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2001年8月11日(土曜日)13時00分~ 宮崎町教育委員会
東山遺跡と壇の越遺跡の全体図
今回の調査で発見された屋敷跡の構成図
壇の越遺跡は、宮崎町役場から約3.5km南東の宮城県加美郡宮崎町鳥嶋・鳥屋ヶ崎・谷地森にあります。遺跡は大崎平野の西端に位置し、奥羽山脈から南東に延びる丘陵の末端を南に流れる田川の浸食作用で形成された河岸段丘上に立地します。遺跡の範囲は東西2km、南北1.5kmにおよび(第1図)、遺跡内の段丘面は北東側(上位段丘)と南西側(下位段丘)の2段に分けられ、その差は2mほどあります。
遺跡のすぐ北側、比高差20mほどの台地上には国史跡東山遺跡があります。東山官衙遺跡は東西300m・南北250mにわたってで囲まれた内部に整然と施設が配置されており、8世紀前半から10世紀中頃まで存続していた古代国(賀美郡の役所跡)と考えられています。壇の越遺跡は、面積が約1,278,000平方メートルという広範囲におよび、東山官衙遺跡の前面に展開する都市あるいは町と考えられている遺跡です。
今回の調査では、道路跡と方形に区画された屋敷跡が見つかりました。その位置は、東山官衙遺跡の南門跡から南西に直線距離で約800m離れています。
今回とこれまでの調査成果により、南北方向の道路跡2条(道路跡1・2)、東西方向の道路跡2条(道路跡3・4)が確認され、これらが約1町(約110m)の間隔で土地の区割りをしていることが明らかになりました。これらの道路跡は幅がおおよそ5~6mほどあり、道路跡1は長さ400m以上、道路跡2は長さ280m以上、道路跡3は長さ290m以上、道路跡4は長さ380m以上であることがわかりました。また、東山官衙遺跡の南門跡からの距離をみてみると、道路跡1は西に約5町、道路跡2は西に約6町、道路跡3は南に約5町、道路跡4は南に約6町離れていることがわかりました。この結果、今回の調査区のさらに東側にも同じような道路による土地の区割りがなされている可能性が高くなりました。
南北方向の道路跡1と東西方向の道路跡4が交差する地点に面して屋敷跡が見つかりました。
屋敷跡は、材木塀跡で南北約66m、東西約62mの範囲が区画され、その外側を区画溝が平行しています。材木塀跡は、道路跡1・4に平行しており、屋敷跡が道路跡に沿って建てられていたことがわかります。また材木塀跡南辺では、塀が途切れるところが2箇所で見つかりました。東側は約2m、西側は約1mの幅があり、入り口であったと考えられます。なお、入り口には門のような施設はありませんでしたが、入り口付近で目隠し塀とみられる塀跡が見つかりました。
区画施設の内部は、建物跡14棟で構成されます。中央北寄りのところから、この屋敷の中心的な建物と考えられる規模の大きい建物跡1・2が東西に並んで見つかりました(中央建物)。南東側にはから建物跡3(東建物)、南西側には南北に並ぶ建物跡4・5(西建物)があります。北辺には倉庫が建ち並び(北倉庫群)、これらと広場をはさんだ南には平地式住居(南住居)があり、ほかに屋敷内の材木塀・一本柱列・井戸・溝などが検出されています。。
建物跡1は南北4間(総長約8.2m)、東西3間(総長約5.4m)の南北に長い建物跡です。建物の周囲には、雨落ち溝が巡っています。建物跡2は南北5間(総長約10.0m)、東西3間(総長約6.0m)の南北に長い建物跡です。建物の西側には雨落ち溝があります。
建物跡3は南北4間(総長約6.6m)、東西3間(総長約6.8m)の正方形の建物跡で、一度建て替えられています。建物の西側には雨落ち溝があります。
建物跡4・5はどちらも南北3間(総長約7.0m)、東西2間(総長約4.5m)の南北に長い建物跡です。なお、建物跡5の周囲には雨落ち溝が巡っています。
北辺に一辺3~4mの正方形の倉庫が5棟(建物跡7~11)東西に並んで見つかりました。建物跡7は一度建て替えられています。また、建物跡9は建物跡8の後に建てられています。
南側からは外周溝を伴う壁立ち式の平地住居跡(建物跡13)が見つかりました。建物跡14は、建物跡13を壊した後に東側に建て替えられ、そのすぐ西側には建物跡6が建てられています。建物跡14は南北2間(総長約5.8m)、東西1間(総長約5.5m)の建物跡で、建物跡13と同様に外周溝が伴います。外周溝は、排水目的のために区画溝跡の南辺と東辺につないでいたようです。また、井戸跡1とも接続されていたようです。
建物跡1~5の間などに材木塀や一本柱列といった塀が作られており、これらの建物の北側は塀に囲われて簡単には入れないようになっていたと考えられます。
この屋敷跡の年代は、出土している遺物から8世紀中葉に建てられたものと考えられます。
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