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平成15年度包括外部監査結果及び意見の概要

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年9月10日更新

「特別会計に係る事務の執行及び事業の管理について」

第1 外部監査の概要

1 外部監査の種類

 地方自治法第252条の32第1項の規定に基づく外部監査

2 選定した特定の事件(監査テーマ)

 (1)外部監査の対象

 宮城県の会計のうち特別会計に係る事務の執行及び事業の管理について

 監査対象とした特別会計は次のとおりである。
 1) 宮城県小規模企業者等設備導入資金特別会計
   (担当課(以下同じ):産業経済部経営金融課、新産業振興課)
 2) 宮城県土地区画整理事業特別会計(土木部都市計画課)
 3) 宮城県港湾整備事業特別会計(土木部港湾課)

 (2)監査対象期間

 原則として平成14年度(平成14年4月1日から平成15年3月31日まで)。ただし、必要に応じて監査時点及び過年度についても監査対象とした。

3 特定の事件(監査テーマ)を選定した理由 

 普通地方公共団体(この報告書では、宮城県を指すものとする)の会計には、一般会計と特別会計がある(地方自治法第209条第1項)。宮城県の特別会計は上記2(1)の特別会計を含め、全部で11の特別会計がある。
 平成14年度における宮城県の一般会計の規模は、歳入(収入済額)で8,373億69百万円、歳出(支出済額)で8,218億29百万円であるが、特別会計合計においては、歳入(収入済額)で2,079億97百万円、歳出(支出済額)で2,010億30百万円であり、歳入・歳出とも一般会計の約4分の1に達する規模となっている。
 宮城県においても財政危機が叫ばれその改善に取り組んでいるところであるが、一般会計及び特別会計の予算・決算はともに議会、県政だより、ホームページ、報道等により広く県民に周知されるものの、特別会計は県民の関心が向きにくいことから、その実態を県民に開示することは有意義であると判断した。特別会計が具体的な設置目的を持ち、「特定の歳入をもって特定の歳出に充てる」とされる特別会計の意義が果たされているかどうか、また、管理運営事務が地方自治法第2条第14項及び第15項の趣旨を達成しているかどうかにつき、県民の関心が強いと判断した、宮城県小規模企業者等設備導入資金特別会計(小規模企業者等設備導入資金貸付事業及び中小企業高度化事業)、宮城県土地区画整理事業特別会計及び宮城県港湾整備事業特別会計(港湾整備事業)を監査テーマとして選定した。 

4 外部監査の方法

 監査の要点

 特別会計に係る事務の執行及び事業の管理の法令等への合規性、経済性・効率性及び有効性の観点から以下の項目について特に留意して監査を実施することとした。
 1) 特別会計の設置目的は適切か
 2) 一般会計との区分経理は適切か
 3) 特定の歳入をもって、特定の歳出に充てられているか
 4) 管理帳票類の整理・保管状況は適切か
 5) 特別会計としての事業見通しは適確に策定されているか
 6) すでに設置目的を達成している特別会計はあるか

5 外部監査の実施期間

 平成15年7月11日から平成16年3月18日まで

第2 特別会計の概要

 特別会計については地方自治法第209条において次のように規定されている。 

(会計の区分)

第209条  普通地方公共団体の会計は、一般会計及び特別会計とする。

2  特別会計は、普通地方公共団体が特定の事業を行なう場合その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般会計の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合において、条例でこれを定めることができる。

 また、本条について次のように解説されている。

  (1) 水道事業、工業用水道事業、交通事業、電気事業、ガス事業、簡易水道事業、港湾整備事業(埋立事業並びに荷役機械、上屋、倉庫、貯木場及び船舶の離着岸を補助するための船舶を使用させる事業に限る。)、病院事業、市場事業、と畜場事業、観光施設事業、宅地造成事業、公共下水道事業(地財法六。同施行令一二)

  (2) 地方公営企業法が当然に適用される企業(地公企法二1、一七)  

 右のうち、(1)の場合は本条の条例を必要とすることはいうまでもないが、(2)の場合は、地方公営企業法により特別会計の設置が義務づけられているので、本条の特別会計設置の条例は必要ないものと解してよいであろう(行実 昭三八、一二、一九)。
 ―以下、略―
「逐条 地方自治法(松本英昭著)」より

第3 外部監査の結果

1 A社への施設の使用許可(宮城県港湾整備事業特別会計)

 使用料収入に関して、A社(宮城県の出資割合33.3%)の下記使用料に関して減免措置が行われている。

平成14年度の減免の状況表(単位:千円)
港湾施設 年間使用料年間減免額減免開始時期
中島上屋1号25,66816,547平成7年10月
大手2号野積場22,76218,839平成10年5月
雲雀野野積場40,84929,216平成10年7月
合 計89,28164,603

 注1.減免開始時期
    A社が保税倉主となった当該月から減免が開始されている。
  2.石巻港の使用料収入
    平成14年度:4億70百万円

 上記港湾施設の利用に関しては、毎月、宮城県石巻港湾事務所長宛の使用許可申請書により、「港湾施設管理条例」別表に基づく所定の使用料をもって港湾施設を使用させる許可をしながら、一方において毎月A社から宮城県石巻港湾事務所長宛に使用料減免申請がなされ、減免を認める稟議決裁(港湾事務所長決裁)がなされている。
 当該港湾施設使用料の減免については、「港湾施設使用料の減免基準」の「その他、本表に該当しないものであっても、港湾の開発を促進し港湾の利用を増進すると認められる場合に、知事の承認を受けて使用料を減免することができる」によっている。
 この減免措置は、保税蔵置場の許可を得た直後から継続している。当該保税許可申請には、一定の面積が必要であったこと及び宮城県が直接当該保税許可申請をできないため、民間業者に委託せざるを得なかった経緯があった。
 港湾課によれば、「保税蔵置場許可申請に係る施設の全面積と同面積で県施設の使用許可申請を制度上求められることから、いったん全面積の許可後、毎月、使用した面積に応じて精算行為をしているもの」とのことである。
 しかし、保税蔵置場許可申請時から現在まで引き続き措置され、かつ毎年度使用面積が許可面積に達せず今後も港湾の利用増進が改善できる見通しは不確実である中で、精算行為を減免措置に求めることは条例の趣旨に照らし疑問であり、このまま上記減免措置を行うことは適当ではない。 

包括外部監査の結果報告書に添えて提出する意見の概要 

宮城県小規模企業者等設備導入資金特別会計

1 事業の概況   

 小規模企業者等設備導入資金貸付事業(設備貸与事業を含む)と中小企業高度化事業の二つの事業が実施されている。

 (1)小規模企業者等設備導入資金貸付事業(設備貸与事業を含む)

 小規模企業者等設備導入資金貸付事業(設備貸与事業を含む)は、県内の中小企業者(原則として従業員20人以下の小規模企業者(自営業者を含む))を対象に、設備投資に対する支援策として、長期で低利の設備資金の貸付事業や、設備の割賦・リース事業を実施するため、小規模企業者等設備導入資金助成法に基づき設置されている。

 (2)中小企業高度化事業

 中小企業総合事業団法に基づき、宮城県が中小企業総合事業団から貸付原資の一部を借り入れ、地域の中小企業者が共同して行う事業等について組合等に対して長期で低利の貸付けを行っている。

2 平成14年度決算の概要

  平成14年度決算では、大幅な収入超過(収入額>支出額)になっており、次年度繰越金が35億87百万円となっている。収入超過となった原因は、新規貸出による支出額が過年度貸出の回収額を大幅に下回っているためである。利用実績の低迷から、平成14年度では各制度とも貸付金の回収による収入額が新規貸付けによる支出額を大幅に超過している。

3 利用実績 

 近年の経済情勢を反映して、利用実績が低迷している。他都道府県の設備導入資金貸付事業では、平成14年度までは高知県だけが休止していたが、翌年度(平成15年度)に制度を休止している都道府県が1都1府3県(東京都、京都府、埼玉県、高知県、沖縄県)に及んでいる。設備貸与事業でも、1都3県(東京都、群馬県、埼玉県、和歌山県)が平成15年度に休止した。

 意見1 設備資金貸付事業及び設備貸与事業の一時休止

 宮城県が行っている中小企業向け融資制度には、他に「中小企業経営安定資金」「中小企業産業振興資金」等があり、平成14年度の貸付実績では279億37百万円が一般会計の商工振興費に経理されている。設備資金貸付事業の利用実績の低下には、景気低迷による設備投資意欲の減退に加え、低金利下では無利息融資の魅力が薄らいできていることも事実であり、また所要資金の2分の1の自己資金を準備することが資金調達力の脆弱な小規模企業では厳しい条件になっているのではないかと考えられる。
 設備貸与事業(国、県:割賦・リース)は他の制度にはないリース事業があることの優位性はあるものの利用実績の低迷が続いており、他の制度で利用者のニーズを十分補うことができるのではないかと考えられる。
 近年の利用実績の低迷、宮城県((財)みやぎ産業振興機構を含む)の行っている他の融資諸制度と本事業との関係等を勘案され本事業の一時休止を含む見直しを検討する時期にきているものと考える。

4 回収状況

 設備資金貸付事業では未収債権額は8,770万円であったが、貸付残額に占める割合は16.1%と高く、また未収債権額の5割程度は今後回収不能となる恐れがあると見積られる。
 設備貸与事業については国及び県から(財)みやぎ産業振興機構に必要資金の貸付けを行い、同機構が診断及び審査を含むすべての事務を遂行している。同機構の会計基準に従って貸倒引当金の計上がなされており、回収不能と見積られる金額に相当する貸倒引当金が計上されている。
 中小企業高度化事業では貸付残高が多額にあり貸付金に占める未収債権額の割合は1.7%と低いが、金額は1億47百万円あった。なお、中小企業高度化事業は一契約当たりの貸付額が平均で8,715万円と大きく、また大部分の契約が15年から20年の長期の契約となっており、さらに利用者が組合等の場合が多く、事業が不調となった場合に責任の所在が不明確になることも想定されるなど貸付金を全額回収するまでにはかなりのリスクが伴う事業である。
 設備資金貸付事業及び中小企業高度化事業については、宮城県の会計規則(経営金融課「不納欠損処理基準」)に従い、回収できないことが確実になった場合、議会の承認を経るなどして不納欠損処理がなされている。

 意見2 不納欠損処理処分の迅速化

 設備資金貸付事業及び中小企業高度化事業において、宮城県では「回収不能」とする判断基準は、実質的に請求できる債務者が存在しない場合としており、その債務者の償還能力の大小にかかわらず、請求できる債務者が存在する限り、貸付制度上全額回収の見込みがあるものと取り扱っている。
 もとより安易な不納欠損処分は避けなければならないが、債権の一部についても不納欠損処分が可能であることからすれば、不納欠損処理基準第5条「請求が事実上困難になったことに伴う不納欠損処分」の規定の運用上の具体的な取り扱いを事例から積み重ねることにより定めていくことも可能であり、弾力的な運用の検討が必要である。

 (1)小規模企業者等設備導入資金貸付事業(設備貸与事業を含む)

 1) 設備資金貸付事業
 未収債権額については、過年度の融資審査体制に課題があった。また、回収までに長期間を要しており、保証人に対する請求についてもすでに時効が成立しているケースも散見された。
 しかし、平成11年度以降、各種債権管理マニュアルを作成し、毎年度「未収債権整理強化期間」を定めるなど、その着実な実行により、貸付金残高に占める未収債権額の割合は減少している。

 意見3 今後回収不能となる恐れがある額

 平成14年度末現在の未収債権額は、8,770万円(13件)あり、そのうち回収不能となる恐れがある額は、4,415万円と見積られる。

 2) 設備貸与事業
 設備貸与事業(割賦・リース)を行っている(財)みやぎ産業振興機構では、延滞債権残額については、4段階の債権区分を設定して債権の回収を図っている。当該区分に従って、1億4百万円の貸倒引当金が計上されている。

 (2)中小企業高度化事業

 未収債権額は、平成元年までに貸し付けたものについて生じたもので、その後のものは生じていないが、未収債権額となった貸付総額の大部分が結果として回収不能となっており、当時の融資では担保保全がかなり不十分であったのではないかと指摘せざるを得ない。不動産について抵当権が設定されていなかった案件もあった。

 意見4 今後回収不能となる恐れがある額

 平成14年度末現在の未収債権額は、1億47百万円(6件)あり、そのうち回収不能となる恐れがある額は1億13百万円と見積られる。

 意見5 中小企業総合事業団(いわゆるB方式)との不納欠損額の負担割合

  いわゆるB方式において、破産の最終配当後すでに10年経過しているにもかかわらず、宮城県と中小企業総合事業団との不納欠損額の負担割合について未決のものがあった。これは、中小企業総合事業団法に基づく貸付規則に処理方法についての規定がないためであり、早急に規則等の整備が望まれるところである。

 (意見のまとめ)

 本特別会計における事業のうち、設備資金貸付事業及び設備貸与事業は、現在の経済環境下では2分の1の自己資金や連帯保証人の必要から、利用者のニーズにそぐわない制度となっているものがあり、結果として利用実績の低迷、余剰資金の増加となっている。制度自体は国の制度であるものの、宮城県の中小企業向け融資制度との関係等を勘案され、一時休止を含む見直しを検討する時期にきているものと考えられる。
 債権の回収については、回収管理が徹底しており、未収債権額は債権残高と比較した場合懸念される状況ではない。しかし、未収債権額の今後の回収可能性を検討すると、宮城県としては全額回収できる見込みであると取り扱っているが、外部の第三者としては、回収することが困難であると考えられる額が、設備資金貸付事業で4,415万円、中小企業高度化事業で1億13百万円となった。現状の制度下では、発生主義会計を採用している企業会計の場合と異なり、不納欠損処理基準により、「回収不能」と判断されるまで不納欠損処分ができない。不納欠損処理基準の第5条「請求が事実上困難になったことに伴う不納欠損処分」の規定の弾力的な運用を図る必要があると考えられる。
 なお、宮城県が対処する課題ではないが、中小企業高度化事業におけるいわゆるB方式の不納欠損処理については、中小企業総合事業団法に基づく関係規定の早急な整備が望まれる。

宮城県土地区画整理事業特別会計

1 事業の概況  

 仙台港背後地の土地区画整理事業の目的は、宮城県のみならず、東北の国際化・情報化並びに物流の中心拠点として機能させることであり、中でもセンター地区については、仙台港背後地のシンボルゾーンとして、国際交流・貿易・物流機能を備えた、にぎわいと魅力ある空間の形成、施設の整備を行い、21世紀に向けたまちづくり及び地域経済の活性化を図るものである。

2 総事業費

 当該事業の総事業費は当初計画では、371億円であったが、平成10年7月の第2回変更計画では、592億60百万円となり、221億60百万円(59.7%)の大幅な増額となっている。
 特に増加が顕著なのは、建物移転費、下水道整備費、整地費、調査設計費及び工事雑費である。

3 事業計画の見直し

 センター地区について造成工事完了を平成15年度に前倒ししたが、流通業務地区及び工業地区については、飛換地に伴う玉突き移転の遅れから平成18年度の完了はかなり難しい状況となっている。
 また、項目別に見ると平成14年度までの実績累計で第2回変更計画の事業費総額を超過している項目もあり、総事業費についても現計画を超過することは避けられない状況となっていることから、平成16年秋を目処に第3回変更計画の認可を受けるべく現在事業計画の見直し作業が行われている。

 意見1 専従県職員人件費の特別会計における区分経理

 本特別会計には本土地区画整理事業の専従県職員の人件費は一部しか含まれていない。これは事業費の一定割合で計算される事業費支弁人件費しか計上していないためである。当該事業の専従県職員は、合計21名となっており、平成14年度の県職員の一人当たり平均給与費7,609千円を基に単純計算すると年間約1億60百万円の給与費が当該事業で発生していると推定される。しかし、本特別会計に計上されている人件費は約49百万円であり残りは一般会計で経理している。
 長期間にわたり多数の専従者が必要となる大規模プロジェクト事業であり、その専従者の人件費が多額に上ることから、専従県職員の総人件費を含めた適正な事業費の計上が望まれる。

4 事業資金

 (1)概要説明

 当初計画では総事業費371億円の53.3%、197億89百万円を保留地処分金で賄う予定であったが、第2回変更計画では総事業費592億60百万円の33.7%、200億円となっている。
 当初計画にはなかった単独費、対総事業費16.0%、94億70百万円は、国の補助金等がなく県及び市町村が単独で負担するものであり、一般会計からの繰入れとなる。平成3年に仙台市と2分の1ずつ負担する旨の覚書が取り交されている。単独費は第2回変更計画において事業内容の変更に伴って計上された。
 当該土地区画整理事業に係わる県債残高は214億8百万円であるが、うち臨時地方道路整備事業債69億15百万円及び一般単独事業債4億67百万円については、償還時に元利合計額の内約50%強に交付税が充当され、残りを宮城県と仙台市で2分の1ずつ負担することになる。

 (2)保留地処分の状況

 保留地26.2ヘクタールの所在地は区画整理地区内の各所に分散している。現時点で処分可能な保留地約4.2ヘクタール中、処分済みは約2.7ヘクタール(処分額20億67百万円(契約ベース)、平均売却単価77,843円/m2)となっている。
 これまでの処分実績を見ると仙台市下水道局に売却したもの10,687m2、減歩による土地面積減少により事業継続に支障がある企業等が隣接保留地を買い足すいわゆる付保によるもの2,344m2、その他保留地処分要綱第12条第1項第4号の特別の事由により随意契約で売却したもの12,805m2であり、一般公募により売却できたものは住宅地2区画714m2のみである。
 第2回変更計画では保留地処分面積262,820m2、処分額200億円となっており、平均売却単価は76,098円/m2を想定している。これまでの処分実績では計画を上回っているが、現在販売中の20区画のうち流通業務地区3区画は、平成13年度に売出したが買い手が付かず、平成14年度に価格を約14%引き下げて再売出ししたにもかかわらず売れ残っている。今後の処分価格が想定を10%下回れば保留地処分金による収入は約18億円減少することになり、その不足分の補填は単独費(一般会計からの繰入れ)で行うことになる。
 保留地の処分に関しては処分予定地の約16%しか処分可能な状態になっていないが、今後の保留地の販売促進策として宮城県では各種の取組みを行っている。

 意見2 保留地管理法人の留意点

 本区画整理事業を早期終結させるための方策として保留地管理法人への保留地の売却は有効な手段ではあるが、根本的な解決策ではないことに留意する必要がある。それは、賃貸料収入だけでは保留地の買取資金全額を返済することは不可能であり、保留地に関しては最終的には売却しなければならないからである。また、売却できても保留地管理法人が買取った価格以上で売却できなければ、その損失の負担は宮城県が行うことになり、結局、県民の負担となるのである。
 したがって、保留地管理法人へ売却した後も県はその保留地の処分について必要な支援を行っていくことが肝要である。

 (意見のまとめ)

 本土地区画整理事業は、当初計画では371億円と見積って事業に着手している。現時点での計画総事業費は592億円となっており、整備計画の変更による下水道整備費、整地費の増加や水害対策による工事雑費の増加等やむを得ないものもあるが、建物移転費や調査設計費は、事業着手前に十分な把握ができなかったことによる過少見積りがあったといわざるを得ない。今後の事業計画の見直しにおいては、専従県職員の人件費の検討など事業内容を精査の上、適正な事業費の計上が望まれる。
 第2回変更計画の資金計画に占める単独費の割合は33.7%と全国平均並であったが、現状の不動産市場の状況から判断すると保留地を想定している価格で販売することができない可能性が高く、不足分の補填は単独費(一般会計からの繰入れ)で行われることになる。したがって、保留地管理法人の設置を含め今後も保留地処分方策の検討を重ねていくことが必要である。
 また、現計画では事業完了予定が平成18年度となっているが、現在の工事進捗状況からすると更に数年延びることは避けられない状況である。事業完了の遅れは更なる損失補償を必要とし、また、保留地処分の遅れは一般会計からの繰入れにつながることになり、できる限り事業完了を早めるための検討を行っていくことが望まれる。

宮城県港湾整備事業特別会計

1 事業の概況 

 宮城県が行っている港湾整備事業は、港湾整備事業による岸壁等の基本施設の整備に対応して、港湾の機能を効率的に発揮させるために必要なふ頭用地、上屋、荷役機械等を整備する港湾機能施設整備事業(当該施設整備に係る起債は「機能債」と呼ばれている。償還期間20年)、及び工業用地等の造成を目的とする臨海部(附帯する道路、排水施設等の事業を含む)における土地造成事業(当該土地の造成に係る起債は「臨海債」と呼ばれている。償還期間10年)、並びに港湾施設使用料をもって港湾施設を維持管理する事業から成っている。
 宮城県では、海外との貿易取引及び国内の移出入取引においても、従前から圧倒的に輸入(移入)取引が大きい割合を占めている。しかしながら、宮城県の取扱貨物量(入港船舶隻数及び総トン数)は、平成9年頃がピークであって、以後、各港湾とも減少傾向が続いている。

2 平成14年度決算の概況 

 歳入規模は102億23百万円であるが、毎期継続的に計上される使用料及び手数料収入9億61百万円と当年度に臨時的に生じた不動産売却収入10億70百万円では、当年度負担分の県債償還90億25百万円を賄うことができないため、起債と一般会計からの繰入金で賄っているという非常に逼迫した状況であった。

 (1)使用料及び手数料収入と機能債の償還支出

 港湾施設整備事業に関して、本特別会計では、歳入(収入済額)として使用料及び手数料収入が経理され、歳出(支出済額)として港湾施設の運営に係る業務委託費、機械等の修繕費である港湾施設管理費及び港湾施設整備費が経理されている。また、港湾施設への投資原資(貨物上屋や荷役機械等への当初支出額)となった県債の償還金は公債費(元金及び利子)支出として経理される。

 1) 毎期計上される使用料及び手数料
 
平成13年度が9億65百万円、平成14年度が9億61百万円経理されている。今後石巻港が整備されるものの、最近数年間の取引量は減少しており急激な増加は期待できない。

 2) 機能債の償還支出
 
一方、過年度に当該収入を得るために港湾機能施設(荷役機械、ふ頭用地整備、上屋建設等)の支出に充てるために起債した機能債の残高(平成14年度末残高)の合計は489億95百万円ある。従って、当該県債を使用料及び手数料だけで回収するのに単純計算(時間価値や金利変動等を無視した単純計算)で実に63.3年を要する計算になる。

 (2)財産収入と臨海債償還支出

 今後見込まれる財産収入は、石巻臨海土地造成地の売却だけであり、造成予定地から見込まれる土地売却収入は、平成14年5月提出総務省提出資料「地域開発事業(臨海土地造成)収支実績及び計画表」記載の土地売却代総額602億53百万円から、平成14年度までの売却代金累計額24億98百万円を差引いた、577億54百万円である。
 平成14年度の県債(臨海債)残高は、480億39百万円であり、上記のとおり売却ができれば売却による財産収入で県債残高の返済が可能となる。この点について、後述する4.臨海土地造成事業の現状で検討を加えている。
 なお、県債残高に含まれる仙台港区の47億44百万円については、港湾計画の改訂による土地利用の見直しがあり、現状では土地売却等の予定はなく売却収入は見込めない。

3 港湾整備事業の現状と課題

 港湾整備事業では、機能債等で資金を調達し、貨物上屋や荷役機械等の取得、使用料及び手数料収入により当該機能債を償還していくのが財政の健全性を考慮した投資・回収の見地からすれば望ましいとされている。
 しかし、広く公共の用に供される港湾施設の社会資本として整備する必要性及び厳しい経済環境や国際的な競争下で利用者への影響を考慮しなければならない使用料設定の実情等を勘案すると、将来の使用料及び手数料収入だけでは投資額全額を回収するのは困難であることも事実である。従って、一般会計からの繰出しも必要不可欠とならざるを得ない。しかしながら、一般会計からの繰入れが事実上無条件に認められるようなことがあってはならない。
 宮城県の社会資本整備の一環として港湾施設整備事業を充実していくためには、宮城県及び関係市町村は、これまで以上に主体的な取組みが求められる。港湾整備事業における、事業の合理性・効率性・透明性等に配慮しつつ、既存ストックの有効活用が図られなければならない。そのためには、現在ストックとして何があるのか、その経済価値はどうなっているのか等について企業会計の手法の導入が検討されなければならない。
 今後、県内の各港湾の施設整備をどのように進めて行くべきかについては、各港湾のビジョンを再確認した上で、以下に提案する内容を検討され、より一層、計画的な港湾整備事業を推進されることが望まれる。

 意見1 既存ストックの明確化

 より計画的な港湾整備事業を遂行するためには、宮城県の「公有財産規則」に従った港湾台帳への記載だけでは不十分である。既存ストックの明確化のため、下記の内容を考慮した管理帳表を整備する必要があると考えられる。

  • 投資単位毎の経済的・機能的な管理数値の把握
  • 長期的な視点からの各年度の予算措置
  • 港湾台帳を基にした管理帳表活用の検討

 意見2 事業の合理性と効率性

 港湾整備事業の推進について、常に各港湾のビジョンと照らして、現在及び中長期的な見通しについて行政としての自己点検が必要となる。そのためには、数値化できるものは、可能な限り数値目標を設定し、実績と対比するということも必要と考えられる。
 このような数値目標との整合性を考慮しながら、個々の投資意思決定(新規の機械を取得するかどうか、設備を更新するかどうか、修繕費支出等々の意思決定)を行うことがより有益ではないかと考えられる。

 意見3 事業の透明性

 特別会計の収支決算の報告や「宮城の港湾統計」、「PORTS OF MIYAGI(宮城の港湾)」などにより、県議会及び県民に港湾整備事業に関する情報開示がなされている。しかし、各港湾のビジョン、将来の一般会計からの繰入金の予想値、各種数値目標とその達成度、当年度の投資物件等の中長期見通しを公表することによって港湾整備事業の透明性がさらに高まり、県民の関心及び理解が深まるものと考えられる。

4 臨海土地造成事業の現状

 (1)港湾計画時から直近までの推移

 平成元年7月の港湾計画改訂後、バブル崩壊そして長期にわたる経済の低迷という経済環境の変化があり、想定していた取引貨物量と大きくかけ離れる結果となり現在に至っている。この経済環境の激変は、取引貨物量の減少にとどまらず、港湾背後地の企業及び当地区に進出を計画しようとする企業の設備投資意欲を減退させる結果となった。
 港湾計画は、港湾法により作成が義務付けられているものであるが、港湾の開発、利用及び保全について、長期的展望に基づいて策定した、将来時点の港湾空間のあるべき姿をマスタープランとして作成しているものであり、事業の具体的なスケジュールや収支計画については記載されていない。資金に関する具体的な計画は、毎年度提出される総務省提出資料によっている。
 環境の変化に対応するマスタープランの見直しは、これまでなされてこなかったが、これについては、現在全面的な見直しに着手している状況である。
 現在までの売却実績をもとに、今後造成予定の臨海土地を含む売却収入を見積もると合計209億31百万円になる。総務省提出資料「臨海土地造成収支実績及び計画表」に記載している土地売却代収入602億53百万円との差額は、393億21百万円という試算結果となる。
 この中には、石巻港の臨海部土地造成事業で実施した外周の埋立護岸や中仕切護岸及び道路があり、本来、一般会計の公共事業として整備すべきものがあり、売却価格に転化できないものが含まれている。しかし、いずれにしても今後当該差額は県債の償還を通じて一般会計からの繰入金によって賄うことになり、最終的には県民の負担となる。
 なお、造成予定の臨海土地近隣の地価はさらに下落しており、この下落傾向が続く限りさらに一般会計からの繰入金が増加することになる。

 意見4 石巻臨港土地造成についての今後の対応

 造成した土地については、適正な用地価格で売却することが宮城県の方針として決定されているが、本事業の継続については、その都度、宮城県の事業評価を受けて判断される必要がある。
 現在の段階的な整備計画では、今後新たに支出する造成費用は約37億円であり、全体の支出予定額375億12百万円(約338億円は支出済)の9.9%にすぎず大部分が支出済である。港湾の土地造成事業は、長期の時間と多額の経費がかかることから、県民への説明責任を果たした上で、県民の負担をできるだけ抑えながら速やかな造成土地の売却が必要である。

 (意見のまとめ)

 (1)港湾整備事業

 港湾整備事業は、国と地方が関わる重要な社会資本整備の一つであり、長期にわたる事業でしかも多額の投資資金を必要としている。長期の事業であるがために、途中で環境が変化して当初の計画やビジョンを見直さざるを得ない場合も生ずる。常に、事業の目的を見直す必要がないかどうか、毎年度の事業活動が事業目的に照らして効果的かつ効率的か点検していくことが必要である。
 今後、地方主体で事業を行っていく場合、既存ストックとして何があるのか(又は事業目的に照らして何がないのか)、それをどのように利用すべきかを検討するに当たっては、可能な限り計数を利用した管理方法を検討すべきではないかと考えられる。これまで関係法令等の要件を備えて作成してきた港湾台帳は、これからは宮城県が主体となり事業遂行の実績を把握する等、様々な意思決定に利用できるように検討しなければならない。
 また、本事業については、収入について一般会計と特別会計に各区分経理されていることや、そもそも長期にわたる事業について単年度の収支決算だけでは事業遂行の実態(今後の見通しを含む)を計数でもって県民に知らせることが難しい。社会資本整備の実態、将来の県民の負担等が理解できるような港湾バランスシートを検討することも必要であろう。

 (2)臨海土地造成事業

 臨海土地造成事業についても、社会資本整備及び地域の雇用確保という意義はあるものの、長期間にわたる事業であり、環境変化による計画の見直しは必須である。
 現在、マスタープランとしての石巻港港湾計画の全面的な見直しに着手しているとしても、整備計画についても見直しを行い、県民への説明責任(特に一般会計からの繰出金の見込額)を果たし、県民への負担をできるだけ抑えた速やかな造成の完了と造成地の売却が急務であろう。