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掲載日:2012年9月10日

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平成18年度景観フォーラムを開催しました

みやぎ景観フォーラム開催結果概要

みやぎの景観形成に向けて~地域の個性を生かした景観づくり~

フォーラム開催の様子です。日時:平成19年2月10日(土曜日)13時~15時40分

場所:みちのく古川 食の蔵 醸室(かむろ)(蔵8 TERAKOYAホール)

入場者数:約70名

1.基調講演…「地域の個性を生かした景観づくり」慶應大学環境情報学部教授 石川幹子

当たり前にそこにある景観は,壊れた時に初めてその大切さが分かるもの。すばらしい場所に住んでいたことに気付かなかったという自責の念にかられることがある。
今日は,外部でどんなことが起こっているか,さらに10年来まちづくりに加わってきた各務原市での経験をもとに話をしていきたい。
隣の韓国では,川の上に高速道路が走っていたが,それを取り壊して青空のもとに河川を蘇らせ,親水空間を作ったら市民が大勢訪れるようになった。ボストンでも河川に中洲や親水護岸を作ったり,並木道をつくったりした。現在のようなボストンの景観は,100年の大計のもと,心ある市民がタネを撒き,木を植えてできあがったもの。

韓国ソウルの親水空間の変化前の様子です。 韓国ソウルの親水空間の変化後の様子です。

(韓国ソウルの親水空間)

外国に行って,素敵な街だなと感じることがあると思うが,そのほとんどは最初から美しいものではない。住んでいる人達がどんな街にしたいのかを考え,それに向かってコツコツと努力した結果が今の姿になっている。広告物,建物,緑など街の様々な要素がハーモニーを奏で,文化としての景観を生み出していく。その手がかりとなるものが景観法である。

定禅寺通りケヤキ並木も,当時の仙台市の担当部長が考えてくれたからこそ今の姿がある。自分もその時,計画づくりに携わり,都市計画のイロハを教わった経験がある。
今日最も言いたいのは,「景観は文化そのものであり,地域を映し出す鏡である。」ということ。
現在の宮城県がどうかはよく分からないが,かつては全国のトップランナーであった。明治には榴ヶ岡公園の整備や松島公園を設立したり,風致地区の設定など一早く風景の保護に取り組んだ。
あるシンポジウムへの出演が縁で岐阜県各務原の市長と知り合いになり,その街づくりを手伝うことになった。ここの人口は18万人いるが,自衛隊の航空基地があるものの個性のないありふれた街であった。中心市街地の空洞化が進み,ゴミの不法投棄や里山の荒廃が進むといった問題を抱えていた。

水と緑の回廊計画の概要図です。平成13年に「水と緑の回廊計画」を作った。森,川,まちといった3つの「回廊」7箇所の拠点となる公園を配置するもの。

計画を作るに当たっては,市民が自ら問題意識を持つことが大切であるため,ワークショップ方式によって「わかりやすい将来の目標像」をつくった。行政だけの取組みは無意味である。

  • 誇りをもつことのできる美しいふるさと
  • 水と緑を「文化」として位置づけ(景観は文化そのもの)
  • 百年後を見据えた「いまのデザイン」

ワークショップの様子です。

景観を守り育てる上で大切なことは,以下のようにまとめることができる。

  • ふるさとの誇りとなる景観をみんなの共有財産とすること。
  • 景観は文化であり,経済活性化の源であることの意識を共有する。
  • 問題と課題を明らかにし,市民一人一人に何ができるかを考えていく。
  • 高望みせず,実現可能な目標を設定する。
  • 行動計画を作って,楽しくやっていく。

2 パネルディスカッション~魅力ある美しいみやぎの景観づくりに向けて~

パネルディスカッションの様子1 パネルディスカッションの様子2

  • コーディネーター
    大村虔一((財)宮城県地域振興センター理事長,みやぎ景観懇話会座長)
  • パネリスト
    石川幹子(慶應大学環境情報学部教授)
    西大立目祥子(まち遺産ネット仙台代表)
    佐々木愛一(株式会社醸室代表取締役社長)

(大村)
最初に,パネリストのみなさんに宮城県の景観についてはどのように評価しているかを伺いたい。
(西大立目)
仙台市の例を挙げると,市街地を囲むように4箇所の風致地区があるが,今はどこもが虫食い状態で風前の灯火といった状況ではないか。杜の都といいながら,緑がどんどん失われていく状況。取組みの遅さはどうしようない。気付いた時には手遅れということが多すぎる。
街歩きをしていると,街の中でどこが大切なところかが見えてくる。大崎であれば,緒絶川とその周辺だろうか。仙台市であれば,片平丁といった情緒あるおおらかな風景のなかに,急にマンション建設がなされたり,非常に残念な思いがする。

大崎市の醸室の写真です。

(佐々木)
大崎市の商店街を見ると,醸室のオープンを機に再び店を開けたところもあるが,新たに閉じたところもあり,シャッターを閉めたままの店が目立つ。商店街の雰囲気といったものが失われてしまっている。かつては緑も多く,各店に蔵があり,岡山県の倉敷にも負けないくらいの蔵の街であったが,道路の拡幅とともに無くなってしまった。

(大村)
次に,景観を良くすることの効果について,みなさんの意見をいただきたい。
(佐々木)
中心市街地の活性化を目指して醸室とリオーネが計画されスタートしている。醸室はできるだけ,今の建物を生かした整備をしている。しかし,敷地内の赤松が枯れてしまったために,昨年末に切り倒さざるをえなかった。店子として入った人達は個性豊かな人が多く,話をしているうちにいろいろなアイディアも生まれ,店作りにも生かされている。おかげさまで,大手旅行代理店からも鳴子温泉や岩出山観光のルートとして組み入れてもらっており,醸室に寄った客が商店街にも流れている状況にある。
(西大立目)
大都市では,経済的な論理が優先されて建築物の建て替えが行われている。仙台の街並みもバブルの時以来の波が押し寄せている気がする。自分の仙台としてのイメージが空中分解してしまいそうな感覚に陥っている。
経済的な効果や観光客誘致というよりも,まず住む人達の街並みがどれだけ大切かを考え直していかなければならないと,最近痛切に思うようになった。
(石川)
醸室とリオーネだけではなく,周遊できるような作り方をした方がいいと思う。人が歩いて回れる仕掛けが人を呼ぶことになる。歩いて気持ちよくなれることが大事である。各務原の場合も並木道を造ってイルミネーションを始めたら観光バスで人が集まるようになった。
地域のパイオニアとして醸室の取組みをみんなでもりたてていくことが大切である。景観を良くすることは自分の心を豊かにすることにも繋がる。
(大村)
最後に,景観を良くするためには何が必要か,パネリストのみなさんに意見をいただきたい。

農林中金ビルの写真です。

(農林中金ビル)

(西大立目)
まち遺産ネットの活動を紹介したい。昨年の今頃,仙台市の南町通りにあった農林中金ビルの保存運動をしたことをきっかけにできあがったグループである。
まちに残る宝物としての建物を見学しながら,自分たちがこうした建物を大事に思っている姿勢を見せると,持ち主も建物を維持するための苦労等をぽつりぽつりと語ってくれる。こうした持ち主に自分たちが寄り添っていくことが,建物の保存に繋がる一つのステップになるのではないかと思う。

(佐々木)
かつて緒絶川には藤棚が何カ所かあった。今後,それを復活させようと地元の人達の気持ちが一つにまとまりつつある。それが実現に向かうときに,本当に誇れる景観に繋がっていくのではないかと思っている。
(石川)
何事にもトップランナーがいる。景観づくりにおいて,大崎市は是非トップランナーになって欲しい。みんなで考えて考えて,しっかりしたものを是非作って欲しい。
(大村)
自分達が住むまちの象徴となるような資源を見つけ出し,それをまちづくりにどう生かしていくのか,参加者の皆様には,本日のフォーラムを契機としてこうした問題を考えていただければ幸いである。(了)

開催パンフレットはこちらです。

お問い合わせ先

都市計画課行政班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-3132

ファックス番号:022-211-3295

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