女性のチカラを活かす企業認証
ゴールド認証
代表取締役 / 只野 佳旦さん
宮城県北部を中心に、主に公共事業の土木工事や建築工事を請け負い、安全・確実・優良をモットーに数多くの優良工事を手掛けてきた只野組。代表取締役の只野さんに女性活躍推進について伺いました。
土木・建築の総合建設業を営み、2025年で創業55年になります。宮城県優良建設工事は21年連続受賞、且つ東北地方整備局、所轄機関から多くの表彰をいただき、確かな実績と信頼を積み重ねてきました。また、グループ企業として、建設業・運送業・資材販売の株式会社メディアオークラ、福祉事業・不動産賃貸事業(倉庫)などを行う株式会社テクノケアサービス、米穀類などの買取・販売を行うライス宮城株式会社の3社があります。
当社で初めて女性社員が育児休暇を取得したのは1995年。育児休業法が施行されたのが1992年なので、早い段階から女性のライフイベントには自身の考えを尊重していたと思います。男女に限らず、優秀な人材には長く働いてほしいというのが当社の考えです。ちなみに初めて育児休暇を取得した女性は今、総務部長として活躍しています。認証制度に申請したのは、入札参加登録で加点されることと、制度を利用することで女性活躍推進について勉強したり情報を得たりできるのがメリットだと思いました。申請することで最初は苦労しましたが、少しずつ項目をクリアできて、ゴールド認証を取得できました。
お子さんの看護休暇は一人につき法律では5日ですが、当社では10日を就業規則に設けています。介護休暇も同様です。何かあったら休む!でいいんです。そのための有給ですから、男女関係なく、休みをとりやすい環境づくりには力を入れています。建設業はこれまで、悪天候による作業中止や慢性的な人手不足などの影響で、工期を守るために長時間労働や休日労働が当たり前という時代でした。2024年から働き方改革関連法が建設業界にも適用されるにあたり、当社でも改善の取組を進めています。そのひとつとして進めているのが、事務職の女性に現場作業の分業を担ってもらい、現場での残業をできるだけなくすことです。現在事務職の女性は7人在籍しているのですが、この取り組みを進めることで、うち女性3人は現場を補佐しながら、将来的には技術職を目指すと言ってくれています。1人はお子さんがいらっしゃるし、1人は現在産休中なのですが、1月に無事出産をして、産休が終わったらそのまま1年間育休を取得します。もう1人はネパールの方で、多様な人材が現場で活躍してくれるのはうれしいですね。外国人雇用に関しても積極的に雇用したいと考えており、関連会社ではとても優秀なスリランカの方もいますし、フィリピンからの技能実習生もいます。言葉や文化、習慣の壁を埋められれば問題ないと考えているので、今後は外国人のための寄宿舎を充実していけたらと思っています。
先ほど話した休暇に関するところでは、男女関係なくリフレッシュ休暇も認めています。あとは親睦会や新年会・忘年会などのイベントを開いていて、強制でないにも関わらず、参加率は9割なんですよ。今はコロナ禍で開催できていませんが、社員旅行もあります。コロナに影響されないイベントができたらと思っています。また、2022年は国土交通省東北地方整備局、北上川下流河川事務所、仙台河川国道事務所よりトリプル受賞をいただいたこともあり、社員には賞与とは別に生活応援特別手当を支給しました。
女性の活躍を紹介するミニ新聞を制作しており、産休中の社員が無事出産したことや、育休に入る社員の代理で入社する方の紹介、総務部パトロールなどが主な内容です。総務部パトロールは、女性社員が現場を視察し、女性のきめ細やかな目線でチェックしてもらうのですが、「この尖っている部分は危ないです」などと指摘してくれるので、現場の安全性向上に寄与してくれています。また、総務部は現場に行く機会がないので、実際にどういう仕事をしているのかを見られるのはいい機会だなと思っています。
私のスタンスとしては、社員一人一人の「自由」を尊重したいと考えています。働きやすい環境の整備は前提として、それぞれ個人の判断を尊重していける会社にしていきたい。実際当社には早く職場復帰したいという積極的な理由で、あえて育休を取らない女性社員がいました。この女性社員は3人出産しましたが、いずれも育休は取得せず、現在は働きながら子育て中です。また、ここ数年で育休を取得している女性社員が3名おりますが、その中のひとりは2人を出産して、2回とも育休を取得しています。我々経営者がそういう柔軟な考え方を持てば、男女関係なく働きやすい環境になるんじゃないかなと思います。社是の質実剛健は、文字通り中身が充実して飾り気がなく、心身ともに強くたくましいさまをいいますが、私なりの解釈で健康管理も意味付けしています。健康でないといい発想は起きないし、いい発想がないということは、いい仕事ができません。事故防止にもつながりますし。変わらずその精神は大切にしてもらいたいと考えています。
改革内容としては、2023(令和5)年からは土日を休みにした完全週休二日を目指しています。現在は、天候が悪い場合は日曜日と平日の二日間の休み、天候やスケジュールに支障が無い場合は土日週休二日が定着してきています。私自身も最初は慣れませんでしたが、今ではその働き方が定着してきました。また、育児中の女性から、「子どもがいるため土日が確実に休めるとうれしい」との声がありました。
今は終身雇用も崩れ、若いうちから転職する若者も増えていますが、私はもったいないような気がします。若いうちはエネルギーが溢れているので、若いエネルギーで得た経験を生かし切れずに正反対の業界に転職してしまうのはどうなのかと。そのために、在学中にざっくりでも自分の将来の方向性を決めてほしいです。また、建設業界についても学生に理解が深まっていけばいいなと思います。
Interviewer
近江 綾和さん 東北大学
CORP.INFORMATION企業情報
建設・工事業
登米市豊里町新田町193-4
0225-76-3173
43人
19%
申請時点における過去3年間の女性採用数3人
※人数は企業全体の採用数です
※記載内容は取材・申請当時のものです。