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令和2年度協働教育研修会【北部】

令和2年11月26日(木曜日)に大崎合同庁舎において,「北部管内協機教育研修会Jを実施しました。
北部管内の小学校職員や地域支援者,各市町教育委員会職員等,68名が参加し,『学校・家庭・地域が相互に教育力を活用して,地域の子供を地域全体で育む』ということについて理解を図るため,聴講やグループ協議を通して研修しました。

【講演】地域の社会資源がつながった教育活動の成果~持続可能な地域社会の実現に向けたSynapse40の取組から~

〔講師〕特定非営利活動法人Synapse40 代表理事 千葉繁美 氏

1小学校・4中学校の校長を歴任した干葉氏は,「体験することは楽しいことだが子供たちにとってそれだけでよいか」,「教職員は転勤してその地域にいなくなるが子供たちを含めた地域住民はそうではないことを,学校教育はどう捉えて行われるべきか」等の観点を抱いたことが,当該団体を設立したきっかけになったということを,冒頭に発表しました。
学校教育でも地域活動(社会教育)でも,現状を整理して手立てを講じることが定理であるとした上で,「『問題』とは目標と現状のギャップであり,『課題』とは問題を解決するために取り組むべきことを明らかにしたもの。問題を解決したときの姿はどのようなものか,そのためにどのようなことを行っているかということを,それぞれ整理する必要がある。」と教授しました。
内閣府の調査データから見て取れる,“現代の若者”の問題点と,この改善に向けた,若者が自己肯定感を抱くことができるようにする社会的取組の重要性を指摘した上で,自らの団体が「地域の社会資源(ひと・もの・こと)を発掘し,0歳から親世代までを対象にした『子供の学び支援』及び『人材育成プラン』を普及啓発」することを課題(ミッション)に取り組んでいる事例を紹介しました。
社会状況の変化に応じた教育を行うためには,学校教育と社会教育を同一の方向性で推進していく必要性があることを述べ,「学校支援,あるいは外部人材を活用した教育活動等,学校と地域住民の関係性を明確化し,『総合化・ネットワーク化』した体制づくりが望まれる」と説明しました。さらに,地域の社会資源を効果的に組み合わせることによって“協働”の関係を作り出し,子供の教育活動につなげるということの重要性を述べると同時に,それぞれの立場で主体的に取り組むことを促しました。
研修の様子1 研修の様子2 研修の様子3

【実践発表】オール月将館小学校(学校,家庭,地域の連携・協働)の取組

〔発表者〕涌谷町立月将館小学校 校長 朝日田顕志 氏

朝日田氏はこの取組を進めるに当たって,「地域の方々に学校に足を運んでいただき,児童の様子を見て欲しい,教員が頑張っている姿を見て欲しいという願いがあった」,「学校の敷居を低くして“地域のプラツトフォーム”になる必要性を感じた」ということを発表しました。これによって,「“みんなで一緒に”という意識を共有し,当事者意識をもって子供たちの教育活動に参画してもらうようにして,『社会に開かれた教育課程』の実現に迫りたい」と,学校経営方針の一端を示しました。
協働の在り方を探るために昨年度から毎月1回,情報交換会を開催し,活動内容の具現化に向けて「あったらいいなあ一覧」を作成したことなどを紹介しました。ボランティアルームに子供たちからのお礼のメッセージを掲示したり,廊下壁面に住民ボランテイアの活動を紹介するコーナーを設けたりしたことによって,地域からの学校への信頼度が高まることにつながった様子も説明しました。
コロナ禍によって情報交換会の開催や学習支援の受入れを中止した一方で,地域との“つながり”を途絶えさせないよう,校舎内の「清掃・消毒ボランティア」を依頼し,これまでの約4か月間でのべ763名の地域住民に協力を得た事例も説明しました。朝日田氏は,「この数字に,学校に寄せられる期待の大きさを感じている。」と述べました。
「連携・協働の取組は子供たちにとって『多くの人とかかわるとのできる貴重な機会』であり,たくさんの人に見守られている実感から『自己存在感を高める』効果を生み出している。また,その分野を得意とする方からの指導を得ることを通して,視野を広げ,自らの可能性を広げることにつながる。」という,実践に裏付いた朝日田氏の言葉は,多くの参加者に新たな気付きを与えました。
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【グループ協議】多様な主体が子供とつながるプログラム

協議を行う前に,今年度の「指導目標」または「活動のねらい」に応じた達成状況を確認・評価した後,学校だけでは子供の思考や体験が深まりにくい内容を洗い出し,連携・協働活動の目的を整理するということに個別に取り組みました。その後,隣席のペアで,子供の学習活動をより深めるための「連携・協働による取組」の基本構想について意見交換しました。
教職員,地域支援者,行政のそれぞれが主体的な立場で進めることの重要性や,地域の“ひと”や“こと”ならではの教えのよさ,できる可能性のある内容のリスト化など,活発に情報や意見を交換する姿が多く見られました。
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参加者の事後アンケート

<原文のまま ※一部抜粋 ※研修内容に関すること>

  • 学校と地域の関係を満足していましたが,もっともっと学校が地域に働きかけしてもいい,そうすることで子供たちの成長にも良い影響を与えることができると学びました。これからの協働教育について考えることができる良い学びができました。
  • 学校は学校としてその役割を一人一人が確実に果たせるよう力量を上げる,地域は「自分たちの学校」として支え盛り上げる,学校と地域が補かんし合うとともに,互いが互いを高めていけるような関係性をどうやってつくっていくかを考えていくことは大切だと感じた。
  • 「子供は地域で育てよう」という観点から,積極的に地域の教育資源の有効活用を心掛けています。協働教育を教育計画に位置付けて取り組んでいます。教科・領域とのつながりとして,下学年での校外学習や上学年の総合学習の関わりが密です。困ったときは,地域コーディネーターの役割を担っている公民館をたよりにして,常に連携を図りながら教育活動に取り組んでいます。
  • 今日の研修会で,現在本校で実施されている地域連携活動を更に充実させていけるヒントをたくさんいただくことができました。できることから着手していきたいと考えております。
  • 今回この研修会に参加し,改めて協働教育とは何かを再確認できた。学校も地域も互いにウィンウインの関係という言葉が心に残った。もう一度,地域をよく見て,知って,課題を見つけていきたい。
  • 町教委の主事の方とお話しさせていただき,行政から見た課題について知ることができ,学校側の課題として考えるよい機会となった。
  • 情報交換がとても充実し,有意義なものになりました。学校では,地域との連携で進めていくためには,学校での必要性を地域に訴えていくことが始まりということが,朝日田校長先生のお話を聞いて思いました。
  • 本校は児童数が少ないため,地域の教育資源,社会資源の活用が重要です。超少子高齢化の中で,今後,どのような学びをつくり,子どもたちを育てていくか,課題となっております。
  • 学級担任はとても忙しいので,教頭,教務が地域で使える「人」「もの」にと」を集め,整理して,更にPTAまたは旧PTAの方々から情報を集めたり提供したりして,推進,充実させていくのがよいと思います。
  • 地域に根ざした学校の実現には,地域の良さや特徴を,生の声として届けてくださる方が不可欠であると考えます。コロナ禍が続く状況の中で,学校をベースにしながら世代を超えた“顔なじみ”による協働教育を推進したいものです。
  • 学校と地域(公民館)がまず話し合いを持ち,どのような連携ができるか,情報交換することが大切だなと感じました。
  • 朝日田校長先生のお話より,改めて学校と地域社会とのかかわりや子供たちと地域の方々とのつながりを深めていきたいと感じました。協力したいと思っている地域の方をどう巻き込んでいくか,学校側と地域の方々をつないでくれるコーディネーターの方の存在というのが大きいのだろうとも感じました。今回コロナで消毒ボランテイアとして大勢の方がいらしている。今,この機会に関係づくりをしていくとともに,一歩進んだ協働教育の充実を目指していきたい。
  • (学担)教師として「ボランテイアさんを頼むというのは,敷居が高い(頼みたいけど“色々大変だ”)という思いがありましたが,実際にたくさんの活動をしてみると(今年度事例発表内容のように)その活用の良さをたくさん感じることができましたし,子どもたちの教育上もよいことが多々ありました。今後も継続していきたいと思っています。
  • 地域のボランテイアの方々が高齢になっているということで,次の世代の方につないでいくということも考えていかなければならないと考えている。
  • 地域の力を生かすことは学校にとってもとても大切なことだと改めて思いました。「この地域ならでは」というものを進めていきたい。
  • 閉校が目前の今,学校と地域が協力して開催した事業もなくなるのが残念。来年度からの統合校との関係を新たにつくりたい。
  • 公民館で事業を担当しています。来年度,地区の小学校が統合になる事で,廃校になってしまうのですが,子供達と地域のつながりが切れない様,各種団体の方の協力などを得て事業を組んでいる所です。
  • 学校と地域をつなげる役割を公民館職員が出来たらと思います。今まさに統合後の協働教育について話合いをかさねている最中なので,大変勉強になる時間内容でした。
  • 協働活動をすすめていくには,学校と地域の相互理解,協力が重要であり,朝日田先生が地域のみなさんに直接お話をしてくださったことで,多くのボランテイアのみなさんが活動することができました。この活動を継続しつづけることがこれからの大切な役割だと思っています。
  • 学校と協働(協力)をいただくことが多くなりましたが,まだまだ“学校のしきい”が高く感じることがあります。

お問い合わせ先

北部教育事務所教育学事班(生涯学習)

大崎市古川旭四丁目1-1

電話番号:0229-87-3612

ファックス番号:0229-22-7589

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