【集落情報発信支援員コラム#12】令和7年度みやぎGT推進協議会×集落情報発信支援員イベント第3弾開催報告
―グリーン・ツーリズムを、もう一度ひらく―NOT A TOURISM#3むらを守る
令和7年度の取り組みとして、宮城県農山漁村集落情報発信支援員と「みやぎグリーン・ツーリズム推進協議会」のコラボ企画「―グリーン・ツーリズムを、もう一度ひらく―NOT A TOURISM」というトークイベントを行っています。令和7年8月と10月に続き(※1)、今年度最後となる第3弾を令和8年3月7日(土曜日)に開催しました!
ゲストは、このコラムシリーズ#1(※2)でもご紹介し、令和7年度の農林水産祭(※3)における「豊かなむらづくり全国表彰事業」において、栄えある「天皇杯」(※4)を受賞した「入谷の里山活性化協議会」の皆さんです。受賞の背景も含めて当日の様子をご紹介します!
入谷の里山活性化協議会、祝・天皇杯!
「入谷の里山活性化協議会」は、入谷地区の「食・体験・宿泊」を担うことができる「南三陸まなびの里いりやど」「ひころの里コンソーシアム」「南三陸農工房」「校舎の宿さんさん館」「南三陸YES工房」「入谷サン直売所」の6団体が主な構成員で、その他若手グリーン・ツーリズムのインストラクター・コーディネーターも主力となっている協議会です。下は20代、上は70代と幅広い年齢層で、地元出身者も移住者も混ざり、男女様々なメンバーで和気藹々と活動しています(実は、私もインストラクター・コーディネーターとして在籍しています)!

入谷の里山活性化協議会の皆さん
東日本大震災で甚大な被害を受けた南三陸町ですが、町内を「志津川」「歌津」「戸倉」「入谷」と大きく4つに分けて唯一内陸地で海に面していない入谷地区は、震災直後から沿岸部の後方支援に徹してきました。そのおかげもあり、外から支援に来てくれる人たちが滞在し、交流を育む拠点としても機能してきた地域でもあります。しかし、高齢化により地域の文化や生業の継承に危機感を覚え、そして令和2年のコロナショックにより観光関連施設もピンチ。そこで、入谷地区の交流事業者を主とし、令和3年に協議会を結成しました。

入谷の里山活性化協議会体制
協議会の主な取り組みとして、例えば「南三陸農工房」をはじめ地域の一次産業者やグリーン・ツーリズムのインストラクターたちによる、野菜や果樹の育成と体験提供・町外との交流促進とファンづくりがあります。生産者と消費者をつなぐ場としては「入谷サン直売所」も重要な位置付けです。江戸時代末期に建築された文化施設「ひころの里」では歴史文化を大事にしながら交流促進に寄与し、旧中学校を活用したものづくり工房「YES工房」では、里山からの木材を加工していることや多くの体験受入を可能にしています。宿泊施設では、旧小学校を活用した宿泊体験施設「さんさん館」も県内のグリーン・ツーリズム先駆けの拠点ですし、震災後オープンした「南三陸まなびの里いりやど」では、時代のニーズに対応しつつ町全体の来訪者受け入れを可能にしました。

「南三陸農工房」体験イベントの様子
地区の文化や農業・林業等のなりわいの継承などさまざまな面で、移住者含め地域の若者たちと共に地域おこしに励んでおり、地域資源や人材を活かした特色ある活動を行ってきました。そして、その積み上げてきた取り組みが評価され、令和7年度・第64回農林水産祭において、入谷の里山活性化協議会が、むらづくり部門の「天皇杯」を受賞しました。南三陸町では、以前水産部門において「戸倉っこ牡蠣」で天皇杯を受賞した実績あり、町内でも2つ目の天皇杯受賞、しかもむらづくり部門の表彰においては、県内初の快挙となりました!

R7年度農林水産祭にて天皇杯受賞の快挙!
NOT A TOURISM#3「むらを守る」のお話
さて、本題の第3回となる「―グリーン・ツーリズムを、もう一度ひらく―NOT A TOURISM#3」では、こうしてむらづくり部門での天皇杯を受賞したことも受け、テーマを「むらを守る」として開催。協議会を率いる中心人物4人組「阿部ンジャーズ」(偶然幹部4名の苗字が入谷地区に多い「阿部」で揃ったことがきっかけで仲間内でそう呼ぶようになり定着したのです。)から、都合がつかず会長のみ参加できなかったのですが、その他のお三方にご登壇いただきました。毎回恒例の、私からの趣旨説明兼ねたイントロダクションタイムを終えて、早速協議会の活動をスライドで紹介していきました。

「阿部ンジャーズ」紹介、PVもみんなで鑑賞しました
阿部ンジャーズの紹介タイムは、何度やっても大ウケです。ぜひ皆さんも協議会HP「入谷の里山ねっと」下部にある「[入谷の里山活性化協議会天皇杯受賞記念MV]阿部ンジャーズのテーマ」(※5)をご覧くださいね。スライドでは説明し切れなかった「阿部ンジャーズのテーマ」誕生秘話やその他HPにも掲載しているさまざまな音楽・動画の制作秘話、天皇杯受賞までの裏側もたくさん話してくれました。震災後やコロナ禍での協議会の取り組みももちろんですが、お三方が特に力を入れて話してくれたのは、東日本大震災以前から長く続けてきた活動の重要性です。中でも特に、今回の天皇杯にも大きく貢献した2つの活動についてお話がありました。

「阿部ンジャーズ」より、左から阿部博之さん・勝善さん・忠義さん
一つは、生産者の顔が見える「入谷サン直売所」の活躍です。「決して立派とは言えないね」と笑い合いながら話す阿部さんたちですが、実際本当にトタンを打ち付けながら建てたような手作り感満載の小さな産直で、週末しか営業しません。しかし、その身の丈に合った活動が無理なく続けられる秘訣なのか、補助金導入などもなく年間1千万円を超える売上を出しています。そしてもう一つが、入谷地区の住民が全戸加入するという「グリーンウェーブ入谷構想委員会」の存在です。秋祭りなどの地域行事を担う面もあり、地域に約300年以上続くという入谷打囃子の継承にも大きな役割を果たします。住民一人一人が関わっているからこそ“むらづくり”が成り立っていると言えるでしょう。

会場の様子
時には悔しい思いや怒りが込み上げるようなことがあったという話まで、時折「ここ、オフレコね!」なんてジョークを交えながら、包み隠さず自分たちの経験や想いを話してくれた阿部ンジャーズの皆さん。個々に頑張る仲間たちを横串に挿しながら、手を取り合って乗り越えてきたというエピソードと阿部さんたち一人一人のお人柄から、場内は「むらを守る」熱意と地域愛、そしてユーモアによって笑顔でいっぱいになりました。質問・感想タイムでも「裏話が聞けて良かった」「頑張りたいけど行き詰っている地域の希望の星」「自分たちの地域でもまだまだ諦めずに頑張ろうと思えた」と、皆さん勇気をもらった様子が見られました。令和7年度のトークイベントはこれで終了しますが、今後も“みやぎのグリーン・ツーリズム”がもっと元気に活発になっていきますように!

人柄溢れるお話に、皆さんも笑顔がこぼれました
※1.過去の「―グリーン・ツーリズムを、もう一度ひらく―NOT A TOURISM」はこちら
第1回:https://www.pref.miyagi.jp/site/nohaku/information/blog05.html
第2回:https://www.pref.miyagi.jp/site/nohaku/information/blog07.html
※2.入谷の里山活性化協議会紹介コラムはこちら
https://www.pref.miyagi.jp/site/nohaku/information/blog01.html
※3.農林水産祭とは、国民の農林水産業と食に対する認識を深めるとともに、農林水産業者の技術改善及び経営発展の意欲を高めるため、農林水産省と公益財団法人日本農林漁業振興会の共催により昭和37年から実施されています。
※4.天皇杯、内閣総理大臣賞及び日本農林漁業振興会会長賞は、過去1年間の中で農林水産大臣賞を受賞した全国各地の優秀な農林水産業者の中から決定されます。各賞は、農産・蚕糸部門、園芸部門、畜産部門、林産部門、水産部門、多角化経営部門、むらづくり部門の7部門に授与されます。表彰は、勤労感謝の日の11月23日に明治神宮会館で開催する農林水産祭式典において行われます。
※5.[入谷の里山活性化協議会天皇杯受賞記念MV]阿部ンジャーズのテーマ
https://youtu.be/5v9kI5jGvXg?si=uC30NY0hGu7e0WcX
執筆者:宮城県農山漁村集落情報発信支援員-大場黎亜
掲載日:令和8年3月27日

