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フリーランストーク

 

#テーマ
「みやぎでフリーランスとして働くということ」

宮城県を拠点に活動する、イラストレーターの佐藤ジュンコさん、シンガーソングライターの加藤はるかさん、ライターの岩崎尚美さん。“フリーランス”という共通項のもと、クリエイティブなお仕事に就いている3人に、フリーランスとして働くことの魅力や宮城県で働くメリットなどについて、たっぷりと語っていただきました。

  • 佐藤 ジュンコさん

    イラストレーター

  • 加藤 はるかさん

    シンガーソングライター

  • 岩崎 尚美さん

    ライター

三者三様、フリーランスになるまで

岩崎はじめまして。フリーランスライターの岩崎と申します。雑誌や企業パンフレットといった紙媒体、HPなどのWeb媒体で取材原稿を執筆するほか、漫画やゲームアプリのシナリオライティングなども手がけています。今日はどうぞよろしくお願いします。

佐藤イラストレーターをしている佐藤です。新聞や雑誌、Web上で、主に自分のことや、身の回りで起きる身近な出来事を描いた漫画を連載しています。そのほかにも本の挿絵などイラスト単体の仕事もしています。

加藤シンガーソングライターの加藤です。仮歌シンガーとしてキャリアをスタートし、現在は有名タレントさんの曲のコーラスなども担当しています。結婚式のレターソングだったり、会社の社歌だったりの作曲の仕事をすることもあります。その他、結婚相談所やメンタルコーチなど、歌以外にも細々といろいろなことをやっています。今日はフリーランスの先輩方に、いろいろと教えていただければと思います。そもそも、お二人はどのようにしてフリーランスになられたのですか?

岩崎私は会社の事務や、コールセンター業務、パチンコ店での接客などを経験してきました。でも、ずっと自分のやりたい仕事ができていないという感覚があったんです。そこで改めて何をやりたいのかを考えてみたときに、「文章を書いてみたいな」と。学生時代、国語は得意で文章を褒められることもあったし、SNSで日記を書いたりして、文章を書くこと自体は好きだったんです。それで、ライターになるにはどうしたらいいんだろうと考えたときに、出版社に勤めるのが王道かと思ったのですが、仙台には少なくて。仮にあったとしても、出版社は激務という印象がありましたし、まだ子どもが小さく手がかかる時期だったのでちょっと難しいかなという気持ちもありました。それならフリーランスになるしかないなと考えたんです。

佐藤私は大学進学で仙台に来て、卒業後はふらふらしていたんです。見かねたある友人に「ちゃんと働け」と言われまして(笑)。友人は私が本好きということを知っていて、「本屋に電話して募集していないか聞いてみろ」と言うので、言われるがまま電話をし、たまたま求人していたので書店でアルバイトすることになりました。書店で働きながら、趣味で描いた自作の漫画を友人たちに配布するということをしていまして。書店に来る知人にも配っていたところ、版元にお勤めの方の目に留まり、「うちで連載しませんか」とお誘いいただいたのが最初です。だから、流れに身を任せた結果というか…(笑)。

加藤私の場合は、高校でバンドを組んだのが音楽を始めたきっかけです。音楽を仕事にしたいと思い卒業後に東京に飛び出したのですが、最初の2年ほどは食べていくのに必死で音楽どころではなく…。介護事務や人材派遣会社の総務など、いろいろな仕事を経験しました。でも、本来やりたい仕事ではなかったのでどれも長続きしませんでしたね。私の希望は、「音楽がやりたい」「家から出たくない」「好きな時間に仕事をしたい」(笑)。そんなとき、フリーランスでもできる仮歌シンガーという仕事があるのを知り、「これなら家で好きな時間に好きな音楽の仕事ができる!」と、この道に飛び込みました。その後2021年に宮城に戻ってきて活動しています。

佐藤仮歌シンガーってどんなお仕事なのですか?

加藤作曲家さんがコンペに出すデモ曲のボーカルを担当する仕事です。これまでに5,000曲以上歌いましたが、初めてのお仕事で、1曲歌って3,000円いただいたときの感動は今も忘れられません。お二人はどのようにしてお仕事の幅を広げていかれたのですか?

岩崎私はゼロからのスタートでしたから、最初はクラウドソーシングを活用し、低単価の仕事からコツコツと経験を積んでいきました。そうして積み重ねた実績を携えて出版社などに売り込んでいくうちに、次第に大きな仕事もいただけるようになっていきましたね。

佐藤お二人ともすごいです。私は最初の連載が決まった後、そこからだんだん仕事が広がっていったので、「こういう仕事がしたい!」と自分で営業をかけたことがないんです。運、縁、タイミングだけでここまで来た感じです。

岩崎・加藤営業しなくてもお仕事がくるなんて、そちらの方がすごいです!(笑)

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フリーランスという働き方は、魅力いっぱい!

岩崎お二人はフリーランスという働き方はご自分に合っていると思いますか?私は自分のことを、会社員のようにどこかに属して働くタイプだと思っていたので、今の自分が意外でもあるんです(笑)。

加藤好きなことを追求できるフリーランスは性に合っていると思います。その一方で、ひとりでは限界を感じている部分もあります。最近はチームでお仕事を受けることもあり、最終的には法人を設立して組織を作るのが目標なんです。

佐藤私も自分に合っているのかなとは思います。書店を辞めて、一人でやることに最初は心細さもありました。でも、仕事をしていく中で新しい出会いも増え、一人だけど一人ではないと思えるようになりました。私は今、布団から仕事机まで数歩の距離。起きたら格好を気にせずすぐに仕事に取りかかれる環境なのは、フリーランスならではなのかなと思います(笑)。

岩崎自分で仕事をある程度選べるのもフリーランスのいいところだと思います。料金なんかも含め、「ここまでだったら受ける」という基準を自分で設けることができますし。

加藤料金を変えるだけでお客様の層が変わることもありますよね。私の場合、仕事自体はデータのやりとりなので、場所を選ばずどこででもできるというのも魅力ですね。宮城と東京のスタジオとをつないで遠隔レコーディングをすることもあるんですよ。

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フリーランスならではの大変な経験も…

佐藤逆に、フリーランスの大変なところってどんなところですか?私が思うのは、意外と雑務が多いなということです。例えば請求書の作成とか確定申告作業とか。私は正社員になったことがなく、メールの文面をどう書いたらいいのかすらわからなかったので、いろいろと苦労しました。恥をかき、失敗しては学んでの繰り返しです。

加藤私が大変だと感じることは、やはり収入の不安定さでしょうか。企業に勤めていれば、育児休暇などもしっかり取れると思いますが、フリーランスの場合、仕事をしなければ収入はゼロです。それもあり、私は産後2週間で仕事復帰しました。仮歌シンガーの仕事もAIに奪われつつあるので、常に新しい仕事を開拓し、学び続けないといけないという危機感もあります。

岩崎確かに大変なことも多いですよね。一人だと替えが効かないので、急な体調不良のときなどは焦ります。ところで、お二人ともご自宅が仕事場だと思うのですが、オンオフの切り替えはうまくいっていますか?

佐藤一応何時から何時までと決めて机に向かうものの、うまくいかない日も多いです。でもうまくいかなかったことで自分を責めると余計プレッシャーになるので、できないときや調子が出ないときは、無理せず頭と体を休めるようにしています。

加藤私は気持ちの面でのオンオフはうまく切り替えられていると思います。でも、出産後は時間のやりくりに追われていますね。育児というライフスタイルの変化に対して、仕事のやり方はいろいろと工夫していかないといけないなと思っているところです。

宮城で、フリーランスとして働くメリットとは?

佐藤私は宮城って、フリーランスの人がとても仕事がしやすい土壌だと思っていて。宮城の企業の方は、せっかくお願いするのなら地元にいる人にお願いしたい、と考えてくださる方が多いような気がするんです。以前、宮城でイベントに出展したとき、たまたま印刷会社の社長さんがお客様としていらして、それが縁でお仕事のお声がけをいただいたこともあります。私の出身地の福島では宮城ほど需要は大きくないし、東京だと埋もれてしまう。宮城で仕事を始めてよかったなとつくづく思います。

岩崎先ほど加藤さんがおっしゃっていたように、今は場所を選ばずにできる仕事も増えているし、フリーランスという働き方も当たり前になってきている。そういういい時代に始めることができたのも良かったと思います。

佐藤今こうして宮城で仕事ができているのは、東京じゃなくても働けるという前例を作ってくれた過去の方たちのおかげでもあると思っています。宮城はフリーランスでいろいろなお仕事をしている方がいるので、その中で生きていきやすいですよね。

加藤そうそう。東京では大勢いるフリーランスの中の一人でしかなかったですが、こちらではフリーランス同士とか個人事業主同士の距離感が近くて、すぐに友達になれるし、「一緒に何かやりましょう!」という雰囲気になるのがすごくいいなと思っています。