも、キャベツ等の露地野菜を大規模に取り組んでいます。また、近年、加工用ばれいしょの作付に取り組む動きもみられます。

果樹

基幹品目はりんごで、管内全体で約60ヘクタールの栽培面積があります。高齢化及び後継者不足により、栽培面積は年々漸減しています。地域ごとに生産組織があり、栽培講習会や病害虫共同防除が行われています。主要品種は「ふじ」で、りんご栽培面積の約80%を占めています。

山元町を中心に甘露煮原料用のいちじく栽培が行われており、約10ヘクタールの栽培面積があります。近年は、法人を中心に生食向け栽培も行われています。

その他の果樹では、ぶどう、もも、おうとう、ブルーベリー、アセロラ等が栽培されています。

花き

管内では、カーネーション(名取市、岩沼市、亘理町)、ばら(名取市)、きく類(亘理町)等の切り花が栽培されており、県内でも主要な産地となっています。また、シクラメン等の鉢物類(亘理町)やパンジー等の花壇用苗物類(岩沼市)の栽培も行われており、花き全体の販売額は、令和3年産で4億2千万円になっています。
近年、管内のカーネーション産地では、燃油コスト削減のため、ストック等の低温開花性品目を導入する動きがみられます。また、主要な害虫であるハダニの天敵を活用した防除、冬期の燃油消費量削減のための日没後短時間昇温処理等の栽培管理面における新技術の実証、導入検討が行われています。

みやぎ亘理農業協同組合花卉部会では、きく班で共選・共販体制が定着していますが、経営の安定化を図るため、省エネによるコスト低減と上位等級品の割合を増やすことが課題となっています。洋花班では、カーネーション、トルコギキョウの生産を主体としながら、連作障害の回避や冬期の暖房コストの低減を図るため、ストックやきんぎょそう等の低温開花性品目を取り入れた栽培が行われています。直売向け用花きの栽培も増加しており、直売所の意向を受けた少量多品目生産に取り組む生産者が増加しています。

畜産

乳牛は、戸数及び飼養頭数とも年々減少傾向にあります。管内で4戸が乳用牛群検定に加入し、泌乳量や繁殖成績の向上に取り組んでいます。飼養管理では、受精卵移植による黒毛和種子牛の生産が特徴です。飼料作物の栽培面積が減少傾向にあることから、全般的に飼料自給率が低く、購入飼料への依存度が高い状況にあります

一方、平成21年度から山元町で稲発酵粗飼料の生産に取組んでいましたが、平成27年度に亘理町でも取組が始まり、亘理町稲WCS生産組合が発足するなど、粗飼料の自給力向上に向けた動きがあります。

肉用牛は、繁殖・肥育とも水稲との複合経営がほとんどであり、高齢者による1~2頭飼育が多く、大規模な飼養農家は少ない状況にあります。

農産加工品の生産動向

名取市と亘理町に農産加工に関する協議会があり、名取市では味噌、大豆煮、たけのこの水煮など、亘理町ではジャムや漬物などを製造しています。

りんご生産者の一部では、委託製造によるりんごジュースを販売しています。

さらに亘理町や山元町の農業法人では、生産したいちごを原料とした菓子や冷凍いちごなどのほか、いちごを原料にしたワインの製造販売を行っています。

お問い合わせ先

亘理農業改良普及センター地域農業班

宮城県亘理郡亘理町逢隈中泉字本木9

電話番号:0223-34-1141

ファックス番号:0223-34-1143

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