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(農業・園芸総合研究所 園芸環境部)
イチゴの重要病害であるイチゴ炭疽病に対してQoI剤は効果が高く基幹的な薬剤として広く使われていますが,近年西日本を中心に本剤の耐性菌が確認されているため,本県においてもQoI剤の薬剤感受性検定を行いました。
その結果,7圃場20菌株でQoI耐性が確認され(表1),県内にQoI耐性イチゴ炭疽病菌が発生していることが明らかになりました。各圃場の検定菌株数は少数ですが,5菌株以上検定した場合でも,検定菌株すべてが耐性菌である圃場も認められました。
このため,有効な薬剤を明らかにするために耐性菌に対する各種薬剤の防除効果を調査しました。
試験の結果,県内のイチゴ圃場に分布するQoI剤耐性炭疽病菌に対しては,セイビアーフロアブル20,オーソサイド水和剤80,デランフロアブル,ベルクート水和剤,アントラコール顆粒水和剤等が高い効果(防除価80以上)を示しました(図1)。また,耐性菌に対しゲッター水和剤,ファンタジスタ顆粒水和剤は十分な防除効果が認められませんでした。QoI単剤及びその混合剤が殺菌効果を示す圃場においてはQoI剤の使用は可能ですが,耐性菌の発生を回避するためにQoI剤の散布は年1回にとどめ,他の系統の薬剤とローテションで使用する等の対策が必要です。
また,QoI剤とは系統の異なるゲッター水和剤(チオファネートメチル・ジエトフェンカルブ水和剤)の効果の低下が確認されました。その原因としては,2種類あるイチゴ炭疽病菌のひとつで県内で優占的に存在すると推測されるGlomerella cingulataの耐性菌化,あるいはそもそもゲッター水和剤が防除効果を示さないもう一種類の炭疽病菌Colletotrichum acutatumが県内で発生拡大しているためと考えられます。今後,県内で発生している炭疽病菌の菌種を明らかにした上で,ゲッター水和剤の防除効果を検討する必要があると考えられます。
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