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(農園研 園芸栽培部)
省力的で低樹高が実現できる樹形として様々な樹種でジョイント仕立てが検討されているが,側枝肥大を抑え,側枝を長期間使うためには,葉枚数を減ずることが肝要であり,そのためには夏季摘心が有効である。
2010年にジョイントを行った‘ふじ’/M.9(マルバ付き,10年生)を用いて,夏季摘心が,摘心後再伸長により形成された花芽(以下,疑似果枝,写真1)の果枝長,着果した果台の長さ(以下,果台長,写真1)及び果実品質に及ぼす影響について調査したところ,熟期になっても果実が青いままで食味不良である異常果(以下,青み果)に関して,いくつかの知見が得られたので紹介する。
疑似果枝が長い枝に着いた花芽ほど青み果発生割合が増加し(第1表),また,果台長が長くなるにつれても増加した(第1表)。さらに,疑似果枝長が長くなるとその頂芽の果台長も長くなる傾向であった(第1図)。青み果と正常果の果実品質について,青み果では正常果より着色,食味が劣った(第2表)。
以上のことから,夏季摘心後の伸長量が大きい枝に着生した花芽ほど翌年の開花時に果台が大きく伸長し,結実した果実は青み果が発生する可能性が高くなることが明らかになった。
(H25年度秋季園芸学会にて発表)
(平成25年11月6日掲載)
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