
有限会社ファーム・ソレイユ東北
kitaha企画・開発室 室長
1992年生まれ、石巻市出身。東京で営業事務等を経験した後、50年の伝統をもつ実家の「お茶のあさひ園」で3代目としてUターンし、東北を盛り上げていきたいという思いから地元の桃生茶を原料としたお茶ブランド「kitaha」を立ち上げる。G20大阪サミットの夕食会、G7広島サミット社交夕食会で提供された他、2019年には新東北みやげコンテストで、フレーバーティ「纏(まとい)」が最優秀賞を受賞。
高校卒業時に東日本大震災がありましたが、東京に進学することは決まっていたので、バス乗り場に向かいキャリーバックを引きながら町内を歩いていました。ちょうどその時、配給物資の時間で町内の人が集まっていて、その中で自分だけが東京に行くことがすごく心苦しくて嫌でした。それでも、町内の人からは「東京に出ていくんだったら、がんばってきてね」という言葉や「応援しているよ」という声を掛けられ、その時に「何か学んでから地元に戻り恩返しをしたい」と思い上京しました。東京で数年勤務して「まずは、父母を支えてあげたい」「地域で何かしたい」という思いで戻ってきました。
お茶のあさひ園で販売や石巻産のお茶を原料にしたお茶ブランド「kitaha」の企画、開発、広報を担当しています。商品づくりをする上で、心に決めているのは「これをやったらどのくらい地域のためになるかな」とか「皆が笑顔になるかな」ということを考えながら取り組むことです。
まず、私はまだまだ評価されていないと、自分では思っています。今、自分に満足したら、おごりになると思っていますが、そのように見てもらえることはとても嬉しく思います。商品づくりのお話をしましたが、例えば「纏(まとい)」という商品は、だれかにそっと寄り添えるようものになってもらいたいという思いで、名付けたもので「大人かわいい」を目指して女性が喜ぶようなものを作りたいという思いで作りました。和紅茶なので、缶も茶道具の棗(なつめ)のイメージをモチーフにして容器もパールがかったもので、自分へのちょっとしたご褒美とか、誰かに渡したくなるようなものにしました。使用しているお茶も、伊達政宗公が奨励したという400年の歴史のある桃生茶ですが、今は生産者が1人で、それが途絶えてしまうことが悲しいという思いがありました。そこで、それを和紅茶に変換することで、存続できると思いますし、東北に新しいお茶文化を持ってくることで、雇用やいろいろな新しいものが生まれるのではないかと思っています。
地元でと言われると、ちょっと違いますが、夢を叶えたいと相談を受けることはあります。高校や中学校に講話に行った際に相談を受けたり、オンラインショップで注文をいただいた方一人ひとりに、手紙を書いて納品しているので、そこから文通が始まったり、次の注文の際に相談等を書いてくれたりします。相談をしてくれる子たちには、「1回外に出てみることで自分の住んでいる所がいかに良い所なのか、違うのかという事を感じて、また戻ってきた時にそれが生かされるから、地元を離れることは決して悪いことではないよ」と言っています。あとは「自分自身の今やりたいことを大切にして生きていくんだよ」という話をしています。
私はお米が大好きで、1つのから揚げでごはんを3杯は食べられます。疲れていても、おいしいお米に出会って、おいしいご飯を食べるとそれだけでまた幸せな気持ちになります。そのおいしいお米ができる宮城は、水がきれいだったり、自然が豊かなことの象徴なのでとても素敵だなと思います。また、宮城はまだまだ上を目指せる地域だと思います。未開発な部分というか未発達な部分があるということは、もっともっとできる、余白があると思うので、いろいろな挑戦ができる可能性を秘めている、何にでも挑戦できる環境がある地域だと思っています。
高校生の時、同じ中学校出身の友人たちと「硬式野球部を立ち上げよう」という話になって、実際に野球同好会を作りました。最初は「できるわけない」と周りから言われていましたが、先生や地域の人たちを仲間にして愛好会、同好会とレベルアップをしていき、高校3年生の夏には、硬式野球部としての活動が正式に決まったことがあります。その、何かを企画したり、周りを巻き込んだ経験が、今の仕事にも役立っています。
良かったことは、仕事を通してたくさんの人に出会えることです。私は、販売以外にも商品の開発や企画に携わっていますが、開発ならフードコーディネーターの方や食のプロがいます。他にも、商品パッケージに関わるデザイナーの方や、キャッチコピーを考えるコピーライターの方、マーケティングの先生がいます。いろいろな方とお会いすることで、さまざまな価値観に触れたり知識を吸収することができるので、自分を高めていけることが良いなと思います。あとは、県外の方とも交流があるところです。毎年、静岡県にある茶屋や問屋に足を運ぶのですが、お茶を通して関係を築けるのが、この仕事の良いところだと思います。
Interviewer
鈴木 茅優さん 宮城学院女子大学
起床。目覚めのお茶を淹れる。
出社。会社の掃除。
お茶を飲みながら朝礼。
メール・配送物のチェック。
午前中どこまでその日の仕事を達成できるか自分の中でゲーム感覚でやりながら楽しんでいます。
お昼。
祖母が作ってくれたお弁当を毎日食べています。
外で打ち合わせ
打ち合わせが仙台の場合はお世話になっている仙台のショップさんへの顔出しもします。
会社に戻り、メールのチェック。事務作業。
次の日にすることの整理。
メモに書いて少しでも忘れることがないようにしています。
退勤
夕飯準備。
夕飯準備は夫にも手伝ってもらっています。
夕食
お茶タイム。
その日の気分で飲むお茶は変えています。
入浴
就寝
休日の過ごし方
夫と2人で県内外のお茶について学びに行ったり、紅茶専門店に行ったりしています。この日は「とみやど」に行き「富谷茶」について学んできました。東北や宮城県でお茶が盛んになっていくのを感じると、とても嬉しい気持ちになります!!まだまだ行けていないところが多いので夫を道連れにこれからもお休みを満喫したいです。
※記載内容は取材当時のものです。