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長谷川潾(りん)二郎(1904-1988)
1966/30.9×40.9/麻布、油彩
洲之内コレクション
長谷川潾二郎は函館に生まれました。兄の海太郎は「丹下左膳」の作者林不忘で、弟にロシア文学者の濬と作家の四郎がいます。1924年、上京して川端画学校に入りましたが数カ月で退校し、以後独学で洋画を学びます。1931年から翌年まではパリに滞在しました。また彼は探偵小説の作家として、地味井平造のペンネームで雑誌に作品を発表していたこともあります。
猫は画家の愛猫の太郎。実物を眼の前にしないと描けないという長谷川は遅筆でした。《猫》に片方の髭がないのも、太郎がこんな恰好で寝るのは年に2回だけといっているうちに死んでしまい、片方は太郎生前のデッサンから描き加えたものの、もう一方はそのままになったからだといいます。たしかに床にふれそうな右髭は実際の様子を見ないと描きにくいかもしれません。けれどもそれは事物をリアルに描くためというより、画家と対象との間の詩的で密度の高い時間や空間を絵にしたかったからだともいえそうです。
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