ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ分類でさがすしごと・産業農業技術支援 斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策

斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月19日更新

斑点米カメムシ類

宮城県における斑点米カメムシ類及び斑点米被害の発生動向

出穂期の水田における斑点米カメムシ類の発生地点率(巡回調査ほ場のうち発生ほ場の割合)は,平成12年から高い状況が続いています(図1)。

着色粒(カメムシ類)による2等米以下への落等率は,平成14年に3%を上回り,以降,高い状況が続いています(図2)。特に被害の多かったのは平成15年と17年です。

また,出穂期前の発生状況から平成13年,16年,17年,18年と4回警報を発表し,防除対策の徹底を呼びかけました。

出穂期の水田における斑点米カメムシ類の発生地点率とすくいとり虫数の年次推移
図1 出穂期の水田における斑点米カメムシ類の発生地点率とすくいとり虫数の年次推移
注)病害虫防除所巡回調査ほ場におけるすくいとり調査(20回振り)
  すくいとり虫数は成虫と幼虫の計,平年は過去10か年平均

着色粒(カメムシ類)による落等率の年次推移
図2  着色粒(カメムシ類)による落等率の年次推移(宮城県)
注)東北農政局公表(確定値,平成29年産は平成30年1月末現在の速報値)による
  落等率は総検査数量に対する割合,平年は過去10か年平均

宮城県における斑点米カメムシ類の主要種

斑点米カメムシ類の主要種

県内全域でアカスジカスミカメが主要種となっています(図3)。

また,県南部の一部地域では,大型のクモヘリカメムシが発生しています。

詳しくは以下を参照ください。

※参照 普及に移す技術第92号参考資料15「発生源における斑点米カメムシ類の発生実態」

※参照 普及に移す技術第92号参考資料16「クモヘリカメムシの発生生態」

※参照 普及に移す技術第92号参考資料17「クモヘリカメムシの推定生息域」

出穂期の水田における斑点米カメムシ類種構成割合の年次推移

図3  出穂期の水田における斑点米カメムシ類種構成割合の年次推移
注)病害虫防除所巡回調査ほ場におけるすくいとり調査(20回振り),平年は過去10か年平均

主な斑点米カメムシ類の種類

カスミカメムシ類

アカスジカスミカメ

アカヒゲホソミドリカスミカメフタトゲムギカスミカメ

アカスジカスミカメの写真

体長4.6~6mm

宮城県の斑点米カメムシ類の最重要種

体色はやや光沢がある黄緑色

前翅会合部に橙赤色の太い縦条をもち,触角と腿節も赤い

アカヒゲホソミドリカスミカメの写真

体長4.5~6.4mm

体型は細長い

体色は淡緑色で触角は赤色

 

ムギカスミカメの写真

体長6.8~8mm

体色は緑色の個体と淡褐色の個体がいる

後腿節先端付近に大小2本のトゲをもつ

 

その他の斑点米カメムシ類

クモヘリカメムシ

ホソハリカメムシオオトゲシラホシカメムシ

クモヘリカメムシの写真

体長15~17mm

体型は大型で細身

体色は緑色だが,死後は黄褐色に変色する

宮城県では県南部に分布する

ホソハリカメムシの写真

体長9~11mm

体色は黄褐色

前胸背の両角は側方に突出し,針状にとがる

 

オオトゲシラホシカメムシの写真

体長5~7mm

体色は淡い灰褐色

頭部および腹部下面は銅色光沢をもつ黒色となる
前胸背両側にトゲ
小楯板の根もとに1対の黄白色斑紋がある

 

カメムシサイズ比較
カメムシ背比べ「籾」 

 カメムシ背比べ

       A       B        C       D        E          F
  • A:アカヒゲホソミドリカスミカメ
  • B:アカスジカスミカメ
  • C:フタトゲムギカスミカメ
  • D:オオトゲシラホシカメムシ
  • E:ホソハリカメムシ
  • F:クモヘリカメムシ

斑点米の種類

斑点米は,カメムシ類が水稲の籾に口針を突き刺し,吸汁加害することにより発生します。斑点米における黒変は,カメムシの吸汁加害で生じた傷口から細菌類が侵入して変色したものです。加害しても黒変せずに,白濁したままの「白斑粒」となる場合があります。

宮城県で見られる斑点米には下の写真のように頂部加害型,側部加害型,無差別加害型の3つの型があります。

本県で発生量の多いカスミカメムシ類は,籾のふ先を選択して穿孔するため,主に頂部加害型の斑点米を形成します(下図参照)。

宮城県で見られる3つの型

頂部加害型

側部加害型無差別加害型

頂部加害            

頂部くさび
頂部+くさび
側部無差別

頂部加害型における籾の加害部位の画像

加害部位

内外穎の頂部の隙間や組織の柔らかい「ふ先」から口針を挿入して吸汁するため子実粒先端に被害が現れます。また,くさびを生じることもあります。
加害は登熟期初期に多い。

側部加害型における籾の加害部位の画像

加害部位

籾の内外穎の縫合部の隙間から口針を挿入して吸汁するため側部に被害が現れます。
加害は割れ籾で登熟期後半に多い。

無差別型は籾のあらゆる部位を加害の画像

加害部位

口器が強い大型のカメムシ類は内外穎のどの部分からでも穎を貫通して吸汁するため,子実粒のいたるところに被害が現れます。
加害期間は長く,収穫直前まで続くこともあります。

斑点米と間違えやすい他の着色米について

カメムシ類以外の害虫や糸状菌によって下の写真のように子実粒に斑点が形成されることがあります。通常,その被害はカメムシ類によるものより大きくはなりません。

斑点米と間違えやすい他の着色粒

くさび米

腹黒米
黒点米・黒点症状米の写真腹黒米の写真

くさびのみは斑点米ではありません。
ウンカ類やワムシ等によって,くさびのような割れ目を生じ,その部分が黒色~褐色になります(黒点症状米)。

糸状菌(Alternaria padwickii)により,子実粒の腹部に黒色の斑点が生じます。被害粒を湿室に置いておくと菌糸が生じます。

斑点米の被害が出やすい条件

1.水稲出穂日が早まり,斑点米カメムシ類の発生盛期との間隔が近くなった場合

通常,本県の主要品種である「ひとめぼれ」の出穂期は8月上旬頃ですが,気象条件により出穂が早くなった場合,アカスジカスミカメの第1世代発生盛期(7月下旬)との間隔が近くなり,本田侵入量が増加することにより,斑点米の発生が増大する危険性が考えられます。

2.周辺に牧草地や雑草地などの繁殖源がある場合

斑点米カメムシ類は,イネが出穂する前は牧草地や雑草地に生息しており,イネが出穂すると水田に侵入します。したがって,水田の周辺に牧草地や雑草地などがあると,カメムシ類の水田への侵入が多くなり,斑点米の被害も多くなります。

3.イネの出穂や登熟が遅延した場合

出穂前後や登熟期間前半に低温や少照が続き,出穂がばらついたり,登熟が長引くような条件下では,カメムシ類の加害期間が長引き,被害が多くなると考えられます。

4.割れ籾が多発した場合

アカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメなどのカスミカメムシ類は,割れ籾が発生した場合には,籾の開いた部分を加害するので,側部加害型の斑点米が多くなります。

割れ籾は,幼穂形成期(7月上中旬)の低温や日照不足によって籾のサイズが小さくなると発生しやすくなります。したがって,平成15年のように冷害年は斑点米被害に注意が必要です。

5.水田雑草が多発した場合

水田雑草のイヌホタルイやヒエ等は,水稲の出穂前から穂をつけます。アカスジカスミカメは,これらの雑草の穂に産卵して水田内で増殖するため,水田雑草が多発しているほ場では,斑点米被害がより多くなる危険があります(図4,図5)。

イヌホタルイの穂に寄ってきたアカスジカスミカメ

イヌホタルイの穂に寄ってきたアカスジカスミカメ

イヌホタルイの有無とアカスジカスミカメのすくいとり虫数の推移

図4 水田雑草イヌホタルイの有無とアカスジカスミカメのすくいとり虫数の推移
注)平成29年宮城県病害虫防除所巡回調査ほ場におけるすくいとり調査(20回振り)
  カスミカメムシ類幼虫のほとんどがアカスジカスミカメの幼虫と考えられる

 

水田雑草のイヌホタルイの有無と斑点米被害粒率

図5 水田雑草イヌホタルイの有無(7月下旬)と斑点米の発生地点率と被害粒率
注)平成29年宮城県病害虫防除所巡回調査ほ場における50穂の抽出調査,玄米粒厚1.8mm以上による

アカスジカスミカメの発生生態と防除対策

アカスジカスミカメの発生生態

宮城県の主要種であるアカスジカスミカメは,卵で越冬し,春にふ化して幼虫となり,5回脱皮を繰り返した後成虫になります。これを越冬世代といい,越冬世代成虫が産卵し,その卵から発生した世代を第1世代といいます。その後同じようにして第2世代,第3世代と繰り返されます。秋になり日長が短くなると,メヒシバなどのイネ科雑草の穂に休眠卵を産んで越冬に備えます。

アカスジカスミカメは,イタリアンライグラス,イヌホタルイ,ノビエなどの牧草地や雑草地で繁殖し,出穂期になると第1~2世代成虫が水田へ侵入して,斑点米を発生させます。

アカスジカスミカメ成虫の発生消長と防除体系(模式図)

アカスジカスミカメ成虫の発生消長と防除体系

アカスジカスミカメの防除対策

1.水田雑草防除

初中期除草を確実に実施します。

アカスジカスミカメの水田への侵入及び斑点米被害を助長するイヌホタルイ,ノビエなどは残草させないようにします。

※参照 普及に移す技術第81号参考資料「イヌホタルイの発生がアカスジカスミカメ被害に及ぼす影響」

薬剤抵抗性が発現している場合があるので,前年除草効果が低かったほ場では除草剤の選択に留意します。

ほ場に残ったイヌホタルイ,ノビエ等の水田雑草は,雑草の穂が出る前の7月上旬までに除草を行います。

6月下旬以降の追加除草の要否判断については以下を参照ください。

※参照 普及に移す技術第88号普及技術「イヌホタルイ発生量に基づく斑点米被害リスク評価」

2.水田周辺の対策

水田周辺の牧草地は,アカスジカスミカメの密度を低くするため,幼虫主体の時期である7月中旬までに刈り取りを行います。

※参照 普及に移す技術第81号参考資料「斑点米カメムシ類の繁殖地におけるイネ科植物刈り取りによる増殖抑制効果」

※参照 普及に移す技術第82号参考資料「アカスジカスミカメの繁殖地の草刈りによる斑点米被害の抑制」

畦畔は,雑草の穂が出ないように管理します。

水稲の出穂10日前までに畦畔の草刈りを終えると,斑点米カメムシ類の水田への侵入を軽減できます。

3.薬剤防除

殺虫剤の散布適期は,水稲の「穂揃期」と「その7~10日後」が基本です。

水田内にイヌホタルイが残草している場合は,1回目の「穂揃期」の防除を「出穂始~穂揃期」に早めます。

※参照 普及に移す技術第83号参考資料「イヌホタルイ発生水田におけるアカスジカスミカメの防除適期」

要防除水準

斑点米の被害は,カメムシ類の密度が極めて低い場合にも発生し,収量ではなく品質への影響が主体であること,カメムシ類は水田の外部から移動し加害するため,密度が推定しにくいことなどから要防除水準の設定は技術的に難しく,宮城県では正式なものはまだ設定されていません。

トピックス「着色粒の検査等級基準」

斑点米の許容限度を超えると米の等級が低下し,生産者の所得にも影響します。
斑点米は着色粒に分類され,着色粒が1,000粒に2粒以上入っていれば1等米から2等米に落ちてしまいます。
すし1貫が約500粒ですので,ちょうど斑点米が1粒入っているだけで,格付けが下がることになります。
品質の高い米を生産するためにも斑点米の混入には十分注意しましょう。

着色粒検査基準の表
 等級1等米2等米3等米等外
混入最高限度(%)0.10.30.75.0

お米1000粒の目安の写真

お米の1,000粒の目安は,にぎりすし2貫位です。


Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)