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トップページ分類でさがすしごと・産業農業技術支援 斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策

斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年3月4日更新

斑点米カメムシ類

宮城県における斑点米カメムシ類及び斑点米被害の発生動向

斑点米カメムシ類の発生量は,平成11年から増加しています(第1図)。この傾向は,宮城県だけではなく東北各県や全国的にも認められています。

斑点米カメムシ類による落等率についても平成11年から増加し,平成17年に過去最高の被害となりました(第2図)。

平成18年以降は3~4%の落等率で推移していますが,斑点米被害が大きな問題となる以前と比べると,まだまだ高い状況となっています。

  • 第1図 水田における斑点米カメムシ類発生量の年次推移(出穂期)

水田における斑点米カメムシ類発生量の年次推移(出穂期)

注)病害虫防除所巡回調査ほ場におけるすくい取り調査(20回振り)

  • 第2図 斑点米による落等率の年次推移(県全体)

斑点米による落等率の年次推移(県全体)

注)東北農政局調査による
H10~12年は10月現在,H13~25年は12月末現在の値

宮城県における斑点米カメムシ類の主要種

県内には,アカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメ,ムギカスミカメなどのカスミカメムシ類が発生しています(第3,4図)。

県南部の一部地域では,クモヘリカメムシも発生しています。

近年は,水田内,雑草地,牧草地のいずれにおいても県内全域でアカスジカスミカメが主要種となっています。

  • 第3図 水田における加害種の年次推移(出穂期)

水田における加害種の年次推移(出穂期)
注)病害虫防除所巡回調査ほ場におけるすくい取り調査(20回振り)

  • 第4図 雑草地,牧草地における加害種の年次推移(7月下旬~8月上旬)

雑草地,牧草地における加害種の年次推移(7月下旬~8月上旬)

主な斑点米カメムシ類

アカスジカスミカメ

アカスジカスミカメの写真

  • 体長4.6~6mm
  • 体色はやや光沢があり淡い黄緑色。
  • 前翅会合部に橙赤色の太い縦条がある。
  • 触角と腿節も赤い。

アカヒゲホソミドリカスミカメ

アカヒゲホソミドリカスミカメの写真

  • 体長5~6.5mm
  • 体色は淡緑色で触角が赤色。
  • 体は細長。

ムギカスミカメ

ムギカスミカメの写真

  • 体長7~9mm
  • 体色は黄緑色または黄褐色。
  • 後ろ脚の第2節先端付近に大小2本の棘を持つ。

ホソハリカメムシ

ホソハリカメムシの写真

  • 体長8.5~11mm
  • 体色は黄褐色。
  • 前胸背の両角は側方に突出し,針状に尖る。

クモヘリカメムシ

クモヘリカメムシの写真

  • 体長15~17mm
  • 体色はやや光沢のある黄緑色。
  • 体は細長い。
  • 宮城県では県南部の一部地域で発生。

オオトゲシラホシカメムシ

オオトゲシラホシカメムシの写真

  • 体長5~7mm
  • 体色は淡い灰褐色。
  • 両側の黄白色の紋は小さいが明瞭。前胸背の両側は突出するが先端は鋭くない。

トピックス「カメムシ背くらべ」

カメムシ背くらべ
カメムシ背比べ「籾」  カメムシ背比べ
ACDEF
  • A:アカヒゲホソミドリカスミカメ
  • B:アカスジカスミカメ
  • C:ムギカスミカメ
  • D:オオトゲシラホシカメムシ
  • E:ホソハリカメムシ
  • F:クモヘリカメムシ

主な斑点米カメムシ類の大きさの比較です。

一番大きなクモヘリカメムシに比べると,アカヒゲホソミドリカスミカメなどは3分の1程度の大きさしかありません。水田の中では,よほど注意してみないと見つけられません。

斑点米カメムシ類の発生生態

斑点米カメムシ類は,1年の間に何世代かを繰り返します。例えば,アカスジカスミカメは卵で越冬し,春にふ化して幼虫となり,5回脱皮を繰り返した後成虫になります。これを越冬世代といい,この越冬世代の成虫が産卵し,その卵から新たな世代が誕生します。これを第1世代といいます。その後同じようにして第2世代,第3世代と繰り返されます(第5図)。秋になり日長が短くなると,休眠卵を産んで越冬に備えます。アカヒゲホソミドリカスミカメも卵で越冬し,1年間に5世代程度発生します(第6図)。

水田に侵入して,斑点米を発生させるのは,アカスジカスミカメは第1世代成虫,アカヒゲホソミドリカスミカメは第2世代成虫が主体と考えられています。その他のカメムシ類では,ホソハリカメムシやクモヘリカメムシなどの大型のカメムシは,成虫で越冬し,1年間に2世代程度の発生と考えられています。

  • 第5図 水田及び隣接牧草地におけるアカスジカスミカメ成虫の発生消長(模式図)

水田及び隣接牧草地におけるアカスジカスミカメ成虫の発生消長(模式図)

  • 第6図 水田及び隣接牧草地におけるアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の発生消長(模式図)

水田及び隣接牧草地におけるアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の発生消長(模式図)

水田に侵入する前には

斑点米カメムシ類は,イネ科植物を好み,イネ科植物が生えているところに生息しています。例えば,アカヒゲホソミドリカスミカメは,スズメノカタビラやイヌビエなどのイネ科植物が生えている雑草地,イタリアンライグラスが生えている農道の法面,牧草地等に生息しています。

餌の好みは,カメムシの種類によってもいくらか違いますが,イネ科植物を好む点は共通しています。

そして,生息しているところの餌の条件が悪くなってくると,条件のよいところに移動していきます。

堤防の法面(イネ科雑草)の写真
堤防の法面(イネ科雑草)

雑草地(イヌビエ群落)の写真
雑草地(イヌビエ群落)

水田への侵入方法

斑点米カメムシ類は通常,雑草地や牧草地でイネ科植物を餌として生活していますが,夏枯れや草刈りなどで餌となるイネ科植物が無くなると他の場所に移動します。これが水稲の出穂~登熟期にあたると,水田にも餌を求めて移動してきます。

アカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメのようなカスミカメムシ類やホソハリカメムシなどの斑点米カメムシ類は,飛翔能力が高く,移動距離が大きいと考えられています。このため防除の必要性を判断するには,発生源となる雑草地や牧草地からの距離が重要になってきます。

イネが出穂すると水田への侵入が始まりますが,特にこの時期は,気温が高く飛翔活動にも適していると考えられます。水田の近くに発生源がある場合は,特に注意が必要です。

斑点米の種類

斑点米は,カメムシ類が水稲の籾に口針を突き刺し,吸汁加害することにより発生します。加害部分は褐色の斑点状になります。宮城県で見られる斑点米には下の写真のように頂部加害型,側部加害型,無差別加害型の3つの型があります。

本県で発生量の多いカスミカメムシ類は,口針が弱いため主に頂部加害型,側部加害型の斑点米を形成します(下図参照)。

宮城県で見られる3つの型

頂部加害型

頂部加害型斑点米の写真

頂部加害型における籾の加害部位の画像

●加害部位

  • 内外穎の頂部の隙間や組織の柔らかい「ふ先」から口針を挿入して吸汁するため子実粒先端に被害が現れます。
  • 加害は登熟期初期に多く,カスミカメムシ類のような口針の弱い種は好んでこの部分から加害します。

側部加害型

側部加害型斑点米の写真

側部加害型における籾の加害部位の画像

●加害部位

  • 籾の内外穎の縫合部の隙間から口針を挿入して吸汁するため側部に被害が現れます。
  • 加害は登熟期後半に多く,口針の弱いカメムシは好んでこの部分から加害します。

無差別加害型

無差別加害型斑点米の写真

無差別型は籾のあらゆる部位を加害の画像

●加害部位

  • 口器が強い大型のカメムシ類は内外穎のどの部分からでも穎を貫通して吸汁できるため子実粒のいたるところに被害が現れます。
  • 加害期間は長く,収穫直前まで続くこともあります。

 

トピックス「斑点米と間違えやすい他の着色米について」

カメムシ類以外の害虫や糸状菌によって下の写真のように子実粒に斑点が形成されることがあります。通常,その被害はカメムシ類によるものより大きくはなりません。

黒点米・黒点症状米

黒点米・黒点症状米の写真

別名 くさび米。イネシンガレセンチュウの加害によりクサビのような割れ目を生じ,その部分が黒色~褐色になります(黒点米)。またその他の害虫(ウンカ類,ワムシ等)によっても同様な症状が起こります(黒点症状米)。

腹黒米

腹黒米の写真

糸状菌(Alternaria padwickii)により,子実粒の腹部に黒色の斑点が生じます。被害粒を湿室に置いておくと菌糸が生じます。

斑点米の被害が出やすい条件

1.水稲出穂日が早まり,斑点米カメムシ類の発生盛期との間隔が近くなった場合

通常,本県の主要種である「ひとめぼれ」の出穂期は8月第2半旬頃ですが,気象条件により出穂日が早くなった場合,アカスジカスミカメの第1世代発生盛期(7月下旬)との間隔が近くなり,本田侵入量が増加することにより,斑点米の発生が増大する危険性が考えられます。

2.周辺に牧草地や雑草地などの繁殖源がある場合

斑点米カメムシ類は,イネが出穂する前は牧草地や雑草地に生息しており,イネが出穂すると水田に侵入します。したがって,水田の周辺に牧草地や雑草地などがあると,カメムシ類の水田への侵入が多くなり,斑点米の被害も多くなります(第7図)。

3.イネの出穂や登熟が遅延した場合

平成15年は,著しい低温・少照が続き,出穂がばらついたり,登熟も長引いたため,カメムシ類の加害期間が長引き,被害を多くしたと考えられます。

4.割れ籾が多発した場合

アカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメなどのカスミカメムシ類は,口針が弱く,組織の柔らかい「ふ先」や穎の隙間からしか吸汁することができません。したがって,割れ籾が発生した場合には,籾の開いた部分を加害するので,斑点米は多くなります(第8図)。

5.水田雑草が多発した場合

水田雑草のイヌホタルイ類やヒエ等は,水稲の出穂前から穂をつけます。本県の主要な加害種であるアカスジカスミカメは,主に穂を餌及び産卵場所とするため,これらの水田雑草が発生していると,水稲の出穂前から水田内に侵入し,増殖します。そのため,水田雑草が多発しているほ場では,斑点米被害がより多くなる危険があります(第9図)。

イヌホタルイに寄ってきたアカスジカスミカメの写真(撮影:古川農業試験場)

イヌホタルイに寄ってきたアカスジカスミカメ(撮影:古川農業試験場)

  • 第7図 斑点米落等率と転作牧草及び防除の関係(平成15年)

斑点米落等率と転作牧草及び防除の関係の画像
注)転作牧草面積率(%)=(イネ科牧草転作面積/水田面積)×100
斑点米落等率:東北農政局調査による

  • 第8図 割れ籾と斑点米発生率の関係(平成15年)

割れ籾と斑点米発生率
注)病害虫防除所巡回調査ほ10地点における5株刈り取り調査

  • 第9図 水田雑草イヌホタルイの発生と斑点米カメムシ類密度及び斑点米混入率の関係(平成17年)

水田内雑草イヌホタルイの発生と斑点米カメムシ類密度及び斑点米混入率の関係
注)病害虫防除所巡回調査ほ場における調査
すくい取り調査(20回振り),斑点米混入率は50穂抜き穂による抽出調査

要防除水準

斑点米の被害は,カメムシ類の密度が極めて低い場合にも発生し,収量ではなく品質への影響が主体であること,カメムシ類は水田の外部から移動し加害するため,密度が推定しにくいことなどから要防除水準の設定は技術的に難しく,宮城県では正式なものはまだ設定されていません。

トピックス「着色粒の検査等級基準」

斑点米の許容限度を超えると米の等級が低下し,生産者の所得にも影響します。
斑点米は着色粒に分類され,着色粒が1,000粒に2粒以上入っていれば1等米から2等米に落ちてしまいます。
鮨1貫が約500粒ですので,ちょうど斑点米が1粒入っているだけで,格付けが下がることになります。
品質の高い米を生産するためにも斑点米の混入には十分注意しましょう。

着色粒検査基準の表
 等級1等米2等米3等米等外
混入最高限度(%)0.10.30.75.0

お米1000粒の目安の写真

お米の1,000粒の目安は,にぎり鮨2貫位です。

すくい取り調査の方法

すくい取り法とは,捕虫網を振って捕らえられる害虫を調査する方法です。

本田での発生を予測するには,水稲出穂前の畦畔,雑草地,牧草地等の発生量を把握することが必要です。また,的確な防除を行うためにも水稲出穂以降の本田へのカメムシ類侵入量を把握する必要があります。

すくい取りに使用する網の写真

*捕虫網は写真のように内径36cmで網目の細かいものを用いる。

1.調査時期

a.雑草地の調査時期

出穂後の水田へのカメムシ類侵入量を予測するには本田出穂前(7月下旬頃)の調査を行います。

b.水田の調査時期

水田での調査は,防除が必要かどうかを判断するため,本田出穂始期後は定期的に行います。特に,穂揃期のカメムシ類密度は斑点米被害と密接に関係しています。

2.天候

条件の良い時でもすくいとり効率は高くありませんが,天候が良くないとカメムシ類が株元に移動するためすくい取られません。風のない穏やかな日を選び,葉先に水滴のある時や雨の日,極端な低温時は避けて行いましょう。

3.方法

  1. 水田では下図のように畦畔から5畦離れたところで行い,自分を中心に半円を描くように網を振ります。
  2. すくい取る場所が重複しないように前進しながら合計20回振ってすくい取り行います。
  3. 雑草地ではカメムシ類の餌となるイネ科雑草は不均一に生えているので,イネ科雑草の群落を合計20回すくい取ります

(参考:農道や畦畔の雑草群落の幅が狭く,左図のようなすくい取りができない場合は,直線状に約75m分すくい取りを行います。75m分ない場合は,すくい取り数を75m分に換算します。)

すくい取りの図

水田でのすくい取り

防除対策

防除方法として第10図に示したように,雑草等の管理と薬剤による防除があり,両方の防除法を併用する必要があります。

  • 第10図 斑点米カメムシ類の防除体系

斑点米カメムシ類の防除体系の画像

1.耕種的防除

  1. イヌホタルイ類やヒエ類等の水田雑草が発生している水田では,これらを穂が出る前に取り除くことで,カメムシ類(特にアカスジカスミカメ)の水田への侵入及び斑点米被害を軽減できます。 6月下旬以降の追加除草の要否判断については以下を参照ください。
    「イヌホタルイ発生量に基づく斑点米被害リスク評価 [PDFファイル/224KB]
  2. 7月中旬までに牧草の草刈りを実施すると,水田周辺の斑点米カメムシ類の密度が低くなります。詳細は以下を参照ください。
    「アカスジカスミカメの繁殖地の草刈りによる斑点米の抑制 [PDFファイル/240KB]
  3. 水稲の出穂10日前までに草刈りを終えると,カメムシ類の水田への侵入を軽減できます。水稲の出穂期前後に水田周辺の草刈りを行うと,カメムシ類を水田内に追い込むことになります(第11図)。
  4. 地域内で協力して一斉に草刈りを実施すると,高い防除効果が期待できます。
  • 第11図 牧草刈り取りによるカメムシ類の本田移動(平成16年,仙台市泉区)

牧草刈り取りによるカメムシ類の本田移動の画像
注)牧草:イタリアンライグラス
カメムシ類:アカヒゲホソミドリカスミカメ
100穂抜き穂調査による斑点米混入率:0.17%

2.薬剤防除

  1. 薬剤防除は,穂揃期とそれから7~10日後の2回実施が基本です。
  2. イヌホタルイが発生した水田で除草が間に合わない場合は,1回目の薬剤散布時期を早めて「出穂始期から穂揃期」にすることで,斑点米カメムシ類の密度を低下させ,斑点米の発生を軽減できます。詳細は以下を参照ください。
    「イヌホタルイ発生水田におけるアカスジカスミカメの防除適期」 [PDFファイル/181KB]
  3. カスミカメムシ類は移動性が高いので,薬剤防除は個人的に実施するよりも無人ヘリ等で地域一斉に実施する方が高い効果が期待できます(第12図)。
  • 第12図 防除手段・回数別の斑点米混入率(平成16年,病害虫防除所巡回調査地点)

防除手段・回数別の斑点米混入率
注)棒軸は斑点米混入率(%)
折れ線は8月第1半旬の本田におけるカメムシ類平均すくい取り頭数(頭)
Nは地点数
無人ヘリ2回は無人ヘリ+個人防除を含む


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