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宮城県議会情報公開審査会答申第3号

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年9月10日更新

 

答申第3号

答申

第1 審査会の結論

宮城県議会議長が行った公文書の不存在決定は,妥当である。

 

第2 異議申立てに至る経過

  1. 異議申立人は,宮城県議会の保有する情報の公開に関する条例(平成11年宮城県条例第27号。以下「条例」という。)第4条の規定により,宮城県議会議長(以下「処分庁」という。)に対し,平成18年11月13日付けで「宮城県議会応招旅費等検討会議に関する一切の文書」について,開示の請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。
  2. 処分庁は,本件開示請求に対して,宮城県議会応招旅費等検討会議(以下「検討会議」という。)は,議員の自主的な活動により行っているものであり,議会として設置しているものではないため,条例第2条に規定する公文書は存在しないとして,公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い,平成18年11月20日,異議申立人に通知した。
  3.  異議申立人は,平成19年1月19日,行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により,本件処分を不服として,処分庁に対し異議申立てを行った。

 

第3 異議申立人の主張要旨

  1. 異議申立ての趣旨
     異議申立ての趣旨は,本件処分の取消しを求めるというものである。
  2. 異議申立ての理由
     異議申立人が,異議申立書及び反論書の中で述べている内容は,おおむね次のとおりである。
 
(1)検討会議は,宮城県議会議長の意向により設置されたものであり,構成員も全ての会派の議員によって構成されている等,宮城県議会委員会条例(昭和50年宮城県条例第21号)により設置される法定委員会や要綱,規程により設置される法定外組織と実質的に同一視しうるものであり,準公的性格を有するものである。
(2)検討会議で討議された内容は,応招旅費の規定と運用の齟齬と政務調査費の短距離旅費の在り方についてである。これは,宮城県監査委員からの県議会に対する改善の要望を受けて,県議会として検討会議を設置せざるを得なくなったものであり,本来であれば,法定委員会等で討議されるべきものであった。
(3)検討会議は,議長の呼びかけにより設置されており,議長の諮問に応じて要綱等により設置される組織と実質的な差異はない。実際,検討会議から議長に対し,具体的な提言がなされており,これは,法定委員会が議長から諮問を受けた事項に対し答申する等の行為と実質的に同じ内容のものである。
(4)検討会議が何度か行われたとすれば,検討会議の議事内容は,作成されているはずである。これは,各会派の参加者が閲覧可能な状態になければならないのだから,議会事務局職員が多少なりとも検討会議に関与しているならば,議事内容に関する何らかのペーパーは,議会事務局が保管している可能性は高い。

 

第4 処分庁の説明要旨
 処分庁が主張している本件処分の理由は,理由説明書によると,おおむね,以下のとおりである。

 
(1)県議会における組織について
 県議会には,地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づく法定の組織として,常任委員会,特別委員会,議会運営委員会が設置されている。また,法定外の組織として,各会派代表者会議のように要綱,規程等に基づき常置されている組織から,定数・選挙区等検討委員会のように,議長の諮問に応じて必要の都度要綱により設置される組織が存在する。
 これらの組織は,議会の自主的かつ円滑な運営を確保するために必要な組織であることから,議会事務局職員が運営事務全般に関わる等,準公的性格を有する組織であるといえる。
 この他にも,県議会内には,各会派政調会長会議や各種議員連盟のように,会派間の調整のために設置される組織から,議員活動の一環として設置される組織まで,多数の組織が存在している。
(2)検討会議の位置づけについて
 検討会議は,応招旅費の休会日支給や政務調査費の短距離旅費の在り方について,それぞれの根拠条例,規程等の運用上の取扱いを話し合うために,議長が各会派の代表者に呼びかけ,会派間で調整した結果,議員の自主的な検討組織として,組織されたものである。
(3)議会事務局職員の検討会議への関与について
 議会事務局職員は,検討会議が自主的な検討組織であるため,運営事務には携わっておらず,検討会議の座長からの求めに応じて,条例,規程についての説明を行う立場で会議に出席をしたり,例規やスクラップ等の資料を提出したりしている。
(4)議事録の作成について
 議会事務局は,検討会議が自主的な検討組織であったことから,議事録を作成する立場にはなく,現に議事録を作成していない。

 

第5 審査会の判断理由

  1. 条例の基本的な考え方について
     条例は,「地方自治の本旨にのっとり,県民の知る権利を尊重し,宮城県議会の保有する公文書の開示を請求する権利」(条例第1条)を明らかにすることにより,「議会の有するその諸活動を説明する責務が全うされるようにするとともに,県民の議会への理解と県政参加を促進し,もって広く開かれた議会の実現に寄与することを目的」(同条)として制定されたものであり,原則公開の理念の下に解釈・運用されなければならない。
     当審査会は,この原則公開の理念に立って,条例を解釈し,以下判断するものである。
  2. 本件処分の妥当性について
     
    (1)異議申立ての対象となった本件処分に係る文書について
     異議申立ての対象となった本件処分に係る文書は,検討会議の議事内容が記載された文書の他,検討会議に関連する一切の文書である。これら対象文書の存否及び条例第2条に規定する公文書への該当性について検討する。
    (2)検討会議の性格について
     検討会議は,応招旅費の休会日支給や政務調査費の短距離旅費の在り方について,それぞれの根拠条例,規程等の運用上の取扱いを話し合うために,議長が各会派の代表者に呼びかけ,会派間で調整した結果,議員の自主的な検討組織として,組織されたものである。
     したがって,検討会議は,要綱,規程等に基づいて設置された議会における正規の組織とは異なる。確かに,検討会議には,各会派から議員が参加しているなど,議会に対する実質的な影響力は大きいと思われるが,あくまでもその性格は,日常的に行われている各会派間の調整のための会議などと同等のものに止まる。
    (3)検討会議の議事録の存否について
     検討会議の議事内容が記載された文書について,当審査会が事情聴取等を行ったところ,次の理由により,処分庁は検討会議の議事内容が記載された文書を保有していないことが認められる。
     
     
     イ  条例第2条において,公文書とは,「議会の事務局の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真及びスライドフィルム(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。次項において同じ。)並びに電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。次項において同じ。)であって,当該事務局の職員が組織的に用いるものとして,議会の議長が管理しているものをいう。」と規定されている。
     条例第2条に規定する「職務上作成し,又は取得した」及び「当該事務局の職員が組織的に用いるものとして,議会の議長が管理しているもの」とは,宮城県議会の情報の公開に関する条例の解釈及び運用基準(以下「運用基準」という)において,次のように解釈されている。
     「職務上作成し,又は取得した」とは,「議会の事務局の職員が職務の遂行者としての公的立場において作成し,又は取得したという趣旨である。職務上とは,議会の事務局の職員が,法律,命令,条例,規則,規程,通達等により与えられた任務又は権限をその範囲内において処理することをいう。」とされている。
     また,「組織的に用いるもの」とは,「業務上必要なものとして課長補佐(総括担当)の職以上の職にある者又は班長を命ぜられた者が他の職員と共有し,保有しているものをいう。したがって,職務に関連して職員が個人的に作成し,又は取得した備忘的メモ,参考資料等及び電磁的記録管理目録に記載されたもの以外の電磁的記録は,この条例の対象とはならないものである。ただし,必要に応じて起案文書等に添付された場合は,当該資料等を含め対象公文書となるものである。」とされている。
     処分庁は,検討会議が議員の自主的な検討組織であったため,議事録を作成する立場にないことから,議事録は作成していない。検討会議に出席した議会事務局職員は,座長の求めにより条例や資料等の説明を行っただけで,議事内容に関する記録は行っていなかった。
     仮に検討会議に出席した議員が,議事内容に関するメモ等を個人的に作成し,保管していたとしても,このメモ等は「議会の事務局の職員が職務上作成し,又は取得した文書」という,条例第2条の規定には該当しないものである。
     また,議会事務局は,そのようなメモ等を取得,保管していないことが認められる。
    (4)検討会議資料の公文書該当性について
     議会事務局職員が,検討会議の座長の求めに応じて提出した資料について,当審査会が事情聴取等を行ったところ,次の理由により,当該文書は,条例第2条に規定する公文書に該当していないことが認められる。
     
     
     当該資料は,法定外の任意組織である検討会議の座長からの求めに応じて,議会事務局職員が便宜上作成,提供した資料である。当審査会が確認した資料内容は,会議次第・構成員名簿・条例及び条例施行規程の写し・新聞スクラップ・他県の制度概要一覧表であった。
     議会事務局職員は,県議会の活動を補助することが本来の職務であるが,その他に,個々の議員や,複数の議員により構成される任意組織からの求めに応じて,資料の作成や提供を行っている。しかしこれらは,「事務局の職員が組織的に用いるものとして,議会の議長が管理しているもの」には該当せず,したがって条例により公開の対象とされるものではない。
     実質的にみても,このような資料を公開することは,個々の議員や,その任意組織の活動についてまで公開することにつながる。しかしそれは,議会の情報公開を目的とする条例の意図するところではない。
     当該資料は,議会事務局職員が法定外の任意組織である検討会議の座長の求めにより作成,提供した文書であり,上記ロで述べた資料と同等の資料であると判断することができる。したがって,「事務局の職員が組織的に用いるものとして,議会の議長が管理しているもの」という,条例第2条の規定には該当しないものと認められる。
    3 結論
     以上から,処分庁が行った本件処分は妥当であると判断したものである。
     なお,県民の関心の高い事案等をどのような形で議論するかに関しては,県議会及び各議員の見識と政治的判断に委ねられている。したがって,情報公開制度が設けられた目的と趣旨に則して取り扱わなければならないと考えられる。

別紙

審査会の処理経過

 
年月日処理内容
19.2.21○ 諮問を受けた。(諮問第3号)
19.4.20○ 異議申立人からの意見書を受理した。
19.6.5
(H19 年度第1回審査会)
○ 事案の審議を行った。
19.7.17
(H19 年度第2回審査会)
○ 事案の審議を行った。
19.8.23
(H19 年度第3回審査会)
○ 事案の審議を行った。

参考

宮城県議会情報公開審査会委員名簿(五十音順)

 
氏名現職備考
井上 義比古東北学院大学法学部 教授 
今野 敦之宮城県中小企業団体中央会 副会長 
佐々木 洋一弁護士会長職務代理者
渋谷 雅弘東北大学大学院法学研究科 教授 
鈴木 ハツヨ東北学院大学 名誉教授会長

(平成19年11月2日現在)
※佐々木洋一委員は,会長の許可により,本事案について回避をした。