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掲載日:2012年10月11日

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意見書(平成24年9月定例会)

宮城県議会Top条例・意見書等

私学助成制度の堅持及び拡充に関する意見書

 私立高等学校等(高等学校、中等教育学校、中学校、小学校及び幼稚園)は、建学の精神に立脚し、新しい時代に対応した特色ある教育を展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしている。
 しかしながら、私立高等学校等の経営は、従来に例を見ない厳しい状況に直面しており、少子化による生徒数等の大幅な減少等は、私立高等学校等の存続をも大きく揺るがしている。
 また、「高等学校等就学支援金制度」の創設により、私立高等学校に学ぶ生徒の授業料負担の軽減が図られたものの、公私間の格差はむしろ拡大し、さらには都道府県間では新たな格差も生じており、子どもたちの学校選択の自由、教育の多様性や機会均等を保障する意味からもこの改善は喫緊の課題である。
 公教育の将来を考えるとき、公私相まっての教育体制が維持されてこそ、健全な発展が可能となり、個性化、多様化という時代の要請にもこたえ得るものである。
 そのためには、私立学校振興助成法第一条に規定するとおり、教育条件の維持向上と保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、私立高等学校等の経営の健全性を高めていくことが強く求められている。
 よって、国においては、私立高等学校等教育の重要性を認識され、教育基本法第八条及び教育振興基本計画の趣旨にのっとり、現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持され一層の拡充と学費の公私間格差の是正が図られるよう強く要望する。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 あて

多重債務対策の強化を求める意見書

 深刻な多重債務問題解決のため、平成22年6月18日に、改正貸金業法の焦点であった出資法の上限金利の引下げ及び収入の3分の1以上の貸付けの禁止、いわゆる総量規制などの完全施行がなされてから二年が経過した。
 その結果、5社以上の借入れを有する多重債務者が法改正時の230万人から44万人に激減し、自己破産者は17万人から10万人に、多重債務による自殺者は1,973人から998人に減少するなど、同法改正は多重債務対策として大きな成果を上げている。
 各地方自治体においても、国の「多重債務問題改善プログラム」を踏まえ、関係機関との連携を強化し、多重債務者の相談、救済や、生活再建を目指した施策を実施してきたところである。
 他方、一部の正規の貸金業者から借りられない人や資金調達が制限された零細な中小企業者が、いわゆるヤミ金業者などから借入れせざるを得ないとの指摘もある。
 こうしたことから、正規の貸金業者から借りられない人がヤミ金業者に頼らなくても生活できるセーフティネットの構築や、総合的な生活・経営相談ができる体制を更に充実させることが必要である。
 よって、国においては、多重債務対策に関する次の事項について取り組みを更に強化・推進するよう強く要望する。

1 改正貸金業法における上限金利の現行水準や、貸付けの総量規制を維持すること。

2 国の「多重債務問題改善プログラム」の着実な実行に向け、個人及び中小企業者向けに貸付けや生活・経営相談ができるセーフティネットを更に充実させること。

3 貸金業者による脱法行為を厳しく監視できるよう、都道府県・多重債務対策協議会における実態の検証・分析の強化と国の多重債務者対策本部との有機的な連携を図ること。

4 地方の消費者行政に携わる人材の支援・育成、各地方自治体での多重債務相談体制の強化など、地方消費者行政の充実強化に向け、一層の予算措置を行うこと。

5 深刻な不況や円高等の影響を受けている中小企業が短期・高利の資金に依存しなくても済むよう、緊急保証、セーフティネット貸付け及び金融円滑化対策等を充実するとともに、総合的な経営支援策を推進すること。

6 ヤミ金業者の撲滅に向けて、引き続き取り組みの一層の強化を図ること。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
内閣府特命担当大臣(金融)
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全) あて

「森林・林業再生プラン」に基づく具体的施策の推進を求める意見書

 2009年に国が策定した「森林・林業再生プラン」は、我が国の森林・林業を早急に再生していくための指針として作成され、10年後の木材自給率を50%以上とすることを目指すべき姿として掲げた。このプランでは、国土の保全、水源のかん養、地球温暖化防止など、森林の有する多面的な機能の確保を図りつつ、先人たちが築き上げた人工林資源を積極的に活用して、木材の安定供給体制の確立、雇用の増大を通じた山村地域の活性化、木材利用を通じた低炭素社会の構築を図ることとしており、現在、国及び地方において、森林・林業の再生と地域活性化に向けた取り組みが進められている。
 また、近年、梅雨前線や台風などによる豪雨災害が相次ぎ、全国各地で流水発生による山腹崩壊や土石流などの大きな被害をもたらしているが、これらの被害は、間伐などの整備がされていない杉人工林の針葉樹林に多く発生しており、豪雨災害対策としても、「森林・林業再生プラン」に基づく森林の多面的機能の持続的な発揮と有効活用が重要であるといえる。
 よって、国においては、木材価格の下落などによる森林・林業・木材産業の厳しい状況を踏まえ、「森林・林業再生プラン」に基づく具体的施策を強力に推進し、森林・林業の再生と山村地域の活性化などを図るため、次の事項について実施するよう強く要望する。

1 適切な森林施業を確保するため、市町村森林整備計画及び森林経営計画の作成・実行を促進すること。

2 森林整備に必要な路網や作業システム、人材育成など、先行投資すべき予算額を確保すること。

3 「地球温暖化対策のための税」の使途に森林吸収源対策を位置付けるなど、森林整備推進などのための安定的な財源を確保すること。

4 条件不利地域など森林整備が進まない森林については、水源林造成事業などの公的な森林整備を進めるとともに、国及び地方公共団体による林地取得などを行うこと。

5 「固定価格買取制度」を活用し、再生可能エネルギーとして木質バイオマスの利用拡大を図ること。

6 十年後の木材自給率50%以上の達成に向け、間伐材を含む地域材の需要拡大対策、住宅や公共建築物などへの木材利用の推進対策を講ずること。また、市町村においては、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づき、市町村木材利用方針を早期に策定し、地域材の利用・拡大を図ること。

7 地域林業を指導する「フォレスター」、「森林施業プランナー」の育成・確保など、森林・林業の担い手対策の拡充を図ること。

8 森林・林業関係の入札契約制度については、林業の特殊性に配慮し、地域要件の導入、複数年契約の拡大、低入札対策を講ずるなど、地域の林業事業体の育成整備に資する対策を講ずること。

9 山村振興法に基づく山村地域の活性化に向けた環境整備のため、森林整備や木材加工・流通などの施策を通じ、新たな雇用の場を確保するなど、省庁間の連携による対策を進めること。

10 国有林野事業については、一般会計化による公益的機能の一層の発揮と、民有林への指導・サポート、地域貢献を果たせる体制の確立を図ること。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣 あて

B型・C型肝炎患者の救済に関する意見書

 我が国には、B型・C型肝炎ウイルスの感染者が300万から370万人存在すると推計されており、その大半は集団予防接種等における注射針・注射筒の使い回し、輸血、血液製剤の投与等の医療行為による感染が原因とされている。このような感染被害の拡大を招いたことに対する「国の責任」と肝炎患者救済の責務が明記された「肝炎対策基本法」が平成22年1月に施行された。
 しかし、平成20年1月に制定された「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」により裁判で救済された薬害C型肝炎患者はごく少数である上、注射器の使い回しや輸血が原因のC型肝炎患者に対する救済の仕組みは構築されていない。
 また、集団予防接種等における注射器の連続使用が原因で感染したB型肝炎患者については、平成23年6月に初めて和解が成立し、平成24年1月に被害者への給付金支給等を定めた特別措置法が施行され、以後全国各地で和解協議が進められているが、「母子感染でないこと」などの証明が困難である上、手続きが煩雑であることなどから、救済の要件を満たして和解が成立したケースは限られている。
 このように、肝炎対策基本法が施行された今なお、現行法によって法的救済や補償を受けられる患者はごく少数であり、B型・C型肝炎患者が安心して治療が続けられるよう肝炎治療とその生活を支える公的支援制度の確立が求められている。
 よって、国においては、B型・C型肝炎患者を救済するため、次の事項について速やかに必要な措置を講ずるよう強く要望する。

1 肝炎対策基本法に基づき患者救済に必要な法整備を進め、患者救済策を実施すること。

2 肝炎治療費への公的支援制度を確立するとともに、肝硬変、肝がん患者への障害者手帳の交付基準の緩和を図ること。

3 治療体制や治療環境の整備、治療薬や治療法の開発、治験の迅速化を図ること。

4 肝炎ウイルスの未検査者、ウイルス陽性者のうち未治療者の実態を調査し、早期発見・早期治療につなげる施策を講ずるとともに、B型・C型肝炎への偏見差別の解消、薬害の根絶を図ること。

5 B型・C型肝炎による死亡者には一時金、感染者・患者には健康管理手当を支給する法制度を確立すること。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて

「脱法ドラッグ」とりわけ「脱法ハーブ」に対する早急な規制強化等を求める意見書

 麻薬と同様の効果を持つものの、薬事法の規制の対象外となっている、いわゆる「脱法ドラッグ」による健康被害が頻発していることから、平成19年4月1日より、脱法ドラッグを指定薬物として規制するための改正薬事法が施行された。指定薬物に指定されると、製造や輸入、販売が禁止となる。本年7月1日に九物質の追加指定が施行され、現在、73物質が指定薬物に指定され、規制の対象となっている。
 しかし、近年、指定薬物の成分を一部変えて植物片に混ぜた、いわゆる「脱法ハーブ」の乱用が問題となっている。脱法ハーブは、「お香」、「アロマ」などと称して販売され、脱法ハーブを吸引して救急搬送されるケースが相次ぎ、死亡した例も報告されている。また、脱法ハーブを吸引した者が乗用車を運転して暴走し、通行中の市民に重軽傷を負わせる事件も起きている。
 脱法ハーブをめぐっては、化学構造を少し変化させることで法規制をすり抜けることができ、指定薬物に指定されても、また化学構造を少し変化させ、規制を免れるというイタチごっこを繰り返し、法規制が追いつかないのが実態である。厚生労働省が調査したところ、違法ドラッグ販売業者数は本年3月末時点で、29都道府県で389業者も存在することが明らかとなった。
 脱法ハーブは覚せい剤や麻薬等の乱用への入り口になることが危惧されており、こうした状況を放置することは看過できない。青少年を初めとした薬物乱用の拡大を防ぐためにも、早急な規制強化が喫緊の課題である。
 よって、国においては、次の事項について早急に対応するよう強く要望する。

1 成分構造が類似していれば、一括して薬事法の指定薬物として規制対象にできる「包括指定」を早急に導入すること。

2 指定薬物が麻薬取締官による取り締まりの対象外であることを改め、指定薬物を発見した場合に収去できるようにするなど法整備の強化を図ること。

3 特に青少年や若者の乱用を防ぐため、薬物教育の徹底を含む未然防止策の強化を図ること。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
文部科学大臣 あて

中小企業の成長支援策の拡充を求める意見書

 中小企業は、地域の経済や雇用の要として、非常に大きな役割を果たしている。特に、東日本大震災発生時や震災後の復旧・復興において、地域に根差す中小企業が日本経済の屋台骨であることが、改めて認識された。
 しかしながら、我が国の経済環境は、長引くデフレ・円高に加え、原燃料の価格高騰、電気料金の引上げ、電力需給の逼迫など、厳しい状況が続いており、柔軟な対応力、技術力、商品開発力等の優れた潜在力を持ちながらも、中小企業は苦しい経営を余儀なくされている。
 本格的な経済成長への道を確立するためには、多くの雇用を支え、日本経済の礎となっている中小企業の活性化を図る視点が重要であり、中小企業の成長は、我が国の景気回復の重要な鍵と言える。そのため、中小企業が潜在力を十分に発揮し、新たな成長分野などに果敢に挑戦できるよう、あらゆる政策手段を総動員すべきである。
 よって、国においては、中小企業の重要な役割を踏まえ、事業環境の改善や経営力の強化など、中小企業の成長に資する施策の充実を図るため、次の事項について実施するよう強く要望する。

1 環境、健康、医療などの新たな成長分野で事業に取り組もうとする中小企業に対する積極的なリスクマネーの提供や経営支援の強化など、中小企業の成長支援策を拡充するとともに、本格的支援に取り組むこと。

2 地域の中小企業において、雇用や仕事を生み出し、内需を創出する活性化策として、老朽化した社会資本の修繕・補強など、必要な公共事業を一定期間、集中的に行うこと。

3 中小企業における新たな投資の促進及び雇用の維持・創出に資する「国内立地推進事業費補助金」を更に拡充し、その割合を引き上げること。

4 電力の安定的な供給体制の構築を目指し、自家発電設備、省エネルギー機器及びデマンド監視装置などの導入や、LED照明を初めとする高効率な照明製品への買換えなどを促進するための支援措置を拡充すること。

5 中小企業の将来性と事業の継続性を確保するために学生・若者の雇用マッチング事業を地域単位で強化するなど、優秀な若手人材の確保のための対策を講ずること。

6 2010年6月に閣議決定した「中小企業憲章」の理念を遵守し、具体的な施策を推進すること。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣   あて

被災地の住宅再建に関する意見書

 東日本大震災から1年7カ月が経過したが、大津波で被災した沿岸部では、特に住宅再建への展望がいまだ見出せない状況である。
 例えば、建築基準法第39条第1項による災害危険区域に指定された区域内の家屋の移転については、防災集団移転促進事業やがけ地近接等危険住宅移転事業などの支援措置により、被災した土地の買い上げや、移転新築の際の利子補給などの国による支援がある一方、災害危険区域の線引きから除外された区域内において全壊や大規模半壊した家屋については、現地再建または移転する場合のいずれの費用についても国による特別な支援措置がなく、また、災害危険区域に指定される以前に住宅を再建した場合における再建費用についても同様の状況である。
 このことについて、独自の住宅再建支援策を打ち出している自治体もあるが、自治体の財政を圧迫しかねないほか、自治体ごとの支援策にも格差があり、居住市町によって被災者の自己負担に大きな差が生じている。
 よって、国においては、次の事項について早急に対策を講ずるよう強く要望する。

1 災害危険区域の指定告示前に住宅を再建した場合においても、国の支援措置の遡及的な適用を図ること。

2 災害危険区域外において津波の浸水被害を受けた住宅再建についても何らかの救済措置を講ずること。

3 家屋の解体・撤去等に係る補助金支給について来年度以降も継続すること。

4 被災地における住宅再建については、課税分の減免等、特段の配慮を行うこと。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
国土交通大臣
復興大臣   あて

台湾出身者の国籍表記の是正を求める意見書

 現在、台湾出身者が日本人と結婚した場合や、帰化した場合、戸籍における国籍や出生地は「中国」や「中国台湾省」と表記される。この「中国」との記載は中華人民共和国のことであり、「中国台湾省」との記載は中華人民共和国の行政区を指す。
 しかし、台湾は、これまで一度たりとも中華人民共和国の統治を受けたことはなく、中華人民共和国領土となったこともない。そもそも、この戸籍表記は中国・台湾に関する国の見解とも合致していない。
 我が国の戸籍において、台湾出身者の国籍を「中国」としたのは、昭和39年6月19日付法務省民事局長通達「中華民国の国籍の表示を「中国」と記載することについて」を根拠としている。当時、日本は中華民国と国交を結んでいたが、昭和47年、日本は中華民国と断交し中華人民共和国と国交を結び、日本と中国・台湾との関係は大きく変わり、今日に至っている。
 一方、国は、台湾に対し、平成17年9月から観光客に対するビザ免除を恒久化し、また平成19年9月からは自動車運転免許証の相互承認を行うなど、中国とは異なる対応を続けてきている。
 さらに、平成21年7月に「出入国管理及び難民認定法」を改正し、本年7月9日に外国人登録証明書を廃止して在留カードを交付することとし、外国人登録証明書における「国籍」欄は、在留カードにおいては「国籍・地域」欄に変更したことから、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と表記することとした。
 このような動きからすれば、台湾出身者が日本人と結婚した場合や、帰化した場合、その戸籍表記を「国籍・地域」に改め、「中国」を「台湾」と表記できるよう、外国人の在留カードや外国人住民基本台帳との整合性を図って、改正すべきであることは当然と思われる。
 よって、国においては、早急に戸籍表記に関する法務省民事局長通達の見直し措置を講ずるとともに、戸籍法などをはじめとする関係法令の改正を行い、戸籍における「国籍」を「国籍・地域」に改め、台湾出身者が「中国」ではなく「台湾」と表記できるよう、是正することを求める。

 右、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
外務大臣   あて

中国の監視船の領海侵犯及び民間団体による尖閣諸島不法上陸に関する意見書

 平成22年9月、尖閣諸島周辺の日本領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突するという事態が発生したことを受け、これまで本県議会は二度にわたり国に意見書を提出し、中国に対する厳重抗議など、国益を踏まえた断固たる処置を講ずるよう求めてきた。
 しかし、本年8月15日、香港の民間団体の船が、我が国領海に侵入し、尖閣諸島の魚釣島に不法上陸するという事態が発生した。この不法上陸については事前予告があったにもかかわらず、みすみす上陸を許す醜態を招く結果となり、その際、出入国管理及び難民認定法第六十五条を適用し、強制送還としたことは、極めて遺憾である。野田内閣の対応は、我が国の法秩序を歪めるものであり、尖閣諸島に不法上陸しても事実上罰せられないという誤ったメッセージを発信することにもなった。こうした誤った対応は、「国内法に基づく厳正な対応」とは程遠いものであり、野田内閣の領土、主権をめぐる防衛意識の欠落に憤りを禁じ得ない。尖閣問題の核心は、実効支配の充実、強化を通じて我が国の主権と国益を守ることに尽きる。国有化の措置はそのための前提条件にすぎない。野田内閣において、「平穏かつ安定的な維持管理」を理由に具体的な実効支配強化の意思が示されず、主権防衛の意思が欠落していることが、中国の監視船の領海侵犯や反日団体の不法上陸を招いていると言える。
 日本国憲法前文では、「日本国民は・・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記されており、国民の安全も生存も、「諸国民の公正と信義」に委ねることになってしまった。日本を取り巻く近隣周辺諸国が憲法前文にあるような「公正と信義」を追求しているならば、そもそも一連の領土問題が発生する余地はないはずである。中国の監視船が頻繁に領海侵犯を繰り返し、危機的状況が迫る中、今、日本人自身の自立的、主体的な姿勢が問われているのである。
 我が国の尖閣諸島の国有化以降、中国各地で大規模な反日運動が巻き起こり、放火、破壊、略奪等が行われ、日系企業の工場が相次いで操業停止に追い込まれている。今回の常軌を逸した反日運動は、もはや暴動であり犯罪と称しても過言ではなく、これを容認した中国に対して、国は断固抗議すべきである。
 よって、国においては、我が国の国家主権を断固として守るため、次の事項を速やかに実現するよう強く要望する。

1 中国に対し、今般の不法上陸などについて、断固たる抗議を行うとともに、再発防止を強く求めること。また、今後、同様の事案があった場合、出入国管理及び難民認定法第65条を適用することなく、厳正に刑事手続を進めること。

2 尖閣諸島及びその海域の警備態勢・方針を抜本的に見直すとともに、関係機関との連携、装備・人員の手当て等の拡充を急ぐこと。また、南西諸島防衛を強化する施策を実行すること。

3 施設整備などを通じた尖閣諸島の有人化と海域の有効活用を図ること。また、国有化に伴い、尖閣諸島及びその海域の安定的な維持管理を強化するための取り組みを早急に進めること。

4 尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、そもそも領土問題は存在しないという明確な事実を国際社会に示す外交努力を行うこと。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
外務大臣
国土交通大臣
防衛大臣   あて

李明博韓国大統領の言動に抗議し、対韓外交等の見直しを求める意見書

 大韓民国の李明博大統領は、本年8月10日に島根県の竹島に上陸した。竹島はこれまでも韓国に実効支配されてきたが、現職大統領が我が国領土に直接足を踏み込むことは前例がなく、今日まで連綿と築きあげてきた日韓の信頼関係を根本から覆すものである。政府は、この事態を深刻に受けとめ、韓国に対し、我が国の断固たる抗議の意思を伝えるとともに、早急に対応方針を定め、毅然とした措置をとるべきである。
 また、李大統領は、8月14日、天皇陛下の韓国訪問に言及し、「韓国を訪問したいのなら、独立運動で亡くなった方々に対し、心からの謝罪をする必要がある」と述べた。そもそも、天皇陛下の韓国訪問については、李大統領自身が平成20年に来日した際に、両陛下に直接招請したものであり、今回、謝罪がなければ「訪韓の必要がない」などと発言することは、外交上極めて非礼であるだけでなく、昭和四十年の日韓基本条約で双方合意のもとに終結した過去の話を蒸し返すことにつながり、国際条約違反の疑いすらある。政府は、韓国政府に対して謝罪及び撤回を強く求めるべきである。
 さらに、李大統領は8月15日の光復節での演説で、いわゆる従軍慰安婦問題についても言及し、「日本の責任ある措置を求める」などと述べているが、このいわゆる従軍慰安婦問題は、その言葉自体が実態のない捏造語であるにもかかわらず、日本側が毅然たる反証と歴史的事実の提示を怠ってきたことから、今日のさまざまな理不尽な現象を引き起こすに至ったものである。
 事実、さきに述べた日韓基本条約締結の際、韓国側は「対日請求要綱」の八項目のリストにより、日本側から無償三億ドル、有償二億ドルの支払いを受け、日韓併合時の過去の一切は「完全かつ最終的に解決」しているが、韓国側が提示したリストにおいては慰安婦問題は一行も触れられず、また、請求もされていないことからも、いかにこの問題が後に日韓双方の政治的な意図で捏造され、増幅されてきたかが明らかである。端的に言えば、貧困による人身売買の被害者である「慰安婦」は存在したが、権力によって強制連行された被害者に対して国として補償すべき「従軍慰安婦問題」は存在しなかったと言えるのである。
 韓国による竹島の不法占拠と、いわゆる従軍慰安婦問題は、隣国で、ともに自由主義の価値観を有する友好国同士としては、時間がかかっても粘り強く交渉し、解決への道筋をつけなければならない最も重要な課題である。日韓双方の主張の隔たりは大きいが、揺るぎない歴史的事実の共有こそが、いずれ狂奔の感情を鎮め、理性的に判断する機会をつくることができるものと考える。
 そのためには、我が国としても、外交においては、我が国の主張が当事者間の不毛の論争に埋没することなく、国際世論の理解と支援を取り付けるべく努め、また国内においては、敗戦国の過剰な贖罪意識に基づく反日自虐史観的な言動を払拭し、正しい歴史観を確立しなければならない。
 よって、国においては、我が国固有の領土である竹島問題の重要性と、いわゆる従軍慰安婦問題が、韓国による慰安婦像の建立といった事態を招くなど、我が国の名誉を著しく侵害している危険性にかんがみ、次の事項の実施について強く要望する。

1 竹島領有についての国際司法裁判所提訴手続を進めること。

2 日韓通貨交換協定更新を見直すこと。

3 いわゆる慰安婦問題に関して、事実誤認によってなされた過去の政府要人らの談話・発言を取り消すこと。

4 教科書検定に関する近隣諸国条項の見直しを行うこと。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成24年10月11日

宮城県議会議長 中村 功

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣
財務大臣
文部科学大臣
内閣官房長官 あて

お問い合わせ先

議会事務局 政務調査課政策法令班

仙台市青葉区本町三丁目8番1号

電話番号:022-211-3593

ファックス番号:022-211-3598

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