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女性経営者トーク

 

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#テーマ
「みやぎの女性経営者が考える働くこと」

宮城県で働く3人の女性経営者。介護施設経営の小松麻衣さん(左)、
老舗温泉旅館女将の一條千賀子さん(中央)、飲食サービスなどを経営する木村美保子さん(右)
仕事をする上で必要な能力や、大変なことについて女性の経営者ならではのトークをどうぞ。

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    小松 麻衣さん

    まぅるる株式会社

    代表取締役

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    一條 千賀子さん

    時雨の宿 湯主一條

    女将

  • 0003

    木村 美保子さん

    株式会社ゼン・インターナショナル

    代表取締役

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みなさんのキャリア

 

齋藤インタビュアーの齋藤と申します。始めに皆さんの自己紹介と経営者になられたきっかけについて教えて下さい。

小松大崎市内に5ヶ所の医療・介護施設を経営する、まぅるる株式会社の代表取締役をしています。経営者になるきっかけは、10年程前になりますが看護婦をしていた時に、高齢者の方が自宅や子供の家で最期を迎えたくても、訪問診療も整っていなかったため病院で亡くなる他に選択肢が無いことから、人が最期を迎える場所の選択肢が少なすぎると思ったことです。私が創業すれば、24時間どんな時でも駆け付けられる、みなさんに選択肢を与えられると思ったことが始まりでした。

木村5年間幼稚園の教諭をしていましたが、25歳の時に父が亡くなり事業を引き継ぎました。また、自分でも力を試したくて別の会社を立ち上げました。現在、株式会社ゼン・インターナショナルの代表取締役をしております。石巻市に本社を構え、飲食店の経営、ホテル内レストランの運営、リハビリ特化型デイサービスなどの事業を行っています。

一條青森県出身で、東京の赤坂プリンスホテルでホテルマンとして働いていました。そこに修行に来ていた「時音の宿 湯主一條」の20代目と出会い結婚しました。その後、湯主一條が経営難で助けてほしいということで創業約500年の老舗旅館の20代目女将として宮城県白石市にまいりました。

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社長となる人に求められる能力とは

齋藤社長として求められる能力とはどういうものだとお考えですか。

小松全て人だと思います。気持ちありきで全ての仕事、相手のために何をしてあげたいか、何ができるか。それは、ご利用いただく方々だけでなくスタッフを含めてだと思います。

木村度胸と覚悟だと思います。経営者は性別関係なくできると思いますし、何があっても最後まで責任を持つことが大事です。

一條女将として社長を見ていると責任が重大です。従業員の生活、従業員の家族の生活、取引先の方々、地域の方々など大勢の人たちと繋がっていて、その人たちのことを考えて責任を持ってやらなくてはいけない人間力が重要だと思います。

社長として、力を入れてやっていること

齋藤社長として、今一番力を入れて行っていることはなんですか。

小松スタッフとの協調性、コミュニケーションを取ることに力を入れています。現場で働くスタッフが全ての現場のことを一番分っているのは事実だと思いますし、社長にこうしてほしいという希望もあると思うので、そういった思いを確認していきたいと思います。現在55人程のスタッフが24時間体制で働いていますが、何時に行っても職員と話しをするように心がけています。

一條うちも24時間体制なので、仕事内容は違いますが、共通するところもあります。現場のスタッフは大変だと思いますが、小松さんは一人ひとりに声掛けされていますか。

小松現場に行ったら施設内を見て回り、一人ひとり職員に声をかけ、利用者さんのお部屋を見て回りコミュニケーションを取っています。大変ですが、この仕事が好きなんです。毎日5つ全ての事業所は回れないので、それぞれの事業所の管理者たちと常にコミュニケーションを取り、何かあればすぐに駆け付けます。

一條どの業種でも人材不足が叫ばれていますが、かなり前から人材不足に対応するため、採用と人材育成に力を入れています。ここ1、2年で新卒も10名前後採用しています。新規事業も予定しているので、そのための教育にも力を入れています。

小松介護業界も人材不足が問題ですが、採用していく上で何か気を付けていることはありますか。

一條性格診断テストを必ず受けてもらい、向き不向きの適性、協調性や家族構成も重視します。また、新卒採用に重点を置いています。一から育てるのは苦労しますが素直でいいですね。

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木村私のところは、娘が後継者で一緒にやっていますが娘にしっかり事業を引き継ぐということに徹底して力を入れています。覚悟と度胸をしっかり継承できるようにしています。

小松血族に経営理念を継承するのは難しいと思います。私も21歳の息子がいますので、一緒に動いて感じて学んでほしいと思いますが、高い壁のようなものを感じます。

木村私の娘は仙台に就職を希望していましたが、大学3年の時に震災に遭い、地元意識が強まったようです。大学4年の時に石巻イオンで新しいフランチャイズのお店をオープンすることになり店長をやりたいと娘が言ってくれました。それから商売が面白くなったようです。事業継承についての気持ちは早めに伝えた方がいいと思います。子供が都会に出てしまい、帰って来なくなり廃業される方もいると聞きます。

今だから言える、こんな苦労したこと

齋藤今だから言える、苦労したこととはどんなことですか。小松さんからお願いします。

小松創業時に職員が一気に辞めたり、資金の面で苦労したり、人材確保に苦労してきました。探したからといってすぐに人材はみつからないですし、この業界はすぐに退職してしまう人も多いです。事業を始めて5年間ぐらい24時間体制でいつでも自分が動けるようにしていました。2店舗目を開業した時は資金繰りに苦労しました。

一條スタッフがいないと回らない仕事なので、人件費がかかります。働き方改革で労働時間が厳しくなっているので、その中で人の手配をやりくりするのは大変で、私もスタッフの一員として24時間体制で手伝ってきました。また、新人スタッフが慣れるまで、長い目で見て教育していくことが大事です。

木村飲食店なども365日休めない仕事なので、気持ちが休まらないので大変です。人と現場を守るのは苦労します。例えば、栗原市花山の特別養護老人ホームの給食事業も受諾していますが、雪の日など悪天候の時に従業員の通勤なども心配です。

一條ずっと苦労しっぱなしです。世代交代して旅館に戻った時は経営難でマイナスからのスタートで、そこからやっとリニューアルした時には震災に遭い大変な思いをしています。

齋藤コロナの時は苦労されましたか。

木村どん底でした。イオンの店舗ですが、お客さんが来ない。売り上げが急降下です。

小松ずっと苦労されてきたと思いますが、それでもやり続けるパワーはすごいですね。

一條コロナの時は宿泊割などでお客様が増えました。エレベーターもなく食事も個室なので、逆に安心ということで助かりました。

木村私もずっと苦労です。第一の苦労は父が他界した時に相続税が払えなかったことです。それまではバブルでしたのでお金の苦労もなく、25歳で相続した時は何もわからない状態でした。第二は焼き肉店を経営していたので、狂牛病が流行った時、第三はやはり震災の時が大変で、お店は津波で水没しました。家族が無事だったのがなによりで、力を合わせて事業を拡大してきました。株式会社ゼン・インターナショナルの子供の英会話スクールは、自分の子供が英語を話せたらいいなということで始めたんですが、その時代にたまたまヒットして今までやってきました。幼稚園の教諭の延長のような感じで、好きな事をやってきています。

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齋藤起業する苦労について、そうだなと共感する部分はありますか。

小松起業する時は苦しみを考えず、わくわくする楽しみしか考えない。私もいつか起業したいとずっと考えていて、始めた時は、これからは自分が思い描く介護医療ができるんだと思いました。起業する時は楽しみしかないですが、起業してからは苦労の連続です。

一條嫁ぎ先の嫁姑、小姑問題もありました。その後ベテランスタッフとの関係構築に苦労しました。最初はベテランスタッフからの期待もあり歓迎されていましたが、大改革を進めた時にベテランスタッフから猛反発され、コンサルタントの方から全ての従業員を解雇して一から採用するようにアドバイスされましたが、私は今まで支えて来てくれたベテランスタッフを大切にしたいと思い、解雇せずに働いてもらいました。そのため私自身が体調不良になりましたが、なんとか乗り越えてきました。

将来を担う若者に望む事

齋藤将来を担う若者に望むことは何かありますか。

小松「やろうと思ったらなんでもできる」と言いたいです。できるのに自ら制限をかける子が多いと思います。まず、やってみて駄目だったら次を考えてと言いたいです。諦めないで、女性だからこそできることもあると思うので、がんばってほしいと思います。

木村今の学生は人に流される人が多いように感じます。誰かのせいにしたり、自分の意思が弱い気がします。社会に出たら一人なので、学生のうちに一人で何ができるか考えてトライしてみることが大事です。バイトはもちろんのことお金を稼ぐということを実践してやっていくこと、その対価として責任が伴うということを体験してほしいです。

齋藤小松さんのお話しにもありましたが、挑戦せず自分ができないと決めるつけるところも自信の無さの現れなのかもしれないですね。

小松誰かに自信をつけてもらいたいという子が多いですね。やってみてできなかったけど、もう一度やってがんばってできるようになり、そして自信がついていく。誰かに自信をもらう、誰かに承認してもらうという前提の子が多い。それが自信の無さに繋がっているので、失敗しても挑戦していくことで自信がつくと思います。

齋藤一條さんは若い人に言いたいことはありますか。

一條今の人たちはSNSで繋がっていて、情報が多く、それが本当の情報なのか受け取る方はわからないのに引きずられていることが多いと思います。未熟で社会経験が少ないので仕方ないかもしれないですね。生まれてからずっと、失われた30年と言われているように暗いニュースが多いですが、若い時はやりたいことを夢見て輝いてほしいです

齋藤たくさんの貴重なお話しをありがとうございました。

 

Interviewer 齋藤 詩帆さん 東北福祉大学

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女性経営者の方々の貴重なお話を聞くことができ、とても充実した時間となりました。学校では直接的に教わることのない社会人としてのマナーの大切さや、上の立場の人がどのような気持ちで教育してくださっているのかなどを聞き、自分の心の持ち方を改めようと思うことができました。今この学生のうちに、成功や失敗に固執せずいろいろなことに挑戦していきたいです。