
特定非営利活動法人 ベビースマイル石巻
代表理事
東京生まれ。4歳の時に仙台へ移り住み、結婚後の2007年、ご主人が家業を継ぐために石巻へ。2011年5月、任意団体として「ベビースマイル石巻」を立ち上げ、2012年4月に法人化。妊娠・子育て中の母親が中心となり、当事者目線での子育て支援を行っている。
きっかけとなったのは東日本大震災です。当時私は第二子がお腹におり、妊娠8ヶ月。多くの尊い命が失われたのを目の当たりにし、それまで当たり前だと思っていた「生み、育てる」ということが、実はとてもすごいことなのだと強く気付かされたのです。そして、これからもこの石巻で生きていくためには、街が元気でないといけない、そのためには命を増やしていかないといけないと思いました。また、一人目を出産した時に、「場」の必要性を強く感じた経験も大きく影響しています。子育てをしていると悩みが生まれたり、孤独感にさいなまれたりと、ネガティブな感情になることも少なくありません。そうしたお母さんたちに向けて情報を発信し、地域全体で支援していきたいという思いから、震災直後の2011年5月、「ベビースマイル石巻」を設立しました。
石巻での子育てが楽しく快適になるよう、当事者目線で子育て中のママ同士をつなぎ、多職種・多世代・他地域のネットワークとつなげることで、イキイキとした地域づくりを推進しています。主となるのは、遊び場・居場所を提供する地域子育て支援拠点事業で、「マタニティ・子育てひろばスマイル」や「子育て世代包括支援センターいっしょissyo」「児童館子どもセンターらいつ」の運営など、石巻市から受託しているものも数多くあります。このほか、相談、援助、情報提供、交流、イベント、講習会、サークル支援など活動は多岐に渡り、多くの方々にご利用いただいております。心がけていることは、常に自然体、フラットでいること。利用者様に安心して参加していただけるよう、私自身も格好付けず、子育てで試行錯誤している等身大の自分をお見せするようにしています。
やはり子育て中の女性の働きかたや人間関係でしょうか。法人化した後、法人として一皮むけていくために、組織の体制や快適な職場環境を整備する必要がありました。そのためにはスタッフの話をしっかりと聞くことが必要で、時にはネガティブな意見も忍耐力を持って受け止めなければなりませんでした。なかなかに大変なことでしたが、それにより自分自身の精神も鍛えられ、代表としての自信や責任感も増したように思います。
立場上、決まった時間に仕事が終わることはなかなかないので、一週間のスパンで考えて、休息の時間や子供たちと関わる時間を調整しています。夫のサポートがあって今の仕事ができているので、とても感謝していますね。また、子供たちも大きくなってきて、私の仕事を理解してくれるようになり、仕事しやすくなりました。“ライフ”は自分だけでなく、家族と一緒に作っていくものだと思っているので、普段の関係性やコミュニケーションを重視しています。活動を始めたころは仕事と生活が入り乱れていましたが、今は睡眠時間をしっかり取るように心がけているせいか、生活が整うようになりました。
宮城は山も海も近く、キャンプ場などの自然に触れられる遊び場もたくさんあって、子育てをする環境としても素晴らしいと思っています。拠点としている石巻に限れば、魚介類が本当においしいですし、人脈も広がった今はとても居心地がよい街になりました。宮城で暮らしていて不自由さがあっても変えていけるとポジティブに思えることが、宮城で暮らしている理由かもしれません。
私は人を喜ばせたり、人と人をつなぐことが大好きなんです。地域には一緒に子育てをしたい、子育てをしているママ・パパを応援したいという人がたくさんいます。そういう人と人を結び付ける活動は、自分の子育てが一段落ついた世代になっても続けていきたいと思っています。そして、「子育てはしんどくて大変なもの」という意識を、「子育ては楽しい!」という意識に変えていきたいですね。相談や寄り添いももちろん大事ですが、県にも子育てを「楽しみ」に変換していくような取り組みをもっとしてもらえたらいいのかなと思います。
お母さん方の「あなたならできるよ」「頑張りすぎないで」といったさりげない言葉、見守り方や距離感など、見習いたいと思う部分は多いです。自分自身も子どもとの関わり方を模索する中で、そうした部分を自分の子育てにも取り入れて、良い親子関係をつくるようにしています。また、お母さん方との素敵なご縁が生まれることも多く、そのご縁が自分にとってとても大切なものになっていると感じます。
夕食がひと段落した後に夫とお酒を一杯たしなむ時間が癒しです。また、このベビースマイルの活動が仕事として自分の中で確立してからは、子供たちと過ごす時間も息抜きになっています。仕事が忙しくなってからは、夫が家事を分担してくれるので、掃除や洗濯などの家事も息抜きに変わりました。家にいることそのものがリフレッシュだと感じることができるようになりましたね。
Interviewer
川島 和佳乃さん 宮城学院女子大学
起床
メールチェック、ニュース新聞で情報収集、todo書き出し
朝食
子供たち学校へ
業務
組織全体の進捗確認、ファシリテーション、情報発信、電話・メール送受信、会議への出席、講演等資料作成
お昼休憩
業務
児童館や子育てひろばで利用者や職員と話したり相談にのれるように、また、緊急的な事案に対応できるように余白を持つよう心がけています。
夕飯
家族のフリータイム
お菓子を食べたりお酒をたしなんだり。家事全般、夫がリーダーシップをとって協働しています。
就寝
休日の過ごし方
土日に仕事が入ることも多いので子供たちの部活やスポ少や遊びの見守りなど夫と分担しています。思い切ってキャンプなどレジャーの予定を入れてリフレッシュも大切にしています。あとは3人の子供たちと家の中でゆっくり過ごすことが多いですね。子供たちは料理が好きなので、見守ったり一緒に作ったりしています。
※記載内容は取材当時のものです。