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平成13年度包括外部監査結果及び意見の概要

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年9月10日更新

産業経済部を中心とした補助金の執行事務について

1.特定の事件を選定した理由

  宮城県(以下県という)における補助金の支出額は、10年前の平成3年度実績の約1.67倍となっており、この期間の歳出合計額の増加割合は1.12倍と比べて大きく増加している。補助金は公益上の必要があってはじめて認められるものであり、補助金による対象事業の促進、支援は住民福祉の増進に効果があり、その意味で適切な実行が期待されている。しかし、当初の社会経済環境と現在とでは、補助事業の役割、必要性が大きく変化し、公益上の目的も常に見直されていかなければならない。
 以上のような観点から、補助金の執行事務が法令に準拠しかつ経済性、効率性、合理性を持って実施されているか、さらに、県の財政健全化の取組みの中で、環境の変化に対応した補助事業の改廃の要否についても検討する必要性を認めたものである。

2.監査の結果(個別指摘事項) 

 1 社団法人みやぎ工業会運営費補助金

 みやぎ工業会の運営は自主財源による割合が高く自助努力により運営するよう促すべきであり、当該補助金制度(平成12年度2,551千円)は廃止すべきである。

 2 地域活性化創造技術研究開発事業補助金

 (1)概算払いされた補助金の一部(300万円)が事業閉鎖による補助取り消し後、回収不能となった ケースが生じている。概算払いの場合には、事業者の状況を充分理解した上で、確実な対応をはかる必要がある。

 (2)計画段階より実績の経費が下回った場合、経費の減少割合分だけ補助金額を減額する等の措置を取れば平成12年度で2千万円余り補助金が節約できた。実際経費に合わせた補助金の見直し措置が必要である。

 3 新成長産業支援事業費補助金

 (1)補助対象経費には該当しない費用に対し補助金を交付しているケースがある。正確な事業計画認定審査が必要である。

 (2)計画段階より実績の経費が下回った場合、経費の減少割合分だけ補助金額を減額する等の措置を取れば平成12年度で1千万円余り補助金が節約できた。実際経費に合わせた補助金の見直し措置が必要である。

 4 地場産業等活性化事業費補助金

 (1)補助金対象事業者につき、要綱の定めと支給の実体が整合していない。要綱の整備が必要である。

 (2)補助対象事業者名義として領収書が入手されていないケースがある。補助対象経費の支出実績を明確に確認するため、補助対象事業者名義の領収書等の提出を要求すべきである。

 5 企業立地促進奨励金

 補助対象事業者について要綱の拡大解釈が行われているケースがある。実体を証拠資料に基づき充分に確認するとともに、拡大解釈が生じないよう要綱に明文化するなどの検討が必要である。

 6 農業近代化資金利子補給補助金

 (1)利子補給の対象となった融資金が、目的どおりに使用されたか等の確認について、金融機関任せにすることなく県においても事業完了確認報告書に請求書、領収書の写しを添付させること等により行う必要がある。

 (2)利子補給対象事業者から経営収支実績を徴求するなどして、補助金支出の効果を測定することが必要である。

 7 漁業近代化資金融通助成事業費利子補給金

 (1)融資対象事業者から、未だに事業完了確認報告書及びその添付書類を入手していないケースがある。事務取扱要領において求めている手続であり速やかに改善が必要である。

 (2)利子補給対象事業者から経営収支実績を徴求するなどして、補助金支出の効果を測定することが必要である。

 8 漁業経営基盤強化指導事業費補助金 

 (1)補助対象事業の一環として実施される経営診断について、経営診断実施後のフォローが行なわれていない。その後の改善状況を把握する手続を次年度以降の巡回指導に組み込む必要がある。

 (2)補助対象事業に係る業務委託は特定(一人)の中小企業診断士に委託されているが、委託料については算定根拠が把握されていない。県は、補助事業者に対し、委託について契約書を取り交し、根拠を明確にするよう指導を行う必要がある。

 9 中小企業経営資源強化指導事業

 (1)現在、一つの補助事業者に対する補助金について県の3つの部署が関与している。事務効率化のためには一つの部署に集約するべきである。

 (2)実績報告について、要綱に定めたとおりの調査が実行されていない。審査を行うとともに、必要に応じて請求書、領収書などの証憑によって実績金額の妥当性を確認のうえ、補助金交付を行うべきである。

 10 漁業共済加入推進事業補助金

 (1)この補助金は共済制度の対する補助金であり(平成12年度32,217千円)、国も同様に補助しているが、相互扶助という共済制度の趣旨にかなうものではない。よって、その存在意義が薄れてきている、あるいは認め難いといわざるを得ず、補助事業の廃止も含めて早急に見直しを検討すべきである。

 (2)県からの補助金収支が共済組合の損益計算書に計上されていない。県は補助金の収支の取扱について組合を指導すべきである。

 11 新規就農者支援事業補助金

 この事業に係わる貸付事業について事業主体の貸付事業が低迷しているため、事業主体の基金内に資金が滞留している。県は基金の資金状況を充分把握して、融資申請を見合わせるよう指導すべきである。

 12 労働福祉会館移転整備事業補助金  

 (1)補助金申請書類の審査について、要綱にしたがった補助金算出結果が記録として残されていない。要綱に従った計算結果を明示しておくべきである。

 (2)2億円の補助金を支出した補助対象物件の完成確認記録がない。実績確認の結果を記録として残すべきである。

 13 社団法人宮城県雇用開発協会事業運営補助金

 (1)協会の収支計算書に未決定の県からの補助金収入が記載されている。その旨を計算書類で明示するよう協会側を指導すべきである。

 (2)補助対象事業として作成されたガイドブック配賦状況を把握し、その事業効果を確認・把握しておくべきである。

 14 宮城県高年齢者労働能力活用事業補助金

 事業者に対する補助金交付は、設立後5年間とされているが、この期間は国の補助金を受けられるまでの立ち上げ期を想定しているものであり、事業者に余剰資金が生じてくれば補助金を減額できるように要綱の改正を検討すべきである。

 15 宮城県物産振興事業補助金

 事業者において、明確な目的のない引当金の繰入や余剰資金の保有があり、当該補助金が不要または縮減が可能な状況にある。県は事業者の財政状況を充分に査定し、補助金支出の要否を再検討すべきである。

 16 みやぎ路観光地整備事業補助金

 (1)経費について、計画に対し実績が変更されているにもかかわらず事業計画変更承認申請書を入手しておらず要綱第5に違反するケースがある。このように計画段階より実績経費が減少した場合、減少割合分だけ補助金額を減額することとしていれば平成12年度で2百万円余り補助金を節約できた。

 (2)県では補助要望のある市町村に対し、予算の範囲内で満遍なく補助している。しかし、年々補助枠を減額する中で、最大の効果を得るため、市町村の要望を取捨選択し、重点配分による補助効果を目指すべきである。

 17 宮城県農業会議補助金

 (1)補助金について県負担額算出の具体的な基準が文書化されていない。現状で対応できる内容で文書化し、基準を明らかにしておくべきである。

 (2)事業者からの実績報告について、補助金との対応を明確にするため、内訳科目毎に記載するよう指導する必要がある。

 18 農地保有合理化推進事業

 (1)補助金について県負担額算出の具体的な基準が文書化されていない。現状で対応できる内容で文書化し、基準を明らかにしておくべきである。

 (2)事業者が土地を取得した場合の借入金利子に対する補助金について、当該土地の売却が進まないことが交付額の増加を招いている。県は事業者に対し、事業遂行にあたって合理的な計画を策定し、売却が円滑に行われるように土地の取得を行うよう指導するべきである。

 19 みやぎの水田農業支援事業補助金

 (1)補助金の算出は、標準事業費に基づいているため結果的に定額支給となっている。交付要綱を遵守し、補助金の算出は実際の事業費に基づき行うべきである。

 (2)(1)について、実績報告書上も標準事業費の額が記載されており、事業の実態が分かり難いものとなっている。実際の支出額を記載するように事業者を指導すべきである。また、補助金の審査についても実質的なチェックが行われているとは言えない状況にある。厳正な審査が必要である。 

 (3)補助対象事業者における補助金の使用に関して、公正な入札結果が期待できない状態で業者の選定が行われているケースがある。県は公正な入札が行い得る方法によるよう事業者を指導すべきである。

 20 青果物価格安定対策事業費補助金

 (1)事業者において、この補助金が経理されている特別会計から一般会計への資金移動は本来の補助目的に反するので、このような処理を取りやめるよう事業者を指導するべきである。

 (2)県の補助金や生産者の負担金などで資金造成された交付準備金はその半分も使用されておらず、準備された資金が有効に活用されていない状況にある。県は事業者に対し、交付準備金が適正な水準となるよう改善を促すべきである。

 21 効率的養蚕産地育成推進事業補助金

 (1)県の要綱上、補助金の算出方法について具体的な記載がない。県の交付要綱における規程化が必要である。

 (2)事業者に対する概算払いについて、概算払い請求書上理由が記載されていない。理由を記載するよう育成協議会に対し指導が必要である。

 22 優良系統豚維持強化事業費補助金

 県の要綱上、対象となる具体的な経費の内訳が記載されておらず、実際の交付額の算定根拠も不明である。交付要綱上明確にしておく必要がある。また実績報告書により実績と補助金算定根拠との整合性を検証すべきである。

 23 牛炭疽発生予防事業補助金

 (1)実績報告書上記載されている事務費について、事業目的にかなう支出であることの根拠の記載がなく、県の調査においても検討が行われていない。実績報告書上、明らかに補助事業の目的にかなう支出のみを計上するように県は指導するべきであり、適正な審査を行う必要がある。

 (2)補助金の金額については、対象とする経費を具体的に決定、交付要綱上明確にしておく必要がある。

 24 オーエスキー病ワクチン接種事業補助金

 (1)補助事業実績報告書と事業者の決算書に相違がある。県は事業全体の収入・支出及び収支差額についても正しく報告を行わせしめ、当該事業の実態を正しく把握すべきである。

 (2)補助金の金額については、対象とする経費を具体的に決定、交付要綱上明確にしておく必要がある。

 25 丹毒ワクチン接種事業補助金

 (1)24(1)と同じ。

 (2)23(2)と同じ。

 26 宮城大学研究補助金

 補助金額の算出について、総枠算出、定額配分方式と言われる方法が取られてきているが、個々の研究者の必要研究費の積上げを基本とする方法に早急に転換すべきである。

 27 宮城県社会福祉協議会補助金

 (1)民間団体事務室使用料免除費補助金

 家賃軽減補助は本来の目的から乖離している。廃止について検討すべきである。

 (2)生活福祉資金貸付事務推進事業費補助金

 事業費の具体的な支出内容の確認が、県においても補助金の受入窓口である県社会福祉協議会においても行われていない。県としては、県社会福祉協議会においてこの作業が厳正に実施されるよう指導し、その結果を県が確認する態勢をとる必要がある。また、実績報告上、支出の具体的内容が不明瞭なものが多く、事業実績の内容が明瞭に分かるように実績報告書の様式を定めるとともに、実態把握の方法を改善すべきである。

 (3)社会福祉大会費補助金

 補助金の算出根拠について要綱上明確な基準がなく、要綱の見直しが必要である。なお、当該補助金については、補助金として支出すべき性格のものであるかについて疑義があり、見直しが必要である。

 (4)地方社会福祉協議会福祉活動指導員設置事業

 指導員の人件費について給与台帳などに基づく支出の確認が必要である。

 (5)地方ボランティアサブセンター運営事業

 相談員の人件費について給与台帳などに基づく支出の確認が必要である。

 (6)生活相談所運営事業

 相談員の人件費について給与台帳などに基づく支出の確認が必要である。

 (7)市町村ボランティアセンター活動事業

 実績報告書で支出実績を具体的に報告する必要がある。また支払証憑により支出確認も行う必要がある。

 (8)ふれあいまちづくり事業

 実績報告書で支出実績を具体的に報告する必要がある。また支払証憑により支出確認も行う必要がある。

3.監査の意見

 (個別意見)

 1 新成長産業支援事業費補助金

 人件費を補助対象とすると客観的にそれ以外の作業に係わる人件費かどうか区別することが難しく補助対象経費になじまない。よって客観的評価基準を明示したアイディアコンテスト等、報奨金により支援する方法も検討すべきである。

 2 高度技術振興事業運営費補助金

 (財)みやぎ産業振興機構が行う4つの基金事業は、一応の目的を達成したものとして見直すべきであり、それに伴い、基金の管理運営費を補填する当該補助金も廃止を検討すべきである。

 3 小規模事業経営支援事業費補助金

 商工会については、市町村の枠にとらわれることなく、小規模事業者の少ないところは合併を推進し、あるいは広域的なグループ化をはかって、補助対象職員の削減を図ること等の検討が必要である。その結果、補助対象職員一人当りの指導業務の充実が図られるとともに、この補助金の圧縮が可能となる。

 4 宮城県国際経済振興事業補助金

 県内企業の韓国に対するニーズを充分把握したうえで、ニーズに乏しいと判断されるのであれば、(財)宮城県国際経済振興協会は解散し、ソウル事務所も廃止すべきであろう。

 5 農業生産総合対策事業

 事業者は、他の方式と比較検討することなく「系統施工」方式を採用しているが、もっぱら系統施工によることなく、公正と認められる価格と相手先を決定するよう事業者を指導すべきである。

 6 優良系統豚維持強化事業費補助金

 事業者である全国農業共同組合連合会県本部は、大規模事業者であり、補助金がなくとも独自にこの事業を行っていくことは十分に可能と思われ、当該補助金の打ち切りを検討すべきである。

 7 畜産物衛生環境整備円滑化事業補助金

 補助対象事業のうち、家畜死体流通対策費は、保管施設(指導協会の所有)の運用に係る費用であり、本来、死体を搬出した畜産農家が負担すべきあり、廃止を検討すべきである。

 8 牛炭疽発生予防事業補助金

 事業者である(社)宮城県家畜畜産物衛生指導協会においては、当該事業につき十分な収入があり、補助金に依存する割合が少ないのであれば補助金の交付を見合わせる方向で検討する必要がある。

 9 オーエスキー病ワクチン接種事業補助金

 事業者である(社)宮城県家畜畜産物衛生指導協会においては、当該事業につき十分な収入があり、補助金に依存する割合があまり高くないのであれば補助金を減額する方向で検討する必要がある。

 10 豚丹毒ワクチン接種事業補助金

 9と同じ。

 11 漁業就業者確保育成事業費補助金

 県の財政状況逼迫により更にこの事業に対する補助金の圧縮が続くようであれば、事業者に対して補助金の補てんによる事業運営より脱却し、自主運営に移行するよう促し、県としては当該補助金の廃止あるいは一時凍結を検討すべきであろう。 

 12 沿岸漁業漁村振興構造改善事業費補助金

 県内漁協の合併を促進して経営力強化を図り、処理施設の機能向上、生産効率の向上を実現すべきである。このような県内漁協に対する基本計画を極力前倒しで実施することにより、零細漁協の処理施設に対する国、県、及び市町村の補助金負担の圧縮を図ることができる考えられる。

 13 宮城県社会福祉協議会補助金

 県は県社会福祉協議会に対して調査確認体制の整備を促し、補助金支出後の確認作業の手法を指導して審査・確認体制の充実強化を図ることが必要である。

 14 宮城県原子力立地給付金交付事業補助金

 原子力立地給付金につき、財団法人電源地域振興センターが介在することなく、県の直接交付方式を採用し、事務処理の効率性、経済性の向上を図るべきである。県は原子力立地給付金交付事業に係わる上記のような制度の見直しを規則の改正も含めて早速にも国に建議すべきものと思われる。

 (総 括 意 見)

 1 経費補助のあり方について

 現在の経費補助では計画段階より実績経費が下回っても、当初の補助金が最大補助率と補助限度額に抵触しない限り減額されない取扱となっている。このため計画段階の経費見積が過大となり、これにより補助金が算出される傾向がある。よって、現在要綱に記載されている、「内容の変更が軽微であり、経費の配分に著しい変更を及ぼさない場合には、知事の承認はいらない」旨の、例外規定は廃止して、経費補助につき計画段階より実績の経費が下回った場合には、経費節約額に計画段階での補助率を掛けた額だけ補助金を減額することを検討すべきである。

 2 補助金申請及び実績報告に対する審査方法について

 審査の有効性の点から、「誰が」「いつ」「どのようなポイントで」審査を実施したのか、審査の内容が記録として残るようにすべきである。審査ポイントは補助金の性格により異なると思われるので、各補助金の実情に照らし各段階での審査ポイントを定めることが望ましい。そのためには、例えばチェックリストを作成し決裁書の添付書類とすることが考えられる。

 3 監査結果を踏まえた総括意見

 (1)補助金の算出は当初の事業費や標準事業費などに基づいて行っている場合があるが、実際の事業費支出に合わせた補助金の算定が大前提であるべきである。また補助団体から報告される収支は一致している場合が多く、補助金予算限度額に合わせて支出作りをしているように見受けられるケースがあり、実績報告の実態を機関決定された収支計算書、あるいは証憑書類までさかのぼって確認する必要がある。

 (2)補助金は申請審査をパスし、給付が終わればそれで終わりというものではなく、補助金給付先の以後の状況をフォローし、補助目的に合った結果が生じているか否かを継続的に確認して行くことが必要である。

 (3)補助金支給要綱等に基づき形式要件に合致すれば補助金対象として取上げるのではなく、補助対象事業者の実態を充分に把握した上で、補助目的に合致するかどうか等について検討し補助金支出を判断する必要がある。実体把握はやってやり過ぎることはないほどの意識が必要である。

 (4)県は補助金に対して「総額抑制」の方針を取っているが、補助効果の絞り込みにより、メリハリをつけた補助事業の整理が重要である。重点補助事業には十分応え、不要、不急のものは補助事業を取りやめる方針が必要である。

 (5)補助制度の縮減を目指して補助金一つ一つについて改廃を検討する場合、いわゆるボトムアップの提案を待っていてはメリハリの効いた補助制度の整理は難しく、いわゆるトップダウンによる方法によらなければ補助金対策は実現できないと考えられる。