掲載日:2020年2月6日

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宮城県知事記者会見(令和2年2月5日)

知事臨時記者会見

令和2年度当初予算案の概要について

村井知事

令和2年度当初予算案については、2月12日に招集する県議会に提案いたしますが、その概要について説明します。
まず、1ページの「予算編成の基本的考え方」についてです。震災復興計画の最終年度となる令和2年度は、県政の最重要課題として取り組んできました東日本大震災からの復興の総仕上げに総力を結集すると共に、中長期的な対応が必要な施策について、復興期間後への円滑な移行に道筋をつけることが必要です。また、創造的復興の成果などを地域経済のさらなる成長につなげると共に、人口減少・少子高齢化などの社会的課題の解決に対して積極的に取り組むことを通じて、富県宮城を新たな段階へと躍進させていくほか、昨年の台風第19号からの復旧・復興を含む自然災害対策を推進することが重要です。
このような考え方に基づき、令和2年度当初予算では、震災復興計画の完遂に向けた取り組みに全力を挙げつつ、復興五輪などを通じてその姿を世界に発信すると共に、復興需要の収束を視野に入れた地域経済の活性化や各分野における人材確保対策、高等教育の修学支援を含む教育やあらゆる人の安心や活躍につながるきめ細かな福祉施策の充実など、県政課題を解決するための施策を積極的・重点的に予算化しました。併せて、新・みやぎ財政運営戦略に基づく歳入歳出両面にわたる対策を計画的に実施します。
予算案の概要としては、一般会計の震災対応分として2,089億円を計上し、震災復興計画に掲げる主要施策の推進に必要な額を確保しました。また、通常分は、既存事業の徹底した検証・見直しを行った上で、幼児教育無償化などの全世代型社会保障への対応を含めた予算の重点配分を図ると共に、台風第19号対応に係る経費も計上した結果、過去最大となる9,246億円の予算額となりました。
これらの結果、来年度の一般会計当初予算は1兆1,336億円となり、平成24年度を最高に年々減少してまいりました当初予算額が8年ぶりに増加に転じました。また、平成22年度以降の震災対応予算の累計は総会計で6兆4,975億円となっています。
2ページをお開きください。次に、当初予算案の主な事業について説明します。資料は「令和2年度政策財政運営の基本方針」に掲げた「政策推進の基本方向」に沿って記載しています。私からは新規事業や拡充事業を中心に説明します。
始めに、「1力強くきめ細かな震災復興」についてです。
「1被災者の生活再建と生活環境の確保」につきましては、みやぎ地域復興支援費や地域コミュニティ再生支援費の計上を継続し、NPOなどの活動や住民主体の地域コミュニティ再生活動を支援しています。また、水素エネルギー利活用推進費を拡充し、水素エネルギーの利活用促進をさらに図っていきます。
「2保健・医療・福祉提供体制の回復」については、いじめ対策・不登校児童生徒支援等推進費を計上し、必要な学校に心のケア支援員を配置するほか、心の問題を抱える子どもたちへの支援体制の充実を図るため、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援費を拡充し、来年度は33の市町村で事業の実施を予定しています。また、心のケアセンター運営支援費により、被災された方々の心のケアに引き続き取り組みます。
3ページをご覧ください。「3「富県宮城の実現」に向けた経済基盤の再構築」については、いわゆるグループ補助金であります中小企業等復旧・復興支援費を計上し、被災事業者の事業再開や商店街施設等の復旧を引き続き支援していきます。また、ユニバーサルデザインタクシー普及促進費を新たに計上し、県内自動車産業の振興や県民福祉の向上を目指し、ユニバーサルデザインタクシーを導入する事業者への支援を行っていきます。
商工観光分野では、北米及び欧州における販路開拓・定着促進費を新たに計上し、県産品プロモーションなどによる県内事業者の欧米市場進出への支援を行うほか、みやぎ観光デジタルマーケティング推進費では、デジタルプロモーションや商品造成等によりインバウンド誘客を一層強力に推進してまいります。また、オールシーズンで宮城県のよさを実感してもらうため、通年観光キャンペーンを実施するほか、東北デスティネーションキャンペーン推進費を新たに計上し、令和3年4月から開催予定の東北DCに向けてさまざまなプロモーションを展開するなど、積極的に準備を進めます。
4ページをお開きください。「4農林水産業の早期復興」については、復旧関連では、農山漁村地域復興基盤総合整備費を計上し、引き続き農地などの復旧を進めるほか、県の単独事業である三陸リアスの森保全対策費について継続して実施します。また、第40回全国豊かな海づくり大会推進費を計上し、9月の本大会開催に向けて万全の準備を進めます。
「5公共土木施設の早期復旧」については、高規格幹線道路整備費やみやぎ県北高速幹線道路整備費、その他、復興関連道路整備費をはじめとする各種復旧・復興事業について、来年度中の概成に向けて最大限の予算を計上し、工事等の進捗を一層加速します。
5ページをご覧ください。「6安心して学べる教育環境の確保」については、被災児童生徒等就学支援費や東日本大震災みやぎ子ども育英基金助成費などを計上し、全国の皆さんからの寄附なども活用しながら、被災児童生徒や保護者などへの支援を続けます。また、支援を必要とする学校に対し、緊急スクールカウンセラーなどの派遣を継続して行います。
「7防災機能・治安体制の回復」については、広域防災拠点整備費を計上し、宮城野原地区における拠点整備のための公共補償等を引き続き行います。
6ページをお開きください。震災の風化防止の取り組みとしては、東日本大震災伝承推進費を新たに計上し、地域で震災伝承活動を行う団体等を対象とした研修会を開催します。
次に、「2地域経済の更なる成長」についてです。
新たに小規模宿泊施設普及拡大費を計上し、サポートデスクの設置や施設改修への補助などにより民泊等の開業・運営を支援するほか、松島湾周遊体験観光地整備費では、周遊型ツーリズムの造成など松島湾エリアの新たな観光コンテンツの整備等を進めています。
農林水産業関連では、産地パワーアップ推進費を拡充し、農業の収益性向上に向けた栽培施設整備費等への支援を拡大するほか、新たに持続可能なみやぎの漁場環境づくり推進費を計上し、海洋ごみの回収や磯焼け対策を行う市町村等への補助を行います。
また、7ページに移りまして、養殖生産体制強化費では、水産業の成長産業化に向けて閉鎖循環式陸上養殖施設の整備を新たに進めています。
次に、「3安心していきいきと暮らせる宮城の実現」についてです。
充実が求められている子育て関連では、児童虐待防止強化費を大幅に拡充し、SNS相談の実施などによる対策強化を図ります。また、新たに子どもの貧困対策推進費を計上し、子どもの貧困対策に取り組む市町村への補助のほか、実態調査や活動団体支援などを行うモデル事業等を実施します。
教育分野では、ICT教育環境整備促進費を拡充し、国のGIGAスクール構想の実現に向けて生徒用ICT機器の整備を進めるほか、不登校等児童生徒学び支援教室運営費を新たに計上し、小中学校における学びの支援教室の設置による学習指導や自立支援モデルの構築を図ります。
8ページをお開きください。新たにスクールサポートスタッフ配置費を計上し、教員の多忙化解消の効果を検証するため、小中学校のモデル校に対し業務支援スタッフを配置するほか、部活動指導員配置促進費を拡充し、県立学校や市町村立中学校への部活動指導員の配置の拡大を図っています。また、特別支援学校スクールバス運行費を大幅に拡充し、スクールバスの増便により児童生徒の乗車時間の短縮を図るほか、私立特別支援学校設置支援費により新たな高等学園の整備を支援します。
このほか、県立学校施設整備費では計画的に県立学校の改築等を進めるほか、私立高等学校安全施設整備助成費や私立高等学校入学金軽減支援費を新たに計上し、私立高等学校における防犯・災害対策に係る設備整備や入学金免除に対する助成を行います。また、高等学校就学支援費の拡充に加え、私立専修学校修学支援費を新たに計上し、高等教育に係る負担軽減を実現します。就職氷河期世代支援費では、みやぎジョブカフェなどの各拠点の就労支援を拡充し、新たに就職氷河期世代を対象とした就職説明会や相談会の開催、就職体験支援などを行います。
医療・福祉分野では、病床機能分化・連携推進基盤整備費を拡充し、回復期病床の整備など病床機能の転換に要する費用を補助するほか、9ページに移り、がん患者生殖機能温存治療助成費では、おおむね40歳未満のAYA世代のがん患者の生殖機能温存治療費への助成等を行います。AYA世代とは、Adolescent&Young Adult、15歳から39歳の患者さんのことをいうようで、こういった若い世代のがんになった方の生殖機能を温存するための治療費の助成を行います。
また、新たに介護人材確保対策緊急アクションプラン推進費を計上し、介護施設における働き方改革や外国人も含めた介護人材確保への支援のほか、介護のイメージアップキャンペーンを強力に実施します。アクションプランの詳細については、2月13日木曜日に開催予定の宮城県介護人材確保協議会で私自身がプレゼンテーションいたしますので、ぜひ皆さん方もお集まりの上、事業内容の周知へのご協力をよろしくお願いします。
このほか、慶長遣欧使節帰国400年等記念事業費を新たに計上し、記念イベントの開催やサン・ファン・バウティスタ号の写真、映像記録の整備を行うほか、警察官耐刃防護衣改良費では、警察官の安全確保のため新たに改良型の耐刃防護衣を整備します。また、情報保障・合理的配慮推進費を新たに計上し、手話通訳者など意思疎通支援者の養成や、聴覚障害者の支援のための耳マークの普及啓発、窓口へのタブレット型端末の設置等、行政サービス等における合理的配慮などを積極的に進めます。
次に、「4美しく安全なまちづくり」についてです。
鳥獣害防止対策費及び野生鳥獣保護管理対策費を拡充し、イノシシやニホンジカなどの鳥獣害防止対策を大幅に強化すると共に、令和のむらづくり推進費を新たに計上し、援農ボランティア、農業を支援する、援農ボランティアの受け入れ支援や応援人材マッチングサイトの開設などにより、地域資源ビジネスの創出や都市農村交流を推進します。
10ページをお開きください。防災・減災・国土強靭化対策費及び災害に強い川づくり緊急対策費を大幅に拡充し、道路や河川の豪雨対策などの緊急対策を行うと共に、河川の再度災害防止や河川堤防の安全度確保対策などに早急に取り組みます。また、小学校スクールゾーン内ブロック塀等除却助成費を新たに計上し、倒壊危険のあるブロック塀等の除却への補助を行います。
このほか、「5令和元年台風第19号関連」としては、応急救助費やグループ補助金、公共施設等災害復旧費などの予算を計上しています。
以上、令和2年度当初予算案の概要について説明しました。
なお、当初予算案の詳細及び令和元年度2月補正予算(第5号)案の概要については、後ほど総務部長から説明をします。条例外議案、宿泊税については、この後あらためて仕切り直しをします。以上です。

Q

この予算案にネーミングをつけるとすれと何予算となるか。

村井知事

来年度の予算は、「復興計画完結予算」と命名しました。本来の復興完結というのはまだまだ時間がかかりますが、少なくとも私が作りました復興計画は10年間で終える計画ですので、まずは自分自身が作ったこの復興計画をしっかりと完結をさせなければならないと思って頑張りました。来年度はそういう思いを込めて予算編成をしたということです。

Q

ただいま復興計画完結ということでネーミングがあったが、たくさんある事業の中で、今回、復興の総仕上げそのものの象徴たる部分の事業、ご自身の中で位置づける事業などあれば、また、何か思い出がある事業などがあれば聞かせてほしい。

村井知事

真の復興はまだまだ道半ばだと思っています。ソフトの支援、被災者に対する支援は、10年目以降、11年、12年とずっと続いていくと思いますが、少なくともハード事業については10年間で終えなければならない、そういう強い使命感を持って臨んでいました。そういう意味では、ハードに関する予算は必要額を全て計上させていただいたということです。

Q

まずハードを全て終わったと、道路とか河川とかそういったところをまず今回重点的にやったというところが一つご自身の中での象徴される事業ということか。

村井知事

これ以上は国もおつき合いをしてくださらないということですので、10年以内に何としても終えるんだ、そういう思いを込めて予算を計上したということです。多少明許繰越、事故繰越というものは出てくるかもしれませんが、今回計上しなければそういったことも実現できませんので、事業は全て中に織り込んだということです。

Q

子どもだったり学校だったり、あるいは担い手的な人材確保みたいな人に充てるところ、人の分野に今回手厚く充てている印象を受けたが、これは次世代的な部分を意識したのか。

村井知事

当然、先ほど、ハードは、来年度中に終わると言いましたが、その次に向けての移行期にもあるということです。復興計画が終わった後のちょうど端境期、移行期にあるということですので、その次の10年をどのように県政を動かしていくのかということも頭に入れながら予算編成をしました。人をどのように育てていくのか、子どもの能力あるいは宮城県にお住いの方のいろいろな能力を伸ばしていくというのも当然ですし、体の弱い子どもさん方、障害を持った方たち、お子さん方、そういう人たちをどのようにケアをしていくのか、このようなことにもかなり配慮したつもりです。
去年、不幸なことにスクールバスの中で特別支援学校に通われているお子さんが亡くなったという事案がありました。問題点を分析したところ、やはり通学時間に非常に時間がかかるとのことで、それに対しては大変大きな予算を今回かけました。こういった弱者であったりあるいは子どもさん、そのような方たちのことをかなり配慮して予算編成をして、次の10年に向けても手を打ったということです。

Q

介護人材についてお伺いしたいが、詳細は2月13日の協議会でということだったが、知事の言葉で今の段階でおっしゃっていただける範囲で、介護人材確保の重要性とか、また、一部報道でカンボジアとの覚書締結という話もあるので、知事の言葉で現段階でおっしゃっていただける範囲でお願いする。

村井知事

詳細は今度の会合でお話ししようと思っていますので、ぜひ皆さん足を運んでいただきたいと思います。給料、給与だけで働き手を確保するというのはもう限界に来ていると思います。もちろん今の給料の2倍3倍と出せればいいのですが、それは難しいので、それ以外の処遇を改善することによって若い人たちに介護現場に定着をしてもらえないだろうかと研究しました。他県の先進事例を勉強して、これならうまくいのではと考えましたので、来年度はそういったようなことのモデル事業を実施をしまして、成功例を作ることによって県内に普及させたいと考えています。具体策については今度話します。
それから、今度ベトナム、カンボジアということを考えていますが、これは、介護人材を確保するのに国内だけではなかなか確保できませんので、海外にも手を広げなければなりません。それは県のトップとして自ら踏み出すことが肝心だと考えたということです。やや遅れているという意識を持っていますので、積極的に臨もうと思います。私だけではなく、事業者の方あるいは県会議員にも声がけをして、宮城県のこの思いというものを伝えればと思っています。

Q

財政運営の部分について、今年も財調を取り崩すとかという厳しい感じなのかなと思ったが、その点についてどのように見通しているのか。

村井知事

近々また中期見通しを発表しますので、その際に詳しくは説明をしますが、財政は依然厳しい状況が続いています。国がどこまでわれわれの支援をするのかにかかっていますので、全てを見通すことは不可能です。ただ、われわれはやはり三位一体改革の教訓があり、いつどこで切られるかもしれないと、やはり常にそういう意識を持っていないといけないと考えています。職員には常に厳しく財政を見なければならないと言っていまして、厳しめに見るとやはり財政が、破綻とまではいかなくても、基金が枯渇する、そういう危険性を常にはらんでいると考えています。そういった意味でかなり予算はメリハリをつけたつもりです。決してばらまいたような形にはなっていません。

Q

3番目の「富県宮城の実現」に向けてという項目があるが、今回、復興計画完結予算ということで、ただ、震災10年の先を見据えたかなり事業費に盛り込まれているかなと思うが、ポスト復興というあたりを意識してどういう思いで今回の予算を組んだのか教えてほしい。

村井知事

復興需要がどんどん収束に向かっています。今までは建設業が県経済をかなり強く引っ張ってくれていましたが、建設工事が来年度をもってほぼほぼ終わるということがもう分かっていますので、雇用が失われる可能性があると考えています。そういった意味で、今までやってきました富県戦略、富県宮城は、製造業を中心に産業のバランスをとって雇用を生み出していく、こういうことを引き続き力強く進めなければならないという思いを込めました。来年度はまだ復興交付金がありますので、交流人口の拡大に向けてしっかりと取り組んでいくということは県民の皆さんに伝わるような予算編成をしたつもりです。デスティネーションキャンペーンに向けた準備費も計上したのはそういう理由です。

Q

あとオリンピック・パラリンピックというのもあるが、いろいろ結構大きい、世界規模のイベントになると思うが、そのあたりに対する考えを教えてほしい。

村井知事

これは何が何でも成功させなければならないと思っています。今日もオリンピック・パラリンピックの会合を行いましたが、皆さん非常に出席率がよく、やる気が伝わってきました。何度も言うように、復興した姿を見ていただいて、そしてわれわれの感謝の気持ちを伝える、そういうオリンピック・パラリンピックにしたいと思っています。
また、豊かな海づくり大会は天皇皇后両陛下にお越しいただきますので、失礼のないように、宮城県は非常によくなりましたねと言っていただけるように準備を万全に進めていきたいと思います。

Q

県税収入の見通しと財源の確保といったところだが、今年度、消費増税で消費税のところは上がっているが、法人税のところは下がっていると。今後の中期的な見通しとか県税収入の見通しというところと、それから、観光振興事業のための宿泊税の導入のような形で、今後も県民あるいは県外の人に負担を求めていく場面というのが増えていくのかどうかというあたりの知事のお考えを伺う。

村井知事

県税収入については、地方財政計画に基づいて試算をしています。従って、私がこれくらいになるだろうと見越すのではなく、国が宮城県はこれぐらいの税収があるのではないかと出したものをベースに作らせていただいたということです。だいたいこういうのは思ったよりも厳しく数字が出てくるものなので、一番その中でも厳しい数字で見ているということです。後で予算が足りなくなったということにならないように計画しているということです。
今後も、これは国全体の景気次第でありますが、人口が急激に減るので、宮城県経済だけを見ると、第3次産業がやはり経済の中心である県からすると、景気が一気によくなるというのはなかなか見通せないと思います。
あとは、県民にほかに負担を求める気はあるかということですが、現時点においては宿泊税以外のものを考えているということはありません。

宿泊税について

村井知事

資料1をご覧ください。宿泊税条例の概要ですが、課税客体は、宮城県内に所在する旅館・ホテル、簡易宿所、民泊に係る施設等への宿泊行為であり、課税標準は宿泊数、納税義務者は宿泊者です。免税点は1人1泊3,000円未満の宿泊として、税率は300円です。
当初、2万円以上の宿泊については税率500円とする案も示していましたが、できるだけ簡素な税制度が望ましいこと、宿泊者が享受する観光的公共サービスの受益の程度は宿泊料金にかかわらず同等であることから、3,000円以上を一律300円としました。ちょっと分かりづらい説明をしましたが、要は、高いところに宿泊しても安いところに宿泊しても、受ける観光の行政公共サービスは同じじゃないでしょうかと。泊まった宿から一歩外を出れば、歩く道路は同じですし、乗るものも皆さん同じでしょうから、ですから、宿泊料金にかかわらず皆さん一律300円とさせていただいたということです。ただ、3,000円未満になりますと1割以上の税額ということになりますので、3,000円未満は免税とさせていただいたということです。
徴収・納入方法については、特別徴収義務者である宿泊施設の経営者が宿泊税を徴収し、四半期ごとに申告納入することとなります。適用期間は規則で定める日からとなりますが、令和3年4月1日から令和8年3月31日までを予定しています。税収の使途につきましては、法定外目的税として観光振興に限定した使途となります。観光以外には使えないということです。
資料2をご覧ください。本県は、新たな観光振興財源を検討するため、平成30年7月に宮城県観光振興財源検討会議を設置し、約1年3カ月にわたり計9回の検討会議が開催され、今年1月10日付で答申があったところです。検討会議からは、安定的かつ継続的な財源の確保が必要であること、また、新たな財源確保の手段として宿泊行為への課税が適当である、法定外目的税の導入、いわゆる宿泊税を提案するという答申をいただき、大変重く受け止めています。
資料3をご覧ください。検討会議の答申内容を元にあらためて県の考え方の要点を整理したものとなります。
本県の人口は今後25年間で約50万人減少し、約180万人になると予測され、県内経済の縮小が懸念されています。本県の現状と課題を踏まえ、伸びしろが見込めるインバウンドと交流人口の拡大が重要であり、経済や雇用への効果が期待される観光産業は極めて重要な鍵を握っています。今後、観光関連予算の規模が縮小されれば、復興を後押ししてきた観光振興施策が立ち行かなくなる厳しい状況が懸念されます。今後も社会保障関係経費の急増等による財政圧迫が懸念され、一般財源等による充当は極めて難しい状況であることから、さらなる観光振興施策に取り組むためには安定的かつ継続的な財源の確保が何としても必要です。
その上で、宿泊税の導入を提案するに当たっては、負担をおかけする宿泊事業者や県民の皆さんの声に対して、ご負担以上の成果を出すことが十分に見込めるかどうか、新たな財源確保に取り組まなかった場合、今後本県の経済や伸びしろが期待できる観光産業が十分に成長が見込めるかどうか、新たな税制の導入時期と施行までの準備期間をどのように確保していくのか、税収使途の具体的な内容について関係者の皆さんと作り込んでいくために、どれくらいの時間を確保できるかなどの点について、総合的な見地から熟慮に熟慮を重ね判断しました。事業規模につきましても、検討会議の答申内容を絞り込んだ結果として、最終的に今日の提案につながったものです。

Q

せっかくこういう形でまとめになったが、依然、宿泊事業者からは反対の声というのが出ているということもあり、その辺についての今後の知事としてのスタンスや考えがあれば教えてほしい。

村井知事

皆さん既にご承知のとおり、宿泊事業者の皆さんとの意見交換をする場で私の考えを述べました。宿泊事業者の皆さんには大変ご迷惑をおかけいたしますが、結果としてウイン・ウインになる方法として、私は宿泊税の導入が最も適当であると判断をしたということです。5年間課税をします。うまくいかなかったということがないように、必ず成功するように努力をしていきたいと思います。
これまでの反省点を踏まえ、県が計画を作って全て事業者へ協力をお願いするというのではなく、一緒になって計画も考えていき、地域ごと対策を考えていくということが重要であると考えました。この税が通った暁には、今言いましたように宿泊関係者、地域住民の方としっかりと意見交換をできる場を作り、地域単位で課題を見出し、対策を考えていきたいと思います。そのための財源ですので、ぜひご理解をいただきたいと思います。

Q

常任委員会とか説明会で出た意見、反映されていない内容だと思う。説明会はアリバイづくりなんじゃないかという声も上がっていたと思うが、その声については……。修学旅行生に対する補助であったりとか配慮であったりとか、簡単に課税しやすいから宿泊料にしたというような話もあったりするがどうお考えですか。

村井知事

修学旅行生というのは非常にまとまって来てくださって、そういう子どもさん方に一人一人お金をかけるとなると、かなりの金額になって負担が大きいというような意見もありました。ただ、同時にまた難しいのは、修学旅行生かどうか、また、部活でまとまってお越しになる子どもさん方と何が違うんだ、どこで線引きするんだと非常に難しいことです。税金というのは、例外を作ると、例外と例外との間にまた隙間ができ、それをまた埋めるためにまた例外を作らなければいけない。非常に制度がややこしくなってしまうので、税の徴収は見てのとおり極めてシンプルにしています。逆に、使い方は幾らでも複雑にできるので、修学旅行生に対して負担がないような形でケアをする。結果的には出した分以上戻ってくるというような形をとれば、問題は解決できるだろうと思います。その辺のやり方も、よく子どもさん方が宿泊するホテルや宿などとよく意見交換をして、どうすればいいのかということを協議したいと考えています。
いずれにしても、税収が幾らになるかというのが確定しないと、次のステップに進めないということです。まずはどれだけの税収が確保できるかということがしっかり見通せた段階で、どこにどれぐらいの予算を使うのかということをよく考えていきたいと思います。私は修学旅行生に来ていただくというのは非常に重要なことだと思っていますので、使い方の中で工夫をさせていただきたいと思っています。
簡単に出したのではないかということですが、しっかりとまず答申をいただいて、答申をいただいた後にいろいろ考えた上で、仙台市も検討されているというようなこともあり、いろいろなことを総合的に考えて県のたたき台を作った上で、2案を作って皆さんのご意見を聞いて、結果的に最終的に1案に絞られたということですので、順を追って計画的に進めたと思っています。人それぞれ捉え方は違うと思います。

Q

今新しい税を作るのではなくて、限られた予算の中でもっと効果的なものをという、そういうふうにはできないのかという話もあったかと思う。

村井知事

もちろん財源があればこんなことをやる必要は何もないのですが、先ほど質問あったように、税収が減少する傾向にあり、人口が25年間で50万人も減ります。税収が増える見込みがなかなか立たない。そして、同時に高齢化が進んでいて社会保障費がどんどん必要になっていく。毎年50億円ずつ増えていきます。去年よりも今年は50億、来年は50億さらにプラスと、どんどん社会保障費が増えていきます。今後30年間75歳以上の人口が増え続けます。2050年まで増え続けます。ということは、社会保障費も増えることはあっても下がることはない。税収も増えない。とすると、少しでも予算が出てきた場合はその予算を社会保障費に充てざるを得なくなっていきます。削る予算となってくると、これも限られてくる。ですから、観光に関する財源をなかなか確保できない、非常に難しくなる。逆に削る対象になるのではないかと非常に私は危機感を持っているということです。
しかし、この宮城県を元気にするためには交流人口を増やさなければなりませんので、私はあえて、事業者の皆さんに協力をいただくことにはなりますが、宿泊税というものを導入したほうが、結果的に宿泊事業者のためにもなるのではないかと考えたということです。

Q

一番最後の資料の中にいろいろな観光戦略が19項目出ていると思うが、徴収した税収の使い道のイメージ、こういったものを使っていきたいんだ、こういうふうな形で観光戦略をやっていきたいんだというビジョンがあれば。

村井知事

具体的に細かいことは、先ほど言ったように圏域ごとです、あと事業者の皆さんとのいろいろな意見交換で詰めていきますが、考え方の大前提としましては、今、宮城県にお泊りのお客さんの半分ぐらいが東北、宮城県も含む東北から来られたお客さんです。このお客さんはこれからものすごい勢いで減少するということです。ですから、戦略としては、できるだけ遠いところからお客さんをどう呼び込むかということが重要だということです。今、関東はデスティネーションキャンペーンをやっていますが、関西、九州、四国、そして海外からどうやって引っ張ってくるかです。
今は、宿泊事業者の皆さんと話していて非常になるほどなと思ったのは、今インターネットを使い予約を受け付けています。これは全世界から申し込めるということなのですが、結局やはり近場の方がたくさん来られるんです。そういったような指摘もありましたので、できるだけ遠くのお客さんに直接ダイレクトにわれわれのこの、例えば復興割をする、あるいはPRをするならPR、これが外のできるだけ遠くの方に伝わるような施策を行っていかなければいけないのではないか。そういった観光施策を行っていくことによって、落ち込んでいく東北、宮城の人口も補っていくということが重要ではないかと思います。これから急激にお客さんの数が減りますので、今年のオリンピック、来年のデスティネーションキャンペーンをきっかけとして伸ばしていく、そのための財源です。それで、今言ったように簡単にほかのところから転用できないような状況にある。余裕があれば、それを全部社会保障費に回さなければならないということです。だからあえて、私もやりたいわけではなくて、政治家ですから、自分にとっては絶対プラスになることではないと分かってはいますが、やむにやまれぬ気持ちで、前回の選挙からこういうことがもう分かっていましたので、選挙の公約の中で宿泊財源について検討を始めますということをうたった上で当選した中で、1年3カ月かけて検討していたので、予定どおり進めていくということです。

Q

導入の意義は分かった。額についてだが、常任委員会でも出ていたが、3,000円でも300円、例えば2万円でも300円で、額のやはり平等感というか、例えばパーセント、税率何%みたいなことはできなかったのかというのをあらためて、なぜ定額300円になったのか。

村井知事

これも意見が分かれました。北海道の倶知安町は定率にしています。ですから、定率というのは一番平等ではないかという意見もあったのは事実です。ただ、非常に計算が大変なのです。税を集める側の立場からすると非常に難しい。倶知安町は非常に小さな町です。観光客がたくさん来られますが小さな町ですので、そういったことを徹底することは可能なのですが、県全体で、しかもホテル・旅館だけではなくて簡易宿所、民泊をされているお宅が、こういったところまで徹底するとなると非常にややこしいということもあり、やはり金額を設定して、幾らから幾らまでは幾らと設定したほうが宿泊事業者の方もやりやすいのではないかと考えました。
次に、段階的に設けたほうがいいのではないかという意見がありました。それも検討しましたが、先ほど言ったように、高いところに泊まっても安いところに泊まっても、ホテルや旅館から一歩外に出たときの観光に関する行政サービスはみんな一律同じではないのかというのは非常に説得力がありました。そこで全部同じ額にしたということです。高いところに泊まるか、安いところに泊まるかというのは、それはもうお客さんの判断なんですが、われわれからする行政サービスは一緒という考えです。ただ、今度3,000円未満になると税額が1割以上になってしまい、青年の家に泊まるような小学生まで300円取るのかということになると、これはちょっと厳しいのではないかという声もまたあったということです。それで3,000円にしました。
ただし、これも本当に意見がばらばらです。宿泊税導入賛成・反対で意見が分かれました。賛成の方の中にもいろいろな意見があるので、これが一番正解だということは言えません。それが各地域で宿泊税の制度が全く違っているということの理由だと思います。ですから、まずはみやぎ方式で行い、これが議会で認めていただいた暁には5年間やらせていただいて、その上でもし問題があればまた制度を変えていくということをしていかければいけないと思います。また、仙台市が今考えていますので、もし仙台市が行うとなったときには、仙台市の方法も参考にさせていただきたいと思います。

Q

先ほど仙台市も並行して今検討されているということで、今回の議案では県全域を対象にするということだが、具体的に今後の仙台市との調整とかすみ分けとかどういうふうに進めていくのか。

村井知事

これはまだ仙台市が行うと決めていないので、今のところ全く調整していません。仙台市がまずは検討会議を始めましたので、その検討会議の様子を見ながら導入するのだろうと思えば、その前ぐらいに仙台市から接触してくるかわれわれから接触するかで調整はスタートしようと思っています。ただ、今のところまだどうなるかも全然分からないような状態で、いろいろ会議の中で意見が出ている状況なので、まだじっとしている、静観しているような状況です。

Q

可能性としては、例えば仙台市が宿泊税を設けるとして、300円いわば増額されるという可能性とか、300円を分け合うとか、いろいろ可能性はあるのかなと思うが、いかがか。

村井知事

一般論で言うと、宮城県の場合は、仙台市だけの目線というのが重要だと思います。ですから泊まったお客さんにとって,仙台市に泊まれば450円を取られる、仙台市以外だと300円ということになると、やっぱりちょっと同じ宮城県の中で不都合ではないかと思いますので、これは仙台市が行うとなったときには300円をどう分け合うのか。ただ、仙台市が例えば450円と設定してしまったら、県が300円の設定で仙台市が450円だと、仙台市内は150円上乗せということになる可能性もないわけではないです。そうなると仙台市以外は300円で仙台市内だけ450円ということになるかもしれないですが、まあそういうことはないとは思っていますが、今後の仙台市の議論を見てということになります。理論上はいろいろなことが考えられると思います。

Q

仮に仙台市が導入した場合に、300円を県として分け合わなければいけないということがかなり想定されるとは思うが、その場合、知事としては、県と市の割合というのはどれぐらいが望ましいと知事としては考えるか。

村井知事

これが難しいのは、最後はお金の問題になるのですが、結局仙台市は何を行いたいのですかということなのです。県はこういうことを行いたいですと書かせていただいて、今後詰めていきます。私としてはこういうことを行うためにこれぐらい財源が必要だということを見積もって、それを宿泊者数で、頭数で割った段階マイナス3,000円減免の分を引いてこれぐらいとしていく。300円というのは結果的に出てきた数字だということです。仙台市さんが何をおやりになるのか。私はこう行いたいと思って300円に設定した中で、仙台市がこれだけを行ってくれますよということになったら、その分うち負担が軽くなりますから、その分仙台市にどうぞとなるということです。
ですから、私がこういうことを行いたいという中で、仙台市がこれくらいしか、ほんの少ししか、持ちませんよということになったら、仙台市にお渡しする分は少なくなります。でも、仙台市分は全部うちがやりましょうということになったら、300円のうち、じゃあこれぐらいどうぞと差し上げます。仙台市が圧倒的に総額の税収は高いです。ですから全てというわけにはいきません。そういう調整をしていくということで、事業量、事業の中身、事業の内容について分け合う金額が変わってくるということになると思います。ですから、最初から幾ら取るか取らないかではないということです。

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