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平成14年度包括外部監査結果及び意見の概要

関連団体に対する業務委託を中心とした取引について

1.特定の事件を選定した理由

1 事務事業委託の位置付け

宮城県(以下県という)では、行政資源の効率的運用や民間活力の増大を図るため平成10年度において「事務事業の民間委託に関する指針」を策定し、経常的に必要とされない専門的、技術的業務を中心に民間委託を進めてきている。
さらに平成14年3月に策定された「第二次宮城県行政改革推進計画」では民間活力の活用の一つとして「民間委託、民営化の推進」を取上げている。
このように県は事務事業の業務委託について踏込んだ対応を行っており、この状況を踏まえて、委託契約に係わる当事者の状況について主として財務面から検討を加える事は意義のある事と考える。

2 関連団体

対象範囲とした関連団体とは、経済行為や事務処理で特別扱いを受けるかもしれないと危惧されるような関係があると推認され、県との第三者的関係を明確に確立する事が要請される相手先を想定した。
これらの団体との契約はほとんどが随意契約によって行われており、契約内容の客観化の状況を検討する事も重要と判断した。

2.外部監査の結果及びこれに添えて提出する意見

1 社団法人宮城県交通安全協会(県協会)との委託取引について

指摘事項
  • (1)委託収支ゼロではなく実態を示す委託費の計上について
    年間委託総額契約方式による業務委託について、委託収支がゼロとなって開示されている。県警担当課は、県協会に対しては業務遂行の正しい実態の開示を求め、効率的事業遂行を念頭において委託料積算にあたる必要がある。
  • (2)正しい事業費の計上について
    (1)に関連して、収支差額をゼロとするため、実績値の調整項目として正しい事業費計上を乱している要素として次の項目が上げられる。
    • (a)退職給与引当預金支出、同取崩
    • (b)教材費の在庫不計上
      県警担当課は委託料積算に当たっての正しい事業費を把握するために、これらの項目の正しい処理の是正につき県協会を指導する必要がある。
  • (3)委託料収入と委託事業費との対応について
    「収益一般事業部門」の収支を実態に即して計算した場合、各年度とも大幅な収入超過(平成13年度では93,228千円)となっており、検討が必要である。
    • (a)委託費積算額と実績額との乖離
      人件費につき積算額が実績額と比較して大きく乖離している。委託業務の実態を確実に把握し、実態に合った委託費算定を励行するよう早急に改善する必要がある。
    • (b)自動販売機設置手数料収入の存在
      自販機設置に係わる手数料収入は極めて高い収益性を県協会にもたらしている。この点については「意見」の項を参照されたい。
  • (4)委託料の見直しについて
    自動二輪原付講習事業に係わる委託料の一部(平成13年度では7,000千円)が目的外支出となっている。県警担当課は委託業務遂行の実態を正しく把握して、余剰が生ずるようであれば次年度の積算単価に反映させるなど現状の委託事業費に見合った単価の積算を行い委託契約の見直しを行うべきである。
  • (5)違反者レッカー移動料未収対応について
    車両移動保管事業について、違反者からの滞納が存在する事によって事業収支がマイナス(平成13年度では3,186千円)となっている。本人へ接触して入金を促す事、警察署長に対して徴収の申請を行う事等により強力な回収行動を起こす必要がある。
意見
  • (1)自販機設置手数料の収受について
    自販機設置手数料の県協会への入金額は、H13年度では35,197千円となっている。これに対して県は無償にて自販機設置を県協会に対して許可していると考えられ、これにより県協会において多額の収益が生じている。県協会での税金の外部流出を避け、県の財政収入に取込む方策を検討すべきである。

2 財団法人宮城県文化振興財団(財団)との委託取引について

指摘事項
  • (1)重要財産の実在性の確認について
    県民会館及びその付属設備の維持保全に関して、財団が維持保全すべき資産の実在性が、定期的な実地棚卸の実施等により確認されているかについて、県による確認作業が実施されていなかった。定期的な現品確認を実施する必要があり、その結果を県に対して報告させるべきである。
  • (2)財団から提出される業務委託完了報告書の形式について
    委託期間終了後に財団から報告される「業務委託完了報告書」における支出額の記載は、「委託料設計書」段階での支出項目との関連性に欠けており、設計書通りの支出がなされたのか否かが不明確な報告となっていた。委託料設計書における支出項目と関連付け作成すべきである。
  • (3)財団からの月例報告に関して
    財団は、本月収納状況の金額と使用料を保管する銀行口座の月末残高及び使用料の現金保管額の合計額とに不一致が生じた場合、「月末残高不突合報告書」を作成、県に提出しなければならないが、不突合の発生することが一般的である現状を鑑みれば、不突合の発生に関わらず、照合結果の報告という形で毎月報告させるべきである。
意見

県民会館を拠点にして行われている県の文化振興活動の収支を見た場合、県の実質負担額は、平成13年度では、208,698千円となっている。県の負担を減少させるため支出の抑制には限界があり、収入の増加という面での知恵をしぼる必要があろう。県民会館の利用率向上に向けたいわゆる営業活動の展開などにより収入の増加をはかり、県の実質負担のさらなる圧縮が望まれる。

3 社団法人宮城県危険物安全協会連合会(連合会)との委託取引について

指摘事項
  • (1)県に対する委託事務収支決算報告の様式について
    委託業務終了後に県に対して提出される収支決算書について、支出額が収入額に一致するような形に調整したうえで作成されており、委託事業に要したコストの実態を示していない。委託事業に要したコストの実態がわかる収支決算書の作成を指導、入手すべきである(「意見」の項目参照)。
  • (2)調査業務に関して入手される見積書について
    調査業務の委託金額決定に際しては、連合会から見積書を入手しているが、この見積書は金額が一行で書かれているのみであり、その根拠となる内訳明細がない。随意契約の場合は、相手先に対して委託業務の仕様を提示した上で、相手先自身による見積内訳を入手した上で委託金額決定についての検討を加えるべきである。
  • (3)連合会の作成する決算書の作成方法について
    連合会が通常総会に提出する事業年度終了後の決算書うち「収入・支出計算書」については文字通りの現金の入金・出金に基づいて作成していることから、県からの受託事業収入額が、当該年度の県との委託契約金額と一致しない結果になっている。未収金・未払金に計上したうえで、収入・支出計算書を作成すべきである。
意見

委託事業に要したコストの実態を示していない収支計算書がこれまで受け付けられてきた背景には、政令と行政指導に基づき委託金額がほぼ確定されてしまうことから、委託金額の妥当性、事業コスト相応の委託金額となっているかどうか、について検討する必要性が認識されてこなかったことがある。県としては、連合会の行う事業ごとのコストが正しく把握されるように指導していくべきであり、その過程において冗費の有無の点検を実施すべきであろう。

4 社団法人宮城県自動車会議所(会議所)との委託取引について

指摘事項
  • (1)委託金額の増額分の使途について
    平成13年度の委託料の増額3,700千円は、作業量の増加を理由として行われたものであるが、会議所では臨時職員は採用しておらず、既存職員の給料(ベースアップ分)のほか、退職給与引当預金への繰入、法人税等の支払いその他経費の支払いに充当されているほか、公益事業に繰り入れられている部分もあり、県が積算上想定した使途とは異なる目的に使用されていた。委託金額更改にあたっては委託業務遂行の現状を正しく認識する必要がある。
  • (2)委託金額決定の際に、入手する見積書の形式について
    委託金額決定の過程に、県は会議所から見積書を入手しているが、この見積書は、見積金額が1行で示されているだけのものであり、その見積額の根拠となる明細等が入手されていない(作成されていない)。委託先自身に見積りを行わせ、その明細を入手したうえで、県の積算価格と比較検討し委託金額を決定すべきである。
  • (3)県と会議所の関係について
    会議所は収入の9割を県からの委託料に依存しているが、その内部留保状況を確認すると、預金残高は、平成11年度末から平成13年度末までの2年間で4,940千円増加しており、確実に内部留保として資金が蓄えられている。これに対し、県はこれまで自らが指導監督機関ではないということ(会議所の監督官庁は、東北運輸局である。)で会議所の財務内容等を調査することもなかった。県は、会議所が直接的な指導監督下にないとしても、その収入のほとんどが県からの委託金収入であるという事実を踏まえ、その使途に対しては十分な注意を払い、今後の委託金額決定の際の検討材料とすべきである。

5 社団法人宮城県建設センター(建設センター)との委託取引について

指摘事項
  • (1)矢本海浜緑地、岩沼海浜緑地、総合運動公園及び加瀬沼公園管理業務委託について
    • (a)契約金額決定方法について
      公園の管理委託業務にかかる委託金額の算定については、建設センターが自ら作業を行うものとして委託金額を決定しているが、実際の公園管理業務は、再委託(外注)を中心としたものとなっており、県の算定方法は実態と異なったものになっている。建設センターでの支出項目によって費用を見積る方法により委託金額を算出する必要がある。
    • (b)完了報告書の記載内容について
      建設センターの委託業務にかかる実績報告書では、仕様書において求められている作業に対する実績の記載は行われているが、委託金額に対する費用の記載が行われていない。また、建設センターの決算書上、委託金額とこれに対する費用が一致する形の記載となっているが、これは実際に要した費用とは異なるものであり実態の報告・開示が不足している。県は、建設センターに対し、適正な原価計算を実施し、実態を実績報告書及び決算書に記載するよう指導する必要がある。
  • (2)平成13年度県道台05001-201号道路台帳整備委託及び平成13年度県道改05071-B01号板倉道路改良外道路台帳調整委託について
    • (a)契約金額決定の方法について
      県は建設センターからの見積書の提出を受けているが、明細書の提出までは要求しておらず見積金額算定の根拠は把握していない。見積明細を入手しその妥当性について検討を行うべきである。また、完了検査においては成果物の確認以外に、委託金額の支出について検討を行ない、委託金額が実際に実費相当額であったかどうかについての確認も行うべきである。
  • (3)各種台帳等の整理業務委託について
    • (a)特命随意契約の妥当性について
      本件契約について、県は「当該地域に業務の履行が可能な業者が1名に限定される」に該当することを理由として特命随意契約を採用している。しかし、対象となる業務は、各土木事務所の職員が建設センターの本件業務に携わる職員に直接指示し事務補助に従事させているのが実態であり、特に建設センターでなければ行い得ない特殊技能を提供するようなものではない。競争入札により委託先を選定するべきものである。
    • (b)特命随意契約とするための手続きについて
      「業務委託等に係る随意契約ガイドライン」によれば「随意契約とする理由及び令の該当状況を明確にすることとし、これらの適否を指名委員会で審議する」ことが求められている。これに対し、迫土木事務所と建設センターの契約については指名委員会が開催されていない。ガイドラインに準拠した手続きの執行が必要である。

6 財団法人宮城県建築住宅センター(住宅センター)との委託取引について

指摘事項
  • (1)宿舎小修繕について
    • (a)再委託禁止条項について
      本件委託業務にかかる契約書上、書面による県の承認がなければ再委託を行うことは認められていないが、この手続きが省略されたまま再委託が行われている。県は住宅センターに対して文書による県の承認手続きを求める必要がある。
    • (b)委託金額の算定方法について
      委託金額は、実際の修繕費出来高に一定の管理比率を乗じて算出される管理費を加えたものとなっているが、管理比率について明確な根拠がなく検討の必要がある。根拠の薄い比率によることなく実際に要した費用相当(実費相当)をもって管理費を積算すべきである。
  • (2)県営住宅管理委託業務について
    • (a)再委託先の承認手続について
      再委託に係る県の承認手続きが行について県はわれていない((1)(a)参照)。
    • (b)再委託先の選定方法について
      給水施設点検工事等一部の工事について特命随意契約により再委託を行っているものがある。基本的には入札によるか、少なくとも複数の施工業者から見積書を徴求し、出来るだけ有利な価格で契約を結ぶようにするべきである。
    • (c)再委託による修繕工事における検収について
      再委託された小口修繕工事について、住宅センター担当者による工事終了確認がおこなわれていない(検収記録が残されていない)。県は、住宅センターに対し検収記録を残すよう指導する必要がある。
    • (d)修繕工事の実施状況について
      平成13年度に実施された工事のうちに、緊急性もなくまた当初リストアップもされていないにもかかわらず実施された工事(27,457千円)がある。このような異常な事態については、県は住宅センターに書面で当該工事を優先的に実施する理由を明らかにさせ、県の然るべき承認を得た後に実施する様指導する必要がある。
    • (e)実績報告における実績の記載方法について
      住宅センターが県に提出した実績報告において、委託金額と執行額が同額になっている。県は住宅センターに対し、実績を記載するよう指導が必要である。
    • (f)家賃滞納状況について
      県営住宅の家賃滞納は増加する傾向(平成13年度末 210,432千円 滞納率7.7%)にあり、このうち3%前後の不納欠損額が生じている。また、入居直後からの滞納も3%発生しており、県は滞納について敏感になる必要がある。県は住宅センターと一体となって、滞納解消のための取り得る方策を駆使し、また、滞納者に対しては住宅明渡し等の措置を行うことも視野におき、滞納解消に向け努力を行う必要がある。
    • (g)滞納者の現況に関する県への報告について
      長期滞納者の提訴は、住宅センターが提訴候補者をリストアップし、県と相談の上県が必要と判断した場合にこれを行っている。しかし、滞納問題について県が積極的に関わりタイムリーに情報を入手することにより有効な手段を講ずる体制をとる必要がある。
    • (h)高額所得者への退去請求について
      高額所得者(平成13年度末 35名)が引続き県営住宅に入居している。このことは県営住宅を設けている制度の趣旨にも反し、本来県営住宅に入居すべき県民の入居機会を奪っていることにもなっている。公平性の観点からも県は、早急に退去、明渡しを求めるべきである。
    • (i)収入申告書提出の徹底について
      県営住宅入居者は、毎年県に対して「収入申告書」を提出することが求められているが、平成13年度末において120名(未提出割合 1.4%)が未提出である。所得に応じた家賃負担の公平性を保つためにも、県は居住者から「収入申告書」をもれなく徴収するよう住宅センターに指導する必要がある。
  • (3)県営住宅ストック総合活用計画策定業務について
    • (a)見積内容の検証および、適正な委託金額の算定について
      当該委託契約において県は住宅センターから見積書は入手しているがその明細は入手していない。特命随意契約における委託金額は実費相当とするべきであり、見積書の明細を求め見積書金額の根拠を求め査定することが必要である。
    • (b)委託業務の実績の把握について
      県は、本件業務終了にあたり業務完了報告書の提出を求め、また、完了検査を行っている。しかし、完了検査においては成果物の検査以外に実際の委託業務に係った支出額についても把握し、支出内容の妥当性の検討も行うべきである。
  • (4)住宅宅地相談業務委託について
    • (a)見積内容の検証および、適正な委託金額の算定について
      県の査定において、委託業務にほぼ見合った労務単価及び諸経費を使用している以外(3)と同じであり、改善が必要である。
    • (b)委託業務の実績の把握について
      特命随意契約とした理由の妥当性の検証が必要とする事項以外(3)と同じ内容である、改善が必要である。
  • (5)宮城県地域優良木造住宅助成事業受付業務について
    (4)(a)(b)と同じ内容であり、改善が必要である。
意見
  • (1)宿舎小修繕について
    • (a)住宅センターとの特命随意契約について
      県は、住宅センターと特命随意契約を締結しているが、民間のマンション管理会社等、本件業務を行い得る会社は他にも複数あると考えられ、これらの会社に管理を委託することにより、経済的合理性が満たされることも十分にありうるであろう。即ち、当該業務を行い得る者は他にも存在することを認識すれば、委託契約の基本に立ち帰り、競争入札の実施あるいは随意契約によるとしても複数先から見積書を徴求する方法により、この業務の委託先を選定することが望まれる。
  • (2)県営住宅管理委託業務について
    • (a)県営住宅管理委託業務を住宅センターに特定することについて
      県営住宅は、地方自治法上の「公の施設」に該当するとされており、法令、条例上、県営住宅管理委託業務は住宅センターのみが行い得ることになっている。しかし、業務内容は民間のマンション管理業者なども行っているものであり、明渡請求など入居者との法律関係に関わる事務以外は住宅センターのみが唯一行い得るものではない。よって住宅センター以外に委託発注することは可能と思われる。また、住宅単位あるいは地区単位で委託先を選定する方法等も考えられ、それにより競争が生じれば、県民の福祉、県の財政にプラスの効果も十分に発生しうる。住宅センターのみに県営住宅の管理を委託するのではなく、民間の管理業者等にもこれを開放するよう法令、条例の改正について検討が必要と思われる。

7 株式会社仙台港貿易促進センター(貿易センター)との委託取引について

指摘事項
  • (1)貿易関係啓発事業業務委託について
    • (a)委託金額の算定方法について
      本件業務に関する委託契約は、貿易センターからの見積書の提出を受けて決定されているが、県は明細書の提出までは要求しておらず見積金額算定の根拠は把握していない。見積明細を入手しその内容を精査吟味し、委託金額の妥当性について検討を行うべきである。
    • (b)業務完了検査等について
      本件委託業務にかかる業務完了検査では、契約書、仕様書等において求められている作業の履行確認は行われているが、委託金額をどのように使用したのかについての検査は行われていない。県は、貿易センターに対して委託業務に要した費用の実態についても報告を求めその内容を精査する必要がある。
  • (2)仙台高砂コンテナターミナル及び背後野積場管理業務について
    • (a)委託費の算定方法について
      委託金額の算定について、県は過去の「積算根拠」の金額等を参考にして県自ら委託費の算出を行っているが、特に人件費の算定内容について実態とは異なっており、積算方法について検討が必要である。
    • (b)再委託について
      再委託費についても実払額より424千円多く計算されている。県は委託金額算定にあたり、再委託にともなう確たる根拠に基づき実費相当額であることを確認の上「積算根拠」を作成する必要がある。
    • (c)未実施の作業について
      平成13年度の契約において実施が折り込まれていた作業のうち実施されていない作業に対し委託料支払対象となっていたものがある。県は上記委託料を貿易センターに返還せしめるなどの是正措置を講じるべきである。当該委託契約に関し、県は貿易センターからの業務完了報告書を受け完了検査を行ったとしているが、十分な検査を行うことが必要である。
  • (3)仙台港国際ビジネスサポートセンター(アクセル)管理運営業務委託について
    • (a)委託金額の決定方法について
      当該委託業務について、県の積算価格は、主に市販されている各種工事の積算資料等をもとに貿易センターが自ら県作成の「仕様書」に基づく作業を行った場合の金額が基本となっているが、実際は、全体経費の89.1%が再委託となっており、貿易センターが自ら委託業務をおこなうことを前提とした県の算定方法は実態にそったものではない。特に特命随意契約による場合は、契約先から見積明細を徴求し、費目毎にその妥当性の検討を行い、それをもとに見積金額の判定する方法によるべきである。
    • (b)業務実施報告の検証について
      県は当該業務の終了に際し実績報告を徴求し、完了検査も実施しているが、作業状況に関する検査以外に、委託費についても特命随意契約であることを考えるならば、実際の支出額についての資料を求め使途の妥当性を検証するべきである。
    • (c)再委託先選定に係る競争入札の導入について
      現在貿易センターが再委託により行っている業務のうち、清掃業務等についても特命により再委託が行われているが、清掃業務などは業務自体の特殊性は否定されているのであり、このような場合は、競争入札の方法を採用する等により一層の原価低減を行うよう貿易センターに指導する必要がある。
意見
  • (1)貿易関係啓発事業業務委託について
    • (a)委託業務の意義の測定について
      本件委託業務は、アクセル1階に貿易展示室を設けて行われている。平成13年度におけるこの事業の1日当たりの入場者数は74人となっているが、これに対し県が支出している金額は、当該業務委託費8,925千円の他、展示室賃貸関連費用(当該業務は貿易センター所有部分を県と仙台市が賃貸し実施している)28,100千円 合計 36,600千円であり、仙台市分も含めれば73,200千円にも及んでいる。本件委託業務の必要性及び有用性を肯定するとしても、上記のような現在の利用者数からするとその効果は極めて限られたものと言わざるを得ず、委託費投入の意義は十分に発揮されていない。多くの税金を費消する事業の結果を事実として正しく認識し、当該委託事業の意義を見直していく必要があると思われる。
  • (2)仙台港国際ビジネスサポートセンター管理運営業務委託について
    • (a)随意契約の妥当性について
      本件契約は、アクセルについて県の専有部分及び共有部分の持分並びに駐車場等の施設の管理運営業務を貿易センターに委託するものであるが、実際には施設の維持管理業務を中心として委託業務の殆ど(89%)が再委託によって行われている。このように、維持管理について貿易センターが直接業務を行っていないという現状をみれば、本件契約により要求されている維持管理業務は必ずしも貿易センターのみが行い得るものではない。県が直接これら再委託先と契約すること等も考えられ、この方法により委託費の圧縮が十分に期待しうる。当該業務委託契約の維持管理について、原価低減をはかるため様々な手法を検討すべきである。

8 財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(メロン)との委託取引について

意見
  • (1)NPOにおける情報開示について
    メロンにおける最近3年間の県委託事業特別会計の収支計算書は、いずれの年度でも、各委託事業ごとに収入と支出が一致しているが、収入に合わせるように事務管理費を調整して収支一致を図っていると推認せざるを得ない。これまで行政が行ってきた仕事の多くが、NPOとの協働あるいはNPOへの移譲になるのと同時に、その事業遂行のために必要な資金すなわち税金がNPOに流入することになり、NPOに対してはその資金の使途について、情報開示が求められることは当然の帰結である。また、NPO自身が安定的な基盤を確立し事業を遂行してゆくためには、各事業ごとの収支を把握することも必要であろうし、そのためには、各事業ごとの実績に応じた事務管理費の配賦といった、原価計算の思考も必要になってくる。NPOが、真の公共サービスの担い手となるためには、NPOでの会計基盤の整備と、それにもとづく適切な情報公開が不可欠である。収支一致の計算書では、上述のアカウンタビリティを果たしているとは言えないのである。

9 社団法人宮城県観光連盟(観光連盟)との委託取引について

指摘事項
  • (1)海外観光ミッション派遣事業の委託先の決定方法について
    当該業務委託先の決定にあたっては、契約の相手方は観光連盟のみに限定されるとして、随意契約及び一者からの見積書徴収となっている。しかし、実際には、観光連盟では受託業務のほとんどを民間の旅行代理店に再委託しており、観光連盟自身での業務は提供資料の発送など極めて限定的なものとなっている。このような実態から見れば、業務の委託先としては観光連盟のみに限定されるとする県の主張は認めがたく、むしろ、民間の旅行代理店等の方が実施能力があるものと認められる。外部への業務委託の趣旨及び委託先の業務遂行能力から考えれば、委託先を観光連盟に限定する理由はなくなるため、当該業務委託については、委託先選定の原則にしたがって競争入札への転換を検討すべきである。
  • (2)宮城・仙台観光キャンペーン(大阪・名古屋)の業務委託の必要性について
    県が観光連盟に委託した業務内容は、訪問先との食事に関する業務、ミス仙台の手配等に関する業務及び記念品の手配などであり、委託する業務を種々仕様書に記載してはいるが、観光連盟で実際に行っている業務は、請求にもとづく支払がほとんどである。本来、このような支払業務は、委託にはなじまないものである。したがって、当該業務については、今後は実行委員会に対する負担金等のかたちで対応すべきである。
  • (3)平成13年度の計算書類の誤りについて
    平成13年度の計算書類のうち、本来一致すべき、貸借対照表の正味財産の金額と、正味財産増減計算書の期末正味財産合計額とが相違している。平成13年度の正味財産増減計算書は誤りである。
意見
  • (1)観光物産展示室管理運営業務委託金額の見直しについて
    県では、県庁一階に観光物産展示室を設置しており、この業務運営を観光連盟に委託している。ここで、職員の配置は常時2名の配置となっており、2名に人件費をもとに積算が行われ、委託金額が決定されている。観光案内のようなサービス業務は、人手をかけたほうがより細かなサービスが提供できることは確かであるから、その業務を行う人員の多寡について一概にいうことはできないが現在の展示室利用状況からして、本当に常時2名の人員が必要であろうかという疑問は残る。県としては、従来からの慣例にとらわれることなく、常に業務の効率化を指導しつつ、効率化された業務量に見合った委託費となるよう、検討を加えてゆくことが必要である。

10 宮城県新・伊達なむらづくり推進機構(推進機構)との委託取引について

指摘事項
  • (1)委託先における業務の効率化と委託費の見直しについて
    当該事業にかかわる費用のうち、「派遣調整費」については積極的に事務の効率化を指導し、委託費の決定にあたっても、過去の実績を踏襲するのではなく、真に必要と考えられる費用を吟味して決定するよう心がける必要がある。なお、推進機構の収支決算書では、受託事業に係る収入と支出が毎期一致しているが、支出において調整が図られているものと思われる。県は、推進機構に対し実際の費用を明らかにした収支決算書を作成するよう指導すべきである。

11 社団法人宮城県物産振興協会(物産振興協会)との委託取引について

指摘事項
  • (1)委託費の見直しについて
    宮城県の物産と観光展は、県が主体の業務であって、物産振興協会及び観光連盟は形式的な主催者となっており、費用も原則的には県が負担している。なお、物産展参加業者は出店に係る費用負担(平成13年度では34,826千円)があり、これは物産振興協会に対して支払われている。即ち、県の積算金額以内で物産展の運営費用が賄われていれば、参加業者からの収入は全額物産振興協会の利益となるものであり、実際には県からの受託収入のみで運営費用は賄いきれず、物産振興協会の持ち出しが毎期10,000千円程度はあるとしても、少なからぬ金額が物産振興協会の利益となっていることが推定される。ここで、物産展は県が実質的に主催し、費用を負担して開催しているものであるから、参加業者からの収入は本来県に帰属すべきものであろう。委託料が低すぎて運営費用を賄いきれないというのは、委託金額の決定方法等別の問題であり、参加業者からの収入が県に帰属するよう改めるべきである。
  • (2)委託金額の決定方法について
    県が物産振興協会に業務委託する際の委託金額は、県での積算に基づいて決定されるが、現状の積算方法は概ね前年度の積算額をベースに、当年度の予算額を加味して決定するのみである。すなわち、前年度の運営費用の実績額を把握し、その内容を分析するなどして必要額を積算するような行動はとられておらず、実績額が人件費を考慮前でも県の積算額をかなり上回っている。県では物産展開催にあたっての物産振興協会の収入と費用の実績額を把握し、実態に合った委託費を算定するよう改めるべきである。
意見
  • (1)県からの物産振興協会への貸付について
    物産振興協会で行っている展示販売(収益事業)ための仕入資金の一部として、例えば平成13年度は9,000千円県より借入を行っている。本来、公益法人の収益事業は、公益目的を実現するための付随的な活動として認められるものであり、借入を行ってまで行うのは適当ではなく、県にしてみても、外部の法人が収益事業を行うのに資金を貸付けるほど、財政的余裕があるわけでもないはずである。
    また、物産振興協会においては、買取販売事業会計では資金は不足しているとしても、一般事業会計における資金残高は平成13年度末 75,714千円となっていることから、買取販売事業で不足する資金は、一般事業会計の資金を繰出すことによって、現状レベルの事業維持は十分可能であり、物産振興協会への貸付けの必要性については、再度検討する必要がある。
    なお、物産振興協会の買取販売事業の収益は年々悪化しており、平成13年度では153千円の赤字に陥っており、公益法人としてこの収益事業を継続することについても検討が必要である。

12 財団法人みやぎ婦人会館((財)みやぎ婦人会館)との委託取引について

指摘事項

  • (1)委託事業の収支差額「0」決算について
    委託事業に係る直近3年間の収支差額が「0」となっている(ただし、平成12年度の計算書類に係る収支計算を除く)。このことは委託契約書に精算条項がないことから、1年間にわたる事業の実施の結果、事業費が当初の見積額に1円の狂いもなく一致したと言うことであり、常識的には極めて異例かつ不自然の状態であると言わざるを得ない。特命随意契約による県の委託事業に係る事業収支については、実態に合致した事業費の把握が必要であり、県担当課において十分なる指導が望まれる。
  • (2)人件費の区分経理について
    委託事業に係る補助金収入(委託料)は、(財)みやぎ婦人会館の当該年度全収入の27%であるにも拘わらず、当該事業に区分された人件費が全体の60%に達している。これは、委託事業に携わった人の人件費の年額相当額を計上していることによるが、これらの人が他の業務にも携わっているとすれば、実績に応じて適正に当該事業に区分経理することが必要と思われる。効率的事業遂行上の問題点の把握のためには、委託事業費の実績を正しくとらえ、かつ、実態を把握できるように区分経理の基準を明確にするよう指導が必要である。
  • (3)陽光ビルサービス株式会社に対する再委託について
    施設管理、清掃及び警備業務その他の業務につき、随意契約により、陽光ビルサービス株式会社に委託を行っているとのことであるが、ビルの管理、清掃、警備業務については一般的には業務委託に当たっての特命随意の状況は考えられない。婦人会館自体の特殊状況を云々するが、前例を離れて競争原理を導入し、委託料見直しの可能性を検討すべきである。
  • (4)公益法人会計基準の適用について
    (財)みやぎ婦人会館の作成した計算書類については、委託先の概要に記載した通り、公益法人会計基準に準拠せずに作成している部分があるので、誤解を招く恐れがあることから、基準に基づいて計算書類を作成する必要がある。
意見
  • (1)宮城県婦人会館設置事業の縮小または廃止
    • (a)当初の会館設置目的の現在の社会情勢への不適合と地方公共団体としての婦人支援策の転換
    • (b)建物の老朽化、設備の旧式化と維持修理費用の増大
    • (c)委託研修事業参加者の減少と高齢化

以上の諸点を踏まえ、会館設置事業に関しては、一先ず目的を達したものとして今後早い時期に縮小あるいは廃止を検討すべきものと思われ、当該土地の有効利用を別途考えることに重要性が移ってきていると考えられる。

13 財団法人宮城県スポーツ振興財団(スポーツ財団)との委託取引について

指摘事項
  • (1)(大和町)自転車競技場の見直し
    (大和町)自転車競技場は、経緯から県が所有すべき施設である。しかし、自転車競技場は、競技スポーツ施設として宮城野原公園総合運動場にもあり、利用状況からすれば、県が重複して所有する必要はないものと考えられる。当該施設が大和町の所有となれば、県から「スポーツ財団」への補助金(平成13年度運営管理費補助金8,090千円)は廃止でき、県民負担を節約できる。
  • (2)「スポーツ財団」における固定資産台帳の一部不備
    「スポーツ財団」では、(大和町)自転車競技場にかかわる固定資産台帳が一部(取得価額:24,881千円)作成されていなかった。公益法人会計基準の規定に従い、固定資産台帳を適正に作成する必要がある。
  • (3)「スポーツ財団」における計算書類の注記内容の不備
    平成11年度から平成13年度までの「スポーツ財団」の計算書類には、注記事項等に不備がみられ、適正な情報開示が行われていない。計算書類は、「スポーツ財団」の財政状態、経営状況を数値化した重要な情報であるから、適正に作成するよう、十分注意が必要である。
  • (4)「スポーツ財団」における基本財産運用方法の見直し
    平成13年度末の基本財産のうち、92,245千円については、寄附行為第8条第2項で認められている公社債投資信託を利用していたが、解約の結果、1,992千円の損失が生じている。基本財産は、財団を維持するための根幹であるから、損失が生じる可能性のある運用は避け、ハイリスク・ハイリターンより、ローリターンであってもローリスクを目指すべきである。すなわち、運用収益獲得より、元本割れにならない運用を目指すべきである。
  • (5)委託金額の前払方法の見直し
    県の委託費は、委託契約書に従い「スポーツ財団」の請求に応じて前払いされるが、当初契約時の前払月及び前払金額は、「スポーツ財団」の資金需要を反映したものではなく、特に合理的な理由はない。「スポーツ財団」は資金需要時に需要額を前払請求するシステムを構築することにより、不要な資金支出を排除し、資金の効率的管理・運用を図るべきである。
  • (6)再委託について
    • (a)設計額算定手続きの見直し
      再委託する場合、「スポーツ財団」では設計額を積算するが、「共通仕様書」に部掛りが記載されていない業務内容が多く、業者から見積もりを徴収するケースが多い。ここで、スポーツ施設管理は、基本的に定型的業務であるので、標準原価による原価管理が適するのであり、「スポーツ財団」内部で積算できるシステムを構築することが必要である。なお、実現可能な標準積算率は、不動のものではなく、定期的に見直し、低減する努力を怠ってはならない。
    • (b)入札参加業者がいわゆる孫請け業者になることの弊害
      設計額20,000千円以上の再委託業務10件のうち、入札参加業者がいわゆる孫請け業者となっている業務が、2件あった。入札を意味あるものとするためには、入札参加業者がいわゆる孫請け業者になれないことをあらかじめ入札参加の条件とする等、対策が必要である。
    • (c)指名競争入札制度の見直し
      設計額20,000千円以上の委託業務については、「スポーツ財団」にて特別指名委員会を開催し、業者指名のうえ入札を行っているが、平成12年度以降の落札業者がまったく同じ業者という状況が続いており、又落札率も土木部扱いと比べかなりの高率となっている等特別指名委員会の形骸化がうかがえる。入札制度を意味あるものとするためには、入札参加業者を数社に指定せず、優秀な中小企業も入札に参加できるようにし、真の競争原理を導入する必要がある。
  • (7)「スポーツ財団」の職員人件費について
    • (a)県からの派遣職員人件費の削減
      補正予算後の県から「スポーツ財団」への派遣職員25名について、1名当たりの平均人件費は9,245千円であり、「スポーツ財団」職員(常勤)(2,767千円)や「スポーツ財団」職員(県職員OB)(6,667千円)に比べて、かなり高額である。高額な人件費負担を伴う県からの職員派遣は早急に見直す必要がある。
    • (b)「スポーツ財団」職員人件費の削減
      「スポーツ財団」の事務局長及び各施設長(有給の役職を独占)は、県職員OBが占めており、いわゆる天下りが続いているが、彼らの1名当たり人件費(6,667千円)は、常勤職員(2,767千円)等に比べてかなり高額である。県とのつながり、財団の円滑な運営のため、県職員OBが就くとのことであるが、その意味ではむしろ現職職員の派遣のほうが適任であり、県職員OBが就く必然性はなく、その方が人件費の圧縮が可能である。財団への派遣職員の早期の削減を求められている中、退職者の雇用確保より現職職員の雇用確保を優先すべきである。
意見
  • (1)委託費の効果の測定
    平成13年度の管理委託施設の利用人数1,207千人に対し、県の実質負担額は1,355,211千円となっており、これが県民の税金で賄われていることになるが、この種の県負担額に対する効果測定手段は、現在のところ開発されていない。
    多額の県民負担を伴う以上、県の教育基本方針の目標である「県民総スポーツ社会」の観点から、施設利用状況、地域貢献度等を指標として、効果を具体的に定義・数値化し、効果測定手段を開発する必要がある。例えば利用人員1人あたりの負担額の推移、他の地公体あるいは民間での同じ様な施設での同様の指標との比較などが考えられよう。このような施設毎の考課測定の上で、定期的に県所有施設としての存続も含めてそのあり方を再検討すべきであろう。
  • (2)「県民総スポーツ社会」実現における委託施設及び「スポーツ財団」のありかた
    • (a)「県民総スポーツ社会」実現のための4つの柱
      県の掲げる4つの柱のうち「スポーツ財団」は、「生涯スポーツ社会の実現」、「スポーツ施設の整備充実」にかかわっている。
    • (b)「生涯スポーツ社会の実現」と委託施設及び「スポーツ財団」のありかた
      現在、「スポーツ財団」の主力職員は、県からの派遣職員であるが、中・長期的には、派遣職員を削減し、「スポーツ財団」の職員として専門指導者等を育成するとともに、雇用する常勤職員を必要最小限に抑える指導者登録制度を採用することが効率的である。
      指導者登録制度が定着すれば、質の高い指導技術が維持でき、また、登録制度活用分については、指導量に比例して人件費が発生するため、費用と効果の対応が明確になる。この結果人件費が常勤職員として固定費用化された場合に比べて、直接費化することが可能となり人件費削減が期待できることになる。
    • (c)「スポーツ施設の整備充実」と委託施設のありかた
      スポーツ施設を見直す場合、県は、次の点に留意すべきである。
      スポーツは文化の一部であるから、スポーツ施設の見直しは、文化会館や美術館等、他の文化施設を含めた文化施設全体のあり方を十分検討した上で、見直すべきである。
      スポーツ施設の見直しは、県営施設だけで考えるのではなく、県とか政令指定都市という縦割り行政意識を排除し、関係市町村や隣県と調整し、宮城地域といった広い見地から行うべきである。
      機能が重複する非効率な施設は、統合・廃止を検討し、施設を集約し、施設規模を拡大し、維持管理費の節減を図るべきである。また、県予算の限界を克服するためにも、県単独で考えず、宮城地域として考えるべきである。

14 財団法人宮城県体育協会(体育協会)との委託取引について

指摘事項
  • (1)「艇庫」の見直し
    「艇庫」に宿泊施設があるため等の理由により、常駐者が必要となっているが、利用人員・使用料収入からみれば、利用が低迷し、宿泊料収入も極めて僅少な状況からすれば、宿泊施設は廃止すべきである。
    ボート、カヌーが特殊な競技スポーツであることから、県の負担が最小になるように使用料の見直しを行って、受益者負担に基づく運営を検討すべきである。
  • (2)「体育協会」運営費補助金の見直し
    県は、県の給与負担で職員3名を「体育協会」に派遣しているが、一般会計の余剰で「体育協会」職員2名の人件費等の運営費を賄う余地があることから、県は「体育協会」に対して運営費を出来る限り自助努力で賄うよう指導すべきであり、安易に運営費補助金の交付を受付けるべきではない。

15 宮城県ライフル射撃協会(射協)との委託取引について

意見
  • (1)使用料金の見直し
    県はライフル射撃場の運営のために平成13年度では8,522千円支出しているが使用料としてその1割程度(868千円)しか回収していない。ライフル射撃競技が特殊な競技スポーツであることから県の負担が最小になるように使用料を見直し、受益者負担に基づく運営を検討すべきである。

16 社会福祉法人宮城県福祉事業団(事業団)との委託取引について

指摘事項
  • (1)収益事業会計の繰越赤字について
    事業団は収益事業として「老人休養ホームなかやま山荘」の運営を行っているほか、現在は廃業している「ふたくち山荘」と「こまくさ山荘」があり、これらを総合して収益事業会計が構成されている。
    平成14年3月末現在、廃業した「ふたくち山荘」、「こまくさ山荘」には合計39,322千円の繰越赤字があり、この解消に「なかやま山荘」の利益4,555千円が充当されているが、解消には相当の期間を要すると考えられる。
    「なかやま山荘」の収支はトントン若しくは4百万円程度の黒字であるが、約定による長期設備資金借入金の返済が毎年18,540千円あるため、利益が上がっても多額の借入金元金償還支出によって年間3~5百万円資金収支が赤字となっている。この長期設備資金借入金は今後6年間で完済されるので、それまでの資金繰りが問題になるところである。
    こうした収益事業会計の状況からみて以下の問題点を指摘することができる。
    • (a)収益事業の赤字に対して一般会計から資金負担していることの是非
    • (b)一般会計からの繰入れにより運営を継続することの意義
    • (c)廃業した2ヶ所の未利用不動産の処分あるいは活用
  • (2)特別養護老人ホームの収支差額について
    事業団は、特別養護老人ホーム「敬風園」及び「和風園」を管理・運営しており、平成13年度末の当期資金収支差額は合わせて171百万円の黒字となっている。これらの特別養護老人ホームの収支状況に鑑みて、以下の問題点を指摘することができる。
    • (a)県営施設を保有することに伴う費用の把握について
      2つの施設を保有していることによるコストは、概算ではあるが合わせて年間330百万円となっている。民間の社会福祉法人の場合は、施設整備の段階で国庫補助のほか地方自治体の補助金があったり、借入利子補給制度があるので民間法人との保有コストの比較は単純にはできないが、県としてはコストの認識・把握はしておくべきものと考える。
    • (b)効率的な運営について
      「敬風園」と「和風園」の主な収支の構成と人員について、民間の社会福祉法人との比較した場合、人件費や管理費の構成比は他法人と比べるとやや高く、事業費はほぼ同程度であるが、1人当り人件費は他法人と比べると明らかに高くなっている。これに対して事業団は、正職員の平均年令が高いことが一つの要因であるとして、平成14年度から正職員の退職1名に対して補充は臨時職員2名の体制で臨んでいるところであり、また能力給の取入れなど賃金体系の見直しも検討している。こうした取組みを強力に進めて、民間施設との比較において収支バランスを良くしていき、さらに一層の効率的経営を図っていくべきである。
    • (c)収支差額の帰属について
      平成13年度において当期資金収支差額は合わせて171百万円生じているが、このように運営の結果生じた剰余金は県に所属するとみるのが「県営施設の委託」という現行の枠組みの中では正当と考えられる。けだし、このように多額の収支差額が生じた理由の一つとして、土地・建物が県の所有であるため、民間社会福祉法人の場合のように建設資金借入金の元利償還金支出や減価償却費がないことが挙げられ、また、将来の施設の更新費用は県で負担するであろうし、また施設の保有コスト概算330百万円は県で負担しているからである。従って、剰余金についての精算、あるいは適切な使途制限に関して検討すべきである。
意見
  • (1)知的障害者更生事業への取り組みについて
    事業団は、運営する県内最大の知的障害者の入所施設である船形コロニーを解体し、今後策定するプランに基づいて入所者全員(現在485名)を地域生活に移行させる考えを表明した。
    新しく始まる「支援費制度」の在り方からすると、たとえ重度の知的障害者であっても、本人の意思を尊重して、障害者自身にとって利用可能な選択肢を多様に揃えておくことが必要となるが、地域生活への移行を実現していくためには、現実問題として解決すべき困難な課題が数多く予想されている。県も事業団の対応にただ任せるだけではなく、事業団の将来構想実現のため、また「支援費制度」において県に求められる役割を十分に果たすためにも、県の立場でできることを積極的に実施していくことが必要である。
  • (2)事業団の果たす役割について
    事業団の果たす役割として「事業の選択と集中」が益々必要とされてくるものと考える。
    事業団では、以下の3点を今後果たすべき役割としている。
    • (a)セーフティネット
      最も支援を必要とする重度の障害者などの受入システムや、大規模災害時の対応・連携システムを構築すること。
    • (b)センターオブセンター
      社会福祉事業関係者に対する高度・専門的な技術の提供・支援等を通して、県内の社会福祉施設の中核的役割を果たすこと。
    • (c)先駆的事業の実践
      県の福祉行政を推進する立場から、新しいニーズに対する事業や民間では取り組みにくい事業を実施し、実践に基づいた政策提言を行って県民福祉の向上に努めること。

国や県の財政が逼迫の度合いを強めているなか、こうした取り組みにおいても、極力前倒しして早期に実施に移していくことが望まれる。

お問い合わせ先

行政経営推進課行政サービス推進班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2238

ファックス番号:022-211-2297

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