女性のためのポータルサイト「ずうっと宮城」 > 宮城で輝く女性発見! > TOHOKU360 代表・編集長 安藤 歩美さん

TOHOKU360

代表・編集長

安藤 歩美さん

千葉県生まれ。東京大学公共政策大学院修了後、全国紙の記者として宮城県に赴任し被災地の復興を取材。その後独立し、2016年に東北各地の住民とつくるニュースサイト「TOHOKU360」を立ち上げ編集長を務める。そのほかNHK仙台のてれまさむねへの出演や仙台大学の講師(2022年度)としても活動中。

メディアを通してさまざまな仕掛けづくりをしていきたい

現在の会社(団体)を起業しようとした背景を教えてください。

東日本大震災当時は学生で、女川で学習ボランティアなどの活動をしたのがきっかけで、新聞記者として就職し、東北総局に配属されて宮城県に住み始めました。取材で東北各地を巡る中で、東北って多様な文化がある場所だということに気がつきました。なぜ関東にいた時は情報として伝わってこなかったのかを考えた時、プロの記者として伝える人が大都市に固まっていたりメディアが東京に集中していたりすることが原因なのではと。だったらプロじゃなくても、住民自身が情報発信をするような仕組みさえあれば、もっと豊かな情報が世の中に出てくるのではないか、試してみる価値はありそうだと思い、新聞社から独立後にTOHOKU360を立ち上げました。

現在の業務内容を具体的に教えてください。
また、仕事をする上で心がけていることはありますか?

最初はVR動画を使った日本初のニュースサイトとして、VR動画だけで報道することから始めました。インターネットの可能性を探ってみたかったのと、震災の状況をリアルに伝えるためです。同時に、参加する住民を育てるためのニューススクールを東北各地で開催し、取材執筆のルールを教え、希望者にはTOHOKU360の「通信員」として伝えたい情報を取材して記事を書いてもらう仕組みをつくりました。最初はどうなるだろうとスタートしましたが、上がってきた原稿を見て、間違ってなかったと思いました。書く人の感性や目のつけどころ、何を問題視して何をおもしろいと思っているのか、全部素直に出ていて、人の数だけニュースが生まれています。これからは多くの住民が参加できる場としてメディアを運営していくとともに、地域と連携して未来を考え、暮らしをよくしていけるようなメディアに進化していけないかと考えています。

起業したことで苦労したことはありますか?

私たちが発信しているニュースは、あまりお金にならない分野です。それをどう支えるかは苦労しているかもしれません。地域の団体とプロジェクトを立ち上げ、事業としてお金をいただくなど、マネタイズを工夫していかなければと思っています。苦労はありますが、誰かのためになれたらという想いはもちろん、やっぱり楽しいから続けられているというのは大きいですね。

ワーク・ライフ・バランスで心がけていることはありますか?
自分らしく働く・暮らすために重視していることも教えてください。

基本的に自分のやりたい仕事をやっているので公私の区別がつきにくいのですが、仕事をしない日をつくることですね。心がけないとずっと仕事をしてしまうので、全然違うことを考える時間はとても大事だと思っています。自分らしく暮らすという点では、好きなものをなるべくそろえること。家具やインテリア、服や化粧品などの身につけるもの、ベッドをふかふかにするとかですね。嫌いなものにはあまり触れないようにしています。

あなたが思う宮城の魅力は何ですか。
宮城で暮らす理由も教えてください。

宮城は人とつながりやすいと感じています。会社や大学、スポーツチームなどさまざまな分野の方がいて、キーパーソンとつながりやすく、いろいろなコラボをしやすい環境で、程よいコンパクトさが魅力だと思います。何かおもしろそうなことをやっていると認識いただくと、一緒にやろうと言ってくださって、テレビ・ラジオ出演の仕事もそうですが、刺激的な仕事をたくさんいただいて、本当にありがたい環境です。正直、こんなに長く住むとは思っていなくて、仕事がおもしろいからというのが宮城で暮らす理由なのだと思います。

今後思い描いているキャリアデザインはありますか。
そのために努力していることや、宮城県や企業に期待していることも教えてください。

私は飽きっぽい性格なので、いろいろなことをしたがるのですが、結局メディアだけは続けているので、相当好きなんだなというのを自覚しています(笑)。メディアは仕掛けづくりだと思っていて、TOHOKU360で例えると人のネットワークをつくることで出てこなかった情報を出していく仕掛けなのですが、TOHOKU360に限らず、そんな仕掛けをたくさんつくる仕事をしていきたいと常に思っています。宮城に期待したいことは、可能であれば往来にまつわる助成制度があるとうれしいです。宮城だけにいると情報が偏ってしまうので、東京に行って情報収集をしているのと、完全に移住はできないけれど宮城に関わりたいという方もいて、助成制度があると人の往来がより増えて宮城の活性化につながるかもしれないと思いました。

学生インタビュー

仕事の中でやりがいを感じる時はどんな時ですか?

人の行動を変えたと実感した時ですね。記事を見た人や書いた人が、変わっていく姿を見ているのが楽しいです。記事を見た人が、その場所に行ってみようとか、地域の課題を知って実際に自分で何かやってみようといったような変化もうれしいですし、書くことが好きだった人も興味がなかった人も、執筆を通して楽しみを見出していく変化を見るとやりがいを感じます。

今後の目標について教えてください。

やっぱりメディアが好きなので、既存のメディアを続けつつ地域の魅力を伝えていく仕掛けづくりをこれからも行っていきたいです。また、今年は整理の年にしたいです。今年で宮城に来て丸10年が経ちます。ここで一度立ち止まってこれまでを振り返り、次のステップを検討する時間を作ろうと思います。

Interviewer

峯村 遥香さん 東北大学大学院

安藤さんが考える宮城の魅力が「人のつながりやすさ」であるように、かねてからお会いしたかった安藤さんにお話を伺えてうれしかったです。多様なお仕事を手がける安藤さんですが、その根底には「メディアが好き」という思いがあるといいます。好きなことを追求することこそ自分らしいキャリアを描くヒントであると感じました。

MY SCHEDULE

  • 7:00

    起床、身支度など

  • 9:00

    業務

    記事の編集作業、サイトの更新、メール返信、取材や打ち合わせなど。

  • 13:00

    お昼休憩

  • 14:00

    業務

    原稿の執筆、講演の資料作成など一人で集中して取り組む作業を午後にすることが多いです。

  • 19:00

    夕飯

    順調に仕事が終われば自炊します。

  • 20:00

    くつろぎタイム

    長風呂をしたり映画を見たりしてひたすら頭を休ませます。

  • 24:00

    就寝

休日の過ごし方

お家でゆっくりすることも多いですが、カメラを持ってお散歩したり遠出したりすることもあります。写真は「猫の島」で有名な石巻市の田代島です。

給与の使用割合

貯金:25%、趣味:25%、家賃:20%、食費:15%、生活費:15%
街中に暮らしながら家賃を低く抑えられ、新鮮な魚や野菜も安く入手して料理できるのが宮城暮らしの魅力だと思います。

※記載内容は取材当時のものです。