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出張創作室 活動の記録3

「角田市市民センター(かくだ田園ホール)」

期日:2023年12月17日(日曜日)
会場:角田市市民センター(かくだ田園ホール)

 キッズ・プログラム

  • 時間:午前10時~午前11時30分
  • 参加:9組29人(大人14人、子ども15人)

DXレプリカを鑑賞して“ジャンボ・カルタ”を作ろう!

美術館のコレクション作品をデジタル化したデータをもとに制作したレプリカを鑑賞した後、お気に入りの絵柄を選んでジャンボ・カルタ作りに挑戦しました。読み札と絵札(ジャンボサイズ)ができあがったら展示ホールに並べ、参加者全員でカルタ大会を行いました。
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初めにアイスブレイクも兼ねて出張創作室の目的や美術館の概要をクイズで説明しました。続いて、今回のメイン活動となる当館コレクション作品の高精細レプリカの鑑賞とそこからイメージを広げたカルタ作りについて説明しました。子どもが基本的に制作することとし、保護者にはそのサポートをお願いしました。レプリカを鑑賞する前に、読み札と絵札に用いる五十音をクジ引きでランダムに選んでもらいました。
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カルタにする五十音が決まったところで、レプリカが展示してある展示ホールへ移動しました。レプリカを見るや否や「わー!」と子ども達が笑顔になりました。その後はそれぞれに好きな作品を保護者と一緒に鑑賞したり、さっそくカルタのアイデアを書き留めながら鑑賞したりする姿が見られました。
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一通り鑑賞した後で制作する部屋に戻り、カルタ作りを開始しました。途中絵柄や色づかいを再度確認するために展示ホールへ出入りすることは自由としました。子どもたちにとって絵札となるA2サイズの大きな画用紙に描く体験は新鮮のようで、描き上がらず時間を延長することにしました。子どもたちが描いたカルタを見ると、あの作品だなと想像がつくものもあれば、いったいどの作品から発想したのだろうと思うものもありました。子どもたちに話を聞いてみると、なるほどとうなずくことばかりで、その発想力に脱帽させられました。
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例えば、読み札に「ろば」とだけ書かれているものは、高橋由一《宮城県庁門前図》に描かれている馬車を引く馬のことを指していました。後から「ろばじゃないようまだよ」という読み札が完成しており、絵札にも馬車を引く馬が描かれていました。また、ある子どもはやはり同じ作品に描かれた馬車を取り上げていましたが、そこには馬車の絵ではなく、草を食べる馬の絵が描かれていました。読み札には「うまがくさをたべてばしゃをひくじゅんびちゅう」とありました。馬車を引く前の馬の様子を想像し、時間を遡って見ていることが伝わってきました。ほかにも長谷川潾二郎《猫》から、猫の寝ている気持ちを想像したり、海老原喜之助《ポアソニエール》から、描かれている魚を天ぷらにして食べたいなど、ユニークなカルタが多数誕生しました。
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カルタの完成後は、再び展示ホールへ移動してカルタ大会を行いました。ルールが分からず、自分の読み札の前にずっと陣取っている子どももいましたが、少しずつ理解し、見付けた絵札に我先にと駆け寄り自分のものにして喜ぶ姿が見られました。
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終了後のアンケートには、「レプリカが見られたのが良かったです。お絵描きが好き子なので楽しかったようです。」「小学生の娘は、学校と違い自由な雰囲気の中で制作ができてとても楽しかったようです。」などのコメントが寄せられました。

 ワークショップ

  • 時間:午後1時~午後3時30分
  • 参加:3人

柱をつくる、柱をたてる

角田市市民センターには「かくだ田園ホール」と呼ばれるホールを併設し、演劇やコンサートなどの様々な用途に使用されています。2階ロビー部分は展示ホールとなっており、そこにある白い柱4本が空間を象徴的に彩っています。このワークショップでは、参加者で協力してこの空間に仮設の柱をたてることで、偽物の柱を立てるというイタズラを仕掛け、モノづくりの楽しさや突拍子もないアイデアを実現する面白さを味わいました。
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参加者に尋ねてみたところ、角田市市民センターに来たのは初めてとのことだったので、まずは展示ホールにある白い柱を見に行くこととしました。実際に見てみると、表面には波ダンボールのような模様が下から上まで垂直に施され、触ってみると硬くはなく、少しだけ軟らかくなっていました。そのまま観察を続けると、一部に垂直に亀裂が入っていたり、柱の模様が上部の方で一度水平に切れていたりなど、細かい特徴が見えるようになってきました。参加者に印象的な部分について話を聞くと、なにか重たいものをぶつけて傷ついている部分を見付け、その内側に茶色の部材が見える点に気付いたことなどに言及していました。このような柱があることを踏まえて、ワークショップでも全員でダンボールの柱を建てるイタズラをしてみたいと説明しました。
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制作部屋に戻り、つくり方を説明しました。90cm×90cmの板ダンボールを数十枚用意し、これをちぎり、曲げたりなどして整形したものをクラフトテープで互いに貼り付けていくことで円筒形をつくり、これをどんどん高くしていきます。基本はこのような手順に従いながら、モデルとして提示した柱のサンプルの50~60cm程度の径に合わせることをルールとし、まずは各々で柱の制作を進めていくこととしました。

参加人数が少なかったこともあり、スタッフも一緒に活動しました。手順は簡単ですが、人によってちぎり方や貼り合わせ方に違いが見られ、結果的には制作者の考えが垣間見える柱が立ち現れました。例えば、柱の模様を参考に段ボールの表面をはぎ取り、中の波模様を利用したり、何重にもダンボールを重ねて密度と頑丈さを出したり、隙間を多くして中が広く見えるようにしたり、やや大きめに迫力あるかたちをつくったり、小さくちぎったダンボールを波の方向と関係なくあらゆる方向性で貼り合わせたりなど、それぞれに表情のある柱となりました。
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およそ1時間20分ほど制作を続け、切りの良いところでできあがった柱を集め、こだわった点などについて手短に発表してもらいました。本物の柱の模様や、表面は白く中は茶色だったことに着目し、「ダンボールの表面を剥いだときに現れる色の薄い部分や波模様を使おうとしたが剥ぐのが難しかった。」といった声や、「ダンボールをつなぎ合わせたときに空いてしまった穴をそのまま残そうとした。」といった声が聞かれました。他者の柱を見て、同じようにつくろうとしたが上手くいかなかったといった感想もありました。
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全員の話を聞いたところで、できあがった柱をつなぎ合わせて1つの柱にして建てるために、自分の柱を持って展示ホールに移動しました。およそ8つの柱ができたので、4つと4つの2グループに分かれ、柱の制作者同士で相談してつなぎ合わせる順番を決め、クラフトテープや余りのダンボールを使ってつなぎ合わせました。足りない部分や不安定な部分は、グループ内で相談しながら対策を考え、協力しながら補っていきました。最後は2グループの柱をつなぎ合わせて1つの柱にする予定でしたが、想定以上に制作が進んで、それぞれに十分天井に届くくらいの柱を建てることができたので、最終的には2本の柱を設えることができました。

柱をダウンライトの下に移動すると、柱の中に光が満たされ、内側から柱が光っているように見えました。またダンボールの隙間から漏れた光が床に落ち、木漏れ日のようになっていました。ライティングレールに据え付けたフックから紐で簡易に吊り、転倒対策をした上で完成としました。
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参加者も角田市市民センターの職員も、天井に届く高さまで立ち上がった柱が予想外に面白く感じられ、しばらく何も言わずとも自然とダンボールの柱を鑑賞する時間となりました。様々な方向から眺めたり、柱を真似たポーズをしながらその高さを体感したり、ダンボールの隙間からスマートフォンを差し入れて写真を撮ったり、各々の仕方で完成した柱を楽しんでいました。最後に全体を通して感じたことを尋ねると、はじめは本当に柱が建つのかどうかを不安に感じたが、最後には協力して大きなモノをつくれたことが驚いた、楽しかったという旨の感想が聞かれました。
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 オープンアトリエ

  • 時間:午前10時~午後3時30分
  • 参加:32人

今回の出張創作室は、角田市教育委員会生涯学習課主催の部活動地域移行事業「+チャレンジ」と合同開催しました。「+チャレンジ」は、設定したいくつかの文化活動の中から、参加した中学生が普段取り組んでいる部活動と違う活動にチャレンジできるようにすることを目的としており、その活動の1つとして出張創作室の「オープンアトリエ」が対象プログラムとなりました。

オープンアトリエを開始すると、「+チャレンジ」参加者である中学生6人が初めのプログラムとして活動しました。すぐに木材を選んで思うままに造形活動に取り組む生徒や、事前に用意した木工のきっかけとなる資料を読みながら制作する生徒が見られました。それぞれが木工作品を仕上げ、タイトルを付けて展示しました。
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その後は、キッズ・プログラムを終えた家族や、オープンアトリエを目的にして訪れた家族が主に木材を材料として様々な作品づくりを行いました。また、出張創作室の様子を見学に来た大学生が2名おり、美術館職員に相談をしたり、実際に活動したりしました。
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