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伊豆沼・内沼を守る取組

印刷用ページを表示する 掲載日:2009年6月5日更新

伊豆沼・内沼の自然を守る取組

 伊豆沼・内沼は,宮城県の北にある約4平方キロメートルの沼です。これは,仙台市にある「クリネックススタジアム宮城」約150個分の面積になります。

 伊豆沼がある地域は冬でも雪が少なく,沼の水も凍りにくいので,冬にはハクチョウやガンなどの渡り鳥(冬鳥)がたくさんやってきます。特に「マガン」は,日本に渡ってくる80パーセント以上が宮城県の北部で冬を越します。伊豆沼にも3万羽以上がやって来て,夜は沼で休み,朝に飛び立って周りの田んぼなどでエサを食べ,春までの間を過ごします。

 伊豆沼は一番深いところでも1.6メートルしかありません。広くて浅い沼なのです。このため,水辺にはさまざまな植物(「水生植物」といいます。)が生えています。コンチュウも多く,特にトンボ類がたくさんいます。また,コイを中心に魚もたくさん生息しています。

 このように,伊豆沼はいろいろな生き物にとって非常に暮らしやすい環境を持っています。国際的にも伊豆沼の価値は認められており,1985年には北海道の釧路湿原に続いて日本で2番目にラムサール条約の登録湿地になりました。

 周りにすむ人々も伊豆沼を積極的に活用してきました。今でも農業や漁業に利用されていますし,昔は風呂水にも使っていたそうです。

 しかし,人々のくらしが変わり,沼の姿も変わってきました。生活が便利になるに従い,生活排水の影響などで水が汚れてきました。伊豆沼の自然を守るために多くの人々が努力してきました。2008年には,「伊豆沼・内沼自然再生協議会」が設立され,伊豆沼・内沼の自然を守るために,地域の人々や研究者,国,県,市など,さまざまな人が協力して自然を守る取組が行われています。

 

伊豆沼・内沼の生き物の表
オオハクチョウ ゼニタナゴマガン
オオハクチョウ

ゼニタナゴ

マガン

 

<取組その1> マコモ植栽

 伊豆沼では,春になると「マコモ」という植物を植えています。

 マコモは生長するときに沼の栄養分を吸い上げるので,沼の水をきれいにするのに役立ちます。また,白鳥はマコモの根っこ(「地下茎」といいます。)が大好物で,春に植えたマコモをあっという間に食べてしまいます。このため,できるだけたくさんのマコモを植えるようにしています。

 現在,沼の近くにある新田中学校,新田小学校,畑岡小学校の児童,生徒たちもマコモ植えに協力してくれています。

 

マコモ植栽の表
マコモ植栽の様子

マコモ植栽の様子

 

<取組その2> ブラックバスの駆除

 平成8年頃から,伊豆沼に「ブラックバス」という魚が急に増えてました。ブラックバスは元々アメリカの魚で,もちろん以前は伊豆沼には生息していませんでした。

 オオクチバスは非常に食欲旺盛で,それまで沼に住んでいた魚や貝が急激に減っているのはブラックバスが進入してきたことが大きな原因と考えられています。魚や貝だけででなく,それらをエサとする鳥(カイツブリやコサギなど)も減っています。

 そこで,沼の生き物と自然を守るために,「バス・バスターズ」というボランティア団体が活動しています。バス・バスターズの人たちは,4月下旬から6月下旬までの毎週水曜日と日曜日に集まって,卵を産ませるワナを作って卵を取り除いたり,さし網を設置してブラックバスを捕まえたりしています。

 バス・バスターズに参加しているのは,農家の人,学生,会社員など,さまざまな人たちです。年齢も20才から70才までと幅広く,遠くは福島県から来ている人もいます。

 伊豆沼からブラックバスが完全にいなくなり,昔のように多くの小魚が生息するようになるには,これからも大変な時間と手間がかかるでしょう。一度壊れた自然はなかなか元に戻せないのです。

 

ブラックバスの駆除の表
さし網にかかったブラックバス卵を産ませるワナの引き上げ
さし網にかかったブラックバス

卵を産ませるワナの引き上げ

 

<取組その3>ヨシの刈取りと野焼き

 伊豆沼の周りには「ヨシ」という植物が生えており,さまざまな生き物の住みかとして大事な役割を果たしています。昔は「かやぶき屋根」の材料として,人々にも利用されていました。また,生長するときに栄養分を吸い上げるので,沼の水もきれいにしてくれます。

 地元では,毎年一定面積のヨシの刈取りを行っています。そうすると,刈った後からより強いヨシが生えてくるからです。

 また,春には,地元の漁協や改良区の人たちが,堤防の野焼きをしています。刈取りと同じく,野焼きをするとさらによいヨシが生えてくるのです。 

 

ヨシの刈取りの表
ヨシの刈り取り

ヨシの刈り取り

 

<取組その4>ハスの刈取り

 夏の伊豆沼は,きれいなハスの花が咲くことでも有名です。ハスは,花がきれいなだけではなく,冬には根っこ(レンコン)が白鳥のエサにもなります。

 しかし,ハスをそのままにしておくと,枯れた花や茎などが沼に沈み,沼の水が汚れたり沼が浅くなったりする原因になります。

 そこで,ハスの花が咲き終わる9月に,ハスを刈り取る実験を始めています。また,刈り取ったハスを有効に利用できないかも検討しています。

 

ハスの刈取りの表
夏のハスの様子

夏のハスの様子

 

 

 

 このように,伊豆沼・内沼を守る取組は,さまざまな人々によって現在も続けられています。
 伊豆沼・内沼で自然を守るさまざまな活動をしている宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団の嶋田さんは,
 「伊豆沼・内沼は,生き物がたくさんいるすばらしい場所です。渡り鳥が飛び立つ様子などを見ていると,自然のすばらしさを心から感じます。この,すばらしい自然を残すために,苦労はたくさんありますが,いろいろな方と協力して,伊豆沼・内沼の自然を守る取組を続けていきたいです。」
 と,おっしゃっています。


 

 

伊豆沼・内沼の風景の表
マガンの朝の一斉飛び立ち

マガンの朝の一斉飛び立ち