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蔵王町観光協会

こけし工人

小山 芳美さん

新潟県出身。京都の大学を卒業後、新潟に戻り就職。2016年に蔵王町遠刈田系伝統こけし新規工人育成事業に採用され、2018年に平間勝治に師事。2019年よりこけしの販売を開始。

こけしに魅了され、遠刈田系こけしの技術を磨く

現在の団体を選んだ理由を教えてください。

こけしとの初めての出会いは、旅行先の山形のお土産屋さんでした。かわいいなと思って1つ購入したのがきっかけで、その後どこかの本屋さんでこけしの本を見つけて、系統や種類、いろいろな師弟関係など、おもしろいなと見ていたらどんどんハマって。集めて楽しんでいたら、ある人に「そんなに好きなら自分でつくってみたら」と言われて、自分でつくることもできるんだと知りました。たまたま蔵王町の遠刈田系伝統こけし新規工人育成事業の募集を見て、チャレンジしてみようと、新潟から蔵王に移住しました。2年半の育成を終え、2019年から自分名義で作品の販売を始められるようになりました。

現在の業務内容を具体的に教えてください。
また、仕事をする上で心がけていることはありますか?

現在は蔵王町観光物産協会が運営している「みやぎ蔵王こけし館」で働きながら、その合間にこけしを製作しています。こけし館では、館内の清掃、売店の商品管理やレジ、展示しているこけしの維持管理、絵付体験の指導、あとは実演をすることもあります。今後やってみたいと思っているのは、展示するこけしがとても多いので、キャプションをつけたり誘導しやすくしたり、もっと分かりやすい展示にしていきたいですね。こけしの製作は、こけし館での仕事が終わった後や休みの日に行っています。こけしづくりは、原木の乾燥から木を削り、磨いて描彩して、多くの工程がありますし、削る刃物も自分でつくっています。

どのような時、やりがいを感じますか?

こけし館で自分のこけしを販売させていただけるので、お客さまの生の声を聞けることがうれしいですね。ひな祭りの時期に“こけしびな”を販売したのですが、「うちの子どもに似ているから買っていくわ」と言っていただいたのは印象に残っています。こけしファンの中には、工人が描いた時の感情や体調が分かる方がいて、私のこけしはトロトロしているような表情が多いようで、「眠たくなっちゃったんだね」って言われたことも(笑)。あとは、他の工人さんのこけしを見られたりお客さまにおすすめしたり、毎日こけしに囲まれていることが楽しいですね。

趣味や推し活などがあれば教えてください。

今でもこけしを集めるのが好きなので、連休があるとこけしの産地に行きます。大崎市の鳴子とか、福島県の土湯、秋田県の木地山などなど…。ほかにも、お祭りで工人さんを招待して実演いただいたり、逆に私が招待いただいたり、各地の工人さんとの交流もあるんですよ。白石市の「弥治郎こけし村」とはよく交流しています。津軽系こけしの工人さんにもお世話になっているので、青森にも行きたいですね。

ワーク・ライフ・バランスで心がけていることはありますか?
自分らしく働く・暮らすために重視していることを教えてください。

こけしをつくる作業は夜か休みの日が多いので、こけし館の仕事が忙しいとこけし製作に集中するのが難しく、その逆もありますし、なかなかバランスが難しいと感じています。模索中ではありますが、バランスを取るために作業をしない日をつくることでしょうか。疲れてしまうといい発想が浮かばないので、家にこもります。ボーッとテレビを見ている時にふといいアイデアが浮かぶこともありますね。

あなたが思う宮城の魅力は何ですか。
宮城で暮らす理由も教えてください。

遠刈田地域の魅力になりますが、景色が抜群にいいところです。特にこけし橋から見る蔵王連峰が綺麗で、春は周辺に桜が咲きますし、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々で楽しめます。綺麗な景色や空気に囲まれると創作意欲も湧きますし、美しい景色や花をこけしに描きたいと心が動きます。まだ自分の技術が全然追いついていませんが、こけしに描いた柄を見て、遠刈田の景色を思い描いてもらえるように技術を磨きたいです。地域の人も温かくて、最初は人見知りですが、慣れるとすごくやさしいです。師匠も技術だけではなくて、人に対しての礼儀などを教えていただいて、第2のお父さんだと思っています。

今後思い描いているキャリアデザインはありますか?
そのために努力していることや、宮城県や企業に期待することを教えてください。

もっと自分の技術の質を上げていきたいです。そのためには、もっとたくさんつくることだと思っています。宮城県にはこけしをアピールしていただけたらと思います。先日、東南アジアの方が観光で来られて「こけしを知らなかったのですごくいいね。城などの歴史的観光地は行き尽くしたので、伝統産業をもっと知りたい」とおっしゃっていました。もっと多くの方にこけしの魅力を知っていただけたらと思っています。

学生インタビュー

大学ではどんな勉強をされていたんですか?

もともと歴史が好きだったので、大学時代は歴史学を専攻していました。大学で歴史や学芸員の勉強をしたことが、もしかしたらこけしの魅力に気づいた点や、今のこけし館での仕事につながっているかもしれませんね。卒業後すぐは歴史とは全く関係ない仕事をしていたので、学生時代にやってきたことがその後にどう繋がるかは分からないものですね。

今後の目標や挑戦してみたいことについて教えてください。

こけしはつくればつくるほど上手くなれるので、質の向上を目指してたくさん作りたいです。また伝統の型を大切にするのはもちろんですが、伝統工芸品として新しさを探索していかなければなりません。新しい形と色のこけしを追求したいです。特に染料について、緑や黄色は時間が経つと消えてしまいます。色を残せるように様々な業種の人と協力して新しい染料を開発してみたいです。蔵王町の草木から染料を取ったりできないかな、と考えています。

Interviewer

峯村 遥香さん 東北大学大学院

伝統工芸品の職人さんからお話を聞くのは初めての機会でした。こけしそのものだけでなく、こけしをつくるための刃物も手づくりされており、伝統工芸品の奥深さを感じました。「こけしは世界に一つしかない」という繊細な魅力は世界から注目されつつあり、日本を代表するモノづくりの一端を担う姿はとても格好よかったです。

MY SCHEDULE

  • 7:00

    起床

    テレビをみながら準備します。

  • 7:30

    朝食

    朝食はパン派です。

  • 9:00

    出勤

    「みやぎ蔵王こけし館」にて勤務。外回りの掃除、館内の掃除、お客様の接客対応など。

  • 12:00

    昼食

  • 13:00

    午後勤務

    こけしの管理(整理整頓)、こけしやこけしのケースの清掃など。

  • 17:00

    退勤

  • 17:00

    夕食、掃除、洗濯など

    家事をまとめてします。

  • 20:00

    こけし製作

    ラジオを聴きながら作業します。

  • 1:00

    就寝

休日の過ごし方

休みの日に喫茶店やカフェで美味しいお菓子を食べて、ボーっとするのが好きです。

※記載内容は取材当時のものです。