
工房キトトキト
1992年生まれ、滋賀県大津市出身。元登米市地域おこし協力隊の木工芸支援員。地域おこし協力隊退任後、「地域おこし協力隊企業支援事業補助金」を活用し、起業。設立社名「工房キトトキト」。木工ワークショップ、木工芸品の制作・販売を実施。
登米市ファースト・ウッド(はじめての木製品)デザイン公募に応募した木工作品「フォト身長額」が最優秀賞を受賞。
大学卒業後、愛知県蒲郡市で木工を勉強していましたが、3年ほど経った時に、師匠から「そろそろ違う場所で勉強しつつ、経験を積んでみては」と勧められ、木工を支援してくれるところをインターネットで日本中探しました。最終的に2カ所の候補が残りましたが、宮城のほうが木工を勉強しながら独立しやすい環境になっていると思ったので、登米市地域おこし協力隊の木工芸支援員に応募して3年間協力隊に所属した後、2022年6月に「工房キトトキト」を起業しました。
工房の名前は「木と時と」という意味で、木は長い時間をかけて育つ、また木製品も長い時間使われることから、この名前にしました。
木製のペンケース、ハンドテープカッター、マスキングテープカッター、各サイズの額などの木工品を作成して、近くにある道の駅津山の中にある「もくもくハウス」で販売したり、登米市ファーストウッドの作品の作成をしています。
登米市には、津山杉を使った木工品が特産品で、登米市で生まれた赤ちゃんに公募で選んだデザインの木製品を贈ろうというプロジェクト「登米市ファーストウッド」があります。この公募の際、作成した「フォト身長額」が最優秀賞を受賞し、赤ちゃんに贈られています。これは、中に写真を入れたり、初めて立った時や小学校に入った時の身長を柱の代わりに記録できるものです。
心がけていることは、お客様が気に入って、長く大切に使ってくれるといいなと思いながら作ることです。本当にいいものが作れればと思っています。以前、師匠に師事していた時にテーブルをリペアされるお客様がいて、大切に使ってくれているんだなと思い、実際に長く使っていただけると嬉しく思います。
常に感じていることですが、自分は不器用だと自覚しています。それでも、以前は出来なかったことが出来るようになると、よかったと思いますし、やりがいを感じます。それから、木工は本当に難しいですけど楽しいです。わりと天職だと思っています。他の人の作品や制作の流れを見ても、「こんな風にできるんだ」と感じて、不器用ながら時間をかけて工夫して制作しています。
食べものが美味しいことだと思います。滋賀県に住んでいたので、海がなく、「ほや」を食べたことがなかったのですが、宮城に来て初めて食べて美味しいと思いました。また、お米も美味しいです。玄米で食べているのでほんとに味が分かるのかといわれると困りますが、歯ごたえが好きです。あとは、仙台牛も美味しいですね。特に仙台牛のお寿司がよかったです。まだ2貫しか食べていませんがあの味が忘れられません。
登米市を木工品の産地として盛り上げたいと思っています。市も地域おこし協力隊という制度を使って若い職人さんが来れるように進めています。
これまで、私ともう1人の2名が協力隊に入ってから独立しました。今は、さらに2人の方が数か月前から地域おこし協力隊に入られて勉強を始められましたが、外から見ると大変そうに見えるので、市の担当者と定着のために支援できる方法を考えています。
この他、私が来たばかりの頃、台風による洪水でもくもくハウスは床上浸水、在庫を含めて多くの製品が水を被りました。仮店舗での営業、建物の改修に3~4年かかり2023年1月に再オープンしました。
今後、旅行者も来て、製品を手にとって気に入ってもらい、お客さんがまた来たいと思うような場所になればいいなと思っています。
もともと幼稚園の頃から絵を描いたり物を作るのが好きで、大学も美術系を希望して、絵を描く先生のアトリエに通っていました。先生の絵がたくさんある環境で、みんな絵を描くので、インクや塗料が家具にたくさん付いたりしていましたが、昔の家具を大切に綺麗に使っているのを見て、大切に長く使われている家具に興味を持ち、何かを作るのならそういったものに関わるものがいいなと思ったのがきっかけです。
木の魅力は、二つあると思います。一つ目は、「木」は何度でも直すことができること。木製品は、傷ついたり壊れたりしても、修理することで、また何十年も使うことがきます。壊れた製品を修理に持ってきてくれるお客さんもいますが、心の中で「何かにぶつけちゃったかな?」なんて思いながら、これからも長く使ってもらえるようしっかり直します。こんな風に長い年月を積み重ねながら関わっていける素材であることが魅力です。
二つ目は、私自身、木工が好きだということです。「木」は自分の好きな形に自由に加工できます。「こんな形にしよう」「こんなものを作ってみたい」という思いを作品にできることが魅力です。
「穴の空いたスプーン」です。なかなかすくえないからダイエット用です(笑)。実は木工をやり始めた頃は、全て手作業で作ろうと色々チャレンジしていました。最初に手掛けたのがスプーンだったのですが、削りすぎて穴を空けてしまったということです。
Interviewer
阿達 初菜さん 宮城教育大学
起床、朝食、身支度
工房で作業
材料のカット、組み立てなど(オリジナル製品、特注品など様々)
昼休憩
簡単なものをサッと作り食べています。
工房で作業
午前行っていた加工の続き
おやつ休憩
食べ過ぎないよう、小分けのお菓子をストックしています。
工房で作業
加工のきり良いところまで、新商品の考案など
夕食
自由時間
小説や漫画を読んだり、スマホゲームをします
就寝
休日の過ごし方
仕事の流れがちょうどいいタイミング(作品を乾燥で一日置かないといけないときなど)にお休みしています。遅くまでゆっくり寝て、起きたら、洗濯や、家の掃除、たまに、時間のかかる料理を作るときもあります。基本的に極力外に出ず、お家でごろごろしています。
※記載内容は取材当時のものです。