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A.1
8,000 Bq/kg 以下の稲わらや牧草などの農林業系廃棄物は「一般廃棄物」に区分されていています。一般廃棄物は法律上、市町村が処理責任を負うこととされています。
8,000 Bq/kg 以下の廃棄物は通常の処理方法によって安全に処理できるものであり、県内外の処理実績を見ても、自治体の既存の処理施設において各種基準値を遵守しながら安全に処理を行うことは十分に可能と考えています。
なお、処理に要する費用は、環境省の補助金である「農林業系廃棄物の処理加速化事業」の対象となるほか、最終的には環境省が当該拠出費用を東京電力に求償する仕組みとなっています。
A.2
8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物の試験焼却は、仙南圏域では平成30年3月から同年11月までの間、黒川圏域では平成30年5月から同年10月の間、石巻圏域で平成30年10月、大崎圏域では平成30年10月から令和元年7月までの間で実施されました。
A.3
放射性物質汚染対処特別措置法の規定に基づく方法及び回数で各種モニタリング(下記参照)を実施することにより、処理の安全性は十分に確認できるものと考えています。
基準的には、安全性の確認に常時監視は必要ありませんが、地域の安心を確保するため、測定頻度の増加やモニタリングポストの設置による常時監視も行っています。
主な測定項目及び基準
A.4
万が一検出されても、基準値以下であれば特段の措置を講じる必要はありませんが、数値が高くなった原因の究明を早急に行います。その場合、排ガス及び焼却灰中のセシウム濃度にも何らかの変化が見られると思いますので、施設機器の不具合を確認するとともに、運転管理など必要に応じて対応策を検討します。
A.5
宮城県では、第14回市町村長会議(平成29年7月15日開催)での合意に基づき、圏域ごとに農林業系廃棄物の処理に取り組むこととしました。平成30年度から令和元年度にかけて、仙南圏域、黒川圏域、石巻圏域、大崎圏域で農林業系廃棄物の試験焼却が行われましたが、すべての圏域において放射性物質の測定値は、全項目で基準値を満たしており、安全に処理が行えることが確認されました。
その後、本格焼却は仙南圏域、石巻圏域、大崎圏域において実施され、仙南圏域では令和元年5月から令和6年5月まで、石巻圏域では平成30年10月から平成31年3月までに安全に処理が完了しました。なお、大崎圏域では令和2年7月から現在まで安全に処理を進めています。
※仙南圏域においては、令和元年東日本台風の影響により発生した災害廃棄物を優先的に処理するため、令和元年10月より、農林業系廃棄物の焼却処理を一時中断しています。
A.6
埋め立てる焼却灰に含まれる放射性セシウムが外部に流出しないよう、放射性物質汚染対処特別措置法では様々な措置を講ずることとされています。
その他、処分場の放流水にも放射性セシウムについて非常に厳しい基準が定められており、これを超えないよう管理しています。
A.7
東日本大震災後に汚染廃棄物の焼却を実施している焼却施設において、環境省及び国立環境研究所がバグフィルター(集塵装置)の入口と出口において、排気ガス中の放射性セシウムの濃度を実際に測定して比較する調査を行いました。この実測データから、バグフィルターで放射性セシウムがおおむね99.9パーセント以上除去されたことを確認しています。このことから、バグフィルターは排ガスの基準を満たすのに十分な能力を有していると考えています。なお、宮城県内外の焼却施設における実際の排ガス測定においても、基準値を超える放射性セシウムが検出された事例はありません。
A.8
99.9パーセントは検出下限値(機械が検出できる極限の値)未満の測定結果に対して、検出下限値ぎりぎりであったと仮定して計算したものであり、実際は99.9パーセント以上を除去していると考えています。
なお、これ以上の精度については通常の測定機器では測定ができないレベルであり、お示しするのは難しいと考えています。
A.9
原発事故発生から長期間が経過した今も、一時保管を強いられている保管者の負担を解消するためにも、通常の処理方法で安全に処理できる8,000 Bq/kg 以下の廃棄物については、一刻も早く処理する必要があると考えています。
汚染廃棄物を集約保管する場合には、新たに保管場所を選ぶのに相当の期間を要することが予想されるため、現実的ではないと考えます。
県では、腐敗性のある農林業系廃棄物は、焼却により減容化、安定化したうえで管理していくことが望ましいと考えており、焼却処理によって生じた焼却灰は、管理型最終処分場で覆土により放射線が遮へいされた状態で埋め立てられ、市町村(組合)によって維持管理されることになります。現状の一時保管に比べ、格段に安全性が高まることから、可能な限り早期に焼却し、最終処分場で適切に管理していくべきと考えています。
A.10
廃棄物を減容化、安定化し、適切に処理するために焼却が必要であると考えております。汚染の程度が8,000 Bq/kg 以下であれば、通常の廃棄物処理方法によって安全に処理できることが確認されており、汚染の程度にかかわらず、放射性セシウムが付着した廃棄物がすべて処理できないとなると、家庭ごみも処理できなくなり、生活環境保全上の支障が生じるおそれがあります。
焼却によって放射性セシウムが減ることはありませんので、廃棄物の焼却にあたっては、一般廃棄物との混焼によって焼却灰を安全に埋め立て処理できる濃度に調整することとしております。
A.11
100Bq/kgというのはいわゆる「クリアランス基準」と言われるもので、これは安全に再利用できる基準です。この濃度以下であれば日常生活の身の回りの場所(例えば建物や公園のベンチ等)で安全に使用できる基準です。
一方で8,000Bq/kgは廃棄物を安全に処理するための基準です。この濃度以下であれば、焼却施設や最終処分場などで通常の管理を行いながら処理したとしても、作業員の追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になるように設定されています。
このように、これらの基準は「身の回りも含めた再利用」と「廃棄物の処理」という、それぞれ異なる目的について安全を確保するための基準となっています。焼却施設から排出されるスラグが100Bq/kgであれば「クリアランス基準」を満たしており、再生路盤材などの土木資材等に再利用可能です。
A.12
風評被害は様々な要因で発生することから、あらかじめ予測することは難しいと思われますが、モニタリングポストによる空間線量の常時監視などの環境モニタリングをしっかりと実施し、その測定結果を情報発信しつつ、安全性を確認しながら処理を進めることで、風評被害を招く可能性を少なくしていくことが重要であると考えています。
A.13
放射線による健康影響については、国際的に合意された科学的知見を基にしており、国際放射線防護委員会(ICRP)等の国際機関の見解に基づいて基準等を策定しています。
原爆被害者を主とした疫学調査では、100ミリシーベルト以上の線量を一度に受けた場合では、線量が高いほど、ガンによる死亡が増加することが確認されていますが、100ミリシーベルト以下の線量では、放射線量によりがんの死亡率が増加することを示す明確な根拠はありません。
100ミリシーベルト以下の被ばく線量での発がんリスクは、生活環境中の他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいということが国際的な認識となっています。
また、同じ被ばく線量でも、低線量率の環境で長期にわたって被ばくした場合の健康影響は、短時間で一度に被ばくした場合より小さいと推定されています。例えば、自然放射線による被ばく線量が高い地域の一つであるインドのケララ地方(屋外の平均空間線量が年間9ミリシーベルト)の疫学調査では、総被ばく線量が500ミリシーベルトを超える集団であっても、発がんリスクの増加は認められないと報告されています。
汚染廃棄物処理にあたっては、このような国際的な知見も踏まえて原子力安全委員会が示した考え方に基づき、安全に処理を行うために処理などに伴って作業者や周辺住民が追加的に受ける線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにするという考え方で基準等を定めています。
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