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有限会社伊豆沼農産

取締役

佐藤 裕美さん

1982年秋田市生まれ、宮城県栗原市在住。大学で事業構想を学ぶ中でグリーンツーリズムやエコツーリズムの講義を受け、農村や地域振興に興味を持つ。
大学卒業後、広告代理店に就職するが、震災後、農村地域での仕事に従事しようと、2013年に登米市の農業生産法人(有)伊豆沼農産に企画職として転職。2017年取締役、2021年より農村産業研究所主席研究員として勤務。

最大のミッション「農村を産業化する」

宮城県に移住された理由を教えて下さい。

学生時代に持続可能な観光を学ぶ機会がありました。農村地域にフィールドワーク等に行かせてもらい、農業・農村の魅力に強く惹かれました。大学卒業後、広告代理店に就職しましたが、学生時代に抱いた憧れは消えず、休日に農業ボランティア等を行っていました。
そのような時、東日本大震災がおきて、生まれ育った東北地方がすごくダメージを受けたということと、都会は便利だけれども、災害があったときにお金があっても何も買えない状況や、自分で食べ物をつくれない状況がすごく脆いように感じ、命や食に携わる仕事がしたいと考え始めました。転職先を探したところ、たまたま登米市の農業生産法人の伊豆沼農産が、新しいプロジェクトの企画担当者を探していたので応募しました。

現在の業務内容を教えて下さい。また、仕事をする上で心がけていることはありますか。

平日は視察、研修の受け入れなどの企画や協力会社さんとの商談をメインに行っています。土日はウインナーや郷土料理などの作り方をお伝えする体験教室をしています。この他、BBQやキャンプ、バードウォッチングなどのツアーを企画しています。
心がけていることは、この地域の資源にいかによそ者目線の価値を付加できるかです。ここに住んでいない方々を誘客していくためには、よそ者の目線が重要です。地域では「あたりまえ」になっている資源にうまく光を当てて、新たな付加価値をどのように付けられるかというとことは常に意識しているところです。そういった視点に基づき企画を立てて、都市農村交流が実現できた瞬間はとてもうれしいです。

サトウユミ

どのような時、やりがいを感じますか。

食べ物を作っている会社なので、体験を通して「美味しい」と言ってもらえたり、「楽しい」、「また来ますね」と言ってもらえたりするのは、とてもうれしいと思います。また、地域の方たちから、「またこういう機会を作ってね」「本当に楽しかった」と言われることにやりがいを感じます。

ワーク・ライフ・バランスで心がけていることはありますか?自分らしく働く・暮らすために重視していることも教えてください。

ワーク・ライフ・バランスという意識はあまりないです。東京にいた頃は、土日祝日が休みで有給も使えてと、休みが結構ありましたが、今は、土日にお客様達が来られるので、平日にお休みをいただく機会が多いです。農業は動物を飼ったり、野菜などを育てる仕事なので、計画通りに休めることが少ないのです。晴れたから今日やってしまおうとか、明日雨が降る予報だからこれをやってしまおうということが多くなります。現在、仕事とプライベートの切り替えはあまり意識していないですが、東京にいた頃よりも、ストレスを感じない時間を過ごしています。

サトウユミ

今後、思い描いている事はありますか。そのために努力していることや、宮城や企業に期待していることも教えてください。

当社では、「農村を産業化する」という目標を掲げて活動しています。誘客事業をきっかけにして地域にいろんな人たちが集まってきて、ここに住んでいる人たちと交流し、人や情報、経済が循環する状態を、私たちは「農村を産業化する」と呼んでおり、このビジネスモデルを確立させることが私の最大のミッションだと思っています。具体的には、農村では農業従事者の7割が65歳以上で、今後10年で更に半減することになり、食糧危機が間近に迫っていると思います。私もこの職場に来てそういうことを知りました。一方、都会にいると買うことが当たり前になっていて、また災害などで買えなくなる状況が出てくるとそういうことに気づいたりもするのかもしれませんが、気づいた時には手遅れになっていたということになるかもしれません。都市と農村、「生産の場」と「買う場」の距離が離れている現代ですが、その距離を縮めていくということが、これからの日本にとっては大事だと思います。さまざまな交流を通じて、都市と農村に住む人が互いを知り、支え合う場所を当社が仲介をしていくということが今の目標です。

学生インタビュー

これまでの経験で、今の仕事に生かされていると感じることは何ですか。

色々な仕事に順応できる力を東京で学ばせてもらいました。今は体験教室の先生や営業活動など、様々な仕事を兼任しながらやっているので、オールマイティーに取り組める姿勢は非常に役に立っていると思います。また、学生の頃の学びがなければ、農業や農村に興味を持つこともなかったので、大学でそのようなことを学べる環境があったのは、すごくありがたいことだったと思います。

東京から宮城に来て感じた違いについて教えてください。

まず、自然が豊かで、食べ物がこういう風にできているんだというのが実感できるところです。決定的な違いは人との距離感だと思います。東京では隣の人がどんな人か知らなかったし、興味もありませんでしたが、田舎だとみんなが知り合い。みんなで地区清掃やお祭りに参加するので、一緒に、支え合って暮らしている事を実感します。

サトウユミ

サトウユミ

Interviewer

長谷川 柚月さん 東北大学

仕事の楽しさとともに伊豆沼についてたくさん教えていただき、佐藤さんが伊豆沼の魅力について本当に知り尽くしていることを感じました。自然の豊かさや人とのつながりといった、今ある伊豆沼の魅力を佐藤さん自身が深く理解していることこそが、ユニークかつ効果的な企画を生み出す秘訣なのだと思います。私は足りないものに目が行きがちでしたが、今回のインタビューを通して、今あるものの良さについて知るところから、地域や社会について見つめ直してみようと思いました。

MY SCHEDULE

  • 6:00

    起床

    家事・朝食

  • 7:30

    出勤

    会社まで自家用車で出勤します

  • 8:00

    事務処理・商談など

    土日は体験教室の対応

  • 12:00

    昼食休憩

  • 13:00

    事務処理・商談など

    土日は体験教室の対応

  • 19:00

    退勤

  • 19:30

    帰宅

    家事・夕食

  • 23:00

    就寝

サトウユミ

休日の過ごし方

休みの日は、自宅にある田畑の農作業をしています。農作業が無い日は、ドライブしながら海や山の風景を見に行くのが気分転換になっています。伊豆沼農産の食材を扱ってくれている飲食店さんのお店に遊びに行くのも楽しみの一つです。

※記載内容は取材当時のものです。